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ヲタ村ダンジョン  作者: KOJHIRO
EPISODE 2 After
7/24

NORMAL? ううんHEAVYなの

 『適度』の6層目です。やっとというのか早くもと言うのか,まだ,ですかね。


「んしょ。っと,んしょ」


 スタミナがないので,ポンにランタンを預けて先頭を行って貰う。大人用の階段は,段差が大きくて4歳児にはヘビーなのだよ。でも一段下りるたびに声は出てるけど「おんぶしてー」とか言わないよ。


「べひゃら」


 突然ポンの足が止まったようで,気づかずぶつかってしまった。


「床を見て欲しいっす」


 立ち位置はあと数段と言ったところで,ランタンの光に照らされポンの指さす床一面の模様が,渦巻いたりくねったりして変化している。


「ヘビ」

「スネーク」

「ソフトクリーム」

「「「それはないっ!」」」


 ツッコんですぐミィとナナは上へと戻っていった。薄情な奴らだ。


「どおしよっか」

「凍結して潰すっす?」

「魔力切れーー」

「残念っす」


 腕を組み上の階以上の数がいそうなヘビに思案する。

 見ているとわしらに気づいたヘビもいたようで,こっちに近寄ろうとするがある線を境にそれ以上近づこうとはしないみたいだ。

 ランタンよか光量があるサーチライトみたいなハンドライトをとりだして,どこまでなのか照らしてみた。ため息が出た。全然奧まで照らせなかったのだ。ただ脇道のない直線なのがわかった。


「よし,焼け石に水で討伐数は微々たるぐらいだろうけどね上では魔法で冷やしたから,今度は物理で暖めようか」

「どうゆうことっす?」

「こーゆーこと」


 スリングで,別の特殊玉をはじいていく。せいぜい40~50メートル程度だが,ジグザグに着弾していった。

 もうそれ以上は届かないだろうって限界に数発撃ち,アイテムボックスから油瓶を出し,飛びつこうとしたヘビに気お付けて境界線に振りまいた。


「チャッ○マンない?」

「喫わないから持ってないっす」

「タバコとは関係ないよ。ランプの点火とか,お線香とかローウソクとかに使ったりするんだよ」

「そうでござったか。勉強になったっす」


 体型と違って語尾に安定感のないポンであった。

 やれやれ,あれを使うか。スリングに金具を付けて,ゴムを引き留め金に掛ける。玉をセットしグリップにトリガーができていていつでも発射できるようにして,掌にはすこし収まりきれない銀色の直方体の物体を一度腿に当てそして逆方向に引き戻すと,上部4割のあたりが割けて青味のある炎を出していた。玉をあぶり炎が移るとスリングを発射した。玉は,30メートルぐらい先に着弾して炎を上げ始めた。

 少し前に食べたジャンボホットドッグの包み紙を少しねじり,火を移してから境界線にまいた油へ落とす。ボゥっと燃え始めるとヘビどもは勢いよくのたうち始めた。銀色の物体は,オイルライターだった。


「ウィどのは喫煙されるのでござるか」

「ちゃう。風があっても付くから,屋外にあるご先祖様のお墓参りの時の便利アイテムや」

「おお,なるほどっす」


 このジ○ポは,ナナとポンが主宰する『はぐれマレビト互助会』で知り合った人に作ってもらったのだ。

 ナナとポンは召喚前になると,何となくだがどっちの方角でどれぐらいの距離か分かるのだそうだ。そこで,はぐれ召喚者を保護しているのだとか。ミリヲタ,サバゲー好きなど程度の差があるが,濃ゆい方達が多い。リアルの年齢と姿でというのが定番だったが,ミィとわしが幼児でエルフで現れたのは,前例がまだないそうだ。


 わしのガンダガーとガンソード,ミィのガンボーガンもマレビト製だ。しかしガンボーガンって……需要あんのか?


 それはさておき炎に踊るヘビってシュールだね。魔石で動く扇風機で風を送り,燃え方の少ないところへは油を追加していく。

 手前から燃えかすになって鎮火が広がっていくが,まれに生き残ったのを潰しながら,前線を移動していく。ヘビ,とくに毒ヘビの多くは熱感知のピットと呼ばれる器官があって,これが炎と相性が悪く“炎に囲んでみた作戦”で,ヘビに発声器官があれば阿鼻叫喚だったろう。


 なげかわしいことに手も足も出ない相手にムゴいことをする奴も居たものだ。


 ヘンな臭気と熱気で蒸せる中5メートル,10メートルと進んでいき,30メートル過ぎた頃油の在庫が切れてしまった。まだ燃えている残りの10メートルあまりは,追加した油がまだ残っているのだろ。扇風機で,てこ入れして50メートル近くは進め鎮火してから,わしもポンも“叩きつぶす”しか次の方法を思いつけなかった。

 あとどれぐらい続くのか分からなくなってきた頃,通路にアナウンスが流れた。


「討伐数が規定数を上回りましたので,当ボーナスステージは終わります」

「「?(どこがBSだよっ)」」


 ヘビがすっと消え代わりに現れたのがリザードマンだ。10数体を確認する。


「は虫類繋がりかよっ」

「同じくっす」

「蝮なら焼酎漬けにしたかったのにぃ」

「えっ」


 わしらは武器を持ち替えて突進する。わしは背後に回りガンソードで“シッポ斬り”を始めた。リザードマンの体表は鱗もあって堅く攻撃が通りにくいが,しっぽをなくすととたんに攻撃が通りやすくなるのだ。(DD○N情報)

 わしの攻撃で,3~4回ヒットすれば切り落とせる。まずわしがしっぽを斬って廻り弱体化したのをポンが叩くわけだが,斬られるとバランスが悪くて,たいてい前のめりに倒れ移動速度も落ち狩るのが楽になるから追撃が少なく次の獲物を狙いやすい。


 しかし残る熱気のためかリザードマンの動きに鈍重さが見られなくて背後に回りづらい。収納したばっかの扇風機を取り出して設置したが,たいして効果はないみたいだ。

 相手は槍だからリーチが長くなり近寄りにくいが,小回りが悪くて一度懐まではいると背後をとるのは簡単だ。わしの“陽光補正”もダンジョンでは,殆どスキルの減少はない。わしの俊敏は結構いけてるのだ。


 ただねぇ数値的にはミィよか速いのにナゼか追いかけられると逃げ切れない。ミィの七不思議の一つだ。えっ,他の6つにはどんなのがあるかって? またまたぁ,そんなことよか今はリザードマン対策でしょ。


 空を切る槍をかいくぐり右から背後へ回って魔石チェンソーでシッポに一撃,ガリッと音がして鱗がはぜる。身体を捩りシッポを逃がそうとするが見越していたので更に追いかけて,同じ所へもう一撃入れる。抵抗感が少なく1/3ぐらい切り込めたが,ぐるっと左回転して,正面に向かれた。想定通りだ。わしは左へ廻り勢いが付いて迫ってくるシッポをチェンソーを立てて受けた。すんなり刃が通りきった。「斬ったどー」


 片刃の刀に持ち替える。先端から少し下げたところに凹みがあり,そこに止まるように短い2本の筒で挟む。次はと探していたが,視線があったのがいる。警戒されているなと思うが,まず左から・・・正面に向き直られる。接近して,右へ・・・正面を向ける。更に近寄りもう一度右と見せかけ,左へ・・・だめだ。

 じゃあお望み通り真っ正面から迫るか。トカゲは突くのでなく横方向に祓う形で槍を低く振るう。刃の付いていない背で受けるとパワー不足と言うより体重不足ではね飛ばされた。

 平坦で起伏のない床を無様に跳ねながら転がるわしだが“なんということでしょう”別のリザードマンの後ろまで飛ばされた。ラッキー。そんなに魔力消費しない空気壁を足下に作り,踏ん張ることで圧縮した空気をバネに新ターゲットに向かい刀を振るった。

 ボンッ。筒の背側から火が噴き勢いを増した剣は胴を斜めに断ち切った。一太刀で決着を付けたがしかし。わしは刀を取り落とした。

 エアバッグのアレを参考に,指向性のある衝撃で火薬が爆発して,膂力不足を補えないか実地試験をしたわけだが,手が痺れてしまってしばらくまともに握れそうにない。ボツ決定だな。


 刀を回収して,視線を向けているリザードマンを睨みつけ,他のリザードマンをなぎ倒していくポンにエアダッシュを追加して走り寄る。


「手が痺れたー」

「状態異常攻撃でござるか」

「ちゃう。弐式ロケット丸の衝撃がスゴイのっ!」

「なるほど,改善策考えるよう改発班に伝えておくっす」

「とーぶん,使いたくないからねっ」

 わしは両手を腰に当て,頬を膨らました。


 ここまでお読みいただき,ありがとうございます。


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