参上キグルミ戦隊 えっ惨状だろぉって?
背後で扉が閉まり,相手が出現して戦いが始まった。
中央に2メートルちょいほどのオーク亜種。両側にホブコブリンリーダー(?)とオークソルジャー。コボルドとゴブリン腫でオオカミにまたがったライダー系と魔法を使うのもちらほら。リザードマンとかのは虫類とムシ系はいない。軍団は,上位になるほど武具も上がっているみたいだな。上と下では極端な差だな。
奥には切れ目のない連戦を臭わせるように,ひときわ大きいオーガがいる。
開幕早々混戦であった。
まだキグルミの特長を生かした攻撃方法を確立させられていない。かろうじて走り回るミィのネコパンチと爪での引っ掻き,爆走するナナ○さんのカンガルーキックと太いしっぽでのなぎ払いぐらいのもので,短足ポン○は体当たりを考えるがスピードが十分に載らず少し動いての嘆息,わしはばたばた羽ばたいて飛べないものだからグゥワーと鳴き真似する程度だ。
いゃーお役に立ててませんで恐縮です。
ヘイト管理になるかとポン○の背に乗り戦場を駆けるわしら。タンク役のポン○が動き回るのもおかしいけど,まだ飛べないわしが支援魔法を掛けるのに少しでも高い位置から眺めた方がいいからだ。
とりあえず全員には速度上昇は掛けている。
(ふっ,当たらなければどうと言うことはない)
事前にキグルミでのパーティの役割を話し合っていなかったのが失敗だったかと反省。
短い手足を駆使して駆け回るポンの上から,前線に立つ2人に支援効果を重ね掛をしながら注意を減らすようにポン○の背に乗り移動しながら微々たる攻撃もする。
オーガを除く敵を半数以上倒したら頭の中にインフォメーション程度のファンファーレが鳴り響き『条件の規定討伐数を超えた事により,フォルムでひとつ解除されました』と聞こえた。続いて『いきすぐ,フォルムチェンジしますか (Yes/No) ※ いつでも元の状態に戻すことが出来ます。』と高い透明度でダイアログが浮かんだ。
つぎが何なのかなんて気にせず迷わず押した。
似たものの集団だったのか,モンスターと距離を置いた4カ所で輝きがあった。
ミィはイヌでわしはクマ。そして長身のナナ○がキリンでずんぐりなポン○がタヌキ。ってどっかポイントカードのマスコットアニマルじゃぬ。
イヌは牙を生かした速撃へ移行したようで,キリンは近接には向かないが首をぶんまわして広範囲の射程を持ったようだ。タヌキは腹鼓でヘイトを発生させていた。
で,わしってナニすりゃイイの。クマというとイメージではピンクで・・・ああ,チガウ業種だったな。
キリンの頭部にナナ○の顔はなく,あくまでキグルミのようだが自在に振り回せているようだ。ただアクションからヒットするまでのラグが気になった。
ここいらの連中はまだいいけど隙が大きいな。
とすると機動力のあるミィがその穴埋めをすべきなんだがなぁ。わしがナナ○のサポだな。
「ポン○はタンクでヘイト管理ヨロ。移動桶です」
「応っす」
「ナナ○さんはあまり移動しないで,そのまま分廻してポンへの脅威を減らしてください。まとわりつくのはわしがいきます」
「ヒヒーン」
「それウマですよ」
「じゃあカバカバ」
「・・・」
ミィは省く。駆け回りながら徐々に駆逐していってたがしばらくして無視に対する反応があった。
「なんでやねん」
「ポン○とナナ○に行くのを手当たり次第でイイからかき回して護衛してね」
「しゃーないなぁ。帰ったらラスクなー」
「がんばり次第だよぉーん」
「けちぃ」
ミィがモンスターに当たり散らしはじめた。
わしが纏うクマはパンチと爪,そして怪力があるがその分移動速度がヌコに劣っているなとナナ○のボディガードをしながら感じた。
あと2割ぐらいかで,これまで積極的でなかった中ボス格のオーク亜種も動きが活発になってきて,ポン○に向かって歩き始めた。みたとこ兜,胸当てとかの防具が邪魔だよな。
こいつのあとには,わしもあまり経験のないオーガか。マズイモノを最後に喰うのは嫌だな。
「オーク亜種よろ」
隣に立つナナ○に声を掛けると。
「トゥエーーーっス!」
「ミィはオーク亜種の装備を早めに解除してください」
「ちっ」
あなたいま舌打ちしましたね。面白みがないとは認めますが。
まあそれでも,機動性を生かして留め具を徐々にだが緩めている。
「できればでイイよ。ちょっとミィにはムリゲかなぁ。あはは」
「むっ……ほうやねぇ」
煽りにのってくんないなぁ。扱いずれぇー。
ここまでお読みいただき,ありがとうございます。
・キグルミの変化
ウィ(わし) ペリカン ->クマ
ミィ ネコ ->イヌ
ナナ カンガルー ->キリン
ポン ダックスフント->タヌキ