表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヲタ村ダンジョン  作者: KOJHIRO
EPISODE 2 After
10/24

ハズレ券の引き替え

 『適度』最終層?到着です。最終戦前のひととき。

 盛り上がりがなく,いつも以上にゆたーりとしてます。えっドコガって?


 ナナの声に一同が集まり,階段を下りていくと,また丸テーブル5つに各々4脚の椅子があり,食券の自販機ぽいのと券交換窓口がある。


「なんか甘いもの食べたいねぇ」

「賛成,エクレアー」

「チョコパフェ……」

「レバニラ炒めっす」

「あったらな」


 わしはカルボナーラを念頭に甘みを考えつつ自販機の前に立つ。ファンファーレは鳴らない。BGMも流れない。ましてやバックライトで逆光にすらならない。さてわしはナニを期待したのだろう。


「えーと,ミィはエクレアに抹茶ラテ。ナナさんはチョコバフェ。ポン○にはレバニラ炒め定食とノンアルコールビール」

 なぜかナナ○にだけ敬称付き。ポン○は自称二十歳直前の召還だったとか。

 で,わしはカルボナーラのほかにチョコケーキとエスプレッソだ。

 注文機のボタンを押して必要量の魔石をばらばらと入れてを繰り返し,食券を受け取るとミッションは一つめのステップを通過した。

 横の券交換窓口によじ登る。4層と5層の間にあった床みたいに窓口はカーテンが掛かって中は見えない。


「たのもぉー」

「どぉーれぇー」


 やはり高音のしわがれた声が返ってきた。

 カウンターの上に出てきたトレイに食券とハズレ券を入れてトレイの端がカーテンの向こうへ突き抜ける程度に押し込んだ。


「これ替えてよ」

「どれどれ。食券は先に貰うよ。このブザーが鳴ったらとりにきてくださいね」トレーに載ったブザーと10枚のハズレ券が出てきた。つづけて「それとこっちの券は一度返すからナニと交換したいか決めてね。テーブルのモニターで確認してください」


 わしはそれを持っててーぶるで寛いでいる3人の元へ戻った。

 言われてみればテーブルの上に,カード読み取りのマークがあったので翳していくと,交換可能な一覧が表示された。ポーションセットとか,武器になりそなものとか,ポケットティッシュ,洗剤とか。

 なんでと突っ込む前に悩むなぁー。こぉゆぅときは一言。


「任す」

「同じくっす」

「拙者もでござる」

「任された」


 ミィが引き受けた。悪い予感しかしない。しかし選ぶのが面倒だったし,粗品程度である。怖くない。はず。


「トイレ行ってくる。もしブザーが鳴ったら取ってきて先食べてていいよ-」


 不本意ながら赤い『●』と『▲』の方へ行く。隙があると思って逆に行くと,しっぺ返しがキツイからだ。

 最終ボス戦にあわせて,上の階で魔力を温存していて,満タンになんなかったぶんはポーションで補ったからけっこう水腹。この身体はすぐに水分を排出したがるから,こまめにメンテを必要としているのだよ。

 でも喰うぞ-。用を足して出てくると,おやや既に皆さん食していますが。


「待たー」


 子供用の椅子によじ登りテーブルの上を見ると,わしのカルボーナーラが一口分しかない。しっかりフォークは使った痕跡がある。

「うそだぁー」

 3人をにらみつけるとそれぞれ視線を逸らしやがる。残った一口分を口に入れ,涙で喉を通した。


 涙で霞む,チョコケーキの側面に張られた透明の幕を細めのフォークでくるくると巻き取りったものを皿にペタリと置くと角っこをフォークで押し切って口に運ぶ。舌の上にとろけ広がるチョコに濃いエスプレッソの苦さが大人を呼び起こさせてくれる。

 だがしかし,身体は拒絶した。

 水をごくごく飲んで,エスプレッソにミルクと砂糖をたっぷり入れてかき混ぜる。


 くそっ,まるでお子ちゃまじゃないかよっ,実年齢ではわしが一番の年長者なんだぞっ。あー舌が苦い。


「ちゃー,女が涙流すんはオトコを堕とすときだけやで」


 ミィが訳のわからんことを言う。じつのところこれを理解したらマケな感じがするのだが。

 血糖値も糖尿も木っ端微塵の練乳に近い粘液を喉に流し込みながら,ケーキを平らげる。


 (げふっっ)


 やはり飲食キャパが低いな。キャパと言ってもカメラ雑誌じゃなくて,キャパシティの略だからな。ときどき新型機の特集を見るために買っていたのであって,エロ目的じゃないからな。そこんとこ理解してくれ。たまに買ってたけどア○ヒカメラでもないんだからなっ。

 エロ目的なら,写真よかコミックかを選ぶから,わしは無実だよな。だからあえて信じてくれとは言わん。3Dよか2次元の嫁が至高であることに疑いの余地はなし。

 汚れた口の周りをテーブルに用意されている紙ナプキンで拭かれながら,わしは哲人がごとくに思考するのだ。


 手を合わせて「ごちっ」と(こうべ)を下げると,ぽふっと頭になにやら置かれた。


「んぁ?」

「ちゃーのスーツ」


 ミィが言うにはハズレ券で交換した装備で,初期に2つのフォルムを持っていて,戦闘経験でステータスが成長するらしい。

 開けてみるとわしのはミケペリカンのキグルミだった。ミィがネコで,ナナ○がカンガルー,ポン○がダックスフントだ。

 そこでこのスーツでボス戦へ征ってみようって事らしいが,これ逝っちゃわないか?

 しかしこのキグルミの動物って,全国で見かけるあの業種だよな。


 アイテムボックスに一度入れて,メニューから装備を選ぶとすぐに着替えられる類のものだった。このとき別フォルムを選ぶことができるのだが,経験値か条件で解除されていくらしい。


 ドリンクバーの昆布茶を飲んで,ぷはーっと一息ついた。


 無言のままだが,時間的には夕食前。目の前のボス戦を今日の〆にする気で統一されていた。


 ゴミを分別して棄て,返却棚へトレーと容器を返し扉の前にキグルミ戦隊が横一列になる。

 ここまでお読みいただき,ありがとうございます。


・キグルミ

 ウィ(わし) ペリカン

 ミィ    ネコ

 ナナ    カンガルー

 ポン    ダックスフント


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ