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ヲタ村ダンジョン  作者: KOJHIRO
EPISODE 2 After
1/24

ゆけゆけ デコボコ探検隊!

 初期の設定が維持できずに,次のようになっていますが、気づかず崩れます。

 ナナは『拙者』と『ござる』ですが,『(それがし)』と『っす』のポンは状況で変化します。

 バケツト町の西に広がる草原にぽつんとある廃村跡,バケット町の慣習で西にあるからオータムを付けてオータム・リーブ村と呼ばれながらも通称ヲタ村。アンナ領として復興の最中,その近くで発見されたダンションの話をはじめます。


・方角と季節の連想イメージ

 東>春  南>夏  西>秋  北>冬


「えーわしらは今,ヲタ村の近くで最近見つかった,ふしぎなダンジョンに来ています」

「誰に言よん?」


 ダンジョンの入口でウィ(わし)の解説っぽい台詞に,ミィが突っ込んでくると,明後日の方向へポン○が弾いた。


「イ○ン系列のポイントカードの愛称って何でしたっけ」

「あー,近所にジャスコがないから知らないなー」

「ド田舎だもんねー,○ルナカぐらいしかないもん」

「めくるめく,ド田舎でスローライフでござるか・・・むふふ」


 はい,村の近況に話しを切り替えよう。


 VRゲームとして来訪していた二番目のわし(?)がこちらへ来なくなってから久しく,ヲタ村も当初の予定を大きく上回る発展をして,バケツト支部の出張所だった冒険者ギルドだが,ここをメインの拠点とする冒険者と引退予定者が多くなり,傘下のままだが別格としてAランク冒険者のシューロをマスター,アンナをサブマスターとして兼務させることで独立した支部として再編された。便宜上傘下ね。

 アンナがポンコツだったことが判明するのは,そんなに遠くない未来。

 他に傭兵ギルド,商人ギルド,魔術師ギルドなどよく耳にする団体も出張所を置く。


 『ナナ○とポン○の店』ヲタ支店を開いてから,類は友を呼ぶのかわしには解らん世界の店舗が増えている。

 ミィは入り浸りだが,わしの視覚と聴覚が,認識を拒否している。


 ヲタ村の冒険者ギルドでは,貢献度で一人前となるCランクまでは自動で上がり,ベテラン扱いとなるBランクから上へは,評価と試験で決まる。

 こんな話をするのには,わしとミィがCランクになってポンとナナに並んだからだ。

 わしらは現地人(ネイティブ)と比べて何かとレベルアップが早い。元の世界でも,トレーニングしたからといってスキルが付いたりすることはないが,わしらにとってはゲームの仕様が適応されているようだ。


 わしとミィは,なりは4歳児だが既に平均的なネイティブの成人男性並みの膂力を身につけている。

 さらに上を行くポン○とナナ○の冒険者ランクがまだCなのは,昇格の意志がなくずっぽし趣味に走っているからだ。


 ダンジョンに話を戻す。


 ダンジョンは,自然に出来上がった洞窟などに魔素が集まったもの,神・超越者を含み人為的に作られたものなどがある。

 ダンジョン由来のモンスターは倒されると素材になって吸収される。冒険者は装備を残して吸収される。このとき装備とタグを二枚とも残したままにすると,なぜかしばらくしてアンデッドとしてその階層を彷徨い歩くらしい。

 入口は,石組みの祠になっていて,左右に石柱が立っている。こいつは明らかに人工物だ。


 そばに急遽建てられた,ギルド職員の詰所がある。

 ダンジョンへはギルドカードを提示し,名前と予定日数など記録を残してから潜り出てきたときも報告するのがルールとされているが罰則はない。予定日を大きく過ぎたときに捜索するかの判断をするためだ。えーと,どっかの世界で入山と下山の記録をするアレみたいなもんだ。

 良くも悪くも自己責任の世界だ。


「カードをだしてください」

「「「「はい」」」」


 4人のカードを出しわしとミィも潜ると告げると,職員はえっと驚いたようだが,カードを見せると『あー噂の…』と納得して『無理はしないようにね』とつけくわえた。

 これがヲタ村以外のギルド職員だと,善意なのは分かるが,ポン○とナナ○に『お父さんもお母さんも本気なのですかっ』とわしとポン○を託児所などに預けて行けと熱心に勧められる。

 まぁこんな時は記録するのはポン○とナナ○だけで,未明に紛れてわしとミィは隠密スキルで先に潜って肩慣らしをしている。あと早起きしたので,おねむにも早くなるだけで,しばらくポン○とナナ○に背負われての攻略になる。


 詰所はダンジョンについて情報収集の場でもあるのだ。


 入口間近には,冒険者ギルドの詰所の他に傭兵ギルドも置く。冒険者と傭兵の違いは,前者が便利屋で手がける範囲が広いが後者が対人戦闘のエキスパートだと言うところか。

 あとどちらも多国籍をまたぐ組合員の互助会だが,冒険者ギルドは独立採算をとり傭兵ギルドは国及び領主などから資金提供を受けていて,戦争が近くなると国境を越えるなどの移動が制限される。

 表面上はお互いに良好関係だ。ド田舎で片方の出張所しかないような場合は代わりに処理をする。

 どちらも2枚のタグと1枚のカードの組み合わせは同じで,ランクも総合評価でなら同等なことから,加入していなくても報酬の1割を手数料として支払えば,ランクに応じた依頼も受注できる取り決めになっている。


 まだ発見されて新しいからか初心者潰しの情報は,まだ無いようだ。実力を過信して背伸びした新人達が消えてしまうのは珍しくない。

 犯罪なのだが食い詰めるか伸び悩んでいる傭兵・冒険者が,人目につかないことと屍体処理の手間が省けるから,手頃なターゲットとして新人の真新しい装備とか所持品を狙い証拠を残さないよう襲うのだ。こんな輩には遭遇しないことを願うばかりだ。


 カンテラを下げ,一歩入って,すこーし歩いて,首をひねる。ちょっと臭いがヘンなんだ。

 どこのダンジョンもだけど,換気が悪い。共通する臭いとソコならではの臭いが混じっていて,馴染むまでのしばらくは悩みの上位に入る。

 掃除したてのビルみたいな,少しだけ病院よりかも。あれ,図書館っぽい感じも払拭できないぞ。


 幅も高さも3メートルぐらいの通路の天井,左右の壁,床は石材で,床はなだらかなスロープで下っている。20~30メートル程度に一度,5メートルほどの踊り場があり,どれぐらい下ったろうか,幾つか目の踊り場で振り返ると入口からの光りが途絶えている。僅かな歪みで気づかなかったが直線でなかったようだ。


 情報では,長い通路の先は,傾斜は終わり300人ほどが入れる広間につながっている。そこには5つの扉があって,各々の扉の上には,解読されていない不思議な文字(?)を刻印したプレートが埋め込まれていて扉に魔力を通すと開くらしい。


 結構広さのある所に出てきた。照明があり明るく確かに200~300人ぐらいは余裕で入りそうな空間で,屋台が幾つも並ぶ。正直者のわしの腹が鳴った。

 近くにある宝くじ売り場のようなとこから一人の男が出てきて近づいてきてポンに向かって声を掛けてきた。


「こんにちわ。冒険者の方ですねー,ここへは初めてですかぁー」

「にゃあ,事務203さんお久しぶりっす。詰所もあったのに中でもお仕事ですか」

「えっ?あっ!」


 ポン○の反応にわしたちを見てやっと理解したようだ。

 ナナ○もポン○も冒険するときでも殆ど採取だから頭にバンダナ,チェックのシャツにデニムのパンツとスニーカーという軽装だったが,今回は,冒険者としては一般的な,革鎧を着込んでいて,分からなかったのだろう。ミィとわしは各々ネコのキグルミにちいさなランドセルだ。

 ネコミミとネコシッポだぜ。ちいさな獣人みたいだろう?

 わしもフードを上げる。どうだと腰に手を当て男を見上げる。


 男は,パリス・バケット支部のギルド職員でここにいる理由は,ギルドの情報収集と提供のためだとかで,数日前に応援に来たという。そしてナナ○とポン○の店の常連で名を『ジム』さんと言い,店では職場がギルド2階で3人目の事務職だから『事務203』と呼ばれているだとか。

 事務203号さんによると,5つある扉は,最初は右端しか開かず,最奥のボスを倒すとこの広場の中央に転送され,次から隣の扉を開くことが出来るらしい。このとき前の扉を攻略していないものが混じっていると扉は開かないらしい。開くときは周囲に結界が張られ,ズルが出来ないようになってるらしい。


 屋台は,ファーストフードを主体とした食べ物,毒消しと回復薬とかのドラッグ,冒険雑貨,ヒーラー,ドロップ品の買い取りなど。ここを拠点に,しばらく籠もれそうな雰囲気だ。

 そんなことよりわしは食べ物を売っている屋台が気になる。つぅかねもう大学芋っぽいのとか,唐揚げみたいなとかはもう買って,たこ焼きみたいなのを注文するところだ。


「うぐっ・・・」

「もう行くよ」


 ミィに後ろからフードを引っ張られて,ひきづられ所謂ぐうの音をだすわし。

 いつしかミィがお姉ちゃんで,わしが手の掛かる妹キャラだと周囲は見ているらしいが,理由が分からん。

 アイテムボックスからフルーツジュースを出してストローを口にくわえ遠い目になる。

 おっと心配には及ばないよ。多めでも大丈夫なオムツをしているからな。完璧だろ。わしは学習していて万全だぜ。


 右端の扉の前に,事務さんとポン○とナナ○がこちらを見て手招きしているが,2人の表情がおかしい。


「待たせたなー」

「迷惑掛けたんだから『ごめんなさい』でしょ」


 ぐっ。すっかり態度が大きくなってきたぜ。いや大きくはなっていないな,特に胸はもとのままで板だし。


「なんか,失礼なこと考えとるだろ」


 ギロッと睨むので,一回だけ頷いてしまったが高速で首を横に振って否定した。


「ごめんなさい」


 両頬が使い捨てカイロを貼ってほかほかのわしは,素直に腰を折り謝った。上体を起こすとナナが扉の右横にはめ込まれたプレートを指さした。


「見るでござるよ」

「これ……は?」


 そのプレートには,文言と表が刻まれている。それをみたわしは,事務さんには聞こえないようにポンとナナに『ふつーに日本語じゃね』とささやくとうなずく二人。


 プレートの上部には『あなたは,のべ942人目の訪問者です。』とあり,その下に表が組まれていて縦軸に『昨日』『今日』『通算』,横軸に『ユニーク』『のべ』『認定』とあり各セルにアラビア数字の表示がある。


 まんまウエルカムページじゃないかよ。


「扉の上を見てみるっす」

「……!」


 ポンに促されて上を見ると横長のプレートに,見覚えのある文字が刻印されていた。

 2段に分けて『Fast stage』『TUTORIAL』とある。

 気になって他の扉のも見ていくと,順に『Second』『Third』『Fourth』『Last』のステージ,そして『簡単』『適度』『困難』『特別』って統一してねー……『EASY』『NORMAL』『HEAVY』『SPECIAL』じゃないのかよっ。

 『TUTORIAL』の前に戻ると,またポンがわしらの入って来た方向を指さした。


「それだけじゃないっすよ」

「うそーっ!」

「拙者らは,済ませてるでござる。ウィどのも行ってくるとよいでござるよ」


 振り返って,出入り口の右に『●』の下に『▼』,左に『●』の下に『▲』の青と赤のマークが目に入った。見慣れた空間に繋がっていることを暗示させる。こんな設備まであんのかよ。


 確かに。


 見たとたんに催してきたわしはすたこらと目的の場所へ直行するぞ。


「んぎゃ……」

「そっちちゃう」


 青いマークに『GENTLEMAN』とある楽園の手前で捕獲され,地獄の赤いマークの元へと連行された。


 ここまでお読みいただき,ありがとうございます。


 もう少し続きます。

 いまだに2ndPLUSにしようかなんで悩んでしますがね。


 バケット町は領主パリス家の居所があり領都パリス・バケット町が正式です。


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