表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A-to-Zombie!  作者: 時流話説
30/50

三人麻雀


「―――逢野の奴、大丈夫かなあ」


雀荘「四風」では、四人ではなく三人で卓を囲んでいた。

檜垣に対して、帯金がぼやく。


「なんなんだ、行くか、行きたいのか外に」


「そうじゃあないけどさ―――心配じゃあないか、やっぱり―――おっと、まさかそこまで人の心がないのか」


「あいつはあいつで、一人で行くって決めたんだろう」


竹部がスマートフォンを操作する―――現在の時刻だけを確認し、すぐに電源を落とした。

午後一時を回っていた。

結局、昨日はかなり遅くまで打っていたので、起きるのは遅くなった。

カーテンやバリケードがわりの卓、机の隙間から日光が差し込んでいた。


「あいつは冷静だよ―――外出は一人か、言われた時はびっくりしたけれど、まあ四人とも襲われに行くのは馬鹿ってもんだ」


食糧を取りに行くだけなら、可能だろう―――と竹部。


「振り込んでも一人やられるだけなら安いって判断した―――、みたいなことだろ」


どうしても麻雀の用語が出てきてしまう帯金。


「あー、あいつらしい、っちゃぁ~~~あ、らしい、な」


記憶を辿りながら返答する檜垣。


「まあ、心配はしてねえよ、ていうか俺、あいつのこと嫌いだし………この前あいつのドラ5に振り込んだときに、あいつ、しこたま笑いやがった」


「ああ―――」


「あれは、ね………」


くっくっく、っと二人とも静かに笑いだす。

あの勝負は傑作だった。

大逆転で喚いたあいつが大声を上げたから、他の卓から覗き込んでくる者もいたくらいだ。


「笑うだろう、あれは」


「クソゲーだなっ!」


ひがむ檜垣はそのままぶつぶつと悪態をつく。

駄目だなあれは、そもそもドラという要素が駄目だと。


「はい、お前らサボんなぁー、牌を混ぜろぉー」


じゃらじゃらと、男三人で卓を囲んでいる。

外出係を決定した際、三人は衣服を脱いで逢野に預けていた。

だから肌の露出が多い。

室温は決して、寒くはないので命の危険はないが、仮にこの事件が真冬に発生いたらと思うとぞっとする。


「今―――『入ってきたら』どうしようもないんじゃないか?」


帯金が呟くと、二人の手が止まり、固まった。


「なんでそんなこと言うんだよ」


「ううん?俺は思ったことを言っただけだが………」


「入ってきたら何とかしろよ、お前が」


「あー。努力はするよ」


何か武器として使えそうなのは掃除用具の中のモップぐらいか。

それよりまず、バリケートを抑えることに力を使いたいが。

ろくなものもない―――バリケートに何か使えそうなものをホームセンターからとってきて欲しいとすら思う。

そこまで行くと逢野一人では無理だが。

いずれにせよ、遠出するときのことも考え始めてよいかもしれない。


「車で行くか」


「あああ~………」


言って、反応はあった。

帯金の車がある………のだが、それでも迷いはある。

たとえ車でも、本当に安全に移動できるか疑問である。


「本当に行けるのか?だって道がヤバいぜ、道だってヤバいぜ」


昨日に比べて叫び声の頻度は減ったものの、それでも雀荘の周囲の道に、何かの気配は感じる。


「それにだ――この格好で行くのか?」


竹部はパンツ一丁で言った。

雀荘「四風」では半裸の男しかいない。

見ようによっては、男だけで脱衣麻雀をやっている()に見えるので、これはこれで狂っている。

荒廃した屋外とはまた、違う意味で地獄のような光景、恐怖である。

しかも慣れない三人麻雀(サンマ)なのでいつもとは感覚が狂い、さらにテンションが下がる。


外出係に衣服を預けたことを、少しだけ後悔するが―――必要なことだったはずだ。

別の手段を考えなくもないが、この雀荘には、道具が何でもあるわけではない。


「うーん流石に、ちょっと迷うな」


「いや、ちょっとは無いな―――かなり、迷うだろそこは」


まあとにもかくにも、外出係、逢野待ちだなという結論に至る。

何か進展を、新しい情報も持ってくるかもしれない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ