第二話 転生
ある辺境の村で新たな命が生まれようとしていた。
「頑張れ!セリカ!!」
苦しそうな表情を見せる女性に必死の形相で男性が問いかける。
「うぅぅぅぅ...あぁぁ...ああああっ!!!」
「ほらっ、しっかりせんかい!もう頭がでとるぞ!」
産婆である婆さんが股の間から出ている赤ん坊の頭に手を置いてゆっくりと力を加えた。
「おんぎゃぁぁ、おんぎゃぁぁ!」
赤ん坊は母親のお腹から出てくると同時に元気よく泣き出した。
「よう頑張った!元気な男の子じゃ。」
「うっうっうぅぅ...」
感極まったのか男性は女性の手を握りながら泣いてしまった。
「婆さん、私にも見せて。あぁ、可愛い。元気に生まれてきてくれてよかった...。」
産婆の婆さんは女性に赤ん坊を渡して女性に尋ねた。
「名前はもう決まっとるのかい?」
「ええ、もちろん。この子の名前は...」
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最後に感じた痛みがなくなってることに気づき目を開ける。
うぅ...眩しい目が見えない...まさか事故の後遺症で視力を失ったとか?
いや、でも車にはねられたのは脇腹だったはず。
体の痛みがなく首から下がほとんど動かせない。 リアビリとかしたら治るかな? ていうかゲームできなきゃ困るわ!!
などと考えているうちに目が見えるようになってきた。周りの状況を確認しようと目を凝らすと、まず見慣れない天井が見えた。
うーん、なんか茶色い...木造かな〜? ほんとにここ病院!? ヤバイ全然わからない。
車にはねられた後からの急激な変化に頭が追いついていかず、康介はパニック状態になっていた。
パニック状態になったせいか急に眠気が襲ってきた。
ヤバイ...わからない...何がどうなってるだ!?
そんな思いを抱きながら康介はまたも意識を手放した。
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康介は再び目を覚ますと、自分の状況を再確認するため辺りを見渡した。
周りが木の柵で囲まれてる?何でこんなに大きな柵の中にいるんだ?
いや、違う。 僕が小さくなっている...
そうやって思考しているうちにお腹が空いてきた。とにかく誰かを呼ぼうと声を出すが『ああああぁぁぁー』や『うううぅぅぅぅー』しか出せない。 他に声を出せないかと頑張っていると金髪の美しい女性が扉を開けて入ってきた。
「あらあら〜、どうしたの〜?お腹空いたのかな。」
突然入ってきた見知らぬ女性に呆然としてしまった。
「今おっぱいあげるからちょっと待ってね〜。」
と言い女性は服を脱ぎ始めた。
うぉーい! ちょっと待てぇーい!! 何で急に脱ぎ始めてんの!? え?どういうこと!? 頑張って声を出そうとするが
「あああぁぁぁー!」としか出ず、女性がそれに返事をするように
「はいはい、今からあげますよ〜」
と言い僕を抱きかかえ胸の位置まで抱きかかえた。
やめろー! 僕にそんな趣味はなーい!! そう言おうとして気がついた。
何で僕をこんなに軽々と持ち上げられるんだ?60kgはあるはずなのに...
まさか! と思い今まで確認するのが怖かった下半身に視線を向けると...
そこには見慣れた自分の体はなく、あったのは赤ん坊の身体そのものだった。