勉強を
「ありがとうございました〜またのお越しをお待ちしてあります……次にいらっしゃった時は、もう少し品揃えを良くさせて頂きます」
そう言われた後に、裕也とリンラは服屋から出てきた。
裕也はどうでも良さそうに、リンラは不服そうに。
「……やっぱり納得出来ない」
「まだ言うか……もう過ぎた事だろ?」
「いや……私はあんなに恥ずかしかったのに、ユウヤは平然と着こなして、堂々してるのが……」
裕也は店員に服を大量に渡された……しかし、恥ずかしがる様な事などせずに、堂々と着こなして店内を沸かせていた。
……尚、怨みがましい視線を向けている人達もいた模様。
そんな事はさておき、裕也達が次に向かった先は図書館だった。
と言ってもこれは裕也の要望なのだが。
理由は簡単、魔法の勉強である。
裕也は自由に動きながら、本を探し回る。
リンラには申し訳ないが、暇してもらおう。
と、思っていたのだが……。
「……リンラ?何してんだ?」
「え?私も魔法の勉強しようかな〜って思って」
「……リンラ……魔法使えたのか……」
そう言って若干呆然とする裕也に、少し嬉しそうにするリンラ。
「ふっふっふ〜、これでも魔力量は多い方なんだよ〜」
「ほう……意外だ」
「まぁ……僕からすれば、ユウヤの方が意外だけどね……魔法学校にも行ってなければ、どっかの魔道士に教えて貰ってる訳でも無いだろうし……」
「……いや、本見て勉強してるだけだぞ…」
「だよね……ユウヤが貴族な訳ないしね〜」
「ほう……その言い分に少しイラっと来るな……まぁ、貴族じゃないが」
裕也はそう言うと、本を読み始めるその様子を見るリンラ。
そして、裕也が本を一冊読み終わってリンラの方を見ると、裕也の方を見て楽しそうに微笑んでいた。
「……リンラ……何してんだ?」
「ん〜ユウヤの顔を見てる」
「……何でそんな事をしてるんだ?」
「楽しいから?」
「……訳がわからないな」
そう言うと、二冊目の本に手を伸ばす。
そして、読み始める裕也だったがリンラは相変わらず裕也の方を見て楽しそうに微笑んでいた。
結果四冊目を読み終えた所で裕也は本を全て直した。
その様子にリンラは疑問を浮かべていた。
「あれ?ユウヤまだ読み終わってないよね?」
「……いや、あんなにジロジロ見られて集中して読めるかって話だろ」
「え、えーと……それって私の所為?」
「……まぁ、そうだな」
裕也がそう言うと、リンラは少し申し訳なさそうに言った。
「…ごめん……迷惑だった……?」
「迷惑だったが……なんで楽しそうにこっちを見てたんだ?」
「そ、それは……」
頰を少し赤らめながら、リンラは言った。
「楽しそうに本を読んでる裕也を見たら……その、元気が出ると言うか…」
「……リンラ……そういや、魔法使えるんだよな?」
「え、うん。使えるよ?」
「じゃあ、魔法を教えてくれないか?」
そう裕也は言い、軽く笑いながらリンラを見ていた。
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裕也達は町の外の………裕也の毎回走っている森に来ていた。
何をしているかと言うと……勿論の事ながら魔法の特訓である。
リンラは手を前に出しながら呟いた。
「『ファイヤーボール』」
リンラの後ろに魔法陣が出現し、そこから小さな火の玉が出てくる。
その火の玉を見ながら、水魔法を使いその火の玉を消す。
「ってユウヤ!?ま、魔法!?しかも無詠唱って…」
「あれ?ダメだったか?」
裕也が魔法を使うと、リンラは心底驚いたような顔をして居た。
しかし、裕也は何がダメだったのかわからない。
その様子を、見たリンラは言った。
「……無詠唱は上級魔道士しか使わない…と言うか使えないんだよ」
「ほう?なんでだ?」
「……魔力の消費が物凄い事になっちゃうからだよ……それこそ、初級魔法なのに上級魔法を使うレベルになるくらいには」
その言葉を、聞いて裕也は少しだけ呆然とした




