恥かしい夜
序盤リソエールsideです
目が覚めると、月の光が差し込む部屋に居た。
私は、ユウヤにこの町の良い所を案内してた筈……?
それに何故か、少しだけ肌寒いと言うか……服を着ている感触が無いというか……?
鉄の冷たい感触が無いのは何故…?
いつもなら、鉄の塊が胸を締め付ける痛みで起きる筈……。
そう考え、私は自分の体を見た。
そこには何も着ていない、体が……。
「…え?」
思わず声が出てしまった。
何故?どうして?なんで何も着て無いの!?
そんな時に脳裏に浮かんだのは、ユウヤの姿だった。
見下した目線を向けても、如何でも良さそうな顔をするユウヤの姿。
しかし、あれが嘘だとしたら?
もし、あれが嘘で私に怨みを持っていたとしたら?
そう考えると、背筋が凍る。
何度か、こう言う目には会ってきた。
もう少しで大変な目に会うことがあった。
だからこそ、あの制約を作った。
弱味を見せない為に…もしも、何かが起きたとしても色々な武術は嗜んだ。
だから、今まで対処は出来た。
身に付けている物を全て脱がされる事は無かった。
だけど……今回は違う、全て脱がされてしまった。
その事実に涙が出てしまう。
純潔が散らされてしまった。
その思いが胸を占める。
だから、その時に近くに居た男の人を蹴り飛ばすのは仕方ない事だと思う。
「痛てぇ!」
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裕也は誰かに蹴り起こされた。
誰かって?
そんなのはリソエールに決まっている。
涙を流して、体を毛布で隠すように此方をキッと睨んでくるリソエール。
その様子に思考停止した。
そして、思い出し言った。
「リソエール……お前女だったんだな」
「今言う事じゃないよね!!」
そう言って、リソエールは裕也がリソエールの体を拭く為に使っていたタオルを投げて来た。
裕也はそれを普通に手で掴む。
そして軽く折り畳んで、自分の隣に置く。
裕也は上半身が裸な事を思い出し、上の服を着てリソエールの近くに行く。
それを見たリソエールは目を思いっきりつむる。
その様子を見た裕也は、リソエールの頭を軽く撫でる。
すると、キョトンとした様子のリソエール。
そのリソエールに、向かって裕也は言った。
「……服着ろよ」
顔を赤くし、裕也にビンタしたリソエールを責めるものは誰も居ないはずである。
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「……それで君は……私の……純潔を奪ったの…?」
そう言ったリソエールは少し怯えた様子だった。
そんなリソエールに向かって裕也は笑った。
「そんなふざけた事言えるなら、大丈夫だな」
「ふざけて無いよ!!私にとっては重要な事だよ!!」
興奮するリソエールを見て、溜息をつく裕也。
そして答えた。
「んなもん、奪ってねぇよ……どうしてその発想に至った…」
その事を聞いて、嘘だと言う様な視線を向けるリソエール。
どう証明するか悩む裕也。
そして、言った。
「もし、嘘ついてたとしたら俺は自殺しても良いぞ?ついでに言うとお前覚えてないのか?」
何を?と言う様な表情のリソエールを見て、裕也は答えた。
「お前、船着場みたいな所行って気絶して溺れたんだぞ?」
「……あ」
気が動転して、忘れていたのであろう。
そして裕也は続けて言った。
「そんで、俺が助けて風邪引いたらダメだから服を脱がせて、体拭いただけだ」
それで話は終わりと言う様な雰囲気を出す裕也。
そして、此処から本題と言わんばかりにリソエールと向き合う。
リソエールは緊張した雰囲気を出す。
そして裕也は言った。
「……お前服ねぇの?」
「……うん」
まだリソエールは生まれた姿のままだった。
その理由はリソエールは替えの服を持って居なかったからだ。
それを聞いて、裕也は自分用に買っていたローブをリソエールに渡した。
「これでも着とけ……気休め程度にはなるだろ?」
そう言うとベッドに寝転ぶ裕也。
完全に寝る気である。
そんな裕也を顔を赤くしたリソエールが見ていた。




