町案内そして、登録
裕也はしっかり町の立ち入りを許可されて、町に入った。
とても、じゃないが無機質な城壁の中にしては少し……いや、だいぶと賑やかな町だった。
露店には食べ物だとか、飾りだとか……そして、武器などが並べられた町だった。
「……武器とか普通に並べてて何も問題ないのかね〜」
「いや?ほら、あそこ見てみろよ。あの武器を眺めてる奴」
ヘイシにそう言われて、裕也は武器を眺めている集団を見る。
すると、一人の男が並べられた剣を持って走ろうとする。
その姿を見た裕也は追いかけようとするが、ヘイシに止められる。
「なんだよ!逃げられちまうだろ!!」
「いや……よく見とけよ?」
「は?」
そう言われて、走り去ろうとした男に目を向けると、組み伏せられていた。
『チッ!』
『この町で盗みを働こうとするとは……お前、この町に来たばかりだな?取りあえず、連行させてもらう』
そう言って、剣を盗んだ男は連行されていった。
「な?言っただろ?」
「ああ…ちゃんと見張られているから、行かなくて良いわけだな」
「その通りだ……じゃあ、俺についてこい」
そういって、馬鹿でかい建物の目の前にやってきた。
「……此処なんだ?博物館か?」
「いや?ギルドだが?他のところでは違うのか?」
「……小規模な村から出てきたから知識がないだけだ」
そう言って裕也はギルドの中に入る。
中は、よく言えばレストラン悪く言えば荒くれたちが集う場所だった。
と言っても、受付のような所があるためちゃんとした場所らしい。
そこに向かい、ヘイシは受付に何かを話して裕也に手招きをする。
そうして始まったのは、何かのカードに血を垂らすだけの作業だった。
そうすることで、ある程度の事はわかるらしい。
謎な技術だ…まぁ、異世界に科学を求めてもダメな気がするが。
謎のカードは、冒険者の身分証みたいなものらしく持っているだけで、身元の確認から何から何までできるらしい。
そんな素敵道具を今なら、冒険者になるだけで貰えるらしい……結構ありがたい。
異世界だと、戸籍もなんもないからな…。
そう考えていると、受付の話が終わったのかおじぎをされた。
そうして、出口に向かっていくとヘイシが声をかけてきた。
「終わったか?冒険者説明」
「…終わってなかったら出てきてないと思うぞ?」
「それもそうだな」
あっけらかんとした様子で、裕也に言うヘイシ。
そんなヘイシだったが裕也に小さな袋を投げた。
裕也はその小さな袋を受け取った。
受け取ったときに中から金属音が聞こえた。
「……これは?」
「禁種を殺した報酬だ、受け取っておけ」
そう言われて、中身を確認すると金色のコインが6枚入っていた。
「……貧乏人が持つ金じゃねえだろ」
「冒険者になったからには、そのうち持つ金だ」
そういって、俺も貰っているからというように、ヘイシは小さな袋を小さく振る。
それからは、ちゃんと金属がぶつかり合う音がした。
「別に気にしてねぇから……で、どこに行くんだ?」
「あ~……じゃあ、俺についてきてくれ」
そういって、ヘイシは何処かに向かって歩いていく。
それに裕也はついていく。
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ヘイシが向かった先は、町はずれの屋敷?のような場所だった。
「……ヘイシって…どっかの金持ちだったりするのか?」
「いや……冒険者してたらこんなに稼いで俺たちが買った家だ」
「……俺たち?」
そう言っていると、扉から一人の女性が飛び出してきた。
「ヘイシ!!どこ行ってたの!!」
ヘイシに向かって飛び蹴りを食らわせてヘイシをぶっ飛ばしていった。




