新天地へ
裕也は魔法の研究を一通り終えて、ある事をしていた……それは。
「………釣れないな」
魚釣りである。
生活に必要な魔法を手に入れた裕也は、魚の味が恋しくなり、魚釣りをしていた。
釣竿などは、農場の近くにあった。
ん?今まで何食べて生活していた?
……秘密だ。
森には牛などがいるが、解体方法などがわからない為、狩らないでいる(解体方法がわかれば直ぐに狩る予定)。
裕也は病気だった為、肉などの食べ物を食べれなかった。
その為、基本魚を食べて過ごしていた。
しかも、脂身の少ない魚だ。
そして、魚釣りなどした事がない為、じっと魚が掛かるのを待っていた。
そして、待っているその時、竿に強い引きが掛かった。
「…ん?釣れたのか?」
そう思い、冷凍魔法を使い、釣り糸を凍らせ魚の口の中で氷に変えて取れないようにした。
そうして、魚を水面から引っ張り出して来た。
「よし、釣れた」
……この男、魚釣りを何だと思っているのであろうか。
そうして、15匹釣った?裕也は満足気に家に帰った。
尚、釣って来た魚は見た事の無いものだった模様。
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農場では、土魔法を使って質の良い土を出して、耕し、水魔法で栄養の良い水で水やりをする。
この作業は結構運動になるのだ。
そして今日も今日とて、トマトを齧り食べる。
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家に帰って寝ようとした矢先に、プロテインの悪魔(裕也命名)が居た。
帰れと心の底から思う裕也に対して、異世界の事を語りだした。
曰く、冒険者と言う役職の人間達がいると。
曰く、綺麗な見た目の異種族がいると。
曰く、裕也より魔法に長けた人間達がいると……。
そして、裕也は尋ねた。
「で、俺に何させようと?」
「異世界に行って経験を積んでどぞって事です」
「簡単に纏めてくれてありがとう……まだ、魔法の研究終わってないんだが」
「異世界でもいけますよ〜ほらほら、初異世界楽しんでくださいよ〜」
「と言うかなんか……突拍子の無いな」
「それが私です、何か文句でも?」
大有りだと思わず裕也は口に出しそうになる。
魔法の使い方はまだ若干曖昧、尚且つ魔力を纏った状態で運動出来る範囲を調べてない。
しかしだ、本場の魔法を見て見たいと言う意思はある。
あくまで、此処までは独学でしか無かった。
手本にするような者は居なかったし、研究にも若干の余裕が無くなってきた。
此処で新しい世界に行って、気分を入れ替えても良いんじゃ無いかと思えた。
だから、俺は答えた。
「良いぞ、ちょうどやる事なかったしな」
「そうですか…わかりました」
「それでいつ行くんだ?準備したい」
「今です」
「そうか……今か……ん?今?」
「はい…では行ったらしゃいです」
そうして意識が落ちる……が、その前にうわ言のように呟いた。
「この……プロテイン悪魔……」と。
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目を覚ますと目の前は森だった。なんて事はあるだろうか?
俺はある(二度目)
裕也は見知らぬ森に来ていた。
そして、裕也は何故異世界に来たのか。
それは、魔法の研究だけじゃない。
裕也はあの時触れた水晶玉の言っていた、力を試すためにも此処に来たのだ。
水晶玉の事はプロテイン悪魔は知らなかった。
聞いては居ないが、水晶玉の事を触れる記述を言って居ないため、知らないと考えても良かった。
あの森で使っても良かったのだが……念の為に、あのプロテイン悪魔に与える情報を少なくしたかった。
ただでさえ、取って置きの爆弾を抱えている為、問題は無いのだろうけど…。
「取り敢えず……異世界に来たな」
今は楽しむ事にしよう。




