08.ロマン?
とっ、言うわけで、親父たちに出てきて貰ったのだが。
「さて、今回の教えてラクト先生の時間は、何について話しましょう?」
「冗談はいいから、まずは、琴音と鈴音の種族についてだ。」
親父の、おふざけを止めさせる事にする。
「それでは、ご要望がありましたので、今回のテーマは、琴音と鈴音の種族について解説します。」
まだ続けたいらしい、面倒なのでそのまま続けさせる事にする。
「結論から言うと、150年前の反逆の勇者と、当時の魔王の子供、だからって事になる。2人とも俺らの、親友だから間違いない。」
「そうなると、当時の事が気になるんだが、反逆ってのも、王国がつけたんだろ?」
「ま、そうなるわなぁ。当時の勇者召喚については、俺は隠遁生活をしていて分からないから、コハクに聞いてくれ、当事者だしな。」
「そうね。私が説明するわ。あなたは、私達と会うまで山奥で、ヒキニートしてた訳だし………。」
「俺の尊厳にかけて、弁明させて貰う、当時、王国の政策に嫌気がさして、山奥の研究施設で魔術の研究をしていただけだ。決してヒキニートでは無い。」
「そんな事はどうでもいいので、説明に入るわね。
150年前、私達4人はあなた達と同じようにこの国に召喚されたわ。
ただ違っていた事は、反逆の勇者ユウキだけ、この世界の神が介入していたって事なの。ユウキは神よりこの世界の維持を頼まれていたらしい。 魔族と人族、亜人が乱戦していた為、種の存続が危ぶまれていたからね。
それで、この国の目的とはかけ離れていた訳なんだけど召喚されたのが王城でしょ。
早速、4人とも隷属契約させられたの。情報も何もない状態での隷属契約なんて危な過ぎでしょ。しばらくは大人しくしてたわ。」
「今の彩香さん達と同じか………。」
「まあ、違いは人数ぐらいかしら。」
「なんでそんなに違うんだ。」
「予測でしかないけど、たぶんユウキのせいね。ユウキは普通の勇者じゃなく、神の使徒として多大な恩恵を受けていたからね。その分、少人数しか召喚が出来なかったんだと思うの。」
「勇者ユウキの恩恵って何?」
「心眼と神の加護があったわね。心眼はレベルが上がってから、予知みたいに、相手の行動が丸分かりだって言ってたわ。神の加護ってのも、勇者補正の最上位互換らしく、すごい勢いでステータスが上がっていったわ。」
「それじゃ、琴音と鈴音の心眼は遺伝的なものか………。聖魔術適性もか。」
「そうね。賢者ラクトでさえ聖魔術は覚えられなかったわ。」
「その後は、どうしてたんだ?」
「王城での訓練を1月程してから、勇者4人で魔王討伐の冒険の旅へ………って、事だったんだけど、無茶苦茶でしょ4人で行った所で、数の暴力に勝てるはず無いじゃない!王国はやらせようとしたのよ、浅はかすぎるわ。
………それで、この国の山奥で定職にも付かずに、引きこもっていた賢者に会いに行ったのよ。
そこで、勇者契約の真相を聞かされてね、すぐに解除して貰えたんだけど、勇者補正が結構使えるって事で罰則解除だけしてもらって、しばらく保留って事になったわ。
そこでお礼として、元の世界のオタク文化を紹介したら食いついて来ちゃってね、大変だったの。」
「なぁ、親父をあんな風にしたのって母さんなんだよね………。」
「いいえ、私はオタク女子、いたって無害な方だわ。ケモミミ勇者サラがモフモフ厨患者、闘神勇者テツヤは戦闘狂、反逆の勇者ユウキはロリだから、そっちの影響も十分に受けてるわよ。」
確かに、他人に対して無害なのは、母さんだけのようだ。他の3人は被害者が出てもおかしくない。
だが、こんな精神疾患患者達での魔王討伐なんて、この国は何を考えていたのだろう。
「その後わね、ストーカー1人引き連れて、教国へ向かったの、聖女に助けを借りにね。この頃かしら、私の職業に錬金術師が追加されたのは、王国と教国で調理器具作って、調味料の試作とかしてたし、まさか料理してたら錬金術師が追加されるなんて思わなかったけどね。」
この世界の、スキルとか職業って何なんだろう?
「でっ、教国で魔族との戦争での助力を約束してもらって、クロスティール諸国連合、亜人大陸、ヴァストラ帝国等、助力を貰いに世界を5年かけて周ってきたの。
クロスティール諸国連合では食い道楽をして各国を周ったわね。
亜人大陸では、サラが勇者契約を解除して貰って残ることになったわ。
ヴァストラ帝国は、テツヤが喧嘩、買いまくってたわね。
そして一旦王国へ帰ってきてね、教国との連合軍を組んで魔族領に攻め入ることになったわ。この時、テツヤと王女との間で密約があったと思うの。
私はその時、熱烈なアプローチに負けて賢者ラクトと結婚していて、すでに正くんを身籠っていたの。 その為、何人かの使用人達と助産婦を連れて、山奥の賢者宅へ引きこもっていたの、もちろん、勇者契約を解除してね。その後は、あなたっ!話してあげて。」
「もう一度言うからな、俺はヒキニートでもストーカーでも無いからな。コハクに一目惚れして熱烈にアピールしてただけだからな。」
「はいはい、ごちそうさま。親の馴れ初めなんか聞きたい、子供なんていないから、さっさと話してくれ………。」
気まずい空気が流れる。本当にさっさと話してほしい。
「………………。魔族領へ攻め入るあの時点での勇者は2人。魔族側も1枚岩では無い様で、多少の被害は出たものの、思ったよりも人的被害が少なく、魔王城までたどり着く事が出来た。テツヤは総大将として連合軍2万を指揮して正面から牽制、ユウキと俺は遊撃部隊50で後方より奇襲するって事になっていた。
ついでに潜入、暗殺まで出来ればって話になっていてな。俺達2人以外は見つかったら撤退って事にして囮をやってもらったら、城へ潜入出来ちゃって、魔王の部屋まで魔術とスキルを駆使して、何とかたどり着いたんだ。」
何か散歩のついでに、魔王と会って来たぐらいの、気軽さを感じるんだが………。
「そして、いざ対面と行った所で、ユウキが魔王を見て驚いていたんだよ。
こっちがビックりっだって話だが、当時の魔王レミは人族と魔族のハーフにして28歳の女性だったんだ。魔族の28歳って言えば人族の7歳ぐらいの体格にしか成らない。
もう分かったと思うが、勇者ユウキは魔王レミに一目惚れをしてしまったらしいんだ。
そう、ユウキは合法ロリが目の前に居る事で、紳士の掟『YESロリータNOタッチ』が、崩壊してしまったのだ。
とは言え、相手は魔王、剣を交えなければならない。
血の涙を流しながら向かっていくユウキだったが、魔王レミは魔眼使い、一方、勇者ユウキも心眼使い、一太刀浴びせるために近づくと互いに心の声が聞こえるらしく。
ユウキは愛を囁きに近づく、レミはそれを聞いて顔を真っ赤にうつむく、の繰り返しで戦闘にならなくてな。
結局、俺が仲裁に入って、魔族と人族で和平交渉しようって事に、その場は落ち着いたんだ。」
何かこれも、琴音と鈴音の親の、馴れ初めの話になってる………。
「でっ、こっからが俺達が異世界転移するまでの話になる。聞くか?あんまり気持ちのいい話じゃないぞ。」
「ああ、聞かせてくれ。琴音、鈴音も親の事は、気になるだろう。」
「分かった、覚悟はしておけ。………それから、俺達は互いに和平交渉の準備を行うべく、各陣営へ話を持ち帰った。その間は休戦と言う形を取り、連合軍が10㎞後退して陣地を造っていた。
そして3日後に講和会談を行う事に決まり、魔王城と連合軍陣地の中間地点に天幕が張られ着々と準備が出来て行った。
人族からは俺、ユウキ、テツヤ、聖女、王女、聖騎士団長、王国騎士団長等の面子が選ばれ交渉の席につき。魔族側は魔王レミ以下幹部たちだろう魔種族の族長たちのようだった。
1日目の講和会談は互いに自己紹介と、各陣営の条件提示に終わった。
2日目の会談で、皆が集まりすぐに事態が急変した、テツヤがレミを、魔族長がユウキを、示し合わせたかのように攻撃を始めたんだ。
魔眼使い、心眼使いに奇襲など通じる訳なくて、呆気なく躱されてたんだが、この会談が失敗したことに違い無い。
その間、講和会談を望んでいた俺達3人以外は、天幕から出て行って。俺達が出た時に、各陣営から魔法陣による特大の魔術、撃たれてな、一瞬死んだかと思ったよ。
だけど、そこに残ってたのって俺、ユウキ、レミだろ、この世界の魔術師としてのトップ3が揃ってたんだよね。これにコハク含めてビッグ4なんだけど。
まあ、足止め程度に俺が魔術結界発動して、ユウキの光魔法で目くらましの、特大のスタングレネードかまして、レミによるアクセルムーブって移動魔法で逃げたんだ。転移でも良かったんだけど、あれは魔力の痕跡が残りすぎる。」
「裏切ったのは、連合軍と魔族軍って事か。」
「いや、相手からしてみたら俺達だろ………。その後、すぐにユウキの勇者契約解除してコハクの所へ行ったんだが、待ち伏せされててな。
もう少し誤魔化せると思ってたんだが、そう言う時だけ王国の行動が早い。
コハクはお前を生んでたから体力が、落ちていたはずだったが、危険を察知したのか、連合軍が来る前に逃げていて助かった……。
それで事前に教えていた、隠れ家の方で合流したんだ。」
「隠れなきゃいけないような、研究でもしてたのかよ。」
「まぁ、そう言うな。そのおかげで助かったんだから。それからは、この世界を逃亡して周っていた。 何故か、見つかるんだよな?レミの偽装も完璧だったのに………。美味しいものを探しながらだったからか?」
「「美食勇者の弊害!」」
「料理改革しながら、逃げてりゃ見つかるだろ!」
「それかっ!」
母さんが、遠くを見つめている………。
「その後は、クロスティール諸国連合のとある国で半年位、追手が来なかった時期があって、その時にユウキとレミが結婚して、身籠ったな。
身籠ってるレミを連れて逃げる訳にもいかなかったから、そこに、大きめの拠点を構え迎撃し続けてた。
そして、琴音、鈴音が生まれ、私達が二人を預かり異世界転移を決行したんだ。
ユウキとレミはこの世界において、特別過ぎる存在だった為、コハクの錬金による魔力増幅や魔力効率上昇、必要魔力軽減と言った魔導装置を駆使しても異世界転移は不可能だった。
もしかしたら、レミはまだ生きてるかもしれない。魔族の寿命よりは劣るが魔族ハーフの寿命もそれなりに長いはずだ。
この国を亡ぼしたら、レミを探すのも良いかも知れないな。」
「そうね、まずは拠点を作って、体を手に入れてからにしましょう。
改めて思ったの、ロストニア王国、聖レイニール教国は敵だと。正くん頼むわね、この国の上流階級は全部潰しても構わないわ。
どこかの貴族の邸宅を押収してきて拠点にしましょう。勇者達、救出後の宿舎も必要でしょ。」
確かに拠点は必要だ、敵と認識してしまえば、拠点は奪う物なのだろう。
いけ好かない貴族が居れば、戸惑い無く奪えるだろう。
「これで、琴音ちゃんと鈴音ちゃんの種族と、心眼、魔眼については大体ね。ついでに職業とスキルについて説明するはね。
職業は遺伝的に継承するものと、経験で覚えるものがあるわ。
遺伝的なものは、琴音ちゃんと鈴音ちゃんの心眼使い、魔眼使いね。正くんも賢者、錬金術師があるでしょ。
そして経験によって覚えるもの、あなた達の魔闘術師とメイドね。
向こうで毎日、気の鍛錬してたでしょ、あれで魔素を、体に取り込んだり這わせたりする技術を覚えたから、魔闘術師なんて初見の職業が出たのよ。
スキルも同じ、無詠唱、魔力操作、気配察知なんかは、普段の鍛錬の賜物ね。分析、理解、並列思考、直感なんかも、琴音ちゃんと鈴音ちゃんの事、ずっと気にしていたから、付いたんじゃないかしら。
錬金は遺伝的に覚えやすかったのもあるけど、私の調理器具使ってカレー作った時に付いたのかな。
スキルなんて経験しただけ、いつの間にか付いてる、そんなものよ。」
「ステータス依存は、危険って事か?」
「そうね、職業、スキル、ステータスなんかに、依存しすぎるなって事かな。
持っていても補正が付くくらいだから、きちんと訓練して使いこなせって事、成長の目安にはなるんだけどね。
正くんの職業、魔闘術師はこのまま朝の鍛錬していけばいずれLV10になるわ。
でっ、錬金術師と賢者持ってるでしょ、これはどっちも魔術職の上位職なの、だからそっち方面を訓練していけば、成長が早いってな感じかな。
たぶん、魔術修得速度はチート級よ。
次に、琴音ちゃんと鈴音ちゃんなんだけど、魔闘術師は正くんと同じかな、問題の心眼使いと魔眼使いは、神の使徒と魔人の王の独自職なのよね。
種族特性で魔術適性も高いし、一般適性以外に聖と魔も持ってる、パーフェクト超人、目指すしか無いかしら?」
後ろから声が聞こえてくる
「トゥルル、トゥルル、トゥルル、トゥルル、タッタン、タタターン、タタターン、タタターン」
サンライズを口ずさみながら、琴音と鈴音が、左腕を上げサポーターを直す素振りをする。タイミングを合わせてラリアットを交差させ、締めに「「ウィー」」テキサスロングホーンのポーズを決める……までが一連の流れらしい。
クロスボンバーの練習のようだ。『ウエスタン・ラリアットでやったら、首跳ぶんじゃないだろうか?』
そんな思いを抱きつつ、次の話に移ってもらう。
「俺達、魔術適性高いんだろ、どうやって、魔術使うんだ?折角だし、魔術を覚えたい。」
「なに簡単よ、この世界の人間は、呪文を唱え魔術を行使するの。文言によって、イメージを明確にしていくのね。
文言なんかは、そこの賢者が誰よりも知っているわ。
異世界人は特殊でね、元の世界の知識をもって召喚されているじゃない。
例えば、火なんて可燃物と酸素なんかとの、酸化反応だとかね。
だから、空気中の酸素と水素を、供給して火種を投入すると、火球が出来上がるの、それを魔力によって行うのが魔術って事ね。
ライター何かでもいいわね。ガス、酸素、火種かな。
他にも、空気って概念を、魔力で動かすイメージが、風魔術だったり、空気中から水分を集める、または作るってのが水魔術、土魔術は割と簡単で、粘土をこねる感じ、応用は色々あるけど、異世界の知識が有れば簡単にイメージが出来るのよ。
文言なんかは、そのプログラムを組むって感じかな」
「そうすると、回復魔法とか、イメージし辛いものなんかは、難しそうだな。」
「そこら辺は、呪文を一度唱えて魔術を発動出来れば、何となくイメージが付く様になるわ。隷属魔法もそう、首輪とリードのイメージで発動するわ。契約書を書かせるイメージでもいいわね。」
「ぶっちゃけ、何でもありだな。」
「そうなのよ。最初にこんな事、教わった人以外は呪文のイメージが強すぎて、この発想を阻害してしまうみたいだけど、異世界人って発想が柔軟で知識があるから、何でもあり。
でもこれは、適性がある人じゃないと難しいみたいね。
だから、形だけなら『おらに、元気をっ!』ってもできるわよ。」
琴音、鈴音ともに両手を上げていた。
みるみる、球状の魔力の塊が出来上がる、ただの魔力弾なんだが、それっぽい光を放っている。
イメージが明確なせいだろう。
「「正臣さん、これどうしよう?」」
作ったはいいが、どうしていいか分からないらしい。
「俺達を囲むように、魔獣らしきものが近づいてるだろ、それを目標にしたらどうだ?」
「ホワイトサンダー!」
「ブラックサンダー!」
「「オーロラサンダー!アターックッ!………相手はっ、死ぬっ!!」」
あぁ~~~やちゃってるよ。光の使者やっちゃったよ。サンダーでは無いんだけど………。
職業欄にキュア〇〇って付くかもしれないな。覚悟はしておこう。
そんな事を思い、琴音、鈴音が魔獣を殲滅してくのを見守る。
魔獣はブルーウルフと鑑定に出ている。
狼を一回り大きくしたような魔獣で、群れで行動するみたいだ。
最初の魔力弾で半数が吹っ飛び、残りをさっき買った棒で、撲殺して回る。そして20頭ほどを殲滅し素材の回収を行う。
「さすがは琴音ちゃんと鈴音ちゃんね、素質あるわ。私もそれやりたかったんだけど、私の時は私しか分からなかったから、出来なかったのよ。身体、手に入れたら、ルミナス役やらせてね、付与魔法でそれっぽく演出して見せるから。」
「「えぇ~~~。」」
「どうする。」
「予定では、彩ねぇ。」
彩香さんに、やらせるつもりらしい。
「母さんは、美少女シリーズ世代。」
「そう美少女仮面。」
「せめて美少女戦士やらせてよ!」
「だめっ!」
「タキシードが、アレになる。」
そう言って、親父を指差す2人。
そもそも、母さんの歳で美少女は、あり得ないからな。いや、ルミナスもなんだけど。
「そうね。それじゃ仕方ないわ………。何かいい役あったら私もやるから忘れないでよ。」
「「了解した。」」
どうやら、話がついたみたいだ。
「話が付いた所で、お願いがあるんだけど、回復魔法と隷属魔法教えてほしい。その他は何とかなりそうだからな。」
「ほら、あなたっ出番よ。」
「そうだな、属性から教えるか、回復魔術は光、隷属魔術は闇属性になっている、この2つの属性は互いに反発しあっている。
反発しあってるが共に似たような魔術がある。従属と隷属、回復と異常、付与と吸収等だ。光は恭順を求め、闇は強引に事を進めるって違いだけだ。
お前が気になってるのは、勇者契約の事だろうが、あれは従属魔術になる光属性だ。
召喚後にいいように騙されたって事だな。」
「解除の方法は、どうするんだ。」
「彩香嬢ちゃんにやったのは、闇属性の改竄魔術で少しいじっただけだ。
単純に解除するだけなら、光属性の解呪を使う。
ほとんど同じ魔術だ、俺もあっちの世界が長かったから、イメージで使うようにしている。
改竄のイメージは、相手の手の平にでも契約内容を書き出して、それを、ペンで書き換えるってだけなんだがな、解呪はその手の平の契約書を魔力で投影して破り捨てるって感じか。
契約者がロックしてる場合は、闇魔術で強引に入り込んで行うと良い。
なれると、魔力の流れが見える様になる、そしたら契約者との繋がりを切断して繋がっていた所に結界でも張ってやれば、しばらくすると契約が切れる。」
「わりと単純なんだな。」
「そんなことはないぞ。本来なら呪文を覚えて、その文章からこのイメージにたどり着かなければならないんだからな。
俺がどれ程苦労したか分かるか?古い魔術なんか、長ったらしい呪文の癖に、中身が無かったりしてな。魔術師どもが秘術と称して、隠匿し庇護したものだから、後世に伝わって無い物ばかりで、古い魔術書が見つかったからって、こぞって俺に持ってくる。
研究してれば引きこもりにもなるわ!その点、異世界の知識は情報が開示してあって、研究も面白かった。ネットを見ればすべて解決ってか。」
「愚痴はいいから、回復魔術教えてくれ。」
「そうだったな、この世界でやってる回復魔術は単純だ、出血を止めて傷口を塞ぐだけ、上位の回復魔術は、魔力の通りも良くするってだけ。少し寿命が延びる位だ、意味ないだろ?
それに異世界の知識を当てはめると、別物になる。
解剖学でも覚えてると聖人認定だな。
最低でも、異物排除、消毒、血管、神経の縫合、って流れの知識があるだけでヒールがエクストラヒールになる。
外傷に対してはヒール、内傷に対してキュアって使い分け位か、内傷は魔力の流れの不具合を感じ、異物を取り除く、癌まで取り除けるぞ。」
「何か魔術、凄すぎないか?」
「両方の世界の知識と技術が有って、初めて可能になる。どっちか知らなければ、何もできないさ。
それに解剖学は、この世界だと間違いなく、邪教認定だろうしな。
回復魔術特化の教国なんかは、邪教の為、技術を伸ばせない……。皮肉なもんだな。」
「そうだな。ところで、聖、魔、練の適性ってのは?」
「聖は神の使徒とか聖人、魔は魔族、練は錬金術師の固有適性だな。それぞれの固有スキルに応じた魔術だ心眼、魔眼、錬金、使う時に魔術が、勝手に発動するから、魔力量に気を付けろ、結構忘れがちになる。」
「ステータスの数値はどうなんだ?」
「ああ、それも目安でしかないな。
職業のレベルが上がると数値も上昇するが、訓練でも数値は上昇する。
安易にダンジョン潜ってレベリングする貴族もいるが、あれじゃ脳がついて行かない。
身体と脳を繋ぐ神経だったり、魔力路が鍛えられないからな。
俺としては、訓練で上げて、実戦で試すの繰り返しが、好ましいと思う。」
「そうか、それじゃ朝の鍛錬は続ける方がいいな。」
「その方がいいだろう………。後は武装の説明とかか?」
「その辺が一番、危惧してる所だ。」
「そんな事無いわ、割と安全よ。魔力さえ流さなければ………。
正くん達の収納に六尺棒、トンファー、手裏剣が入っているわね。
まず、六尺棒なんだけど、これは、オリハルコンとヒヒロイカネの合金よ先端は両方とも窪んでるけど、片方に爆裂魔法、もう片方にアブレシブジェット発動の魔石を仕込んでいるわ。
爆裂魔法の方は、モンロー/ノイマン効果を利用して先端方向にしか威力が出ないようにしてるの、試してないけど、古代龍の鱗とかも破壊できるわね。
アブレシブジェットの方でも、たぶんサクサク切れるわよ。ウォータージェットだと固いものに対して弱かったから、ヒヒロイカネを研磨剤として、生成できるようにしたの苦労したわ。」
「母さん………。何て物、作ってんだよ。」
「魔力流さなければ、ただの堅い棒よ。ねっ!安全でしょ。何なら、制約魔法かけて、あなた達以外使えない様にしましょうか。」
「ふぅ~~。そう言う事じゃないんだが。……まぁ、いいか。トンファーはどうなんだ?」
「それは、防御特化っていうか、素材は同じなんだけど、結界で殴られたら痛いんじゃないか?って話になってね、結界発動の魔石、思いつくまま付まくったの、結界の形もドリル状だったり、パイルバンカー風だったりするけど、普通に結界も発動するから、そんな風に使ってね、てへ……。」
「なんなんだ、そのロマン武器を結界で、作ってみましたってのは、もちろん蛇腹剣も付いてるんだろ?」
「私を誰だと思ってるの、当然ついてるわよ。ただ元が結界だから、攻撃力は乏しいのうまく遣ってちょうだい。」
「俺は、母さんを見くびっていた様だ、心が弾む。」
「それじゃ、最後に手裏剣ね。材質は同じ、全て棒状にしたの、そして柄の方に魔石を換装できるようになっていて、魔術を付与できるわ。」
「母さんにしては、至って普通に聞こえるんだが?」
「そして、一緒に入っているオリハルコンの鋼糸を結ぶの、そしてそこに魔力を通すと、手裏剣を自在に操れるわ。でっ、さっき言った魔石に、火球等の魔術を付与してあげると、簡易ながら、インコムの出来上がり、どう?」
「「「………すっ、すごい。ロマン過ぎる。」」」
「欲を言えば、遠隔したかったんだけど、ニュータイプじゃ無いし、これで我慢してね。」
「十分だよ母さん。生身でオールレンジ攻撃が出来るなんて素晴らしい!」
「次は、戦闘服ね。服は全て、魔獣アラクネの糸を使用してるわ。柔軟性と強度、耐熱性に加え魔力親和率が非常に優秀ね。
どれを選んでも大差ないわ、私のおすすめは、正くんならスパイセット、ベストに手裏剣を仕込めるようにしてるから、防刃ベストとして使えるし、所々に魔石で隠形とか索敵スキルなんかも仕込んでいてね。ステルス特化してるわ。忍者セットも似たような感じ。
琴音ちゃんと鈴音ちゃんは、やっぱ可愛さアピールよね。ドレスアーマーも有ったでしょ、それで『ぶっちゃけ、あり得ない』って、やってくれても良かったんだけど………。
メイド服も似合ってるから、どれがいいか迷っちゃうわね。正くんとお揃いで、スパイセットも有りね。」
「戦闘するなら、遊撃3人だから、動きやすい服装で戦う事にするよ。特に鎧とかいらないでしょ?」
「そうね、近衛騎士が着てるような、行動を阻害する鎧なんかなら、裸の方が強いと思うわ。
鎧の接合部や隙間を狙えるなら、さっき使った棒で、十分鎧破壊出来るわ。
まぁ、攻撃何て正面から受ける素人でも無いでしょうし、問題ないでしょ。
『当たらなければ、どうと言う事は無い。』ってね。
ついでに、フード付きマントも入っているから活用してね、魔力流す周りの色彩と同調して光学迷彩の様になるわ。これで、職業プレデター付いたりしてね。」
「いやっ。有りそうだし、姿なき捕食者とか。」
「あなた達、無拍子も使えるでしょ、たとえ正面から戦う事になっても隠形、光学迷彩、無拍子で近づけば姿を捕える事が出来る人なんて、ごく一部よ。それも、全周囲結界とか張ってとかでね。攻撃も広範囲魔術以外、当たらないんじゃない?」
「まぁ、大体のスペックは分かった。」
「それじゃ、私達はこの辺で魔石の戻るわ。」
「ああ、後で勇者救出会議の時に。」
そう言い、魔石に戻ってもらう。
「そろそろ町に戻ろう。ギルドへの報告のも行かなきゃな。」
「「アサギと食事もある。」」
「ああ、彩香さんへの報告も。」
その後、帰り道で魔獣の気配があったものの無視して、町に戻った。
・
・
・
・
・