85.帝国兵?
「年若くしてなった賢者職が、見聞を広めるために旅をしているとは思わないのですね。残念です、さようなら!」
俺は有無を言わせず、帝国騎士団全員に隷属魔術を行使した……。
いきなりの魔術行使にあらがう術も無く、全員を拘束した。
「なっ、何を……。」
「はい、フィリップ!話す許可はしていない……。口を慎め!」
「んぐっ!」
ガルバルとドワーフ女性も、何が起こったか分からない様子でいる。
「ガルバルさん、俺、職業5つ持ってます。それが先程言った職と今紹介した賢者です。他にも軽んじて言えない職ですので、ご内密に……。」
「それは……、分かったが……。この後どうするつもりだ。帝国を敵に回す事になるぞ!」
「簡単じゃないですか……。死人に口無しと、良く言うでしょ……。ねぇ?フィリップ。」
フィリップは青ざめた顔を勢い良く横に振る。
「あれ?言わないの……。おかしいな……。でも、罪人の未来は決まってるから、別にいいか……。取りあえず、さっき俺を罵った騎士だな。それにしても不敬罪とは都合のいい法だな……。そう思わないか、フィリップ!」
「ちょっと待ってくれ、藤堂さん!ここでは止めて貰えないか……。」
ガルバルが横から口を挟む……。
「何か問題でも?」
「ああ……その……。」
ガルバルが言い淀み周りを見渡す……。
「ああ、そう言う事……。」
周りには騒ぎを聞き、野次馬が集まって来ている……。
「まあ、さっきの話の事を考えると、ここからの事は見せない方が良いな……。」
「すまん……、気を使って貰って……。」
俺は、ふと考え……、ガルバルさんに耳打ちする……。
「ガルバルさん……。さっきの話どこまで進んでる……。ここをストレンジ評議国領として扱っても良いが……。一応保護できるように手配する事も出来るが……。」
「保護か……。一応親方衆には話を通してある。ストレンジ評議国として扱って貰っても構わん……。」
「なるほど……。了解した。ピグミー族に話を通してない様なら、ここは俺に任せてガルバルさんはそっちに行って貰っても構わないぞ……。」
「大丈夫か……。」
「ああ任せろ……。ここはもうストレンジ評議国だ……。あいつ等は本国へ護送する!」
そしてフィリップ達、帝国騎士に向き直る……。
「ところでお前達に聞きたい事がある!ここに何しに来た……。話す事を許可する。」
「まっ、待ってくれ!私達をどうするつもりだ!」
「聞いてるのはこっちだが……。」
「分かった!ここへは武器の引き取りに来た……。」
「嘘だな……。」
隷属魔力が反応する……。
「なっ!」
「本当の事を言え……。」
「くっ!……まっ……魔族を捕まえに来た……。」
「うん……!有罪。」
俺は即決で裁決した……。
「と言う事で、お前達、帝国騎士は他国領に勝手に侵入、犯罪を犯そうとした。未然に防ぐことは出来たのは幸いだが、ここストレンジ評議国の混乱を招こうと画策し、国家の転覆を企んだ……。よって、本国にて極刑と処す。」
「なっ?ストレンジ評議国?」
「ああストレンジ評議国だ!さっき決まった、ドワーフ族はストレンジ評議国の保護下となった……。」
「そんな!横暴な!」
「他国領に侵入し、魔族を攫うのは横暴でないと言いたげだな……。」
「くっ!てっ!帝国に喧嘩を売る気か!」
「ストレンジ評議国に喧嘩を売ったのは、お前だろ……。何を今さら……。」
まあ、こいつ等を帝国に帰さなければ、戦争になる事も無いのだが……。
「そういや、お前等の馬車は如何した……。」
「………………。」
「まあいい、魔族を捕まえてきた後だったら、もっと面白くなるが……。」
俺は、帝国騎士を纏めてガルバル宅へ押し込んだ。
そしてドワーフ少女に頼み見張りをして貰う。
村の外へ行くと、そこには帝国騎士の物と思われる、3台の幌馬車が止まっていた。
1台は野宿用品と言った生活雑貨だったが、2台の幌馬車は牢になっており、中には精霊種、鬼人種、魔人種の子供たちが囚われていた。
皆、憔悴した様子で眼の光が弱い。
これって、面倒事なんだろうな……。
取りあえず、捕らわれている全員を解放しドワーフ族に預ける事にしようと、牢に近づくが……。
中の魔族は俺を警戒している……。
しょうが無いので門番のドワーフに間に入って貰い牢を解錠する。
牢から出された魔族の子供は、若干の警戒をしつつも、一応は同じ魔族のドワーフもいる事もあり話をしてくれる様だ。
「ええ~っと、皆は何処から連れて来られたか分かるか?」
「分かんない!」
一人の子供が代表して答えてくれた……。
「そうか……。取りあえず皆疲れただろう……。」
俺は門番のドワーフに宿屋も場所を聞き、捕らわれていた魔族を引き連れ宿屋へ向かった。
宿屋の1階は食堂になっており、魔族の皆に食事をして貰った。
今まで最低限の食事しかしていなかったのか子供達は勢いよく食べ始める。
やはり子供はこのくらい元気でないとな……。
そうして、食事をしてる子供たちを眺めながら、これからの事を考えていた。
ふと一人の魔族が目に留まる……、夢魔族だ……。
先日ストレンジ評議国入りしている。
完全な、ストレンジ評議国民……。
その夢魔族の女の子を呼ぶ……。
「君はいつどこで捕まった……?リミュより年上だよな……。」
「あっ!ばれました……。と言うかリミュを知っているのですか……?」
屈託のない笑顔で答える。
「先日、プロス達夢魔族はストレンジ評議国入りした君も住民として、保護される対象になっている筈だが。」
「ああそうなんですか……。村長達がそう決めたんですね……。私は1週間前森に食糧調達に出た時に運悪く、人族に捕獲されました。」
「すると、俺達が来る前か……。でもプロスは君の事、一言も言って無かったが……。」
「ああ、それはですね、夢魔族自体、纏まりが無いからですよ……。皆自由奔放ですから……。」
「何となくわかる……。でも、帝国が魔族狩りに来てたのにあたるとは運が無いと言うかなんと言うか……。」」
「私達を捕えた帝国兵の他にも、いるみたいですよ……。話が聞こえてきました、何匹捕まえたとか……競争している様な事を……。」
夢魔族少女から、聞き捨てならない発言が出た……。
「ちょっと待て……。他にもいるのか?」
「分かりません……。そう聞こえただけですから……。」
「う~ん……。ちょっと、ここの皆を纏めていてくれないか……。帝国に対し対処しなきゃならなくなった……。人員がいる。」
「ええ良いですよ……。多分この中だと私が一番年上でしょうし……。」
俺は夢魔族少女にその場を任せ、ガルバル宅へ向かう。
ガルバル宅ではドワーフ女性が、フィリップ達の見張りをしている。
ドワーフ女性にガルバル及び、親方衆を呼んで来るようにお願いし、俺はフィリップの尋問をする。
「なあ、フィリップ!あとどれくらい帝国兵が来ている!」
「はっ!怖気づいたのか!だがもう遅い!今頃我々を探している頃だろう!」
「なっ、何!俺が怖気づくほどの軍が来てるのか?全帝国軍50万人が!もう魔国領に入っているのか……!」
「えっ……。そんなには動いて無いが……。」
「あっ……そうなの?それじゃどこに怖気づく要素が有ったんだ?」
「帝国騎士団100人規模が5隊だぞ!」
「それで?」
「だから!帝国騎士団100人規模が5隊!」
「だからどうした……。」
「だから……その……。」
「例えばこうしよう。お前の前に100匹規模の蟻の群が5隊現れた……。どうする?」
「どうもしないかと……。」
「俺なら全員捕獲する……。」
「………………。」
と言うか尋問するまでも無く、フィリップが口を割っている。
100人規模が5隊……、やっぱちょっと面倒だ……。
応援を呼ぼう……。
俺は魔導通信で琴音、鈴音に連絡……、応援を要請!
そして部屋を借り、転移魔法陣を敷く……。
しばらくすると……琴音、鈴音が転移してきた……、それに続き、彩香さん、忍、母さん、親父、ユウキさん、レミさんが来た。
あっ!この面子ヤバイだろ……。
「ちょ、ちょっと、琴音、鈴音、何っ、この面子!」
「「最強戦力!」」
「だからって、帝国潰す気か?」
「「にぃが望むなら……。」」
「う~ん……。」
ちょっと悩んでしまう……。
「正くん、取りあえず、帝国兵の確保でしょ、それから考えればいいんじゃない?」
「魔国の事だから僕も来たけど……。ここってドワーフ族の村かい……。僕は頭領に挨拶してくるよ……。」
「あっ!ちょっと待って、ガルバルさんの所には全員で行くから……。」
俺は藤堂家武闘派の面子を引き連れ、ガルバルの所へ向かう。
ガルバル宅には親方衆も集まって来ており、異様な雰囲気となっていた。
「藤堂さん!どうしたんだ……。俺がいないうちに何かあったのか?」
「ああ、そこからだな……。魔国領に帝国兵が魔族狩りに来ている。ストレンジ評議国民の夢魔族も被害に遭った。これは見逃せないって事で、俺の家族を応援に呼んで今に至るって所だ……。」
「藤堂さんの家族って後ろの人達かい……。???……。って、レミ様じゃないか!」
「久々だね、ガル坊。」
「藤堂さん!どう言う事だ……。」
「説明すると長くなるから簡単に……。嫁のお母さんだ……。」
「簡単過ぎだ!」
「やっぱり……!まあ、それらは後回しだ、まず帝国兵の捕獲と、捕らわれの魔族の保護を優先したい……。」
「「帝国兵の生存の有無は必要?」」
「……要らないな。でも死体は欲しいか……。脅しに使える……。」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」
「はっ?」
俺達藤堂家は当然の様に納得したが、ガルバルは意味が分かっていない……。
「ガルバルさん、説明は事後に……。」
「いや、そうじゃないだろ……。」
「ガル坊!これは緊急性の高いミッションだぞ!僕たちに議論してる余裕はないのだ……。」
「レミ様が言うのならば……。藤堂さん後で説明お願いします。」
「了解!それじゃ、作戦と言っても簡単!上空からの索敵にて見つけ次第、確保!」
「サーチ&デストロイだね。」
「おお!腕が鳴るぜ!」
「ユウキ!娘達に良い格好見せたいからと言って、やり過ぎるなよ!」
「分かっている!心配すんな、ラクトこそ気を付けろ!」
「二人とも気を付けなさい。と言っても気を付ける程の相手でも無いか……。」
まあ、コハク、レミ、ユウキ、ラクトの4人はやり過ぎの可能性が問題か。
「それでガルバルさん!死体……。基、帝国兵の身柄を置ける場所ってありますか?」
「藤堂さん!今死体って言ったよね、死体って!」
「ガルバルさんの聞き間違いじゃないかな?そんな事より有るの?無いの?」
「そんな事って……。村の山側、坑道行く道の手前が広くなっているそこでどうだ?」
「了解!それじゃ、そこにを死た…安置所としよう……。」
「えっ!また死体安置所って言わなかった?」
「ううん、言って無いよ……。」
「正臣くん、私と忍さんはどうする……?」
「まあ、この面子じゃなぁ……。取りあえず、ドワーフ村の護衛って事で、後で捕まっていた魔族の介抱とかして貰うと思う。」
「「了解!」~!」
「俺、琴音、鈴音は個々に魔導飛空艇で索敵って事でいいか……?戦力4人お釣りがくるだろうし……。」
「「了解した。」」
そして俺は魔導飛空艇を3機だす。
「………………、なっ、何じゃこりゃ~~~!」
ガルバルが叫ぶ!
「説明は後で……。」
面倒なので、ガルバルさんを放置し、魔導飛空艇を発進させる。
そうして俺達藤堂家の帝国兵殲滅戦……じゃ無く、捕獲作戦が開始された……。
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