81.決着?
俺 VS ユウキ 後半戦
俺はGビット基い、ゴーレムメルクリウスを使いアンデッドを蹂躙していた。
アンデッド=軽、ゴーレムメルクリウス=重と言った感じになっている為、圧し掛かるだけでアンデッドがすり潰されていく。
ワイトクラウンの眷族レイスに関しては、肉体を動かそうと乗り移るが、魂の重さ21gではどうしようもない、そしてそのまま眷族達はゴーレムメリクリウスの中に埋没する。
エルダーリッチーによる魔術も毒より毒な元素としての重金属の前では意味をなさず、召喚したスケルトン及び上位種の眷族達もゴーレムメリクリウスに呑まれて行く。
バンパイアロードも眷族が触られた時にゴーレムメルクリウスから浸食されるのを目にし、近づくのを恐れている。
はっきり言って、ゴーレムメルクリウスは重過ぎる、魔力の通りも悪く、魔石から伸びるオリハルコン鋼糸によって何とか動いている状態、霊的な何かも搦め獲れば動けなくなる……。
つまり対アンデッド金属なのだ……。
そして予想していた通り、俺にDPがどんどん入って来る。
何気に高レベルな眷族蹂躙によるポイントだ……。
不死王達の魔力口渇まで放置するとしよう……。
「ちょ、ちょっと待て~!なんだそれ!ズルいだろそんなの!」
「だって俺、錬金術師だし……。賢者の石使うのは当然だと……。」
「賢者の石?だってあれは、コハクが使えないって言ってたぞ……。」
「あのままじゃ、使えませんよ。賢者の石”辰砂”硫化水銀です。向こうでは、仙丹、顔料なんかに使われていましたが……。」
「それがどうして……。」
「分かりませんか、硫化水銀です。分解すれば水銀が作れます。毒摂取によるショック症状、血液の硬化等は有りませんが、体内に入れば排出困難な中毒症状、常温唯一の液体金属、皮膚汗腺からの体内浸食も出来ます。錬金術師の戦闘には使い易い素材だと思ませんか?」
「くっ!焼き尽くしてやる!」
ユウキが聖剣にに魔力を流し、眩いくらいに光り出す……。
「良いんですか。水銀が気化すればアンデッドと言えど、ただでは済みませんよ。」
「くっ!」
聖剣から光が消えて行く。
「で、どうしますか?命がけの特攻しか残っていませんよ……。まあ神の使徒が神の名を持つ金属に挑むのも一興と言うものですが……。」
「くっ!」
ユウキは悔しそうに口を結ぶ。
「分かった俺の負けだ……。」
ユウキのギブアップを聞き、母さんが俺の手を上げる。
実況席から、メリエルの声が響く。
「神の使徒ユウキのギブアップにより、勝者!藤堂正臣~~!」
観客席は大いに盛り上がっている様だ。
そしてユウキが俺に近づき、話し出す。
「琴音と鈴音との結婚を許す。」
「いや元々ユウキさんに、琴音と鈴音をどうこうする権利はありませんから……。別に許可要らないですよ?」
そして、ユウキがコハクに向け話し出す。
「何なんだ。お前の息子は……。コハクとそっくり過ぎるだろ……。」
「あら?言って無かったかしら……。骨は拾ってやるって……。正くんに勝てるのは、私ともう一人の筆頭嫁くらいよ。ユウキみたいな単純脳だと、私達に搦め獲られるだけね……。」
「ああ~、どうせ馬鹿だよ俺は……。」
「自覚してるだけ、まだましかしら……。でも、これからの事全然考えてないでしょ?」
「これから?」
「ユウキ分かって無いわね……。あなた、娘達から敵認定されている事。」
「!!!、そうなのか?」
「ええ、相当嫌われたわね……。ほぼ他人と言っても差し支えないあなたが、以心伝心で敬愛する人に喧嘩売ったんだからね……。」
「………………。」
「あれね……。田舎貴族の3男が冒険者ギルドで立場分からずに、喧嘩売ったのと同程度ね……。」
それって、ライトの事だな……。
確かに、琴音、鈴音から見たらそうなるか……。
「ど、ど、ど、どうすりゃいい?」
「知らないわよ。人の喧嘩は不干渉……。今回は私は正くん側だから干渉したけど。私達の間ではそう言う取り決めでしょ……。テツヤが買いまくった所為で面倒くさかったんだから……。ユウキは自分で尻拭いするのね。」
先代勇者パーティーではそう言うルールが敷かれているらしい……。
「ちなみに、琴音ちゃんと鈴音ちゃんは、正くんよりも色々と強いからね?」
「ま、まあ、頑張ってください。ユウキさん……。」
俺も関わるのが面倒そうなので、そう言葉を掛け、ゴーレムメリクリウス回収後会場を後にする。
会場には愕然としたユウキが膝をつき、魂でも飛び出したかのように天を見上げ、動かないでいる姿があった……。
「「にぃ、お疲れ!」」
「ああ、勝って来たぞ!」
「「にぃ、格好良かった!」」
「私達の為に戦う雄姿!」
「この目に焼き付けた!」
「「萌える!」」
「言葉ちょっと違うよね。萌え萌えキュンキュンじゃないと思うが?」
「「くっ!」」
「鋭いツッコミ!」
「これが大事!」
「にぃの存在感を感じる!」
「私達の、旦那様!」
「「生涯の伴侶!」」
「何っ!ツッコミ要員募集だったのか!」
「違う!これは愛!」
「覚えていますか!」
「「目と目が合った時?」」
「知らね~よっ!」
「「これっ!ストレンジ評議国一のツッコミ。」」
「もっと知らね~って!」
「「ほら~……。ねっ。」」
「ねっ!ってなんだよ!」
俺達のやり取りに、母さんが入って来た。
「まあ正くんその位にして、レミも話したがってるわよ。」
「ごめんね、ちょっと良いかな……?それと正臣くんと娘達の間に中々入り辛いねこれは……。」
「すいません、レミさん……。いつもの事なんで……つい……。」
「仲が良くて何よりだよ。それと、ごめんね正臣くん。家の亭主が無茶言って……。」
「別に構いませんよ……。俺はそんなに無茶してませんし。」
「そうなのか?それにしては、激しい戦いに見えたけど……。」
「あのね、レミ!正くんのあれは、ユウキの降参まで全部計画通りなの……。最初は情報収集してたみたいだけどね、途中から搦めとり始めたでしょ。あの後はどう転んでもユウキに勝ち目はないわ……。」
「あれで全力じゃないのか?」
「ええ~っとですね。全力ではあります。」
「「レミ母さん!にぃは、全力戦闘はしない……。」」
「搦め手が持ち味!」
「職業賢者、錬金術師!本職後衛!」
「「面倒事が嫌い!」」
「えっ!どう言う事?旦那と接近戦してたよね……。」
「「面倒事は時間かけない!」」
「故の接近戦!」
「ユウキ、意外と強い!」
「「接近して、罠張った!」」
って、実父の敬称も無くなったか……。
「つまり、神の使徒、伝説の勇者ユウキに対し、面倒だからと相手の土俵で戦ったが、意外と手間取りそうなので、搦め獲ったと言う訳ね……。」
「そう言う事ですね……他にも方法がありましたが。親父の結界じゃ持つか持たないか微妙でしたので、ああいった感じになったんです。」
「ラクトの結界で持たないって……。」
「ねえ、レミ?あなた私と戦って勝てる?」
「う~ん……。難しいかな?正面から魔術と武術のみなら勝てるだろうけど、コハクが道具使ったら手に負えないと思うな……。」
「今のもそう言う戦いなのよ……。正くんがユウキに合わせて上げたってだけね……。」
「あれで……?」
「「そう、にぃは最強!本来なら動いた時には終わっている。」」
「まあ逆に言うと、勝てる見込みがあって、初めて動くって事なんだろうけど。」
「正臣くん……。撲は元々反対していないけど、娘達の事よろしく頼むね……。」
「いやよろしくと言われても……。今までと変わらないから……。」
「「そう、にぃは私達の事が大好き!」」
「趣味、妹!」
「好きな物、妹!」
「「人生の格言、妹!……妹、キタ――(゜∀゜)――!!」」
「そこまで言って無い!」
「あははっ~。問題なさそうだね……。ところで家の旦那なんだけど……。」
「「あれはダメ!」」
「どうしてもダメかな?一応は血の繋がりが有るんだけど……。」
「レミ母さんは問題ない!」
「ユウキは問題外!」
「「屋敷外で住んでもらう!」」
「ピンポイントで結界張る!」
「ユウキのみ排除!」
「「裏山進入禁止!」」
ユウキの面会禁止が言い渡された。
「まあ俺から言わせて貰うと自業自得だし、しょうが無いんじゃないでしょうか?」
「まあ僕もそう思うよ……。いきなりあれじゃ誰も納得いかないだろうしね。僕は一緒に住んでもいいのかな?」
「「歓迎する!美食勇者&食の探究者の住む家!」」
「何とも魅力的な響き……。」
レミは母さんの料理に魅了されている……。
そして藤堂家では当時無かった食材を取りそろえている。
母さんはホムンクルス体を得てから、料理研究に余念が無い……。
つまりグレインガルド最高峰の料理が食べられるのは、ここ藤堂家の屋敷のみと言う事だ!
「ぐ、ぐ、ぐ、ぐ…………。でも、旦那が……。」
歯を食いしばり、食とユウキを天秤にかけている……。
母さんが助け舟を出す。
「まあレミは来れるんだから、食事に来れば良いんじゃないの?そして余ったら持って帰れば……。それならユウキも食べれるわよ。」
「あっ!そうか……、気が付かなかったわ!」
そしてこれが引き金となり、第2回魔王VS神の使徒の戦闘の火蓋が切られるとは、まだ誰も知らない……。
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