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背徳の異世界家族計画  作者: carel
魔国領探索計画編
67/95

66.先々代?


 クレア達、アイリス達を送り出した後、俺、琴音、鈴音、吉田くんは王都拠点に来ていた。


 白面より王国の情報を得る為である。


 クレア達も王都に付き次第、拠点に来てもらう事になっている。


 「で、何か分かったか?」


 「はい藤堂様……。3大公爵家の内一角が崩れた事により、貴族達がその後釜に入ろうと牽制しあっており、纏まりがありません。その上、敗戦した事も分かっていなかった様で、先程、確認に行かせたばかりです。それと王国の財政については情報統制を取っていた様で、貴族共には伝わっていない様です。」


 「大丈夫なのか?この国……。」


 「「詰んでる……。」」


 「藤堂さんが仕掛けた事でしょ。」


 「いや、俺だけの所為じゃないだろ……。所で、教会の様子はどうだ?」


 「何やら、教国とのやり取りが密になっているようですが、こちらでは詳しく分かりませんでした。それと奴隷商も動きが活発の様です、帝国も動くかもしれません……。」


 何だろう……、王国の指導者達だけが取り残されてるように思うのは……。


 「魔国はどうだ?」


 「あちらは、いつも通り王国と多少のいざこざがある程度です。北方の辺境伯も王都には来ていません。」


 「割りとまともな人もいるみたいだな……。」


 「そうでも無いですよ……。戦闘狂らしいですから。」


 「「「そっちか~……!」」」


 どうやらロストニア王国はもうダメらしい……。


 「藤堂さん……。王国との国交開かなくて良いんじゃ無いですか……?」


 「俺もそう思うよ……。吉田くんは他の国との関係構築に力を注いでほしい……。」


 王国には、このまま衰退の一途を辿って貰おう……。


 「一応、クレア達にも今の事を伝えてくれ……。白面にはこのまま情報収集を続けて貰って、出来ればさりげなく民間に王国の情報を流してくれ……。俺は、ダンジョンに潜って来る。」

  

 「「にぃ、私達も!」」


 「僕も良いですか?少しレベル上げておきたいので……。」


 「そうだな……。4人で大森林手前の攻略だ、植物系ダンジョンのはずだから吉田くんとも相性がいいだろう。」


 吉田くんは魔術師タイプ、特に火を得意としており燃やせば、あっ!という間見攻略できそうだ……。


・ 


 早速とばかりに、俺達はダンジョン入り口に来ている。


 ここは生産性の低いダンジョンと見られていた様で、数キロ離れた所に村はあるものの周りは木々が生い茂っているだけだった。    


 「勿体無いよな……。こんな美味しいダンジョン放置しているのって……。」


 「ロストニア王国だから仕方ないですよ……。」


 「それじゃ、俺達で美味しく頂くとしよう。」


 「「「賛成!」」です。」


 そしてダンジョンに足を踏み入れる……。

 

 1階層、そこは今までのダンジョンとは違い、全ての者を拒むかのように草木が生い茂っていた……。


 「これじゃ放置されるわけだ……。」


 「あれと同じですね、手入れしなくなった田舎の山……、みたいな感じ……。」

 

 「魔獣の気配はする……。」


 「だけど動かない……。」


 「トラップ系のモンスターか?植物だとウツボカズラとかハエトリグサかな……?」


 「動かないんであれば、こういうのどうですか……。」


 吉田くんの提案は、入り口から風を送り込んで、焼き払うと言うものだった……。


 確かにこのダンジョンでしか使えない荒業だが……。


 「吉田くんも、容赦ないね……。」


 「「悪逆無道!」」


 「3人にそう言われるとは、思いませんでしたよ!」

 

 「「「その案、採用!」」」


 「………………。」


 そして吉田くんのレベル上げも兼ねる為、火の魔術発動役に、俺は酸素の生成、琴音と鈴音はそれをダンジョン内に送り込む役をして貰った。


 その結果、火の勢いは凄まじく15分位で、1階層の魔獣の気配がきれいに消えてしまった。


 1階層の熱が冷えるのを待ち、浄化掛けながら再度ダンジョン突入する。


 植物には水分も含まれている為、燃え残りもあるかと思われたが、熱がダンジョンに籠り超高温で燃焼が行われた為、形を残して炭化した植物やガラス状になった内壁が見て取れた。


 1階層を通り過ぎ2階層だが……。

  

 2階層は地底湖になっているだけで、奥に3階層への階段が見える。


 「どうなってるんだ?」


 「「魔獣の気配も無い。」」


 「何でしょうね?この地底湖のおかげで、3階層まで火が届いて無い様ですけど……。」


 「取りあえず進むか……。」


 そして3階層……。


 そこは、日本の田舎の田園風景が広がっていた……。


 「これは……。」


 「「昭和……。」」


 「………………。」


 すると、一軒しか無い家屋から、1人の少女が出て来る。


 何事も無い様に、小屋であろう建物に入り、籠に野菜を入れて母屋に戻って行った。 


 「「「「?????」」」」


 俺達は顔を見合わせる……。


 「ダンジョンマスターか……。」


 「「そうなの?」」


 「妥当な判断です……。」


 「行ってみるか……。」


 俺達はその一軒家の玄関に向かう……。


 「ごめん下さ~い!」


 「は~い!」


 あれ?日本語だよな……。  


 ガラッガラッ……。


 「どちら様ですか?」


 出て来たのは、黒目黒髪の12歳くらいの少女だった……。


 「えぇ~っと、ここってダンジョンですよね……。」


 「…………、敵っ!」


 「ちょ、ちょっと!待って!日本人です!」


 「?????、あれ?日本語だ……。」


 「すいません、申し遅れました。私は藤堂正臣、そしてこっちが……。」


 「藤堂琴音です。」


 「藤堂鈴音です。」


 「「正臣さんの妻です。」」   


 「僕は吉田陸と申します。」


 「えっ!妻?二人とも?」


 「すいません、お名前宜しいですか?」


 「あっ、すいません。私は美倉喜久子(みくらきくこ)…………、ダンジョンマスターをしています……。」  

 

 「あっ、それなら、この吉田くんが今期の勇者で、他に19人勇者がいます。そして私と琴音、鈴音は勇者召喚に巻き込まれた異世界人って事になっています……。」

  

 「そうですか……。あなた達も……。」


 「と言うと、美倉さんも……。」


 「はい………………。それで……、ここに来たって事は、ダンジョン攻略ですか?」


 「そのつもりだったんですが……。同胞がダンジョンマスターとなると話が変わってきますね……。」


 「それはどう言う事でしょう?見ての通りここには、何もないですけど……。」


 「それは別にいいんです……。」


 そして美倉さんにグレインガルドに来てからの事を話し、評議国へダンジョンの移転をお願いした。


 「そうですか……。藤堂さん達も色々あったんですね……。移転の話は謹んでお受けいたします。私も同郷の方達と一緒の方が安心しますし、それに……、もう一人は嫌なんです……、ううっ…うっうっ…うぇ~ん……。」


 急に美倉さんが(せき)を切った様に泣き出し、抱き付いて来た……。


 吉田くんからは凄い形相で睨まれているが……。


 美倉さんは、容姿から見て取れるように幼い頃に勇者召喚され、一人で頑張ってこのダンジョンに安寧を見つけたのだろう……。


 想像を絶する苦労をしてきた事を感じつつ、落ち着くまで頭を撫でてやる。


 しばらくすると泣き疲れたのだろう、眠ってしまった。


 土間で寝させる訳には行かなかったので、失礼ながら居間にお邪魔させて貰い、美倉さんを横にさせた……。


 美倉さんを運ぶのにお姫様抱っこをした事で、今度は琴音、鈴音から凄い形相で睨まれている。


 って言うか、威圧は発動しないで……、吉田くんも倒れてるから……。


 「さて、どうしようか……。」


 「にぃ、襲ってダメ!」


 「まだ小学生!」


 「襲わねぇ~よ!」


 いつもの流れかと思いきや、琴音が何かに気付いた様だ……。


 「にぃ、あれ見て……。」


 「あぁん?…………!?何故……、TVが……、ブラウン管……。」


 「にぃ、下にも!」   

 

 「NT堂ゲーム機の初代様!?……ソフトは!」

 

 「Dクエ1,2のみ!」


 「ちょっと待て……。約30年前だぞ……。」


 「こっちで300年間、独り……。」


 「先々代勇者……。くっ!」


 ダメだ、ダメだ……。

 

 胸の内から激情が溢れて来る……。


 「「にぃ!」」


 二人の声で感情を抑えることが出来た……が。 


 「あの~、藤堂さん?」


 美倉さんを起こしてしまったらしい……。


 「すいません、ちょっと高ぶっちゃって……。」 


 「いえ……。もしかして私の所為でしょうか……?昔聞いた事があります……、私みたいな少女にしか興味を示さない方がいると……。見た所、琴音さんも鈴音さんも私とそんなに年が離れていませんし……。」


 美倉さんが顔を赤くしながら、とんでもない事を口走り始めた。


 そこには、偉く沈んでいる二人がいる……。


 口から何か出て来てるって……。


 ほら見て!琴音と鈴音もう16歳だし、童顔の幼児体型だけど、ちゃんと胸は膨らんでるし、子供も作れる身体だよ……。


 それに俺も勘違いされたままでは困る。


 「いやいや違うから、そんな事無いからね。琴音と鈴音も16歳だし結婚できる年齢になってる。」


 「そうなんですか……。私、てっきり……。でも!藤堂さんなら良いですよ。ダンジョンマスターになる前に初潮も迎えてますし、これでも数百年生きている筈ですから、年齢で見れば立派な大人です。」


 うわ~!吉田くんが寝ててくれて良かった~。

 

 あっ!こっちは、目を輝かせ始めてるし……。


 そして二人が俺の前に出て来て、両手を広げる。


 「「藤堂ハーレムへ……、ようこそ!」」 


 「何、言ってる!」


 ごっ!ごっ!


 「「へぶっ!」」  


 目の前に居る二人に、拳骨を落とす。


 「ハーレムって何ですか?」


 ああ~、そう言う事か、知識も見た目年齢相応なんだな……。  


 「それについては、後々分かると思うけど……。こっちも質問していいか?」


 「良いですよ。ただ色々聞かれても、分からない事の方が多いですけど。」


 「美倉さんについてだから、知ってる事だけ話せばいいよ……。」


 「分かりました。」


 「それじゃ、まずは年齢から良いか?」


 「えぇ~っと、100までは数えてたけど……。それ以上は……。」


 「了解。次に向こうの事は何処まで覚えてる?」


 「う~ん……。ここに来たの小学2年生の春休みだったと思うけど……。う~ん……、あっ!新しいゲームが出て少しして、復活の呪文を書き写してる時だった!折角書いたのにその紙無くなって悔しかったの!」


 Dクエ2だな……。


 「それと……、書くのを邪魔する弟がいたはず……。あの時は3歳だったな~……。可愛かった~………………。逢いたいよ~……。」


 また泣きそうになっている美倉さんを、抱きしめ頭を撫でてやる……。


 必死に大人びているが、時折、見た目相応の精神年齢になるみたいだ……。

  

 「うん。ありがとう、藤堂さん。もう大丈夫……。」


 「そうか……。」


 「それで一杯訓練して魔族と戦えって言われて、何年か訓練していたら魔法使いの人が、私をこのダンジョンに連れてきて、ダンジョンの使い方とかいろいろ教えてくれて、しばらくしたらその人もいなくなって、それからずっと一人でいるの……。」


 「魔法使いの名前覚えてるか?」


 「う~ん……。ハルト?だったかな……。ちょっと、分かんない。」


 「そうか……。」


 「でも、ちょっと藤堂さんに似てる感じがする……。外見とかじゃないんだけど?何だろ……匂い?」


 「にぃ、加齢臭!」


 「魔法使いも加齢臭!」


 「そんなに年取って無いわっ!」


 「加齢臭?」


 「美倉さんも、それはスルーして……。」


 えっ!俺、臭う?やばっ!すっごい、気になるんだけど……。


 まだ枕、臭わないし、セーフの筈だ……。


 うん、大丈夫、頑張れ俺っ!


 内緒で、自分に浄化魔術を掛ける……。


 3人の目がこっちを向いてる……、魔王2人にダンジョンマスター……。


 あ~~~~~~っ!


 気付かない訳ないか~……。


 「にぃ、冗談……。」


 「必死にならなくても大丈夫。」


 「藤堂さん、いい匂いですよ。」


 何、偉い恥ずかしい……。


 コホンッ!


 「と言う訳で、美倉さんの引っ越し準備しま~す。」


 「「ムムムッ!急展開!」」 

 

 「ここダンジョンですけど、どうするんですか?」 


 「収納に全部入れて、転移する……。」


 「あっ、あれですね!ルー「違います。」」


 「えっ!違うの?だって魔法で移動するなら、ルー「違います。」で一跳びですよ。」


 「「美倉、屋内では天井にぶつかる。」」


 「そうか……。まずは、リレ「それも違うから。」でしたね。」 


 美倉さんが何やら考えている様子……。 

 

 「死ぬと良いの……?」


 「おお、死んでしまうとは情けない、って事も無いから!」


 「が~ん!それじゃ、どうすれば……。」


 「だから……。転移門って言えばわかる?」


 「あっ!どこでも「それです。」」


 「そうか~……。お風呂場直行か~。」 

  

 「そこは違う!」


 「「寝室直行!」」


 「もっと違う!」


 「「「それじゃ、どこへ?」」」


 「なんでそんなに、息合うんだよ!」


 何故か3人がハイタッチしている……。


 どこでネタ合せしたんだ?


 「冗談はそこまでにして、取りあえず、準備して会議堂に行くぞ。」


 そうして、吉田くんを起こし美倉さんの引っ越しを始めた……。



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