表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
背徳の異世界家族計画  作者: carel
異世界人建国計画編
57/95

56.呪い?


 さて、お花畑(勇者王)を解放するか……。


 異世界組、皆と共に会議室に集まっている。


 トン!トン!


 「失礼します!犯罪者1名連れてまいりました。」


 数人の魔闘部隊員が、地下牢より、お花畑(大場要)を連れてきた。


 「もう下がって良いぞ!」


 「はい!」


 魔闘部隊員は、お花畑(勇者王)を残し、部屋から出て行く。


 「申し開きは有るか?」


 「なっ、俺が何したって言うんだ……。」


 「分からないのか?」


 「分かる訳ないだろ!」


 「それじゃ、もう1週間、牢の中で過ごせ……。以上だ、解散!」


 「ちょっ!ちょっと待ってくれ!王女を助けようとしたことか?」


 「助ける?何から……。」


 「だって、王女を殺そうとしてたんだろ!」


 「そうだ……。」


 「だから、助けようとしたんだ!」


 「すると、お前は王女の仲間って事でいいのか?」


 「当たり前だろ、こっちに来てから色々と世話になったんだから……。」


 「お前の言い分としては、犯罪者と結託して、俺達、異世界人を殺そうとしていたって事になるが、お前はそれでも王女の味方、つまり我々日本人を裏切っていたと、認識で間違いないな……。」


 「何でそうなるんだ!」


 「当たり前だろ……。王女は俺達を拉致監禁、詐欺行為、不正奴隷、恐喝、殺人斡旋、を行なった実行犯の一人だ!お前はその仲間、共謀した事になる。」


 「王女がそんな事する訳ないだろ!」


 「それじゃ、お前をこの世界に召喚したのは誰だ!」


 「王女だよ!お前も同じだろ!それがどうした!」


 「お前は望んで、ここに来たのか?」


 「そんな筈無いだろ!校門の所でいきなりだったんだから!」


 「それを、拉致と言うんだよ。まさか知らなかったのか?」 


 「それ位知ってる……。」 


 「それじゃ、誰から召喚と言う名の拉致されたんだ?」


 「……王女。」


 「分かってるじゃないか。そして、俺達は地球へは帰れない、つまり監禁されている訳だ……。違うか?」


 「そうとも、取れる……。」 


 「取れるんじゃない、そうなんだ!そして拉致監禁した実行犯が、王女って事は理解したか?」


 「分かった……。」


 「お前はすぐ忘れるから、メモでもしておけ!」 


 俺は紙と鉛筆をお花畑(大場要)に渡し、書き取りタイムを取る。


 「書き終わったか?」


 「書いた……。」


 随分、素直に書くもんだと思いながら、話を続ける。


 「で、実は巨大組織が裏に居る、その名もロストニア王国!王女はそのロストニア王国の幹部工作員の一人にすぎない、分かるか?」


 「ロストニア王国って、そう言う組織なのか?」


 「そうだ……!その幹部達が、率先して俺達、日本人を(だま)し恐喝して、奴隷契約をした……。そして、あろうことかこの世界の亜人、いわゆる魔族と言う名の一般人の大量虐殺を、要求して来たんだぞ!お前はそれで良いのか?」


 「良くない!」


 「分かってるじゃないか……。忘れないうちに、書いておけよ。」  


 またしても書き込んでいく……。


 すると、彩香さんより魔導通信が来た。


 『正臣くん、分かったわ!彼、思考障害持ってるんじゃないかしら……。』


 『はい?思考障害……。』 


 『ええ~と……。統合失調症とかパラノイアとかかな。感情の起伏で、脳が働かなくなるの……。だから、記憶とか思考が出来なくなったりするわ……。』


 『あっ!そうなのか……。回復魔術で治るかな?』


 『やって見る価値はあるかも。神経系の異常のはずだから、脳から送られる電気信号の正常化で良いと思うわ。』


 「藤堂さん書き終わったぞ。」


 今までの勇者王の行動が、彩香さんの考察により、全て納得いってしまった……。


 「そうか……。ちょっと見せてくれ……。」 


 俺は、紙を取り読む振りをしながら、彩香さんに連絡を入れる。


 『彩香さん、皆にもそれと無く、この事伝えてくれ……。』


 『了解!』


 異世界に病気と共に来てしまったのは、不幸としか言いようがない……。


 この世界には、そんな病気があるなんて、認知されないだろう……。


 だが幸いに、彩香さんの考察で病気の疑いが提唱され、魔術による治療を受けれる……。

  

 もしかしたら、地球での投薬治療よりも、魔術の方が効果的かもしれない。


 何せ、体内に魔力を流せるのだから……。


 「よく書けてるな……。」

 

 「そりゃどうも……。」


 「所で、ここまでは理解したか?」


 「ああ、王女達が犯罪組織にいたって事だろ……。」


 「で、王女は現在、更生させるべく、仕事をして貰っているから、邪魔はするなよ。ちなみに危険は無いから安心しろ……。」

 

 「分かった。」


 「さて、王女の話はここまでだ……。次にお前の処遇になる。」

 

 「覚悟は出来てる……。」


 「お前がした犯罪についてだが、多分自覚が無いだろう……。」


 「その通りだ……。」


 「まず1つ目が逸脱行為だ、これは軍法会議に掛ける案件になる、実際法律を整備してないが、道徳的観念からお前は有罪になる。何故だか分かるか?」 


 「さっぱりだ……。逸脱行為ってのはなんだ?」


 「ダラスダンジョンで、抜け駆けして窮地に陥ったよな。」


 「おっ、おう……。」


 「あれの事だ……。その為急遽、彩香さん、近藤、忍、双葉の特別班で救援に向かった。そして、彩香さん、近藤、忍の3人が死に掛けた……。下手したらお前を含め、全員死亡だ!」


 「それは分かるか?」


 「その所為で、借金、背負ったから分かる。」


 「正確には違うぞ、借金は回復薬の代金だ……。慰謝料も含めているから、そう感じているだけだ。それに、逸脱行為は成功すれば、犯罪にならない、手柄の没収されることが殆どだ……。つまり成功しても何にもならない。そして、失敗すれば死刑もあり得る。まあ、一人の行動により、集団が全滅する可能性もあったんだから当然なんだが……。理解できてるか?」


 「何とか……。」


 「で、次が今回になる。奴隷の逃亡!この世界のルールだ……。 死刑が適用される、と言っても裁判にも掛けられないがな……。そして、威力業務妨害……。ふ~……。死刑が2件と懲役1年ってとこか……どう思う?」


 「良く生きているな~って。」


 「だろう……。で、もう一つ、俺達は今、国造りで大変なんだよ……。それを邪魔してるのはどう思う?」


 「………………、邪魔ですか……。」


 「そう、この時間が勿体無い……。」


 「俺、要らないですか……。」


 「そうだな……、今のままだと、俺達の国には必要ないな……。」


 「皆もそう思ってるのか……。」 


 「俺の言葉が、皆の総意と思っていい……。」


 「そんな~……。」


 「悲観する事無いだろ……。今自分のした事を言ったばかりだ……。お前なら、そんな犯罪者と一緒に居たいのか?」


 「うっ……、居たくないです、何されるか分かったもんじゃない……。」


 「と言う事で、しばらくは現地人と過ごせ……。立場は奴隷だから、皆にかしこまる様にしろよ……。それと、お前の健康診断を最初にして置くから、ここに残れ……。」 


 「はい、分かりました……。」


 「それじゃ、皆、今日の会議は終了だ、各自仕事に戻ってくれ……。彩香さんと、双葉は健康診断に付き合ってくれ、これが終わったら開発部に顔出すからそのつもりで……。」


 皆が、会議堂から出て行って、俺、大場、彩香さん、双葉の4人が残った……。

 

 「大場、ここに座ってくれ、まず分析を掛けるぞ……。彩香さんも頼む。」


 

大場要おおばかなめ/17歳/男/人族/呪(安定)/奴隷


職業 / 勇者王LV03 / 


 HP   110/110

 MP   45/45

 STR  120

 DEX  16

 VIT  90 

 INT  12 

 AGI  48

 MND  16

 LUK  13

 

スキル 竜牙剣 精神異常(安定) 狂戦士


適性  光、聖



 「「うん?………。」」


 「彩香さん、これは……。」  


 「確定で間違いないんじゃないかしら……。」


 「でも、一体どこで……。」


 俺と彩香さんの会話に、大場が不安になったのか声を掛けて来た。 


 「ななな、何かあったのか?」


 「………………、あった。」


 「ただ、命には別状ないんだけど…………。」

 

 「やっぱり、問題だよな~、これ……。」


 「覚悟は出来てるから、教えてくれないか?」


 「でもお前、精神値低いぞ……。」


 「それでも、自分自身と向き合わないと……。」


 「良く言った、さすが勇者王。」


 「実はな……。呪われてるぞ……。」


 「スキルに竜牙剣、精神異常(安定)、狂戦士も付いてるわ……。」


 「は…………?」


 「そうなるよな……。」


 「双葉さん、呪い解けないわよね……。」


 「解いた事、無いですね……。」


 「それは大丈夫だ、前に親父から、解呪(ディスペル)の魔術教えて貰ったから……。ただ、それでどこまで取れるかなんだが……。取りあえずしてみるか?」


 「藤堂さん!お願いします……。」 


 大場が、足にしがみ付いて来た……。


 「おっ、おう。ちょっと待ってろ!」


 大場を引き離し解呪(ディスペル)を掛ける。


 あっ!これ奴隷魔術と同じだ……。


 感覚的に察知し、解呪(ディスペル)を止める。


 「えっ!どうしたんですか?」


 大場も魔力の感覚が分かったのだろう、疑問を投げかける。


 「解くのは、直ぐ出来るが……。呪われた原因を探ろう!お前の装備品が怪しいと思うんだが……。装備品のある所へ行くか……。」


 俺達は、会議堂地下に行き、装備品の前に居た……。


 「なあ、聖剣って誰に貰ったんだ……。」


 「騎士団長に推薦されて、謁見の間で王様に貰ったぞ……。」


 「ああ、そうか……。俺、お前が聖剣使ったところ、見た事無かったんだが……。どう見ても、あれが原因だぞ……!」


 「でも聖剣なんだろ……。呪いって……。」 


 「教国産だぞ多分、ラウルも持ってた。教国で祝福を受けるんだとよ……。祝福=呪いって図式もあるしな。」


 「何で聖剣を俺に……。」


 「さっきも言っただろ……。ロストニア王国がお前を殺人マシーンに仕立て上げる為だよ……。ふ~……。どれ、解呪(ディスペル)してやる。」


大場を解呪(ディスペル)し、聖剣に向き直る……。


 そして六尺棒を取り出し、魔力を這わせ、聖剣に叩きつけた……。


 パキッ!  


 持ち主の居ない聖剣は、オリハルコン素材だと言うのに、簡単に折れた……。


 「よしっ!」


 「ああ~っ!俺の聖剣が……。」


 大場が、未練がましく嘆く……。


 「そっちの鎧も呪われてるな……。」


 聖剣の魔力が大きくて気付かなかったが、煌びやかに装飾された鎧も僅かに、魔力を感じた……。


 「この鎧は誰から?」


 「これも王様からだよ……。まさかこれも壊すのか?」


 「そのつもりだけど……。何か?」 


 大場が鎧に抱き付く……。


 「ちょっと待ってくれよ……。結構気に入ってるんだ……。」


 「疑わしきは罰せよって、言葉知ってるか?」


 「正臣くん、それ反対!疑わしきは罰せずよ!」

 

 やば、恥ずかしい……。間違えた……。


 「……知ってる。ただ俺の勘が、その鎧はダメと言っている。」


 「それじゃ、しょうが無いね……。有罪(ギルティ)ね!仕事もあるし、さっさと壊しましょ。」


 「と言う事で、退いてくれ……。」


 「嫌だ!」


 「何か、子供みたいだな。」 


 「17歳は、まだ子供よ。」


 俺は、大場に睡眠の魔術で眠らせ、鎧を奪う……。


 「彩香さん、一応分析して置く?」


 「ちょっと見せて……。」


 双葉も気になるのか、聞いてくる?


 狂戦士の鎧


 説明:闘神勇者テツヤが使っていた鎧。ロストニア王家宝具。


 付与:スキル 狂戦士


 「ああ、これダメな訳だ……。闘神勇者テツヤの狂戦士の鎧だ……。俺の血統が受け付けないわ、これ……。」

 

 「どう言う事、正臣さん?」


 「闘神勇者テツヤって、俺の両親、大賢者ラクト、美食勇者改め大錬金術師コハク、そして琴音と鈴音の両親、神の使徒こと反逆の勇者ユウキ、魔眼の魔王レミを、王国と教国、そして魔国に打った張本人だからな……。」 

 

 「で、どうするの?」


 「そうだな……。あの装飾が気になるし……。処分は母さん達に任せるか……。」


 あの装飾品の、魔石がどうも、大賢者の石とか大錬金術師の石に似ているのが気になり、ここでの処分はしない事にした。


 大場に掛かっている、狂戦士の呪いも解いておく……。


 これで、完全に、フリーの大場の出来上がりだ……。


 分析で確認すると……。

大場要おおばかなめ/17歳/男/人族/奴隷/熟睡


職業 / 勇者王LV03 / 


 HP   110/110

 MP   45/45

 STR  120

 DEX  16

 VIT  90 

 INT  12 

 AGI  48

 MND  16

 LUK  13

 

スキル 竜牙剣 勇気 剣士


適性  光、聖 


 「大丈夫そうだな!」


 「その様ね……。」


 「でもこれって……。」


 「「勇者王っぽいの?」か?」 


 人の鑑定を余りしたくないのは、こういった意味不明なことを、悩んでしまうからだ……。


 取りあえず、精神的に弱い部分が露呈し、病気じゃ無い事が確認できた……。


 病気じゃなくて良かったと内心思いながら、勇者王はさらに微妙な立場に、立たされることになる……。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ