47.襲撃者?
ジスト中央広場 公開処刑場
そこには、処刑台の上には断頭台が5台準備されている。
周りでは、多数の住人が公開処刑の開始を待っていた。
俺は最前列に位置し、俺の隣に、彩香さん、琴音、鈴音と順に並んでいる。
そして、俺達の前に特別席として、拘束し全身黒い布で覆われ、視界だけ解放されている、第2王女クリシュナを座らせている。
ラウルが壇上から演説を始める。
「皆の衆、今日は、我が弟ライトとその仲間たちの、公開処刑を行なう。我が弟ライトは、冒険者としてC級まで上がったのは、皆が知っている事であろう。だがしかし、その裏では、我がキリフトス家3男として、権力を振りかざし、強姦、殺人、奴隷の強要等の凶悪な犯罪を犯していた。この事について、私は、ライトが成人した時点で、個人の責任と高を括り、放置していたのも事実である。領主として、皆に迷惑をかけた事、誠にすまなかった……。」
一旦話を区切り、ラウルが頭を下げる……。
ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!
ロストニア王国では領主自ら、頭を下げるなど、初めての事かもしれない……。
それほど住民にとっては衝撃的な出来事だった……。
「そして、このライトと言う犯罪者を放置していた事が、私の罪だと諭してくれた方により、ここに謝罪と責任を果たす事となった。故に、弟ライトの公開処刑を踏み切った……。そして、今後の領地経営をについても、住民達の生活向上を目指し、改革して行こうと思う。不出来な領主であるが、皆に付いて来て欲しい……。これは、領主としての命令で無く、お願いだ……。よろしくお願いしたい!」
そう言って、またもやラウルが頭を下げた……。
ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!…………。
一旦、騒然となった広場だったが……。
パチッ!……。
パチッ!パチッ!パチッ!……。
パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!……。
皆が容認したかの様に、拍手が鳴り響いた……。
今までのお飾り領主が、今、初めて住民に認められた瞬間だった……。
まあ、お飾りは、これからも変わらないが……。
「それでは、処刑を行う……。死刑囚をこちらへ……。」
木材で出来た首枷で、首と手を拘束されている死刑囚達が、処刑場に連れて来られた……。
強姦好きな5人組だから、余程、裸が好きだろうと、全裸での登壇を提供してやった。
まあ、本人の了解を得てはいないが……。
あまり見ても気分の良い物ではないが……、5人の男性器は縮こまり、皮が被っていた……。
「ぶわっ!はっは~!あんなんで強姦してたんだぜ!あいつ!よく目を凝らさないと見えね~ぞ!」
「正臣くん、駄目よ!ここは静かにしなきゃ!」
「にぃ!あれじゃ、処女膜、破れない!」
「襲われた女性の、貞操守られてるかも!」
「いや~!でも、納得いった!ち〇こ、振り回せないから、権力、振り回してたんだな。」
「きっと恥ずかしがり屋!」
「皮まで被ってる!」
俺達が、最前列で大声で騒いでると……。
「アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~!」
「アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~!」
「アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~!」
「アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~!」
公開処刑を観に来ていた住人達が、笑い始めた。
中には、指を差している連中もいる、一応元貴族共だよな。
そして俺の隣で、また人一倍豪快に笑っている、俺の奥さん。
「ブファファファファファファ~アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~!」
「アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~!」
「アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~!」
「アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~アハッハッハッハッハッハッ~!」
「アッヒィヒィヒィヒィヒィヒィ~アッヒィヒィヒィヒィヒィヒィ~アッヒィヒィヒィヒィヒィヒィ~。」
「「フッ~フッ~フッ~フッ~~~。………………。まっ、まっ、正臣くん!これ処刑の雰囲気じゃないわよ……。」
「いいんじゃないか……。恥をさらしたまま死んで終っても、ダンジョンの餌なんだから、何も問題ない……。それに、未練残して、化けて出て来たら、捕まえて見世物にでもするさ。」
ライト達を見ると、声は聞こえる様にしているので、羞恥心に苛まれている。
いや~、お前達の存在が恥だったろうに……。
一人侮蔑の目で見ながら、断頭台を見てみるが、処刑人は現れない……。
あいつ、さぼりやがったな……。
まあ勇者王に伝わっているかも怪しいが……。
「彩香さん!俺、処刑人してくるよ……。」
「大丈夫?正臣くん……。」
「問題ない。覚悟話決まっていたしな……。それに、あいつら殺しても罪悪感は生まれないしな。」
「そう、気を付けてね……。」
「ああ、それと琴音と鈴音も、準備してくれ……。」
俺は、一旦、舞台裏に姿を消し、仮面で顔を隠し壇上へと上がる。
壇上にいたラウルは直ぐに俺だと気付いたようで、予定を進める。
壇の下では、住民たちが大爆笑の真っ最中だ……。
断頭台は、首枷がそのままセット出来るようにしている。|(藤堂正臣作)
ラウルの合図で、一斉に刃を落とす予定でいるが……。
着々と、5台の断頭台に、ライトとその仲間をセットする。
そして、ラウルが片手を高々を上げ、後は振り下すだけとなった……。
ヒュッ!
ラウルに向かい、矢が飛んできた……。
パシッ!
俺は、慣れない刃物で、その矢を弾く。
やっぱり来たか……。
「藤堂様!」
「大丈夫だ!」
『にぃ、見つけた!3人』
『こっちも!4人』
『速やかに、拘束!もう2箇所にもいる!』
『『了解!』』
何事かと、ラウルが困惑している……。
「すまんなラウル、囮みたいになってしまって……。」
「いえ、藤堂様のお考えなら、このくらい……。」
「とっ!そうも言ってられない見たいだな……。」
群衆の中から、不穏な動きをする輩が、壇上へ向かって来た……。
上からだとよく見える。
不穏分子は、それほど実力も無い様だが、奇襲する事で何とかなるだろうと思ってるらしい……。
俺は、8人ほどの不穏分子を把握し、壇の側ギリギリまで、おびき寄せ排除に掛かる……。
まずは、右側の3人組に接敵、裏当て3発。
その場で、膝から崩れ落ちる……。
左側からも、3人来ている……。
短距離転移で、接敵し裏当て……、膝から崩れ落ちる……。
正面から2人、多分、リーダーとサブリーダーって所だろう……。
俺は正面に回り込み敵対するが……。
不穏分子の後ろから、彩香さんが猛虎硬爬山に似た発勁で、一回り体格のいい輩の背中に一撃。
「ウグッ!」
こちらに体が倒れて来るが、軽く手で払い、その場で崩れる……。
彩香さんに気付いた、もう一人が振りむこうとするが……。
彩香さんによる、鉄山靠……?
「ウギャッ!」
もう一人の不穏分子が、変な悲鳴と共に、5mは吹っ飛んだ……。
なんで、そんなことできるんだ……?
『『にぃ、終わった。』』
そんな事を思っていると、琴音と鈴音から連絡が来た。
あっ!こいつ等の影響か……。
『了解、回収班を出すから、壇上に移送してくれ。』
『『無駄はいい、転移で送る。』』
『そうか……。頼む。』
俺が、周りの不穏分子を壇上に投げ込む……。
琴音と鈴音からも、壇上に不穏分子が送られてきた。
どう見ても、全員が冒険者だ……。
ラウルには、領主への反逆者として、この場で冒険者ギルドへの追求する様に、命令する。
「これはどう言う事か?ここに居る23人の者は、冒険者ギルド在籍の冒険者に見えるが……?冒険者ギルド総意での、領主への反乱!そう受け取っていいか!ギルド長ゲシュタル!説明を求む……。」
群衆の後方より真っ青な顔をして、壇に近づいてい来る、壮年の男性がいる。
後には、ギルド職員達10数名が続き、アサギ、メリエルの姿も見える……。
そして、最前列まで来ると、全員で跪く。
「さて、ゲシュタル!どう言う事だ!冒険者の犯罪履歴と素行調査資料の提出が滞っていたが……。今回の襲撃!まさか、借金踏み倒す為にした訳ではないだろうな!事の次第によっては、反逆者としてお前も、ここに登って貰う事になる。」
ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!…………。
ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!ザワッ!…………。
周りが、一気に騒然としだした……。
冒険者ギルドの裏話を住民に暴露したのだ、当然だろう……。
「滅相もございません!私共の存じ得ぬ所で事が、起こっております。その者達の、私怨でございましょう。」
「だがしかし、この者達にも、担当者が付いていたのだろう?そのものが知らない筈が無いではないか!」
見ると、二人のギルド職員の顔が、見るからに青ざめている……。
「うっ!ですが、私の所には報告が上がっていません。何かしらの妨害があったと考えられます。」
「そうか……。ならば、今回の件については、こちらで調査しよう……。現時刻をもって冒険者ギルド、ジスト支部の業務停止をこの場で言い渡す。お前達ギルド職員は、しばらくの間、我が屋敷で軟禁生活をして貰う。今回の件が片付くまで、冒険者も町からの外出禁止とする。尚、冒険者への依頼希望の者は、全て騎士団の方で引き受ける!皆、しばらく窮屈な思いをさせるが、安心してくれ!」
「ラウル様、いくら領主様でも、冒険者ギルドの行動を制限する権限は、ございません!」
ゲシュタルが言う!
「だまれっ!お前達、冒険者がしでかした事、このジストでそれを行使し、住民の不安を煽った事、それだけでも、冒険者ギルドは領地転覆の容疑が掛かっているのだっ!住民の安全を考えれば、お前達を野放しにして置くことは出来ん!それも分からないのか!お前達は、疑われているのだ!私達、領地経営の立場からも!住民からも!そんなに、拘束されるのが嫌ならば、ここに上がって来るがいい……。人の生からも解放してやろう!」
「ぐっ……。ラウル様せめて、他のギルドへの連絡を……。」
「許可しよう。ただ解放する職員は、こちらで選ばせて貰う。この前、王都より異動してきた者がいる筈だな……。その者と、その担当冒険者を今回の拘束から外そう……。来たばかりで、今回の件に関わる事は出来なかっただろう……。その者、前に出よ。」
アサギが、ラウルの前に出る。
「はい。」
「ゲシュタル、この者で間違い無いな。」
「はい、間違いございませんが……。こちらに来て日が浅く、ジスト支部の事を正確に伝えれるとは……。」
「ならば、その隣の者!そなたも前に出よ!」
「はい。」
前に出て来たのは、メリエルだった……。
「この者はどうだ……。」
「それならば、問題ございません……。」
「そうか……。なら、騎士団に案内させる。今の二人以外は、屋敷に行ってくれ……。」
そう言うと、ちらりと俺の方をラウルが見る。
俺が頷くと、ラウルが処刑を再開させる。
「皆の者、すまない!皆を危険な目に合わせてしまった様だ!この23人は、調査終了次第、処罰する!差し当たり、このまま予定を履行する。」
23人の冒険者を拘束し、会議堂地下牢へ連れて行かせ、ライト達の処刑を再開した。
ライト達は最後の望みだったのだろう、目の光が無くなり、虚ろな目をしていた……。
まあ、ライト達の仲間、舎弟だったのだろうと、予測はついていたが、そのお蔭か、冒険者ギルドジスト支部を、完全に掌握できそうだ……。
ニマニマと笑いがこぼれそうな事を隠し、断頭台の側に立つ。
ラウルの手が上げられ、そして……。
今、振り下された。
ザッ!
ライト達の首が、胴から離れる……。
首は転がり、特別席から動けない王女を見つめる様に、停止した……。
異世界組を見ると、目を背けている。
すると辺りに、アンモニア臭が漂い出す、王女が失禁した様だ……。
近藤がスカトロ趣味なら、大喜びだろうな……。
近藤、お前の性癖を変えるチャンスだぞ……!
等と、ふざけた考えしか浮かばない……。
ああ、やっぱりライト殺しても罪悪感なんて微塵もわかないな……。
ラウルに、合図し閉めてもらう。
「皆の衆、これでジストは一つ平和になった、この犯罪者に苦しめられた者もいただろう。私は皆が互いに手を取り合い、共に歩んで行ける町を目指して行く、今日は、皆ご苦労であった!これにて、公開処刑は終了する。解散してくれ!」
本日のメインイベントが終了し、思わぬ副収入と言うべき物も手に入った……。
それでは、次のサブイベントに向けて、準備をするか……。
・
・
・




