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背徳の異世界家族計画  作者: carel
異世界人建国計画編
35/95

34.クロム?


 教会の隣って、言ったからな。


 ジスト教会、教国のジスト支部なんだが、会議堂から見て左手の奥にある。


 町をいったん更地にして、区画整備からしたいな。


 等と考えていると、目的地にたどり着いた。建物は、中世ヨーロッパの教会と言った感じで、屋根には蓮の花を思わせるような十字架が掲げられていた。


 ここが教会か、今日まで避けて来たが流石に、顔位見ておくか……。


 「こんにちわ……。」


 中には、全身黒の服をまとい、首にはロザリオに似た装身具をしている30代半ば位の男が居た。


 「こんな時間に、どうかしましたか?」


 「いえ、私はこの前冒険者を始めたばかりで、回復魔術をこちらでしていただけると耳にしたので、今後の為に、料金などお聞きしたく参った次第です。」


 「ほう、冒険者ですか。失礼ですが、余り強そうには見えないのですけども……。」


 「そうなんですが、やむ得ない事情で、と言う事です。今の所、採取を主にやっているんですが、このところ、魔獣も増えて来たと聞いていますので、怪我をした時の為に、お金を貯めて置こうかと思いまして、参考に教えてもらえませんか?」


 「まあ、本来なら寄付と言う形になりますが、冒険者の方なら生傷も絶えないでしょう。回復に教会頼るのも良い心がけです……。では寄付金の額ですが、場合によっては差異が出ますが、ヒール、キュアが、金貨1枚、ハイヒール、キュアラブルが金貨10枚、エクストラヒール、ラストキュアが白金貨5枚となります。」

  

 「そうですか……、ありがとうございます。……なるべく怪我の無いようにします。」

 

 「そうですね……。怪我が無いのが何よりです。」


 そんな話をしていると、顔を赤らめ修道女らしい女性が入ってくる。


 「司祭様、そろそろお時間です……。」


 「これから何か、あるのですか?」


 「いえ、ここでは、孤児院も営んでおりまして、説法の時間なのですよ。」


 「そうですか。運営の方も大変でしょう。」


 「そんな事は有りませんよ。町の皆も協力してくれますし、子供達も手伝いしてくれてます。贅沢しなければ、運営には支障ありません。」


 「司祭様は、この国の出身ですか?」


 「いえ、私は教国より布教の為に、派遣されてきた司祭です。」


 「そうですか、すいません……、私の為にお時間頂きまして。そちらのお嬢さんも待っている様なので、私はこれで失礼します。」


 「あなたに神のご加護が有らん事を……。」


 そう言い、教会を後にする。


 あの司祭、話した感じはそうでも無いが、話してる間ずっと笑顔でいたのに対し、不審な何かを感じていた……。


 「「にい!来たの?」」


 教会前で考え込んでいると、俺を見つけた、琴音と鈴音が声を掛けて来た。

 

 「お前らを、呼びに来たんだが、ついでに教会も見てみようと思ってな……。」


 「どうだった?」


 「行って来た?」


 「何か分からないが、不自然な感じがしたな……。」


 「そう?」


 「ラウルに頼む。」


 「そうだな……。しばらく情報でも集めてもらうか……。琴音と鈴音はどうだった?」


 「教会の裏、広い。」


 「測量に人手ほしい。」


 「そうか……。明日の朝にでも、皆と戦奴の所に行って、雇用契約を結ぼう……。」


 「後、町の城壁。邪魔。」


 「町の構図も地図にする。」


 「杭と紐も欲しいな、水平器も作って置くか……。」


 「今の作りだと不具合出る」


 「先に道、作る。」


 「それじゃ、手の空いてる人で測量して貰おう。その後、都市設計だな。」


 「上空から写真、撮る」  


 「写真の、構造分からないんだよな……。あっ、でもピンホールカメラなら作れるか?確か印画紙を……って、印画紙が分かんねぇ~。」


 「正臣くん、卵白を使うと良いんじゃない……。」


 「彩香さん。居るなら、そう言ってよ。」


 「それはそうと、面白そうな事、話てるわね。上空に浮かぶのはどうするの?」


 「それは、気球の様な物でも、作ろうと思ってる。水魔法で、水素抽出すれば上がれるでしょ……。」


 「簡単に言うわね。でも、発想はいいんじゃないかしら。」


 「でっ、上から写真で、簡単にってどうですか?」


 「それは正臣くんだから簡単なのよ……。そもそも、気球なんて簡単に造れないわ。」


 「それで、明日にでも、皆で都市計画を練ってほしいかな。 戦奴より人夫の選定もしようかと思ってる。」


 「それにしても、素人の集まりだから、穴だらけね……。」


 「それは分かっていた事だからね……、でも、皆で作った感があるでしょ。学園祭的な、あれだな。」


 「規模が違うわよ!」


 「あっははは~。そうだね。」


 「でも、楽しいわね。」


 「皆も、そうだと良いなあ~。それじゃ、俺達はもう一回ダンジョンに潜ってくるから。琴音、鈴音、会議堂行くぞ、ラウルにも教会の調査を、頼んで行こう。」


 そう言い残し、会議堂へと向かった。


 「ラウルは居るか!」


 「はい!ここに。」


 「ラウル頼みがある。教会の調査を頼む。」


 「教会ですか?」


 「そうだ、教会だ。あそこの司祭の素性、後は人の出入りだな。孤児たちの人数、その増減、出来るだけ古くまで調べてくれ。孤児院を卒院した人の行方も頼む。」


 「何か不審な点でも?」


 「いいや分からない……。だから頼んでいる。」


 「了解しました。藤堂様の期待に、答えれるよう努力いたします。」


 「任せた。」


 そして、地下からダラスダンジョンに向かった。






 ダラスダンジョン21階層


 ここからまた、再スタートだ。


 「ここから、しばらくシルバーゴーレムだろ?全部狩り尽していこうぜ。」


 「了解!手分けする?」

 

 「ここなら、問題ない!」


 「そうだな、下へ降りる所で待ち合せな。」


 「「了解!」」


 そして、俺達の進撃が始まる……。


 もう、無双ゲームも良い所だ……。俺達は、魔力探知で索敵し、見つけた所から狩って行く。所要時間にして20分位だろうか……。索敵に反応が無くなった。


 俺は、待ち合わせ場所に行くと、琴音と鈴音はもう来ていた。


 「にぃ、遅い。」


 「待ち合わせ。25階層手前。」


 「了解、この位なら問題ないだろうし、そうしよう。」


 俺達は、無双状態で次々と資材確保に励み、約1時間で24階層最奥までたどり着いていた。


 「それじゃ、25階層もサクッと終わらせるか。」


 そして25階層、程無くしてボス部屋に到着した。


 出て来たのは、ゴールドゴーレム。


 シルバーよりも弱そうに見えてるのは、俺だけだろうか……。


 「にぃ、このゴーレム遅い。」


 「魔力量は多い。」


 「そうだね、重量に問題があるんだろ……。」


 そう、巨大な金塊が動いてる。


 ボーナスステージに突入した様だ……。


 俺達は、ピンポイントで、魔石を取る事に成功、ゴールドゴーレムの形を残したまま無力化した。


 「魔石も、随分大きいな。」


 「母さん、喜ぶ。」


 「巨大ロボ作成。」


 「何だろう、母さんに預けるのは危険すぎる気がする……。」


 「問題ない。」


 「今さら。」


 「………………そうだな。」


 母さんの性格は諦め……、俺達は、26階層に進む


 26階層、パターンで言えば上位に変わるのだが、出て来たのはロックゴーレム……。岩だ……。 


 「う~ん……。素材要るか?」


 「ピラミッド作成に……。」


 「日本庭園で……。」


 「それじゃ、出て来たのだけで十分だな……。」


 「真っ直ぐ下る。」


 「最短で攻略。」


 「ふぅ~。行くか……。」


 特に素材もいらないので、30階層に向かう事にした……。


 30階層までは、単純作業の繰り返しだ。

 

 1時間で、30階層に到着、ボス戦となる、ここはオブシダンゴーレムとなるはずだ……。


 アブレシブジェットで一掃し、回収する。


 31階層、そろそろ18時になるだろう。転移魔法陣を置くことにし、場所を探す。


 途中、クロムゴーレムと遭遇、倒すことが出来たが思いのほか固く、時間が掛かった。と言っても、微々たるものだが……。


 転移魔法陣を敷き、会議堂に転移した。安奈に報告に執務室へ行く。


 執務室には彩香さんもいて、明日の航空写真の事を話していた。

 

 「「「ただいま!」」」

 

 「「お帰りなさい!」」


 「彩香さん、ダンジョンに クロムゴーレムまで出て来たよ……。」


 「へぇ~。面白いわね。この分だと、ウラン鉱石とか出るかしら?」 


 「それって、危険だよね……。」


 「まあ、危険ね……、でも科学と錬金が中世レベルで、クロムってのも…………。正臣くん、地球で言う賢者の石って知ってる?」


 「聞いたことがあるのは、等価交換的なのと、パーティーの全体回復位かな?」


 「ええとね、実際にそう呼ばれている鉱石があるのよ……。」


 「そうなの?……って言うと、ゴーレムも出てくる可能性があると……。」


 「あくまでも可能性としてね……、名前は辰砂シンシャ、硫化水銀ね。鉱石としては特に問題は無いと思うけど……。」


 「物騒だな……、水銀って。」


 「そうね。でも液体として、出て来るようであれば、対応策が必要ね……。」


 「どうすればいい?」


 「確か水銀の保存に、鉄の密閉容器、使ってた筈ね……。」 


 「それじゃ、ドラム缶と……、掃除機の強力なの、作ってみるか。」


 「それ!水銀!私も欲しいわ。色々、実験できそう……。」


 「そうなんだ……。」


 「知らない?化学って、地球の錬金術師たちが、水銀とかで色々作って発展したのよ。」 


 「へぇ~。……そうなると、ダンジョンマスターが怪しいな、地球人かも知れない……。」


 「まあ、可能性の話だからね……。」


 「もしそうだったら、締め上げて聞いてみるか?」


 「程々にね。」


 「そういや、明日の話してたんだろ……。」


 「そう、安奈ちゃんと詰めてたの、って言っても、やっぱり、測量してからじゃないとね~。」


 「明日、鍛錬終わったら、航空写真撮ろうか。」

 

 「印画紙の方は、準備出来てるわ。正臣くん、紙準備してくれてたから直ぐ出来たわ。後は、定着剤の準備して、写真の準備終わりね。」


 「大きな布に、ニス塗れば水素を逃がさないだろうから、風船部分はそれで良いとして、搭乗部作らないといけないな。夕食済んだら作るか?」


 「にぃ、母さんに相談。」


 「大型飛空艇、頼む。」


 「一応、相談してみるが、隠しきれなくなりそうだな。」


 「「光学迷彩で隠蔽!」」


 「無理有るだろ!」


 その後、夕食、風呂を済ませ、屋敷地下研究室に向かった。


 「母さん、空に上がるのに、気球でも作ろうかと思うんだが、何か他に方法ある?」


 「あら、久々に来たと思ったらそんな事、風魔術使ったらどうなの?」


 「簡単なのか?」


 「練習が必要ね。他にも重力操るとかあるけど、今一理屈が分からないわ、空間魔術の現象も何なの?ってね。」


 「それじゃ、気球作った方が速いな。」


 「そうね、時間があれば、私が飛空挺部隊作るわよ。」


 「まあ、小型の物なら、何機か作って貰っても構わないけど……。」


 母さんの作る物は、全てアーティファクトになるんだが……。


 「大丈夫よ、心配しないで、自制するわよ。」


 「……この前、俺、馬車作ったけど、ちょっと弄ったら装甲車になったよ……。その時、血は争えないって思ったけど……。」


 「まあ、その辺はしょうがないんじゃない。安全考えるとね。」


 「う~ん……。やっぱそうなるか……。それと、ホムンクルスはどうだ?」   


 「順調に成長してるわ。見てみる?」


 「うん、見せてもらうよ……。」


 そして隣の部屋に移る。


 そこには、子宮に見立てた透明な円柱形のケース、中は羊水と同質の液体に満たされ、上部より様々な管が通っていた。


 その中に、大きさにして3cm程の胎児が浮かんでいる。


 「どう?凄いでしょ……。」


 「凄いけど……。1週間くらいで、この大きさって……。」 


 「通常の3倍のスピードね……。」


 「赤い彗星かよ!」


 「冗談よ……。10倍くらいね。回復魔術で細胞を活性化させて、細胞分裂のスピードを調整してるのよ。」


 ずいぶん、簡単に言ってるが。


 この生物に魂が入っていない、ゴーレムと同じただの人形なのだと説明も受ける。

 

 1月ぐらいで、赤ん坊の大きさになるらしい。


 俺は、さっき取って来た素材を、母さんに預ける事にした。


 「随分、深くまで潜って来たんじゃないの?」


 「まだダラスダンジョン31階層だよ。」


 「ああ、あそこ潜ってるのね……。」


 「行ったことあるんだ……?」


 「王国は、最初にあそこに潜らせるからね。変わって無ければ51階層で終わりね。」


 「それじゃ、もうすぐだ!」


 「あそこのダンジョンマスターは、こっちの世界の転生者ね、確か王国から爵位貰ってる筈ね。あの時、殺しておけば良かったと思うわ……。」


 「えっ!って言う事は……。」


 「攻略済みよ!」


 「母さん、何かしただろ……。ゴーレムの種類が偉く細かいんだよ……。」


 「そうね、攻略した時、泣いてすがって来たからコアを壊さないで上げたのと、後は異世界の知識を少々……。」


 「それかっ!……もしかして、ダンジョンマスターって、来た人とかも分かるのか?」


 「名前と職業ぐらいは、把握できるみたいな事、言ってたわ。」


 「そうか……、勇者が攻略に来たから、条件反射的に氾濫、起こさせたのか……?美食勇者の弊害が、ここまでとは……。」


 「失礼ね!彩ちゃん死にそうになったって聞いた時は、殺しに行こうかと思ったわよ……。でも、正くんがするでしょ!一応、自制しました~。」


 「そうだな、ダンジョンマスターいなくても、問題ないか……。」 


 「何なら、ダンジョンコア、私が貰うわよ?」


 「……、危険な臭いがする……。何に使うつもりだ?」 


 「ちっ!気付いたのね……、防衛設備よ……。」


 「ゴーレム軍団でも作るつもりか?」


 「鋭いわね、その通りよ……、ダンジョンコアでまとめて制御できるから、効率的だと思うの。それに、都市同士の輸送路、交通の確保に、ゴーレムを使う事も出来るわね。」


 「なるほど、インフラ整備にゴーレムを重機代わりに投入、魔力の供給を行なってれば半永久的に動けるって訳か……。悪くは無いが……。」


 「ダンジョンポイントが心配?ポイントって言っても、魔素の溜り具合と言ったものらしいから、そこは、私の魔力増幅、魔力効率上昇、必要魔力軽減装置の出番って訳ね。そして、冒険者に定期的に入って貰えれば、それなりにポイントが溜まるんじゃないかしら……。」


 「まあ、そのまま潰れても問題ないし、それでやって見ようか。その前に攻略が待ってるんだけどな……。」


 「そうね……、私達もただ待ってるのもなんだし、付いて行こうかしら……。」


 「それは、心強いんだけども、その容姿を何とかしてからな……。」


 そう、母さん達の容姿は、魔改造してから変わっていない。


 「そうね、そろそろ飽きて来たから、変えようと思ってたの。今度はどうしようかしら?」 


 「目立たない様に頼む……。外套、羽織れば分からないだろうが、それでもだ。」


 「分かったは、今度は仮面付けてる感じに隠すから、心配しないで……。」


 その後、カメラ、掃除機、ドラム缶、気球等、助言をもらいながら作成した。


 その結果、魔術付与の仕方によって、ピンホールカメラが、人造偏光板を使ったオートフォーカス付きの写真機、掃除機が、選別機能付きの吸引装置、気球が、ヘリウム型の光学迷彩付き小型飛空艇へと変わる事となった……。


 

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