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背徳の異世界家族計画  作者: carel
勇者救出計画編
33/95

32.会議?


 勇者救出から5か月……。


 


 ロストニア王国 謁見の間


 エルシュタイン王を始め、幹部たちは苦悩していた。


 「勇者長谷川は、まだ起きないのか?」


 「はいっ!強力な呪いに掛かっているようで、教会にお願いしていますが。原因不明の呪いの為、対処が出来ておりません。」

 

 「そうか。引き続き解呪を試してくれ……。」


 「あのダンジョン突入から何かがおかしい……。」


 第2王女クリシュナの失踪……。


 勇者召喚魔法陣の消失……。


 ダラスダンジョンの崩壊……。


 そして、つい先日、王国南西部の貴族達によるロストニア王国からの独立宣言、ストレンジ評議国を立ち上げられ、魔族との戦争に関わらないと言われた。


 王都からも、戦争を嫌って出て行く人も多いと聞く……。


 他の貴族領も同じようで、廃村になった村も存在するらしい……。


 貴族達からは、独立を認めないとの声も多いが……。


 「どうしたものか?」


 「何を迷っておられるのですか!我が王国騎士団に掛かれば、南西領の貴族達の反乱など一捻りです!」

 

 「シュトバルト殿、その考えは早計すぎます!」


 「しかし、騎士団長の言う様に、このまま南西領も放置できません!」


 「南西領に、軍を送る……か?」


 「王よ、私にその役目、お任せください。私が早急に解決して、ご覧に入れます。」


 「騎士団長、そなたを信用していない訳ではないが……。」


 「それでしたら、私めにも、南西領平定の任をお与えください。騎士団と協力して必ずや解決いたします。」


 「騎士団と魔術師団か……。戦力としては申し分ないな……。よしっ!そなた達に命じる!騎士団と魔術師団を率いて、早急に南西領の反乱を抑えて見せよ!」


 「王様!宜しいのですか?」


 「宰相、そなたの言いたい事も分かるが、こういう事は、直ぐに行動した方が上手く行くものだ。向こうが安定する前に、抑える必要がある。」


 「その通りでございます。しかし、貴族達は自前の騎士団を持っており、4貴族合わせて約1万ほどおります。向こうが何も対策をしていないと、考えない方がよろしいかと、存じ上げます……。」


 「そうかも知れぬ……が、王都に居る、騎士団、魔術師団、後は一般兵を合わせれば5万になる。早急に進軍すれば、貴族共も直ぐに兵を集める事は出来まい。」


 「さすが、我が王、軍略も長けていらっしゃいます。それでは、私達、騎士団と魔術師団は、出陣の準備がございますので、失礼させていただきます。」


 「そうか、良き知らせを期待している。」


 「「はっ!ロストニア王国の為に!」」


 そう言って、騎士団長シュトバルト、魔術師団長ロイドは謁見の間を出て行った。


 「王様!本当によろしいのですかっ!」


 「宰相よ、こうしなければ成らないのだ!勇者達が居なくなった今、魔族との戦争を控え、南西貴族達に離れられては、王国が滅びてしまう……。力尽くでも従って貰う他無い!」


 「王国の未来が掛かっていると……。」


 「宰相、分かってくれ……。」


 「分かりました、王様。この宰相サイフリート、最善を尽くさせていただきます。」


 そんな事を話していると、にわかに、謁見の間の外が騒がしくなって来た。


 そして、扉が開け放たれ、王城警備の騎士が駆け寄って来た。


 「失礼します。早急な要件でしたので、御無礼お許しください。」


 騎士は顔面蒼白で話をする。


 「何者かが、城に侵入、国庫が空になっております!」


 「「なっ!なんだと!」」


 そんな馬鹿な話、信じられない。


 「お前達は、何をしておったのだ!」


 「国庫の警備騎士は、みんな、昏倒させられており、金庫の中にこんなものが……。」


 そう差し出された紙には、『王国の資金は頂いた!怪盗ノレパソ3世』


 「何だこのふざけた物は!」


 そうするとまた一人の騎士が、謁見の間に駆け込んでくる。


 「失礼します!至急の用件です。宝物庫が空になっております!そして中にこんな物が!」


 また似たような紙が差し出される。『宝物庫の中身は頂きましたニャ。キャット(猫耳)イア』


 「何なんだこれは……。」


 「失礼します……。」


 また、謁見の間に警備騎士が来た。要件の予想がついているが……。


 「何者かが、書庫に侵入、全ての書が消えております。」


 「紙があるのだろ……。早く出せ!」


 そこには、『怪盗サンタテール、禁書貰い受ける!』

 

 「………………。」


 「失礼します!」


 「今度は何処だ!」


 「……食糧、備蓄庫です……。そしてこれが……。」


 『怪盗子ヤギ。美味しく頂きましたメ~。』


 「犯人を見た者は居ないのか!」


 「意識を取り戻した警備騎士の証言ですと、男3人組、一人は赤のジャケット、もう一人は黒尽くめで帽子姿、もう一人は、灰色のクロスティールの民族服、確か着物と刀を装備しているとの事です……。」


 「私が聞いたのは、女性3人組、全員が体にピッタリとした服で紫、青、黄色の色分けしてました、そして頭に猫の耳をかたどった物を付けていたとの報告です。」


 「私は、全身赤で袖口とかがフワフワの足を顕わにした服の女性で、髪は後ろで束ねていると聞き及んでいます。」


 「最後に私の所では、筋肉隆々で山羊頭だったそうです。」


 「何だそのまとまりの無さは……。」


 「至急、その者達を捕まえろ!このままでは……。」


 今は、10の月、徴税したばかりで、国庫、食糧庫共に潤っておったのだぞ!それを……。

 

 「王様!食糧庫と国庫の被害が、痛すぎます……。これでは国の維持も困難かと……。臨時徴税令を……。」 


 「何なのだ、これはっ~!」


 「王家、貴族達の資産も一部解体を……。」


 「そんな事出来るか!それでは、王家の権威も無くなるではないか!」


 「そんな事を言っておられる、事態ではございません!直ちに御採決を……。」 


 うるさい!そんな事は分かっている!不意に宰相と目が合う……。


 「宰相、確かお前の領は、鉱山資源の経営で資金が潤っていたな……。」

 

 「はっ?何を仰られているのでしょう、王様……。」


 「お前の領を解体すれば、国庫が潤うと思うぞ……。」


 「そっ、それでしたら、他の貴族領でも宜しいのでは?」 


 「なにお前の所が、一番、儲けているだろ……。」


 「ふっ、ふざけるな!この愚王!元はと言えば、お前の勇者召喚の所為だろうが……。」


 「余に刃向かうとはな……。宰相が反乱を起こした!直ちに捕らえよ!」


 この決断で、王国滅亡へ更に加速されて行く……。



 時は、さかのぼ


 勇者、救出から1週間……。


 藤堂屋敷には、俺、琴音、鈴音、橘彩香たちばなさやか、アサギ、ファナ、山城安奈やましろあんな百地忍ももちしのぶ斉藤双葉さいとうふたば斉藤雫さいとうしずく、クレア、レイラ、エスト、ルー、エミル、アイシャが住み、離れ家には、斉藤大地さいとうだいち、ぺトラ夫妻、屋敷地下には、大賢者ラクト、美食勇者にして大錬金術師コハクが住んでいる。


 なぜ、ルー、エミル、アイシャがいるかと言うと……、勇者を引き連れての帰還の時に、キリストフダンジョン駐屯地に寄った際、アイシャが……、ジストの町ではルーとエミルが……、琴音と鈴音により、半ば強引に藤堂家への輿入れが、決まってしまった訳で……。


 そして、5日前に屋敷内にて、関係者だけ集まって、まとめて結婚式を済ませている。


 もちろん、初夜も全員|(ファナ以外)、経験済みである。


 到着後、約束通り、直ぐに彩香さんと事に至った訳だが……。色々あった分、朝まで際限なく、お互いを求め合った結果、次の日、琴音と鈴音に白い目で見られ「やり過ぎ!」との注意を受けた……。


 故に、全員にアーティファクト級の結婚指輪がはめられている。防御面はもちろんなのだが、今回は、ジェミニズリング同様の機能が付与された。そう通信機能だ!16人の魔力の波長を替える事により、それぞれに、通話が可能になると言う優れものだ。凄いよコハえもん! 


 他の勇者達はと言うと、迎賓館を男子寮として、女子はキリフトス家の新屋敷の方に住んでもらっている。キリフトス家の新屋敷ってのも、名前変えないとな……。とりあえず、会議堂とでもして置こうか……。


 そして、ノットくんなのだが、ラウルに今のキリフトス家の現状を聞き、卒倒していた……。


 そして、ライト達5人に至っては、3日後にジストの公衆の面前での処刑が確定している……。


 冒険者ギルド、ジスト支部も、了承していた。そもそも、ジスト支部が借金を負ったのは、ライト関係者の所為なのだから……。


 そして、ジストの町には新たに宿屋と道具屋が出来ていた。


 そう、サクさん達と、マリルが移転して来たのだ。


 サクさんの宿屋は、『美食亭』と名を変えており、カレーを前面に出しての営業で、特に昼食の売り上げが宿の売り上げを超えてしまってる様だった。   

 ほぼ毎日、異世界組が、食べに行っているのだが……。


 わざわざ、王国内の遠方から、食べに来る人もいると言う……。


 マリルの出した道具屋も、俺に弟子入りした所為か、魔術による商品作りに変わっており、品質が激変していた。


 元々、魔族としての魔術の素質があったのを、人族に合わせていたのだから、不具合が出るのは当たり前であり、そこを修正してからはメキメキと実力を伸ばしている……。


 奴隷になってるのは変わりないが……。


 錬成師として、LV8までに上がっている。


 間もなく、錬金術師も視野に入る頃だろうが、そこは残念属性、魔術師レベルがLV2のままだ……、マリルも鍛錬に参加させてみるか……?


 追加情報として、山城安奈やましろあんなに好意を抱いてたと思っていた、吉田くんだが……。


 マリルが33歳の合法ロリだと知ってから、道具屋に入り浸ってる様だ……。吉田くん、ロリだったのか……。


 俺の嫁達だが、アサギが冒険者ギルド、ジスト支部の受付で働くことになり、クレア、レイラ、エスト、ルー、エミルでパーティーを結成、アサギの担当になった。


 アイシャは、元キリストフ家騎士団、現藤堂家、魔闘部隊の隊長に就任、後続の育成に励んでいる。


 元キリストフ家騎士団は、ただ魔術を覚えろと、放置していただけだったので、余りうまく行って無かったみたいだ。


 ダンジョン駐屯部隊の方は、鍛錬法が上手く浸透して来たので、ゼフォードに任せていれば大丈夫と言う事らしい。 


 そして、アイシャの隊長就任の時に、一悶着あった。元団長がアイシャに絡んできたのだが、数日とは言え、魔闘術を習った身、そんな馬鹿剣術が通用する筈も無く、アイシャの魔術剣によって、またしても、剣を折られてしまった……。


 それ以降、絡んでくることは無いようだが、アイシャの鍛錬法に納得がいかず、1人別行動で訓練している。この分だと、一番弱くなるだろう……。 


 ファナは、サクさんの所に通いで、働きに行くようになった。ファナも、朝の鍛錬に付き合う様になり、体力の向上が著しい……。ファナは16歳までは婚約者と言う事で、説明してある。


 そして、異世界組なのだが……。


 今現在、会議堂にて集まっている。ここには他に、ラウル、ノットくん、ドリエル侯爵家長男サミュル、ホーミル子爵家長男ジャーク、エネランド子爵家次男デリス、武器商人ギーグル、奴隷商人デリナスもいる。


 「それでは、異世界をよりよく楽しむために、何をするか会議します。多くの意見が出る事を期待し、開催致します。」


 「藤堂さん、まず私から宜しいですか。」


 「はい、吉田くん。」


 「まずは、国を建てる前提として、四貴族家の併合が急務かと思います。その後で、王国との宣戦布告を考えなければ、ならないと思います。」 

 

 「吉田くん、違うよ!まず最初は、米の入手だよ……。」


 「こっ、米ですか……。この世界にあるのですか?」


 「ああ、俺の情報では……、有る!」


 「それなら私も欲しいです……が、王国はいいのですか?」


 「私はね、サクさんのカレーをご飯に掛けたいんだよ……!考えてもみたまえ、一生この世界で暮らさなければいけない事が確定した今、食事の改善が最優先事項だと言う事を、認識したまえ!君は私の提供した肉を食べて、どう思った……。」


 「大変美味しかったと……。」


 「あれと一緒に、ご飯を食べる事を想像したまえ……。」


 「ズズッ~。すいません……。涎が……。」


 「皆はどう思う、食事か?戦争か?」


 「分かりました。国を建てる上で必要な物の決を採りましょう……。」  


 「国の基本方針が最優先事項に食事の改善、で良いと思う者は挙手してくれ。」


 吉田くんの、言葉で皆の手が、一斉に上がった。


 「戦争については聞くまでも無い様ですね。」


 「それでは、食事の改善に決定しましたが、まずはどうしますか?」


 「商人代表、ギーグル、デリナス現在の状況はどうだ。」


 「はい!藤堂様に言われた通り、クロスティール諸国連合との貿易路を構築中です。向こうから国が出来たら、連合加盟しないかとの誘いも受けております。」


 「米に関しては、商人ギルド経由で馬車1台分入手に成功しております。」


 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「お~!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 「よくやったっ!」


 「「これで、あと10年は戦える。」」 


 「琴音、鈴音、それを言ってしまうと、後、2か月で滅んでしまう。撤回してくれ……。」


 「「撤回する。」」


 「と言う事で、急遽、田んぼを作る事になりました。皆さん宜しいですか?」

 

 「それはいいんですが、場所はどうしますか?」


 「ラウル!」


 「はい!ここより南に平原が広がっており、東の山より川が流れ水利もあり農地に適しておるかと思われます、そちらをご自由にお使いください。」


 「よし!そこに、管理農園を作ろう。今年から作りたいが、まずは、塩水して種まき、錬金でハウス建てるか、ガラス張りで問題ないか……。土地も耕さないと、土魔術で一気に!こっちだと、魔力も関係してきそうだが、その辺はどうなんだ?田んぼの水温、水量の管理は魔石で出来そうだな……虫とかも結界で弾けるか?。とりあえず植えてみるか……。人手もいるな、戦奴を解放するか……、うん!そうしよう。」


 「……堂さん!藤堂さん!」


 「うん、どうした?」  


 「いや、藤堂さんが何やらぶつぶつ言いだしたので……。」


 「田植えしたいな~と思っていたんだが……、どうだろう?」


 「いいですね……。でも、ノウハウのある人っていませんよね?」


 「そこは、理科のスペシャリストの知恵をいただきます。」


 「正臣くん、基本は分かるけど、応用は利かないわよ……。」


 「俺の実家が農家だった。俺も、ある程度なら分かるぞ。俺も米は喰いたいしな……。」


 近藤の実家が農家らしい……、これに関しては任せてみよう……。


 「頼む事にしよう、近藤に任せよう。俺達よりは戦力になるだろうし……。米の為なら、俺達も協力を惜しまないから、何かあったら相談してくれ。」


 「そうか、とりあえず、塩と卵を準備してくれ、それとビニールハウスの代わりになるようなものだが、お前の魔術で作れないか、ガラス張りの建物を頼む、それと、苗箱も欲しい、後、土魔術師も貸してくれ、区画整備もしなければならないし、土も作らないと……。種まき機、田植え機は無理だろうから、人手も欲しい。何かあったらまた頼む……。」


 「それじゃ、異世界組から補助人員募集と、戦奴の中から、農業従事の雇用契約者を募ろう。国を建てるにあたり、農業部門は近藤管理としよう。農地管理者の育成もお願いする。出来れば、この世界の主食の小麦、大麦も生産体制を整えてくれると助かる。」 


 「おう、任せとけ。皆も協力の方よろしく頼む。」 


 「吉田くん。国を作るには、まずは食糧の安定供給を考えないといけないんだ……。まあ、俺達の食事の改善が理由だが、住人達が笑って暮らすには、飢えさせちゃいけないって事だね。」


 「そうでした。戦争は全てを無くすものでした。」


 「それでも、守るだけの力は必要だよ。戦争を放棄するって言うだけじゃ、相手に付け込まれるだけだしね。どこかの馬鹿な野党が、くれてやれば良いのだ!なんて、寝言ほざいていたがね。ああ、少し前に話題になった国会前で騒いでた学生運動家もいたか、確かスーフリー?だったか?」


 「それって、集団強姦事件でしたよ確か?」


 「まあ、似たようなもんだろう。人が集まれば色々いるからな!」


 「何か、法整備もしないと駄目に思えてきましたよ。」


 「その為に、次の議題に移る。明日のためにその2!だな。教育機関の設置だ。」


 「右ストレートですか?」


 「教育と言ってるんだけど……。学校を建てよう!」


 「何を教えるのですか?」


 「文字と計算だ。そして集団生活で道徳を学んでもらう。ついでに、魔術と武術の可能性だな。」


 「誰が教えるのです?私達はこっちの世界の文字なんか教えれないですよ……。」


 「ラウル!」


 「はい!執事長を呼んできます。」


 「と言う事だ、吉田くん。我々が教えるのは、四則演算だ。この世界の住人は数しか数えれないのが殆どだ!数字の概念さえあやふやだ。そこで、アラビア数字を広める。どうせなら、文字から教える方が簡単だしな……。魔術と武術は、体育教科って感じだな。我が流派の魔闘術を教えるつもりだ。何なら、忍の剣術、鳴子くん達の空手でもいい。給食も無料で提供しよう。そうすれば、人も集まるだろう……。」 


 「なかなか、良いと思います。小学校レベルでしたら私達全員、教職につけますね。」


 「皆も、時間を見て教職についてくれ。自分の教えれる範囲で良い。教え方などは、近藤や彩香さんに聞いてくれ。代表は彩香さん頼む。」


 「そうね、近藤先生は農業部門になってるし、しょうが無いか。教育部門は私が引き受けるわ。でも、補助に一人欲しいかな……。」


 「う~ん……。忍!どうだ?」


 「分かった~。」


 おっとりとした口調で、百地忍ももちしのぶは了承してくれた。


 不安が残る、人選とは思うが、素直で誰からも好感を持たれている。割りに上手く行きそうな気もする……。 


 「それでは次の案件、明日のためにその3!治療院の設置だ。」


 「なぜ治療院なのでしょう?」


 「吉田くん、この世界で怪我や病気をしたらどこに行くと思う?」


 「教会ですよ。それくらいは、勉強しています。」


 「では、教会の治癒費用はしているかな?」


 「それは……。知りません……。」


 「エクストラヒールで白金貨5枚、ヒール、キュアで金貨1枚だ。」


 「高いのですよね?」


 「ああ、ぼったくりだな。普通の住人が出せる額では無い。ただの切り傷、ただの風邪で死人が出る世界だ!それを払拭したい!そして、解剖学だが、この世界では教国が邪教認定している。皆も、知っての通り、魔術は万能だ!解剖学と回復魔術のセットでもっと強力になる。解剖学と言っても、人体模型図を知っており、怪我の処置も洗浄、異物除去、組織の結合と、順を追って行なえば、ただのヒールがエクストラヒールになりえる。そして、質の良いポーションも安定供給出来そうだと思っている。」

 

 「死人の減少で、人口の安定を図るんですね。生産性を上げるのに良い事だと思います。」


 「マリルにもポーション作成を頼もうと思っている。戦奴の雇用先も増えるだろう。そして、この治療院を教会の隣に建て、教会の権威を失墜させる。責任者は、双葉に頼む、雫も手伝ってくれ。」


 「それじゃ、院長が私で、副院長が雫ね!雫も錬成職出てたでしょ。ポーション作れる様になってるんじゃない?」


 「うん、今度、試してみる。えへへ。お姉ちゃんと一緒だ……。」


 「それじゃ頼むよ。それと何で、聖女職出てるんだ?」


 「多分、医大目指してたからかな?解剖学も少し勉強してたし……。」


 「そうか、残念だったな……。こっちだと、大学無いしな。」


 「ううん、良いの。人を助ける職には変わらないから……。こっちの世界で頑張る事にしたの……。」


 「何かあったら相談乗るから、無理はしない様にな。」


 「それじゃ、藤堂さん!次の議題に行きましょう。」


 「後は、孤児院の経営、ダンジョン管理、軍務関係と財務管理に外交関係、土木、建設、治水、通信、研究機関、住民の把握は急務だな!」


 「今日だけで終わりそうに有りませんね、住民の把握からしますか?」


 「住民登録しようか。国や町に余計な者が入らない様に、結界を掛けて、認識票を渡すとかして犯罪者を入れない事にしよう。認識票と結界は俺が作るとして住民登録に来てもらうか?理由は……、治療院の半額での提供と最低限の食糧保証、犯罪防止の為とでもして置くか。」


 「まあそんな所ですか……。これに孤児院も含めましょう。」


 「教育、治療院、住民登録をセットで提供しましょう。孤児院も名前が悪い、そうだな……、若草寮とでもしよう。」


 「良く育ちそうですね。」


 「担当は……。」


 「私に、やらせて下さい!」


 そう声を掛けて来たのは、沼津愛美ぬまづまなみ元生徒会副会長だった。


 「理由は有るのかな?」


 「はい!私、今年から保育士の学校行くことが、決まってたんですが……、その……。」


 「分かった。やっぱり、皆そうなんだよな。この勇者召喚で、夢が潰えているんだよな……。」

 

 「よろしくお願いします……。」


 「それじゃ、お願いするよ、沼津さん。それと、住民登録もしなきゃいけないから、他には……。」


 「私がします!」 


 「君は……。」


 「現生徒会の書記をしていました。御厨来夢みくりやらいむです。事務仕事は得意です。」


 「それじゃ、御厨さんも頼むよ。後は、人員も欲しいだろうし、使用人と戦奴の中から出来そうな人、探しておく。」 


 「次は財務管理が重要ですかね?」


 「まあ重要なんだが、これは新旧生徒会の会計に任せたい。それとこれは、余談だが、王国、教国から金は巻き上げる!それを資金に、インフラ整備も行いたい。兵士、戦奴の手が余ってる、自衛隊も土木工事のスペシャリストだったし、工兵隊の育成には持って来いだな。」


 大まかに、元生徒会会計、堀田一斗ほったかずとには、軍、インフラ整備の財務管理、現生徒会会計、来栖翠くるすみどりには、国の管理する施設等の財務を担当して貰う事にした。


 「それじゃ、二人ともお願いするね。特に重要な仕事だし、疑われやすい立場になるとも思う。連絡は密にして、書面にも残して置いてくれ、基本的に情報は開示の方向で頼む。異世界組には、特に秘密にする必要も無いと思うが、疑わしい行動は控えてくれ!」


 「分かりました。でも大丈夫だと思いますよ。私腹を肥やしても、使い道がありませんし……。」


 「使うって言っても、美味しいもの食べたい位ですし。藤堂さんの所が一番美味しい物を、提供してくれてますから、それも無料で……。」


 「そうなんだよな、娯楽の提供も考えないと……。食事だけってのも、寂しいからな……。」


 そう、この世界には娯楽が少ない。歓楽街の整備とサブカルチャーの提供もしないと……。って、いるな!


 氷室沙希ひむろさき、映研、大山弥生おおやまやよい、漫研、斉藤雫さいとうしずく、漫研で日本のサブカルチャ―を提供して貰うか……。


 「活版印刷の技術開発、映写機も作るか……。開発部門を立ち上げよう。」


 「それは、いいですね。色々と幅が出てきます。」


 「そうだな、魔法陣の組み込む術式も日本語で可能だし、魔石の集積回路何てのも作ってみるのもいいかもな……。この担当は、氷室さん、大山さん、そして、雫も参加してほしい。」


 「分かりました。」


 「うっひゃ~。妄想が加速しそうです。」


 「私もですか?」


 「まあ、思いついたら試してみてよ。詳しい事は俺、近藤、彩香さんに聞いてくれて構わない。皆もこんな物がほしいとかは、開発部門に相談してみてくれ。」


 後は軍隊、ダンジョン、資源、外交、まだまだ時間がかかりそうだ……。



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