表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
背徳の異世界家族計画  作者: carel
勇者救出計画編
2/95

01.異世界?

 「こっ……ここは……?」


 周りを見渡すと、地面か青白い光が収束していくところだった、光は幾何学模様とも取れる文字列から発光しており。その光の中に23名の人影をとらえることが出来た。


 魔法陣っ?


 中には橘先輩の姿も見える、まだ、意識を覚醒してない者や、頭を振って意識を取り戻そうとしてる者がいるが、とりあえず命にかかわることは無い様だ。


 魔法陣らしきものの周りを、等間隔で一周するように囲んでいるローブ姿の人たちも見える。


 光の収束が終わり23名全員が意識を取り戻した、一旦、暗闇になると周りを取り囲んでいる者により、明かりが灯された。


 「ようこそ、勇者様方。」


 一人の高級そうな白いローブ姿で金髪碧眼の女性が、声を掛けてきた。


 その一言でかなりの衝撃を受けた。


 多分、これ集団異世界転移だわ~。これっ、無いわ~。


 かなり凹んでしっまった。就職も決まり順風満帆な人生設計を建てた……。矢先にこれである。凹んでいる俺を他所にローブの女性は続ける。


 「こちらでは、何ですから謁見の間まで御足労お願いします。詳しい話はそちらで致したいと思います。」


 くっそ~、納得はしてないが話を聞かない事には、どうしようもないか。


 渋々、立ち上がり歩こうとした所で、後ろから服の裾を引っ張られた。振り向くと美少女二人が立ち、服の裾を摘まんでいる姿が見える。


 「「にぃ~。」」


上目使いで見つめてくる、こいつ等は間違いなく妹達である。

 


 アレッ~~?霧に飲まれる際、逃げろって言ったと思ったんだが。いつもの彼女達なら、名前呼べば大抵理解してくれるはず。なぜ、ここにいる?


 顔からドンドン血が失われて行くのが分かる。


 「「にぃ、大丈夫?」」


首を傾げて、見つめる二人。


 「ああ、大丈夫。ちょっと考え事してただけだから。」


深く息を出し、呼吸を整えて誤魔化す。


 はぁ~っ、レバーブローからガゼルパンチ喰らった気分だよ。


 二人を見ると、何故かシャドーボクシングを始めている。ちょっと怖い絵面だが、いつもの二人を見て落ち着いたようだ。


 問題はこの後のデンプシーロール……じゃなくて、謁見の間での話か……。


 パターンとしては、


 1、魔王が復活して魔族が攻めてくるので魔王討伐して。


 2、魔族と人族が戦争中、魔族軍を倒すには勇者の力が必要。


 3、各種族で戦争中、人族の勇者として武を示し人族を勝利に導いて。


 4、邪神復活、世界の危機、魔族が先兵として暗躍中、各種族率いて邪神倒して。


 5、この国の暴走、王、王女、聖女、何れかの暴走による勇者召喚、勇者の力で世界の覇権をこの国に!


 まだまだ考え付きそうだが、最近のラノベだとこんな感じか。


 1,2,3,4,5どれも嫌だが1,2,3,4が建前で5が本命パターンってところかな。


 そんなことを考えていると、謁見の間に到着した様だ。煌びやかな扉を開けると奥の一段高くなっている所には、偉そうな髭をしている中年の男性が如何にもな椅子に座っているのが見える。ローブの女性はその隣に向かう様だ。


 この髭の中年男性は王様だろうか?


 俺達は、謁見の間の中央へ向かい、左右には綺麗な甲冑を着込んだ騎士らしき人と高級そうなローブ姿の人たちが整列している。髭の中年男性の近くには、より高級そうな服の中年男性、反対側にはこの中で一番強そうな雰囲気の、甲冑姿の騎士が立っていた。


 近衛騎士に宮廷魔術師、宰相に騎士団長か将軍っと!


 みんなが中央へ集まると、


 「勇者諸君、我がロストニア王国へようこそ。我が名は第24代ロストニア国王 エルシュタイン・ソル・ロストニアである。ここまで、案内してきたのが、勇者召喚の儀式を行った。第2王女クリシュナ・ミリ・ロストニアである。この度は勇者召喚に応じていただき感謝する。」


 そう言って髭の中年男性は頭を下げた。やはりこの国の王様だったようだ。


 「王様っ!そう簡単に国のトップが、頭を下げてはいけません。まだ、手を貸してくれると決まった訳では有りませんのですから。」

 

 「そうであったな、許せ。さて、それでは今のこの国の現状と、この度の勇者召喚を行った経緯について、隣にいる宰相のサイフリート・レイ・フロスト公より、説明させよう。たのむ。」


 「まずは自己紹介と行こう、この国で宰相をしているサイフリート・レイ・フロストだ、王より指名されたので、説明に移させてもらう。今、我がロストニア王国は魔族の侵略により未曾有の危機に見舞われている。第1次、第2次防衛戦において第1皇子、第1王女を旗頭として迎え撃ったのだが、奮戦むなしく若くして散る事となった。現在調査中ではあるが、魔王の復活の兆しがあると言う情報も入ってきている。」


 一旦言葉を区切り、勇者たちを見渡す。


 「これ以上の損害はこの国の未来に影響が出てくる。そこで、魔術の才能がある第2王女による勇者召喚となった。前回の勇者召喚より150年ほど経っており魔力不足など弊害もなく無事に行うことが出来た。」 


 あっ!魔法がある世界みたいだ。


「気づいた者も居るだろうが、異世界人であろう我らと意思の疎通ができている。それは勇者召喚で使われた、魔法陣の中に言語互換と鑑定のスキル術式を組み込んでいる為、今回の召喚ではもれなく、みんなについているはずだ。」


 「ちょっと待ってくれ。異世界転移は150年間は無理と言うことか?それは、帰れないと同意だろ。」


 つい口を出してしまった。


 あっ!フラグ立ったか?。


 周りを見ると、困惑しているのが見える。



 「それについては、いま説明する。魔族は我ら人族より魔力を多く保有している。魔族を倒すことにより、異世界転移魔法陣の起動に必要な魔素をより多く取り込むことが可能である。ましてや膨大な魔力を保有する魔王を倒せばすぐにでも帰還できるであろう。」


 どや顔で見られてる。


 まだ、大丈夫らしい。


 なんか信憑性に欠ける説明を受けた。


 そう言うと、ローブ姿の男たちが水晶玉らしきものを、王座の前に3っつほど並べた。

 

 「これは、覚醒の魔石と言う、これに触ってもらい、まずは勇者としての力を覚醒してほしい。元の世界での、職業、スキル、経験等が加味されて、適性のある職業になるはずだ。基本、異世界人は勇者としての適性が有るため成長補正がついてくる。触った者から。自分を鑑定してみると良い。」

 

 帰還の方法の説明は軽く流されて、話が進んでしまっている。どうやら、魔王を倒さなければ、帰れないらしい。


 「勇者補正があると言っても、この世界で生きて行くには、知も武も生活の仕方も分からないと思う。そこで、覚醒の結果をもって大まかに攻撃職は騎士団、魔術職は魔術師団、生産職は文官預かりとして、訓練を行ってもらい生きて行く上での基礎を学んでほしい。まずは、我からと思う者から魔石に触ってくれ。」


 困惑している生徒達は動こうとしていない。現状を打破する様に橘先輩が前に進んでいった。


 「近藤先生、まずは私達から生徒の手本に成らないと。」


 「そうだな、異世界に来た事で、どういった事態が起こるかわからん。子供たちを守るのは、大人である私たちの役目だな。」


 そういう会話が聞こえてくる。橘先輩はともかく、近藤が偉く輝いて見える。

 

 二人が魔石に触れると、魔石が輝きだした。そして収束する光、魔石の傍らには補助のためについていた、魔術師たちが何やら羊皮紙に書き込んでいる。それをもとに選別を行うらしい。


 鑑定で二人を見てみる、他人にも使える様だ。


橘彩香たちばなさやか/23歳/女/人族/---


職業 / 勇者LV01 / 教育者見習いLV01


 HP   68/68

 MP   115/115

 STR  34

 DEX  79

 VIT  70 

 INT  121 

 AGI  35

 MND  84

 LUK  23


 結構な高スペックの様だ、特に知力がずば抜けている。 スキル、適性、などは見えないようだが、この世界で生活するにはその方がいいだろう。



 ちなみにこっちの世界のlv01の成人男性の平均ステータスは、こうなってるらしい


 HP   30/30

 MP   10/10

 STR  10

 DEX  10

 VIT  10 

 INT  10 

 AGI  10

 MND  10

 LUK  10


 これを考えると、勇者補正が凄いのかも、これに成長補正もつくらしいからチートも良い所だ。


 さて次は近藤も見てみよう。


近藤丈志こんどうたけし/29歳/男/人族/---


職業 / 勇者LV01 / 教育者LV01 /  魔法使いLV00


 HP   115/115

 MP   38/38

 STR  133

 DEX  33

 VIT  104 

 INT  58 

 AGI  56

 MND  49

 LUK  46


 こちらも高スペック、力と生命力に特化している。気になるのは物理特化のステータスなのに職業魔法使いLV00が付いていることだ。もしかして、30歳の純潔魔法使い準備中と言うことか?


 30歳になったら、からかってやろう。


 教師二人を皮切りに、生徒達が続々魔石に触れていく。


 中には職業に 簒奪者、流浪人、警備員、為政者、勇者王、海賊王、聖闘士、等のふざけたチートスキルが持っているであろう職業も見受けられ、ここいら辺は「チートスキル、キターッ!」など騒ぎながらゲーム感覚で生徒達も楽しんでいた。異世界転移して初めて気が緩んだのだろう。いずれも、高スペックなステータスを持っていた。勇者補正様様である。


 残りは俺達兄妹3人だった。


 「「にぃ。」」


 「それじゃあ、触るか」

 

 3人同時に魔石に触れると、


 「「「パシッ!」」」


 何かが弾ける様な音が脳内に響いた。音が聞こえたのは、俺たち3人だけの様だ。互いに顔を見合わせたが、特に異常は感じられない。

 一応、覚醒は済んだようで補助でついていた魔術師達が羊皮紙に書き込もうとしている。


 「「「えっ!」」」


 魔術師達が俺達を見つめる。鑑定された様で、纏わりつくような気を感じる。


 「もう一度、触れてもらえますか。」


 「分かった。琴音、鈴音!」


 そう言って、もう一度触れることになった。

 

 「「「パシッ!」」」


 またもや弾ける音が響いた。やはり俺たち以外には聞こえないらしい。


 魔術師達が俺たちを見つめ、納得いかない様な表情をしながら、羊皮紙に書き込んでいく。魔術師達の様子が変だと気付いた生徒達からも俺達に鑑定が飛んでくるのが分かった。俺達も自分達を鑑定してみる。


藤堂正臣とうどうまさおみ/20歳/男/人族/正常


職業 / ---- / ---- / ---- / ---- /


 HP   30/30

 MP   30/30

 STR  15

 DEX  5

 VIT  10 

 INT  10 

 AGI  10

 MND  10

 LUK  5


藤堂琴音とうどうことね/15歳/女/人族/正常


職業 / メイド / ---- / ---- / ---- /


 HP   20/20

 MP   30/30

 STR  10

 DEX  10

 VIT  10 

 INT  10 

 AGI  10

 MND  5

 LUK  15  



藤堂鈴音とうどうすずね/15歳/女/人族/正常


職業 / メイド / ---- / ---- / ---- /


 HP   20/20

 MP   30/30

 STR  10

 DEX  10

 VIT  5 

 INT  10 

 AGI  10

 MND  10

 LUK  15


 驚愕の事実、これはハズレ勇者パターンかよ……。


 やはりあそこでフラグは立っていた様だ、ロストニアの面々からは蔑んだ目で見られている。先ほどまでの和気あいあいとした空気はそこには無くなっていた。


 俺だけに向けられている視線ならいいが、この状況だと妹達が不快な思いをするだけだ。


 「「にぃ。」」

  

 妹達の呼びかけに答えず、この状況を打破することを考え込んでいく。


 ああそうか、転生前は無職だったからなぁ、妹達のメイドってなんだ?家で料理、洗濯、掃除、任せていたからか?さっきの何かが弾ける音はなんだ?しかし変だ。転移前のスペックであれば、この中で俺とまともに相手ができるのは、妹達ぐらいで、近藤であっても1分持つか持たないかって所だ。転移して1日も経っていないのに、いきなりそんな差が出るはずが無いと思う。神経と筋肉、どこか壊れているとしか思えない。何か重大なことを隠してるのか?それにこの状況での、あの目が気に入らない。

 

 そんなことを考えてると、


 「「正にぃっ!!」」


 さっきよりも力強く呼ぶ声が聞こえる。


 「ああっ、大丈夫。」


 二人の頭を軽く撫で、橘先輩を探す。


 「橘先輩、あとお願いします。」


 そう言うと、王様に向かって話し出す。


 「王様、どうやら私は勇者ではなく只の極潰しのようです。このまま、勇者達と一緒に訓練をしようものなら、只の足手まといになってしまいます。私は迷惑がかからないよう、ここを出て行く事も考えてます。………が、勇者召喚と言う名の拉致、誘拐、魔王を倒さないと帰れないという脅迫、魔族を殺せという殺人の斡旋それらの犯罪に関与している事実を認識していただいているのでしょうか?つきましては、慰謝料としていくらかいただあぁぁぁぁっ……………。」


 一人の騎士に、殴られた。まあ、気付いてはいたんだけど、ワザと殴られておいた。


 「きっさまぁ、無職の分際で、誰に何を言ってんのか分かってんのかっ。」


 何か逆鱗に触れる部分があったらしい、命名しよう瞬間湯沸かし器と。


 「分かってますよ。王様に私から見た真実とおねだりをしただけです。」


 「まだ言うかっ!その口、叩き切ってやる!。」


 言い終わる前に、剣を抜き終え俺めがけて横凪に払ってきている。



 どんだけ、沸点低いんだよ、てか、一旦沸いているから即沸騰か。 その剣戟に危険な感じがしない。だが、この場にいる近衛騎士の一人であり、それなりの強さがあるはず……。やはりステータスへの依存度が俺には感じられない。あの鑑定、合ってるのか?


 そんなことを思っていると、俺と騎士との間に2つの影が入ってきた。


 琴音と鈴音であるが、琴音は騎士の手を取りそのまま小手返しを決める、手を中心に騎士が地面とは逆さになり空中を散歩しているのが見て取れた。あいつはこのまま失神コース決定だな。そう思いながら俺も鈴音のフロントチョークで意識を手放すのであった。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ