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背徳の異世界家族計画  作者: carel
勇者救出計画編
11/95

10.奴隷契約?


 朝の鍛錬の為、早起きをする事にした。


 ベットから出ようとしたが、昨日と同じように両脇を琴音と鈴音が固めている。唯一違うのが普通のパジャマになった事だった。


 二人を退かし、ベットから出たところで、声がかかる。


 「おはよう、正臣さん。」


 「昨夜は、お楽しみ出したね。」


 二人とも、目が覚めたようだ……が。


 「本人が言う事じゃないだろう。」


 なんかあった訳ではないが、テンプレを言いたかったのだろう。


 「お前達、起きたのなら鍛錬に行かないか。ここ二日してなかっただろう?」


 「「朝から、お盛んですこと。」」


 「お前らは、何が言いたい?」


 「「テンプレ?」」


 「てっ、分かったもう何も言うまい。気が向いたら来てくれ。」


 支度を終え、一階に降りると朝食の準備を終えた、カレンさんがカウンター越しに見えた。


 「おはようございます。カレンさん。」


 「おはよう、正臣さん。今日は、早いのね。」


 「ええ、今日から朝の日課をはじめようと思いまして。宿屋の裏手の空き地、使っても大丈夫ですか?」

 

 「大丈夫よ。あそこもここの敷地だから、好きに使ってちょうだい。」


 「すいません、お借りします。」


 そして空き地に向かい、いつもの鍛錬を行う。鍛錬と言っても、柔軟、筋トレ、武術の形、瞑想、って流れを行うだけだ。琴音、鈴音が合流し、一時間程、鍛錬をした。


 「今日は、これ位にしよう。」


 「昨夜の疲れあるの?」


 「昨夜は激しかった。」


 「それは、もういいから。着替えて朝食に行こう。」


 本当に昨夜は、何もありませんから……。


 そう思い、朝食へ向かった。


 「さて、今日の予定なんだが。まずは、アサギさんの件を片付けよう。予想としては、両親は教国の連中に、何かされてる。それを俺の分析とお前達の魔眼で看破しよう。たぶん、解呪で何とかなると思う。」


 「アサギ、解放。」


 「嫁に貰う。」


 「いや、そんな事考えてないから……。」


 「両親、回復のお礼。」


 「アサギお金ない、代わりに体提供。」


 「等価交換。」


 「何かを得ようとするなら。」


 「それと同等の代償が必要。」


 「錬金術師の基本。」


 「どこで仕入れた知識だ……。」


 「「TVだけど何か問題でも?」」


 「はぁ~~。無いです。」


 『仕方ない、アサギさんも貰う覚悟はして置こう。こっちに来てから、流されっぱなしだよな。』


 「アサギさんの件、終わったら。一度、キリフトス領、見に行きたい。どれくらい掛かるかも分からないしアサギさんに聞いてから、ついでに、クエスト受けて行こう。」


 朝食を終え、準備を整えて冒険者ギルドへ向かう。

 琴音と鈴音の今日の服装は、何故か、迷彩作業服にフード付きマントだ、頭には迷彩ヘルメット、迷彩柄のベストには、手裏剣も仕込んでいる。キリストフ領制圧を考えての事だと思うが……。

 俺はと言うと、エンジニアブーツに ジーンズ、ミリタリージャケットとかなりラフな格好をしている。フード付きのマントくらい羽織っておこう。


 「それじゃ、行ってきます。」


 「「行ってきます。」


 ファナに挨拶をして宿屋を出て行く。


 「行ってらっしゃい。お気を付けて。」


 冒険者ギルドに着くと、大分人が少なくなっている他の冒険者たちは、朝一でクエストに出発するようだ。アサギさんはと言うとまだ何人か冒険者が並んでいるようで、まだ抜けれそうにない。

 俺達は、クエスト掲示板を見に行こうとした所で、女性二人組に声を掛けられた。


 「あっ、あなた達っ!昨日はよくもやってくれたわね。」


 「えぇーっと。どちら様ですか?」


 「それは、昨日ライト様がやったわよ。お蔭で、大変だったのよ。」

 

 昨日、ライトと居た取り巻きの魔術師2人のようだ。


 「報復に来たんですか?」


 「ちっ!違うわよっ!クエストを受けに来たのよ。あなた達のせいで、ライト様達動けないのよ。代わりに稼がなきゃいけないでしょ。」


 話に違和感を感じる。


 「あなた達はライトの使用人なんですか?」


 「違うわよっ!なんで、私達が使用人にならなければならないの、これでも元C級冒険者よ。今はE級だけど……。」


 やっぱり、違和感が半端ない。


 「琴音と鈴音っ!」


 「「……奴隷。」」


 琴音と鈴音に魔眼で、状態を看破して貰った。


 「えぇーっと。ライトの奴隷なんですか?」


 「違うわよっ!なんで使用人の次が、奴隷なのよ。」


 『あぁ~~っ!いつの間にか奴隷契約ってこうなるのか~。貴族だからって、やっていい事と悪い事があるだろうに……。』


 「今、鑑定スキルであなた達を失礼ながら確認させてもらいました。」


 「えっ?」


 「残念ながら、あなた達はライトの奴隷になっています。」


 「「うっ、嘘っ!えっ、えっ、なんでっ~~。」」


 「どうしましたか?あなた達が、望んだことじゃないんですか?」


 「そんなはず、ないでしょっ!」


 「どうしよう~。契約解除。ライトが解放すると思えないっ!」


 「「奴隷なんかになった覚えないのに~~。」」


 二人がへたり込んで狼狽して、今にも泣きそうになっている。

 この国での契約解除は奴隷商に行って、主と共に制約の魔術を解除しなければならない。共にって言うのがネックになっている。

 教会でも、契約解除はしている様だが、こちらは多額の寄付を要求されるようだ。


 「本当っ、腐ってるなこの国は……。」


 「「正臣さん、嫁候補2人っ!」」 


 この2人もぶれない。何人の嫁を俺に寄越す気だ。


 「う~~~~ん。分かりました、俺達が何とかしましょう。」


 誓約魔術の練習に調度良いし、やって見る事にする。


 「「ほっ、本当っ?」」


 「でも私達、お金持ってないよ。」


 「今、ギルドに借金してるから、追加で借りれないし。」


 「いいですよ。練習のついでです。」


 「等価交換。」


 「体で払えばいい。」


 本当にぶれない。


 「後ろの二人は気にしないで下さい。」


 「分かったわ、よろしくお願いするわ。私は、ルー、そしてこっちがエミル、2人とも魔術師でダブルよ。」


 ダブルとは適性の数の事らしい。俺がセプタプル、琴音と鈴音がオクタプルです。なんて言えない。


 「よろしく、俺は藤堂正臣、マサオミって呼んでくれていい。こっちが……。」


 「コトネです。」


 「スズネです。」


 「「正臣さんの婚約者です。」」


 「…………納得いったわ。それでぇ……私達、昨日有無を言わせず、制圧されたのね……。盗賊とはよく言ったものね。」


 「ええ、首謀者は詐欺まで、働いているようですがね……。」


 こんな人目のある所で、魔術の行使も出来ないので、ギルドの部屋を借りようと、アサギさんの居る受付に行く。


 「アサギさん、おはようございます。」


 「おはよう、トウド―さん。今、暇貰えるように言って来るわね。」


 「アサギさん、その前にお願いがありまして、ギルドの部屋、貸してもらえませんか?」


 「いいけど、どうしたの?」


 「ちょっと、訳ありでしてここだと話しづらいです。」


 「分かったわ。部屋を借りるついでに、私も同席しても構わないかしら?」


 「大丈夫です。それでお願いします。」


 そう言って、ギルド2階のパーティー相談室ヘ通された。部屋は10人ぐらいが入れるような部屋で、真ん中に大きなテーブルが有り、それを囲むように椅子が置かれていた。


 「まずは、アサギさんに説明しておきます。こちらに居る、ルーとエミルは知っていますよね。」


 「知ってるわ、ライトのクソ野郎のパーティーメンバーよね。半年位、組んでるかしら?」


 「そうなんですが、実はライトに奴隷契約させられています。」


 「ちょっ、ちょっと待って!あなた達っ!フリーの魔術師で、パーティーのお助け要員してたんじゃないのっ?」


 「そっ、そうだったんですが…………。いつの間にか、契約させられてまして、マサオミさん達にさっき言われるまで、気が付かなかったのですよ……。」


 「だっ、だっ、大問題じゃない。ギルド長に相談しないとっ……。」


 そう言って、立ち上がって部屋から出ようとするアサギを止める。


 「待ってください。アサギさん、ギルド長って信用できますか?」


 「ええ、私は信用してるけど……。」


 「俺は会ったことの無い人は、信用できません。俺がギルドで信用の出来る人は、アサギさんだけです。」


 そんな事を言ってしまったのが拙かった。アサギさんが顔を赤くして、ごにょごにょ呟いている。

 

 「それで、これから俺がする事は内密に、そしてギルドへは事後報告としてほしいんです。」


 「「下手すると、このギルド無くなる。」」


 琴音と鈴音が脅しに掛かったんだろうが、キリフトス伯が何かすると勘違いされそうだ。


 「下手に動くなって事ですか?それでしたら、尚更、ギルド長へ報告に行かないと駄目ですよ……。」


 「いや、そうじゃない。俺達が本気で潰しにかかるって事っ。それに……アサギさんの両親の回復が、疎かになる可能性があります。」


 「…………分かったわ。事後報告します。」


 ちょっと、ズルかったかも、アサギさんが両親の回復の事と、天秤にかければ頷くしかなくなる。気まずい空気でいるのも嫌なので、さっさ終わらせよう。


 「それじゃ、ルーこっちに来て、手を出してくれ。」


 まずは、部屋に魔力感知できないように結界を張る。昨日親父から教わった感じで、闇の魔力の流れを感じ契約書のイメージを練って行く。

 すると、手の甲から契約書が浮かび上がってきた。ルーは手が熱くなって来てるのは感じている様だが、魔力を目視までは出来ない様だ。

 契約書には、やはりライトの名が書きだされていた、ライトの名を消す様に魔力で出来た契約書を破いて行く。

 破き終わったところで、分析スキルを発動する。ステータスに奴隷の文字が無くなったようだ。


 「ルー、無事に制約魔術を破棄、出来たよ。」


 「私達も確認した。」


 「もう大丈夫。」


 「……あっ、ありがと~~っ。」


 そう言って、感激のあまり、へたり込んで泣き出してしまった。ルーをアサギさんに任せて、エミルの制約解除を行った。エミルも無事に解除することが出来、ルーと一緒に抱き合っている。


 「ありがとーマサオミさん、この御恩は決して忘れません。今は返せるものが有りませんが、いずれお礼をします。」


 「等価交換。」


 「側室は空きがある。」


 まだまだ、ぶれそうにない。


 「トウド―さんって、何者なんですか?」


 「アサギ、その質問はダメ。」


 「食の探究者って、返ってくる。」


 「今は答えられない、色々とやらなきゃいけない事があるから。まずは、アサギさんの両親を直すとかね。」


 「もうっ、ズルいですよ、トウド―さんっ……。」




 その後、ルーとエミルにライトの事を聞いた。ライトは、今キリフトス領の実家に療養しに帰ったらしい。その間、ライトに課せられた借金を稼いで来いと命令を受けていた。奴隷契約させられたのが昨日だったようで、まだ何もされてなかったが、ライトに対し、すごい嫌悪感を催した憤怒の表情をしていた。

 

 同じくライトの被害者であるルーとエミルを連れて、アサギさんがギルド長へ報告に行った、もちろん俺達の事は、言わないように念を押しておいた。 

 


 キリフトス家は、ここ王都から歩いて一日ぐらい掛かるそうだ。歩く速度を時速4km、8時間歩いたとして大体32km、走って行けばそんなに時間がかからないだろう。


 「なぁ、琴音、鈴音、キリフトス家、今日の内に潰した方良くないか?」


 「被害拡大。」


 「害虫駆除。」


 「そうだな。どうせ今日行くんだし、計画を早めても問題ないよな。」


 「彩ねぇに、連絡。」


 「ファナに、連絡。」


 「そうか。それじゃ、アサギさんの件を片付けたら、一旦、宿に帰って連絡、準備を整えてキリフトス家、制圧で良いか。」


 「「問題ない。」」


 待つこと、15分位でアサギさんが戻ってきた。


 「トウド―さん、お待たせしました。」


 「どうでしたか?」


 「ええ、ルーとエミルはもう少しかかります。奴隷になった経緯について詳しく聞き取りをしていますから。ライトは、冒険者カード失効と再発行不可、キリフトス家に賠償請求って所です。」


 「それって、揉み消されたりしないんですか?」


 「されるでしょうね。でもね、ギルドの意思をしっかり伝えることが出来るわ。後は、王国の裁量次第ね。あまり期待できないけどね。」


 「温情判決ってか……。ふざけてるな……。」


 「問題ない。」


 「判決済み。」


 「それもそうか。」


 「あなた達、たまに訳分からない事、言ってますよね。」


 「ああ、こっちの話だからね。」


 アサギさんは、たまに鋭くなる事があるから、気を付けないとな。


 「そっちはなるようにしか、ならない様だけど……。アサギさんは暇貰えたの?」


 「ええ、大丈夫よ。今から向かいましょう。」

 

 そしてギルドを出て、アサギさん宅へ向かった。アサギさんの家は、ギルドの一区画隣の脇道に入った所で確かにギルドから近かった。


 「ただいま~。」


 「「「おじゃましま~す。」」」

  

 「ちょっと、待ってて。両親の様子見てくるから。」


 アサギさんが先に入って行った。


 「大丈夫みたい。こっちよ、トウド―さん。」


 「失礼します。」


 そう言って中に入ると、痩せ細った夫婦が座っていた。


 「初めまして、アサギの父のダイチです。」


 「母のペトラよ、今日はよろしくね。」


 「初めまして、藤堂正臣です。こっちが……。」


 「琴音です。」


 「鈴音です。」


 「アサギさんから事情は、大体聞いています。早速ですが、鑑定させて貰えますか?」


 「鑑定使えるんですね、是非お願いします。」


 そう言って、鑑定を掛ける……。鑑定ではやはりと言うべきか……見ることが出来なかった。ので、分析を掛ける事にする。結果、制約状態であることが判明した。ついでに、魔力枯渇状態でもあった。


 「確定だな……。琴音、鈴音そっちはどうだ。」


 「「当確。」」


 「どういうこと?」


 アサギが疑問を投げかけて来た。


 「ええっと。簡単に言うと。制約と言う名の奴隷契約です。多分身体が動かなくなってるのも、制約に引っかかてるからだろう。この状態を聖レイシス教会司教が、見逃すとは思えないって事です。教会の茶番に7年間も、つき合わされてたみたいですね……。色々と聞きたい事も有るだろうけど、まずは制約解除を行おうと思いますが、それでいいですか?」


 「うん、お願い。トウド―さん。」 


 アサギさんが、若干涙ぐんでいる。7年間の苦労から解放される事に喜んでいるのと、教会に7年間も嵌められていた事を知って、悔しい思いがこみ上げて来ているのだろう。


 「ぺトラさんの方からで、いいですか?」


 「そうしてくれ。」


 ダイチさんの了承を得てぺトラさんの手を握る。さっきの要領で手の甲ヘ、誓約書だし内容を確認後、破り捨てる。ダイチさんも同じく、誓約書だし内容を確認後、破り捨てる。これで、二人の制約と言う名の呪いは取り去った。分析の結果、正常へと戻っていた。


 「琴音、鈴音どうだ?」


 「「大丈夫!正常。」」


 さて、これから状況説明だが。ぺトラさんを解放した時から、アサギさんがずっと泣きっぱなしで、状況説明どころではない。


 「ダイチさん、俺達、他の用事を済ませてきますから、その間、親子水入らずでいて下さい。」


 「ああ、有難う……。」


 「あ゛っあ゛り゛がどね゛っ!ドヴドーざん、ズッズッ――っ。」


 「ああ、分かったから。用事、済ませて来るから、それまで落ち着いてろよ。」


 そう言って、アサギさん家を出て宿屋へ向かう事にした。


 「それにしても、教国もクソだな。」


 「発想の転換。」


 「アサギ、嫁確定。」


 「そんな事、言ってもなぁ~。」


 「世界の半分を、手中に治める。」


 「魔王の系譜。」


 「DQかよ。」


 「違うっ!」


 「女子的な感じ。」


 「うわっ!ハーレム王かっ。」


 「「正解っ!」」


 そんな事を話してると、宿屋に到着した。


 「「「ただいまっ。」」」


 「おかえりなさい。今日は、早かったですね。」


 ファナが出て来た。ファナには、今日からクエストで遠出をするので、多分2、3日かかるかもしれない事と、その準備に戻ってきた事を伝え、部屋に戻った。ジェミニズリングを出し、彩香さんにキリフトス領で早速動く事を伝えた。


 その後、3人ともスパイセットに着替え、光学迷彩発動など練習をしてみたが、目の前に居ると分かっている琴音と鈴音でも感知に苦労していた。一般の人には多分、感知事態出来ないだろう。問題は3人の連携なんだろうが、何となく行動が分かってしまう辺り、15年間兄妹してたからなのだろう、連携の問題も解決している。キリフトス家攻略が、もの凄く温く感じてしまっている。


 準備も整ったので、アサギさんの家に行こうと、一階に降りるとファナが待っていた。


 「お兄ちゃん達の事だから、大丈夫だと思いますが、無事に帰ってきてください。」


 遠出をする事に心配をしているのだろう。潤んだ瞳で見つめて来る。


 「大丈夫。そんなに難しいクエストでもないし、琴音と鈴音も一緒だから。」


 「問題ない。」


 「お土産、持ってくる。」


 「そうだな、何か美味しい物でもあればいいな。」


 ファナが美味しい物と聞き、涎が垂れ始める。


 「お土産なんかいいから、無事に帰って来てね……。ずずっ~!」


 涎を啜りながら、心配している様だが説得力が無い。餌付けされているから、仕方ないか……。


 「ああ、気を付けるよ。それじゃ、いってきます。」


 「「いってきます。」」


 「行ってらっしゃい。」

 

 宿屋を出て、アサギさんの家に向かう、そろそろ落ち着いただろう。1時間位経っている。


 「御免下さ~い。アサギさんいます。」


 「あっ。トウド―さん、待ってましたよ。」


 「もう、落ち着いたようですね。」


 「ごめんなさい。気を使ってもらって。」


 「いいですよ。それよりも、説明の方したいんですが……。」


 「そうですね。それじゃ、中へどうぞ。」


 アサギさんが、両親の居る部屋へ案内してくれた。


 「ダイチさん、ぺトラさん具合の方はどうですか?」


 「ああ、何か重苦しい物が無くなった感じだ。」


 「そうね。まだ、本調子でないのは分かるけどスッキリしてる。」


 「大丈夫そうですね。一晩経つと日常生活に、差し支えることは無くなるでしょう。」


 「それで、どうだったの?」


 「ええっと、ですね。教会関係者に制約魔術、掛けられていました。制約内容は、主がマルセロ、アサギさんの譲渡拒否で制約発動です。罰則として、自然魔力回復無効で、聖水のみ回復可って感じです。ですから、常に魔力枯渇に陥った状態でした。体を動かす事も出来ず、体力が落ちる一方だったって事ですね。しばらくは、リハビリが必要でしょうが……。もう問題は無いでしょう。……マルセロと言う名に心当たりはありますか?」


 「ええ、あるわね。……私達がお世話になった教会の司教よ。」


 「そうですか……。アサギさんを身請けしようとしたのも、マルセロではありませんか?」


 「そうよっ!あの変態司教めっ!許せないっ!」


 マルセロはアサギさんが、音を上げるのを待つだけだったのだろう。もしかしたら、キリフトス家との繋がりも有るかもしれない。


 「アサギさんは、これで教会から解放された訳ですが、どうします?ギルドの受付は続けるんですか?」


 「一応、続けるつもりよ。この仕事しかした事ないし、トウド―さんの担当になったばかりだから……。」


 「アサギ、嫁募集中!」


 「職業、嫁。」


 「……トウド―さんが良いなら、貰ってほしいなっ。」


 赤く頬を染め、琴音と鈴音の口車に乗ったかを装い、勢いで結婚を迫ってくる。


 「えっ~、でもっ。ご両親の了解はどうするんですか?」


 「そんな事、さっきトウド―さんがいない間に話し合って、奴隷解除のお礼が、私の輿入れにしようって事になったわ。ねぇ~お父さん。」


 「ああ、そう言う事だから貰ってもらえないだろうか。それに君たちは日本人だろ?」


 「と言うと、ダイチさんも日本人なんですか?」


 「えっ、お父さん、日本人って勇者の事よね文献に出てた、なんでお父さんが日本人なの?お父さんって冒険者だったよね……。って、トウド―さん達もっ!」 

 

 「ああ、アサギ、お前には言ってなかったが私は、50年前に教国で召喚された、勇者の失敗作だ……。」



  

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