再会
遅くなりました。
今回は短めです
神界。そこは人が入れぬ領域。
今ここにいるのはゼウス・ポセイドン・ヘラ・アテナ・アルテミス・アレス・ヘファイストス・デュオニュソス・ヘルメス・アポロン・アフロディーテ・デメテルの12神たった。
神々は厳しい表情で先程起こった『化け物』の掃討を観察していた。
誰も言葉を発せなかった。
なぜなら、『師匠』ーーアイリスの力が桁外れだったからだ。
オマケに時雨達も規格外の力を有しているのがさらなる混乱を神々に与えていた。
「彼奴は何者だ?何故あの様な力を持っている……」
「それよりもどうするかを考えるべきではなくて?」
「殺せばいいだけだろうが。何を悩む必要があるってんだ?」
「煩いぞ、野蛮人!貴様にはそれしか考えられんのか⁉︎」
言い争う神々にゼウスは溜息を吐く。くだらない諍いを止めようとするが、それよりも別のところから声が上がる。
「やっているな、神々よ。私も混ぜてはもらえんだろうか?」
「…………貴様、何故ここにいる?」
「私には半分神の血が流れているのだよ。ああ、安心し給え。君達の中に私と同じ血を持つものはいないよ」
そこには先程まで議題に挙がっていたアイリスがいた。彼女は腰まで届く紫紺の髪を揺らしながら神々の前に来ると不敵に笑う。
「私がここにやってきたのは提案をするためだ」
「提案?」
聞き返すゼウスにアイリスは指を三本立てる。
「そうだとも。私の提案とは全てで3つある」
アイリスは神々の近くまでくると話し出す。
「まずは君達、神が問題視している3体の『究極』を超えた『超越』の排除」
「なっ⁉︎どこでその話を」
神々の驚愕にアイリスは呆れの視線を向ける。
「私はこれを知らない今の人類の方がどうかしていると思うが……。次に人類の本当の敵である『ゼロ』の殲滅」
「貴様、一体どこまで知っている⁉︎」
「最後に!」
一々驚く神々に若干、苛立ちを含めた声で黙らせるアイリス。
静かになると続きを話し始める。
「ハデスを罠に嵌め、神としての力を奪った悪神の殲滅。これが私からの提案であり交渉の材料だ」
「交渉、じゃと?」
「ああ。これら3つを果たした時、私の望みを叶える。どうかな?」
「………望みとは?」
アルテミスの言葉に満足そうに頷くとアイリスは達成した時の報酬を伝える。
「私の弟子達の願いを叶えること」
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「遅かったな極夜。待ちくたびれたぞ?」
「………………余は寝る。魔夜と白夜が相手をするそうだ」
「ほほう。師匠に対して不遜な言葉遣いに態度、偉くなったものだな?」
「…………………」
「ふむ、このまま無言でいるようなら私とけっこーー」
「すみませんでした!」
「………まだ言い終わってないのに…」
極夜の素早い土下座になにも言えなくなるアイリス。
「相変わらず結婚相手が見つからないんですか?」
「おや、目覚めたのか」
「寒気がしたんで」
「君でも構わないが?」
「………遠慮しておきます」
「そうか………」
若干悲しそうな表情を浮かべるアイリスだがすぐに切り替え、狸寝入りをしている魔夜に話しかける。
「起きたまえ魔夜。バレているぞ?」
「…………チッ」
「舌打ちとは辛辣だな。なにを怒っている?」
「この呪いを解いて欲しいのですけれど?」
「私はその口調の方が君にあっていると思うのだがな……」
「私はそうは思いませんけれど」
「そうかぁ〜……まぁいいだろう」
アイリスがパチンッと指を鳴らすと魔夜の身体からなにかがパキンッと割れる音がする。
「………糞だるい。よし、戻った」
「…………見た目とのギャップは相変わらずだな」
「………ファンクラブの人間が知れば落胆は計り知れないだろう」
「君達もそう思うなら矯正してやってはどうだ?」
「「無理です」」
「即答とは……」
魔夜を残念な眼で見る3人の視線を無視し喜ぶ魔夜。
今まで丁寧な口調だったのはアイリスがかけた呪い、『呪言』によりアイリスと勝負して負けた魔夜はあの口調を強要されていたのだ。
「ったく、かったりーったらねぇよ。なんで私があんな口調で喋んなきゃいけねーんだっつの!」
「「「………」」」
豹変とも呼べる変化に言葉を失う白夜達。
それほど魔夜の口調は酷く、残念だった。
久々に再会した師弟達は魔夜の残念な口調により残念な再会となった。
魔夜が残念すぎる_:(´ཀ`」 ∠):




