突然の戦闘
久々の投稿です!ここまで期間を空けてしまうのは初めてで本当にすみません_:(´ཀ`」 ∠):
それと報告なのですが、やはり大賞は落ちてました……。次回に期待ですd( ̄  ̄)
『化け物の祭り』まであと3日と迫る中、魔夜達は宿で情報収集をしていた。
「リーフ、だったわね。貴方に聞きたいことがあるのだけど」
「………なんでしょうか」
情報収集されている男、リーフは警戒心たっぷりの眼で魔夜を見返す。当然白夜やハデス達も一緒だ。
「王様はどこにいるの?」
「知りません」
「貴方はなぜ王の役割をこなしていたの?」
「そう頼まれたからです」
「貴方は王の何?」
「ただの執事です。平民出身の」
「何故王を庇うのかしら?」
「王は私の全てだからです。あの人に私はついて行くと決めた」
「それが国民を犠牲にすることでも?」
「あの人は国を捨てて逃げようとした王をどうにかしようと行動していた。何者かに先を越されたがやろうとしていたことに変わりはない」
「王がおかしくなったことに気づいていたはず、何故止めなかったの?」
「………………」
それまで即答で返していたリーフだったがこの質問には黙り込んでしまう。
魔夜の質問は終わらない。
「テトという人間に聞き覚えがあるわね?おそらくその時からではないかしら?」
「………………」
だんまりを決め込むリーフ。魔夜はそれを見て満足そうに頷くともう1つ重要なことを質問する。
「妃もおかしくなっていたのでしょう?」
「っ、なぜそれを!」
叫んでハッ、となるリーフ。思わずボロが出てしまったようだ。
魔夜はタナトスに頷くと交代する。
「こちらを見てください」
そう言ってタナトスが取り出したのはビデオカメラだった。
全員に見えるよう配置するとビデオカメラを再生する。
『やっと王が死んだというのに、このままでは私は………。認めぬ、認めることなど断じてできぬ!』
「これは……」
そこに流れたのは魔夜とタナトスが妃の部屋に侵入した時の動画だった。
「私聞いてないけど!タナトスから何も聞いてないけど⁉︎」とハデスが煩かったので口を白夜が塞ぐ。
ん〜!と騒ぐが全員はスルーして動画を見続ける。
そして魔夜が妃に「『状態回復』」をかける場面までくるとリーフは眼を見開き驚愕する。
「今のは、まさか」
「ええ、妃は操られていたのよ。それもかなり高度な魔法を使い、相手に操られていると気づかれない巧妙な魔法を、ね」
だとしたら、これまでの妃様の行動は……!リーフは信じられないと首を振る。
もしこれが事実なら、まさか!と最悪の考えが頭をよぎる。
「ご主人様も操られているのですか⁉︎」
「ご主人様というのは現王のことね。その可能性は高いわ。今は王宮にいるみたいだけれど」
「……いつからですか?」
「貴方が私達に捕らえられた次の日からよ。だから誰も貴方が王の代わりをしていたことに気づかなかった。関係者以外はね」
「そうですか……」
魔夜の言葉通りならフローレス国王は執事であるリーフが捕らえられたことを知って戻ってきたというのだ。
それはリーフにとって残酷な知らせだ。
なぜならリーフが捕らえられることを知っていて、もしくは捕らえられたことを知って戻り何事もなく過ごす。
つまり、リーフの存在を消したのだ。
項垂れるリーフに誰も声をかけない。元々味方ではないのだから優しくする理由もない。
だがあまりにもな仕打ちにその場にいる者全員が苦い顔をする。
「貴方の身の上には興味はないから早く情報を貰えないかしら?いい加減、振り回されるのは困るのよ。こちらにも予定があるのだから」
バッサリと切り捨てて情報を吐かせようとする魔夜に全員は心の中で「ですよねー」と呟く。
「最後の質問よ。貴方の王様は何をしようとしているのかしら?」
魔夜達は返答を黙って待つ。暫くして口を開いたリーフの言葉に文字通り絶句した。
「………ご主人様は神を殺そうとしている。ハデスというこの世界の敵を殺して自身の存在を他国にも認めさせる。それがあのお方の目的だ」
この言葉に白夜達は沈黙する。
神であり、ハデスという名を持つのは1人しかいない。間違いなどありえない。
そして当事者であふハデスは顔を真っ青にしながらもリーフの言葉を受け入れる。
それだけのことをした自覚がハデスにはあり、当然のことであるのは理解しているからだ。ただ1つ間違いがあるとすれば、ハデスは神の力を失った人と神の狭間にある者ということだ。
「へぇ、面白いこと考えるわね」
魔夜は計画を聞いて笑うと極夜に視線を向ける。
「極夜、覚悟はいいわね?」
「?なんのこと」
「白夜、極夜を押さえなさい」
「あいよー」
白夜は一瞬で極夜の背後に周り足を蹴飛ばす。そのはずみで倒れる極夜の背中の上に仁王立ちで立たせないよう魔夜の魔法『重力』を白夜に使う。
「ぐぎぎっっ、なんで俺まで……!」
見事に巻き添えを喰らう白夜は恨み言を吐きながら魔夜を睨みつける。
「少しの間だけだから辛抱しなさい」
魔夜は懐から金色の四角形のキューブを取り出し極夜の頭にかざす。
「極夜、今から王になって貰うわ。そうでもしないと間に合いそうにないから」
一方的に行う魔夜に極夜も怒りの視線をぶつける。
瞬間、極夜は【憤怒】を使い背中に乗っていた白夜をどかすが
「えい」
【瞬間移動】で極夜の背後に周り込み、手に持っていた金色のキューブ『王印』をぶつける。
すると『王印』は吸い込まれていき、消えた。
「グッ⁈な、んだ、これ、は……!」
頭を押さえて膝をつく極夜。
時雨達も何事かと心配して駆け寄ろうとするが魔夜が手で制する。
「クソッ!魔夜、これは……!」
まるでマグマでも血液に流れているかのような痛みが全身に駆け巡る。
激痛に意識が飛びそうになるが、それを超える痛みによって意識を失うことも許されない。
「ガァァ、ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ‼︎‼︎」
絶叫が部屋に響き渡る。
夢が【天魔】で治癒しようとするがそれを魔夜が阻む。
「……邪魔なんだけど」
「邪魔は貴女よ、夢。今は何もしないで見ていなさい。それでも動くのならーー」
ーー殺すわよ?
言葉にはしないが口の動きで理解する。
そしてその言葉は本気だと魔夜の眼を見れば誰でもわかる。
「いや意味教えろよ。話さないとわかるわけないだろ。バカなの?」
しかし空気を読まず、堂々と反抗する白夜に魔夜は嘆息する。
「白夜のせいでシリアスも吹き飛んだわね。構わないけれど」
この間にももがき苦しむ極夜を見ながら魔夜は話し出す。
「極夜に使ったのは『王印』。この前タナトスと一緒に盗りに行ってきたの」
全員の視線がタナトスに向く。
本人は眼を逸らして明後日の方向を見ているが汗が一筋流れているので間違いないだろう。
ハデスはじ〜っとタナトスを見つめる。
「前にも言ったけれど、これは死ぬ可能性があるの。だから無理矢理にでも『王印』を極夜に埋め込む必要があったの」
「なんで無理矢理なんだよ」
「逃げるから。当然のことよ」
やらないという選択肢を初めから潰している魔夜に白夜達一同は恐怖し、心から喜ぶ。
極夜で良かったと。
「……? なんか臭くないか?」
それまで黙っていたグロスが唐突に変なことを言い出す。
「確かに。何か燃えているような……?」
モルグもそう言いながら周囲を見渡す。
「んー……!白夜、あれ!」
神無が指差す方向に全員が視線を向ける。
そこにはギラギラと眼を光らせ、仁王立ちしている極夜の姿があった。
足元には火がつき、眼や鼻、口からも血がでている。
「言うのを忘れていたけれど、『王印』の使用方法で1つわかったことがあるの」
魔夜は魔杖を構える。
「あれを取り込んだ者は“神罰”と言って、正気を失うらしいの。元に戻すためにも一度極夜を倒すから、貴方達も手伝いなさい」
「「「「……は?」」」」
あまりにも唐突な戦闘の開始に思わず呆然とする一同。
そして極夜との戦闘が始まった。
あと少し!本当にあと少しでこの話が終わります!(予定)
そろそろあの人も登場しますので(?)楽しみにしてください!