手合わせ
すみません、就活で忙しくなるので更新頻度が落ちますm(_ _)m
魔夜の無茶な発言から2日が経った。その間に変わったことは特にない。しいて言えば魔夜、白夜、極夜の名前が指名手配されたくらいである。
「いやおかしいから。変化してるから」
「あ?俺声出てた?」
「思いっきり喋ってたわよ」
「そか」
少し恥ずかしいなと思い、次からは気をつけようと意識する白夜。1人握りこぶしを作る白夜に時雨は白い眼を向ける。
「それより特に変わってないって何?指名手配されてるから動けないのによく言うわね」
「指名手配はされるに決まってるだろ。変装も何もしてないのに貴族を殺した、王宮に忍び込んだ、偽物とはいえ王様を攫おうとした。これだけやらかせば当然だろ」
「ホント好き放題よねこれ……」
「そう言うお前も脱獄するとき50人くらい殺して出てきたんだろーが。なんでお前も指名手配されてないのか不思議だが、まぁ主犯は俺達って思ってるだろ〜な」
「…………」
肩をすくめながら「メンドくさ」と愚痴を零す。それに対し時雨は口をつぐみ黙っている。そんな2人のところに極夜がやってくる。
「白夜、余の鍛錬に付き合え」
「あいよー」
二つ返事で了承する白夜。極夜は時雨の方に視線を向ける。
「お前も来い。決行は間近なのだからな。少しでも力をつけろ」
「……わかったわ」
「では行くぞ」
時雨は席を立ち鍛錬に付き合う意思を表示すると極夜はすぐに移動しようとする。
「お前のその態度どうにかならねーのかよ。兄貴に対して不遜すぎるだろ」
極夜の尊大な態度に白夜は不満を零すと
「ハッ」
「鼻で笑ってんじゃねーよ‼︎」
極夜は鼻で笑い飛ばす。まるで「お前に敬意を払うなどできるか?無理」とでも言わんばかりだった。それからもギャーギャー言いながら白夜達はその場を移動する。
場所は変わり、グロス達の村のところまで来ていた。理由は「ここって人に見つからない安全な場所だろ。思い切りやるのに丁度いい」という白夜の言葉でここまで移動して来たのだ。魔夜達はそれぞれ身体を休めたり、情報収集などで動き回っているのでここにいるのは白夜、極夜、時雨、ハデスの4人だ。
ハデスは獣人達に確認したいことがあったらしく白夜達が来る前からいたのだが、白夜達に誘われてこちらに来たのだ。前に戦い方を教えて欲しいと言っていたので参加するよう聞き、ハデスも参加する流れとなった。
「余がこれから近接のみで戦う。貴様等はそれに全力で耐えろ」
「ちょい待て。ハデスの使えるスキルとか確認しとかねーと。初心者をいきなりお前レベルと戦わせるとか鬼かよ」
極夜が離れた場所につくなりすぐ始めようとするが白夜が止める。
「ハデス。『影移動』の他になんか使える?」
「あれから色々試したけど……」
ハデスは両手を地面につけると闇が広がりその中から骸骨の群れが出現する。
「「「…………」」」
呆気にとられて呆然とする白夜達。何故ならその骸骨達から放たれるプレッシャーはかなりのもので一体一体が強いと相対しただけで理解できるほどだった。武器も剣や弓、盾にハンマーなど多種多様に揃えられていた。
剣兵が4体、弓兵4体、盾兵5体、槍兵4体、ハンマー兵3体と計20体の骸骨兵団だった。
「ハ、ハデス……こいつらのレベルってどのくらいだ?」
「確かレベルは50ぴったりだったと思うわ」
「マジかよ……しかも大群って、これ何体いる?」
「20体くらいね……」
「「……………」」
事も何気に言うハデスに絶句する白夜達。しかしハデスは訳が分からずキョトンと首を傾げる。
「一回このままやってみるか?」
「貴様が相手をするのか?」
「それはお前。俺は時雨とハデスの戦い方を見て後々アドバイスとかする係だから。お前より得意だし」
「そう言う事だ。構えろ!」
白夜との話し合いが終わり極夜は腰に刺している二本の剣を抜き、時雨達にも構えさせる。
時雨はいつでも魔法が発動できる用意を既に終え、ハデスは骸骨達を周囲に固める。
「そんじゃ始め」
白夜の気の抜けた合図で開始される。
先に動いたのは極夜だった。
「終流・一閃!」
剣を横に振り抜き斬撃が時雨達に飛んでいく。時雨は斬撃を飛んで躱しハデスは盾を持った骸骨に受け止めさせる。
「『水竜』」
時雨によって生み出された水の竜が極夜に襲いかかる。極夜はこれに見向きもせずに突っ込んでいく。『水竜』が極夜にぶつかる。
しかし極夜には【アンチ魔法】があり魔法は効かないーー
「っっ⁉︎」
ーーはずだが『水竜』は極夜を飲み込み、そのまま木にぶつける。
「貴様……!」
「やった!」
「おろろ。これは魔夜だな」
魔夜が極夜に通用し喜ぶ時雨。極夜は時雨を睨みつけ白夜はこの種を看破し誰が教えたかも見抜いた。
極夜には魔夜が効かない。正確には効きにくいのだが、ほとんどは効かないので無効化と言ってもいいだろう。そんな極夜に魔夜で戦うのはそれをメインにして戦う者にはかなりの苦戦を強いられる。
だがこれにはある落とし穴がある。
極夜は魔法は効かないが、スキルなどは通用する。それは今回の時雨の『水竜』にも当てはまる。仕組みは簡単。時雨は魔法で『水竜』を生み出しそこから魔法で操るのではなく、スキルの【液体操作】で操るのだ。これにより魔法だけでなくスキルも加わったので極夜の【アンチ魔法】は無効化されるのだ。
これを考えついたのは魔夜であり、実行した本人曰く「思ったより万能じゃないのね、【アンチ魔法】」だそうだ。
「ハァッ!」
極夜は地面にクレーターを作りながら時雨に突撃する。その勢いのまま拳を振りかぶる。
「『水盾』」
しかし『水盾』により防がれる。
「行って!」
「チッ」
「『水牢』!」
止まった極夜に向かってハデスは骸骨をさし向ける。それに気づき極夜は避けようとするが『水牢』に阻まれる。
「洒落臭い!」
極夜は剣を構え瞑目する。
「終流・炎斬!」
そして爆発が起きる。近くにいた時雨はもちろんの事、ハデスにも余波が飛んできているが盾を持った骸骨が守っていた。だが、流石に極夜に襲いかかろうとしていた骸骨達は吹き飛んでいた。
「水蒸気爆発か〜。その技使うのって久しぶりじゃねーのか?」
「フン、貴様は修得できなかったからな」
「まぁな。っと、余裕ぶっこくならあいつらを沈めてからにしろよ。これで負けたら大分恥ずかしいぞ」
「余が負けるわけがなかろう。大人しくそこで見ていろ」
「へいへい」
話が終わると極夜はハデスに突撃していく。
「余を楽しませろ!凡骨供!」
「修行だからなー!」
極夜の独り言に白夜がツッコムが聞こえていないようだった。
「射てぇっ!」
ハデスの号令で弓兵が矢を放つ。
それを極夜は全て斬り落としながら間合いを詰めていく。
「剣は前へ!盾は私の周囲を囲んで。槍は剣の後ろから、ハンマーは横から!」
骸骨達に指示を出していくハデスだが、その間にも距離を詰めていた極夜は近くにいた剣の骸骨兵と斬り結ぶ。
「強いな。流石に剣技だけでは分が悪いか………」
「ルールは破るな〜。剣技だけで勝負ってのがハンデなんだからよ。破ればお前の負けだ」
「早とちりするな。余は分が悪いと言っただけで勝てないとは言っていない」
この間にも何度も骸骨兵と斬り結んでいる極夜。様々な方向から矢が飛び、タイミングをずらして斬り込んでくる剣兵。その骸骨兵の骨の隙間から狙ってくる槍兵。少しでも隙を作ればハンマーで叩き潰そうとするハンマー兵。それを全て躱し、受け流しているのだ。それも喋りながらだ。何故こんなことができるかというと骸骨兵の動きがレベルに反して鈍いからだ。これはハデスのレベル不足と練度不足。要するにハデス自身の力が全く足りていないのだ。
「これで幕引きだ!」
極夜が骸骨兵を抜けてハデスに突撃する。ハデスの周りには盾兵がいるが
「終流・炎龍爪」
先ほどの『終流・炎斬』を遥かに凌ぐ炎の爪により一撃で粉砕される。
極夜はハデスを剣の間合いに入れるとその腹部に拳を放ち、ハデスは声を上げることもできずに気絶する。
「ハデス脱落〜。あとは水川だけだな」
白夜は気絶したハデスを背に抱える。
「ま、程々にな〜」
それだけ言い残すと白夜は飛んでその場を離れる。極夜は先ほど時雨が水蒸気爆発で飛んで行った方向を見ながら笑う。
「準備は済んだのであろうな?余を楽しませろよ?」
「楽しむ前に倒してあげるわ」
時雨も太々しく笑い返す。
そして、2人は激突する。
これから更新が不定期になると思いますが、できるだけ更新していきますのでよろしくです




