予想外
遅くなりました!m(__)m
だが間に合った……!
今回の話は短めになります。
「クッソがっっ!」
「ふんっ!」
鍔迫り合いをしていた白夜だが力に押し切られ後ろに下がる。白夜の身体は多少の傷があるが重傷はどこにもなかった。対して燕の方は全身血塗れで先程までの余裕はどこにもなく神経を研ぎ澄ましている。
「いや〜成功して良かった。それでまだやるのか?」
白夜は軽口を混ぜながら燕に続けるか尋ねる。燕は少し迷い、決断する。
「撤退」
「「了解」」
燕が「撤退」と言った瞬間、燕達の姿が霧散し消える。
「幻術か?まぁ助かったけど、来るの遅いわ」
「『雷装』を観察してたのよ。『師匠』の魔法をよく習得できたわね」
「お前らこそ手の内隠してるだろ。お互い様だ」
「そんなことはしていないわ」
魔夜は心外だと語るが白夜は呆れる。
「ならなんで鑑定してわかったばかりの『不倶戴天』を使えんだよ。前から『終わり無き苦痛』』も使ってたのはその時から『不倶戴天』が使えたってことだ」
白夜の出した証拠に魔夜はあっさり同意する。
「当たりよ。まぁわかるわよね」
「んで、極夜も使えるってか……。別に隠してもいいけど、いざって時連携できねーから事前に言えよな」
「余が貴様を頼るなどあるわけがなかろう。貴様が余を頼ることはあってもな」
「あ゛あ゛ん?」
白夜を無駄に煽る極夜。
「ハァ、とにかく戻りましょう。明日は王女を殺さなければいけないのだし」
「それだけどいいのか?王女殺したところで意味なんてねーのに」
白夜が今更ながらに疑問を口にする。王女を殺すのは白夜達だけの秘密だ。しかしなぜ殺すのか理解できてない白夜にとっては無駄手間にしか思えない。
「白夜が見つけた国の不正だけれど、あれは王女がやっていたのよ」
「王女が?」
「取引相手が王女の名前で書かれていたから間違いないわ。名前は確か……フローレス、だったかしら?」
「いや俺覚えてないし」
「余は興味がない」
標的の名前を覚えていない2人に魔夜はため息を零しながら2人に手をかざす。
「移動するわよ」
そして3人は宿に戻るのだった。
「ふわぁ〜、眠い……」
白夜は宿のカウンターにいた。あの後『空間転移』でここまで移動し、風呂に入って今に至る。
「あら、お疲れかしら?」
白夜が欠伸をしていると後ろにハデスがいた。ハデスは白夜の前の席に座ると飲み物を頼む。
「コーヒー、ブラックで」
「あ、俺も頼む」
白夜達がコーヒーを注文すると暫くして運ばれてくる。
「ありがとう。はい白夜」
「ありがと」
白夜はハデスからコーヒーを受け取ると口に含む。苦味が効きつつ飲みやすい味を白夜は堪能する。
「白夜、少し話があるんだけど……いい?」
「別にいいけど、何?」
ハデスが真剣な表情なので白夜もコーヒーから離れ、話を聞く態度に変わる。
ハデスは躊躇いながらもキッパリと言う。
「戦い方を教えて欲しいの」
「……………はい?」
思わず聞き返す白夜にハデスはムッと顔をしかめる。
「戦い方を、教えて欲しいの!」
テーブルをバンッと叩きながら言うハデスに白夜は呆気に取られ、溢れるコーヒーなど頭に入ってこなかった。
次回の投稿は土曜日です。
バレンタイン編は書けたら書こうかな……。