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復讐の夜  作者: 榊原灰人@vtuber
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白夜死刑

遅くなりましたm(__)m

「白夜の死刑だが、明日に決まったぞ」


さらっと告げられる死刑宣告に白夜は


「あ、そう」


と至極あっさりと返す。モルグは前に向き直り、再び歩き出す。


「アホかぁぁぁ!?さらっと流していい話じゃない!白夜も「あ、そう」ではないぞ!」


「「うるせぇ」」


「うるせぇ⁉︎」


ヒートアップして叫ぶ神無を白夜は落ち着かせるために説明を始める。


「なんのために今そのことを言ったかわかるか?」


「そんなもの、お前が逃げないよう覚悟を決めろと………そういうことではないのか?」


神無は少し考えてから答える。


「それなら言わないだろ。それに犯罪者を気遣う必要あるか?国王を殺したかもしれないような奴を」


「うむ……」


白夜の言葉に納得する神無。白夜はやれやれと疲れた素振りを見せながらモルグに眼で「なんで死刑だ?」と訴える。

白夜の考えではモルグは白夜のことを誰にも話していないはず。白夜はボブロが王を殺したことは知っている(計画を立てた本人なので当然だが)がその場にはいなかった。

ただ王宮に侵入した可能性があるだけで死刑はないだろうとひは考えていたがモルグの一言によりその考えは甘いと悟る。


「王宮に侵入するだけで死刑は当然だ。王の件とは関係ないぞ」


「マジかよ……」


白夜は話しながら携帯で魔夜にメールを送る。(携帯は歩く途中ですぐに盗り返した)

白夜は送信しおわるとポケットに戻しモルグにボブロの現状を聞いた。


「ボブロなら懲罰房で絞られている。ボブロは何も知らないと口を割らないがな」


モルグの返答に白夜はニマニマと笑うと明日の死刑について考える。


「モルグ、お前はこの国をどうしたい?」


白夜のストレートな物言いにモルグも率直に返す。


「王子はもちろん、できることなら大臣共も消したい。奴らはこの国の住民達を道具としてしか見ていない。今はまだ大丈夫だろうが、このままだと税は膨れ上がり奴隷落ちするものも出てくるだろう」


「奴隷落ち?」


神無が聞き返す。


「奴隷落ちとは税が払えないものを強制的に奴隷として扱うことだ。肉体労働は勿論、夜の奉仕もさせられる上に文句は言えない。暴力や精神的苦痛を受けて死ぬ奴隷など数え切れぬほどいるが、それでもなくならないのが奴隷制度だ。自由に動かせる働き手を欲しがる輩など腐る程いるからな……」


モルグの言葉に神無はなんとも言えない表情を浮かべる。奴隷とはそれほどまでに酷く、どうしようもない現実なのだ。


「話が逸れたな。俺は王子も大臣共も消したい。それを成すことができるのならお前に協力しよう」


モルグは真剣な表情で白夜を見る。

白夜としてはどちらにせよ王子は殺すことにしたので問題はない。ただそのあとのことが重要だ。王子も殺せば誰が王になる?


「一応聞くが、王子が死んだら誰が王になる?」


「王の子供は王子以外にいない。その場合は養子などを設けて継がせるのが妥当だろう」


白夜はそれを聞いて頭を悩ませる。それで国を背負えるならいいが、王殺しをしたあとだ。反感は凄まじいだろう。王を殺そうと考えるものも少なくないだろうし、他の国が黙っていているはずがない。このオルシアス国は商業が盛んだ。ゆえに他の国から狙われるのは目に見えている。

今の王に求められるのはまず力。自身を守れるくらいの力を持ち、人々を導くカリスマ性。あとは人気を集めるための容姿とか発言力?権力に溺れない人間など。白夜はそこまで考えて誰か当てはまる人間はいないかモルグに聞く。


「そんな人間がいるならこちらからお願いするくらいだ。今の国政は権力で支配されているからな」


「だろうな…」


予想通りの回答に白夜はまた考える。

今の条件で当てはまる人間……。白夜の頭の片隅に何かが引っかかる。

白夜がもやもやしていると携帯にメールが来た。白夜は携帯を取り出し中身を見る。そこには


『悪いが王子を殺す』


「……………」


白夜は無言で返信のメールを返す。何があった⁉︎と。すると返信はすぐに返ってきた。


『時雨が拉致られた』


その文面を見た瞬間、白夜から光が消える。

白夜は少し考えてから返信を送る。

急に様子が変わった白夜に驚きながら神無が話しかける。


「白夜、大丈夫か…?」


「………ああ」


大丈夫ではなかった。今の白夜の心中は大いに荒れていた。


「モルグ、予定変更だ」


「………理由を話せ」


「身内がクソ王子に拉致られた。お前の思惑がなんだろうとこの国と一戦交えることになっても王子は俺達が殺す」


白夜の言葉にモルグは目を瞑り考える。白夜が王子を殺せばこの国は瓦解する。跡継ぎがいなくなるからだ。そうすれば国は変わるしかない。それが吉とでるか凶とでるかわからないが、何もしなければ変わらない。

なら取る手は1つ。


「俺も協力しよう。信頼できる部下に声をかけて数を増やす」


モルグは白夜に協力することにした。


「神無、お前は」


「関係ないとか言うなよ?私はお前に責任を取ってもらうのを諦めたわけではないからな!」


「…………その話は後でキッチリと断るとして」


「断るな!」


白夜がさり気なく責任話を無かったことにしようとしたが無理だった。白夜は舌打ちして悔しそうにする。


「先程から思っていたが、モルグは名前で呼ぶのに何故私は名前ではないのだ?」


「モルグは当日に動ける人間を配備してくれ。あと、獣人も来るだろうが味方だから攻撃するなと前もって伝えておけ」


「獣人か……」


「オイ、だから何故」


「それと俺の武器を返せ。明日の死刑執行前にだ」


「いいだろう。他に何かあるか?」


「そうだな……」


白夜は顎に手を当てて考え


「シカトとは随分な真似をしてくれるな白夜」


ガシッと白夜の肩を鷲掴みにして微笑む神無。もちろんその眼は笑っていない。


「…………モルグ、最後に神無を押さえてくれ」


「神無、終わったら言え。それまで離れている」


「モルグゥゥーー!!」


モルグは白夜を売り離れて見物を決め込む。白夜はモルグを睨むが神無の肩を握る手がさらに強くなりそれどころではなくなる。


「あの、落ち着いて……」


先程までの雰囲気は何処へやら、ヘタレな白夜は汗をダラダラと流しながら神無を宥めにかかる。


「落ち着く為にもお前を殴る」


「女の子のセリフとは思えないんだけど⁉︎」


その後、ボコボコにされた白夜はモルグに医務室へ連れていかれ治療を受けるのだった。

女の子は怒らせると怖い:;(∩´﹏`∩);:

次回の更新は来週の土曜日にしますのでよろしくです!

頑張ってその前にも投稿できたらしますので!

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