復讐の一夜・終幕
今気づいたのですが、50話突破しました!
PV16000、ユニーク4500になっております!
読者の皆様、本当にありがとうございますm(__)m
「時雨、貴方は白夜達と合流してくれるかしら」
「わかりました。魔夜お姉様も早く来て下さいね」
「ええ」
魔夜は時雨に頷き、それを確認した時雨は白夜達の元へ向かう。
時雨がいなくなると魔夜は身動きとれないテトに向き直る。
「フフフ、始めましょうか」
魔夜は満面の笑みを浮かべながら魔力を再度高める。魔夜は『不倶戴天』をまだ解いておらず、その状態での魔力溜めだ。
テトは魔夜の底知れない魔力量に恐怖し、助けを請う。
「や、やめろ!やめろぉぉっ!!」
テトは錯乱しながら叫ぶ。テトは確信していた。この女は自分を惨殺すると。
「こんな、こんなところでぇぇっ!」
みっともなく唾を飛ばしながら叫ぶテトの姿は魔夜の嗜虐心を掻き立てる。その姿が、恐怖に怯え、何もできずただ嬲られ汚され弄ばれるだけのその姿が!魔夜にとって最も見たかった姿、復讐なのだ。
「………そろそろかしら」
魔夜は溜め続けた魔力をいつでも使えるよう準備する。その言葉を聞いたテトの顔は蒼白になり、魔杖を抜いて逃げようとするが全くビクともしない。
「……ねぇ、生きたい?」
「あ、当たり前だ!」
魔夜の突然の言葉にどもりながらもすぐに答えるテト。魔夜は微笑みながら取引を持ちかける。
「貴方が知る限りの情報をくれるなら見逃してもいいわ」
魔夜の言葉はテトにとって僅かな希望だった。テトはコクコクと何回も頷く。
もしもこの場に白夜と極夜がいたならば笑いを押し殺していただろう。なぜなら、魔夜の口角を吊り上げて笑っていたのだ。碌でもない考えでも浮かんだのだろうと、白夜と極夜は一目でわかる。幸いにもこの場に白夜と極夜はいないので誰も気づかないが。
「そうね、まず貴方の負けを認めて貰いましょうか?」
魔夜は『死の制約』を完了させるためにテトに敗北を認めるよう促す。別に殺して『死の制約』を完了させても良かったのだが、復讐を果たすために死んでもらっては困るのだ。
そんな魔夜の考えを知らないテトは「お、俺の負けです……」と呟き、黒い光がテトを包みその額に黒い刻印が刻まれる。これは『死の制約』の敗者の証だ。
魔夜はそれを確認すると1つ目の命令で最も知りたい情報を吐かせる。
お前達はなぜあの晩襲ってきた?
依頼された。
誰に?
男だ。身長は180前後、頬に黒い雷の入墨を入れていた。
名前は?
知らない。
魔夜はここまで聞くと次の情報を聞き出す。
あの晩にいたお前達の名前を教えろ。
テト、八神猛、風神最
他の2人はどこにいる?
知らない。最後にあったのは2年前だ。
最も知りたかった情報を得た魔夜はそれらを記憶しながらテトがここにいた理由を聞き出す。
お前はなぜここにいた?
依頼されたから。
空音夢にはなんの価値がある?
神を殺す力があるからだ。
この言葉に魔夜は押し黙る。神を殺す力?魔夜はまだ情報を絞り出そうとしたが、額の刻印が消えているのを見て諦めた。
テトも刻印が消えていることに気付いており、今はどうやって誤魔化しながら答えようかと試行錯誤している最中だった。
魔夜はテトに眼を向ける。
テトは視線が自分に向いていることに気づき、頭を地面につけながら命乞いをする。
「む、昔のことは許されることじゃないと」
「黙れ」
魔夜はそれ以上喋らせまいと顔を燃やす。
テトは絶叫を上げながら数秒の間火で炙られる。魔夜は魔法を消すと、プスプスと音を立てながら顔を燃やされたテトが涙を流している。魔夜はそれを見ると満足そうに頷き、テトから少し距離をとる。
テトは顔と一緒に舌も燃えてしまい、まともに喋れず魔夜を引き止めることができない。
魔夜は距離を取り終えると、先程溜めていた魔力を解放する。
テトは「う゛う゛〜!う゛〜!」と唸りながら魔夜に助けを求める。先程、魔夜が「見逃してもいいわ」と言ったことをテトは言っているのだろうが、魔夜には届かない。仮に届いていたとしても魔夜は躊躇いもなく実行するだろう。そもそも、テトは魔夜達に人として超えてはいけない線を3本も4本も超えている。今更助けてなど反吐がでる。
魔夜はテトに最後の手向けとして全力の魔法を放つ。
「『終わり無き苦痛』』」
小石くらいの大きさの黒い球がテトの周りに無数に浮かぶ。数えるのも馬鹿馬鹿しい量の黒い球がテトを中心に渦巻きながらその幅を狭くしていく。
テトはそれを見てある予感を抱く。。削られる……。
テトの予感は的中する。少しづつ、ほんの少しづつ隙間をなくしていくその魔法は、なんの手の打ちようもないテトにとって悪夢そのものだ。
自慢の魔法は使えず 助かることはない。それに魔夜が唱えた魔法名は『終わり無き苦痛』』。
終わり無き苦痛、これが指す意味はどういうことか……。
テトは逃げ出そうと魔杖を引き抜きにかかる。しかし、先程と同様で全くビクともしない。テトは泣きじゃくりながら、手の皮が剥がれようと無我夢中で魔杖を抜こうとする。
その間に近づいていた黒球がテトに擦る。
「あぐっ!っっ!」
テトは味わったことのない激痛に意識を取られる。しかし、肉体にはなんの傷もない。魔夜はあら、と笑いながら最悪の情報をテトに告げる。
「その黒い球は傷は残さないわ。ただ痛覚神経にダイレクトに痛みを伝えるから、通常の100倍の痛みが貴方を襲うわ」
テトは助けてと魔夜に叫ぶ。
魔夜は笑みを浮かべてあの時と同じ地獄の条件をテトに告げる。
「そうね、その魔杖を抜くことができたら助けてあげる」
魔夜の言葉にテトの顔は絶望に染まる。先程から抜こうと躍起になっていた姿を見たはずだ。それなのに!とテトは思うが刻一刻と迫り来る黒球に目の前の希望に縋る。
魔夜はその姿を見て愉悦に浸る。
「私、貴方達と同じで優しいでしょう?刺さってるだけの魔杖を抜くだけなんだから」
魔夜の言葉に嘘はない。ただ、魔夜は『憎悪』により筋力を使えなくしている。このせいでテトは全く抜くことができないのだ。
テトは奮闘虚しく、時間切れになり、テトの絶叫は1時間程闘技場に響き渡る。
魔夜は『終わり無き苦痛』』を解除すると壮絶な顔を浮かべて倒れるテトがいた。その顔には絶望と苦痛がくっきりと現れ、魔夜の復讐心を満たす。
魔夜は突き刺している魔杖を掴む。
テトは未だに痛みが身体を支配し何も考えることができない。魔夜はそれを確認して笑うと、そのまま魔杖を横薙ぎにしてテトを切り裂く。鮮血が飛び散り、魔夜の顔には降りかかる。
魔夜は満足気に頷くとテトの死体を放置し、白夜達の元へ向かう。
この日、復讐の1つが達成されたのだった……。
次の投稿は土曜日です!
魔夜の復讐がやっと叶いました!ヽ(*^ω^*)ノ