復讐の一夜
少し長いかもしれません。
「呼ばれたから来たのだが、どういう意味だ?恨みが強い奴を連れて来いなどと」
開口一番、グロスは白夜達に質問する。
白夜はニヤリと笑うだけで答えず、グロスにボブロが見えるように移動する。
「っ!」
グロスはボブロを見ると息を呑み、そして
「貴様ぁぁぁぁっっ!!」
怒りの雄叫びをボブロを爪で切り裂こうとする。慌てて白夜が止めに入りなんとか阻止できた。
「どけっ!コイツを殺すために俺を呼んだのだろう!望み通り八つ裂きにしてやる‼︎」
「落ち着けって。そんな爪で切り裂くだけで復讐なんて楽しくないだろ?」
「どういう意味だ…返答次第では……!」
グロスは白夜の物言いに苛々しながら話を聞く。殺すだけでは足りないという白夜の言葉が気になったのだろう。白夜はそれを確認すると狂気の笑みを浮かべながら(本人は普通に笑っているつもり)グロスにボブロへの復讐を話す。
「ボブロは殺さない」
「なっ⁉︎」
白夜の言葉にグロスは絶句する。殺さない?ふざけるな!と、グロスは殺気を放ちながら白夜に詰め寄る。
「お前、何を言って」
「早とちりすんなよ。まだ話終わってないし」
白夜は尚も笑いながら話を続ける。
「コイツは貴族だ。それも国民に嫌われているな」
「それがどうした」
「いやいや、お前わかってねーだろ」
白夜はグロスの返答に学生をバカにするような教師の言い方で呆れる。グロスは歯軋りし、怒鳴る。
「それがどうした!」
「怒鳴るなうるさい」
軽く流す白夜。グロスの苛々はさらに募る。
「いいか、国民に嫌われている。その理由はなんだ?」
白夜の言葉に首を傾げるグロス。知らないのも仕方ない。国民でもないグロスに分かるはずもないし、そもそも獣人達は隠れて生活していたのだ。国のことなど知るはずもない。
白夜はそんなグロスを気にせず話し続ける。
「理由はコイツが金にものを言わせて好き勝手にしてきたからだ。オマケにコイツの護衛や傭兵も名前を使って自由に振舞う。この豚野郎に恨みを持つ奴は多いはずだ」
白夜の言葉にグロスは聞き入る。
「なら、その自由にしていた力を失くしたらどうなる?この国で、権力を失くしたボブロはどうなる?」
白夜の考えにグロスも笑みを浮かべて納得する。
つまりーー
「コイツを失脚させて金も権力も土地も家も貴族という位さえも!取り除いてしまえば、コイツはどうなる?」
ただの国民、庶民になったボブロ・グス・リーズはどうなる?
今まで辛酸を舐めてきた人達は?意味もなく、理由もなく虐げられた人達は?家族を人質に働かされていた人達は?
獣人達もだ。
望んだわけでもない力に怯え、迫害される恐怖。村を理不尽に襲われ、殺されていった家族。奪われた尊厳。辱められた仲間達。
色んな人達がボブロ達に復讐をしたいと思っている。そして白夜の提案はそれを叶える。
ここまで聞けばいい案に聞こえるが言うは易く行うは難しだ。
「それは成功するのか?ボブロは国王の側近だぞ」
「それなら心配ない」
白夜はグロスの不安を一蹴する。
「そいつを国家反逆罪で全て没収、奴隷にしてやるからな」
白夜は楽しげに計画を話す。夢の『天魔』で催眠をかける。催眠をかけたボブロを王宮に行くよう指示し、王様を殺しに行かせる。そこで王様も殺せればいいが恐らく無理なのでボブロは捕らえられる。普通なら国家反逆罪で処刑ものだろうが……。
「国王も殺すし大丈夫だろ」
「………国王を殺せばお前達も罪を問われるのではないか?」
グロスは白夜達の身を案じる。白夜はそれも笑い飛ばす。
「国王を殺すのは簡単。ボブロを側近に置いている時点で嫌われているし愚者ってのがわかるからな」
愚者じゃなければボブロに好き放題させないし側近にも置かないだろう。それをしていたのだからたかが知れている。
「………して白夜よ、王子がそれを認める算段はあるのか?」
極夜が白夜に懸念材料をどうするのだと聞く。
「あー、それなー……思い浮かばない」
「「ハァァ」」
魔夜と極夜が溜息を吐く。
「ちょっとそこ、2人して失礼じゃない?」
白夜は2人の態度に不満気な顔をしながら思考する。白夜が考えている絶対条件は3つだ。1つ目はグロスの娘の救出。2つ目はボブロの全てを壊す。3つ目に国民に慕われている王子の王位継承。現在は2つ達成している。それに国王は殺さず退位させればいいだけなのだが、それは至難だろうと白夜は除外している。
それにこの国は商業国だ。いきなり退位すれば他の国に狙われる可能性がある。
どこかの国の保護下に入っていればその不安はなくなるが白夜達が集めた情報の中にはなかった。
「メンドくさい!お前らも考えろよ!」
白夜はだんだんと面倒になり放棄した。魔夜達は呆れながら白夜を見る。白夜は「国王殺すのが楽だ!殺ろう!殺ってしまおう‼︎」などとのたまいながら魔夜達を説得し始める。
グロスは呆れ、外にいる仲間達を呼びに行った。
放置されていたボブロはというと
「(ふ、ふざけるな!我輩が奴隷だと?好き勝手言いおって!まだだ。まだあの方が来てくれさえすれば現状を打破できる。クククク、今のうちに勝利の余韻に浸っているがいい。あの方が来ればそれも終わりだ。クククク………)」
一人、仄暗い笑みを浮かべながら『あの方』が来るのを待っていた。
一方、時雨達はグロスの娘が眠らされている部屋に辿り着いた。
「意外と遠い……」
「ホントにね。あ〜遠かった」
「「………」」
時雨と夢にジト目の視線が2つ突き刺さる。ハデスとタナトスだ。
「遠かった。ええそうですね、そうですとも」
タナトスが全く眼が笑っていない笑顔で2人を見つめながら喋る。
「あれだけ適当に進めば、遠く感じるのも当然でしょう。何が自信はあるですか!思い切り真逆に行くし、最後は勘で行ってましたよね!」
タナトスは2人を怒るが、ハデスは元々道を覚えていなかったので何も言えず明後日の方向を見ている。それに気づいた時雨と夢はハデスを道連れにする。
「「ハデスも道覚えてない!」」
「あ、売ったわね!」
「ハデス様本当ですか⁉︎」
2人に売られたハデスは驚き、タナトスはハデスが道を覚えていなかったとは考えていなかったので聞き返す。
「え、えーと……、覚えてたわよ!ただ……」
「ただ?」
ハデスは大量の汗をかきながら言い訳を考える。タナトスはハデスから視線を外さずにずっと見ている。ハデスは考えに考えた挙句
「今はそんなことを言っている場合じゃないでしょ。早く助けないと」
「「あ、逃げた」」
真顔でそれらしいことを言いながら、タナトスの追求を回避するため目的を達成しようとする。
「ハデス様……」
溜息を吐くタナトスにハデスは「よし、これで逃げれる!」と1人歓喜するが
「話は後ほど致しましょう。では行きますよ」
「…………」
キッチリと逃げ道を塞がれたハデスはトボトボとタナトスについていく。そんなハデスを指差して笑う夢にハデスが殴りかかるがタナトスが2人に拳骨を落とし悶絶していた。
地下倉庫の床の隠し部屋に着いたハデス達はすぐに目的の女の子を見つける。
「あ、いたわよ!」
ハデスの視線の先には鉄の鎖で縛られ眠っている女の子がいた。ハデス達は女の子の近くに行き鎖を外そうとするが、鉄を溶かして溶接しているため解けない。
「これは私達だけでは無理です。このまま運ぶのが無難でしょう」
タナトスが早々に諦めて打開策をハデス達に話す。ハデス達も自分達では無理と判断しタナトスの案に頷く。
「そうと決まれば動きましょう。早く終わらせて休みたい……」
タナトスの言葉に一同も賛成の声をあげる。
「わいも寝たい……」
「魔夜お姉様と買い物に行きたい……」
「私も少し休みたい……」
そんなことを呟きながら夢が円型の結界を作って女の子を包み、時雨が水魔法で押して進む。ハデスとタナトスはこれから先必要になりそうなものを取れるだけ盗っていく。
「それじゃ急いで戻りましょ」
ボブロの屋敷を出たハデス達はすぐに白夜達の元に行こうとする。
「おや、これはこれは、ハデス様ではありませんか」
軽薄そうな笑みを浮かべた金髪の男がハデス達の進行方向にいきなり現れた。文字通り、先程まで誰かがいた気配もなく突発的にだ。
「………夢、コイツ…」
「……ハデス達は逃げて。私がやる」
時雨と夢は一目見て悟る。勝てない、と。
そして決断する。誰を逃がすかを。
「檻に入ってろ!『四結界』」
夢が先制で四重に結界を張り閉じ込める。金髪の男はニヤニヤと笑うだけで動かない。
「時雨、行って!」
「……っ、すぐに戻る!」
時雨達は走って魔夜達のところに向かう。
時雨は魔夜達なら勝てると、魔夜達が来れば勝てると考えていたが、現実は非情だった。
「逃げるなんてつれないなぁ」
「なっ⁉︎」
金髪の男は時雨達の目の前にいた。夢の『四結界』の中には誰もいない。
金髪の男は視認できない速度で時雨を蹴り飛ばす。悲鳴をあげる暇もなく飛ばされ民家に突っ込む時雨。
夢は即座に『天魔』を使い身体能力を底上げする。ハデスは白夜から聞いていた『冥府の恩恵』に宿る能力の1つ、『影疾走』で自身を影にしてそのまま逃げる。タナトスは隠し持っていた手榴弾の安全ピンを抜いて金髪の男に投げつける。
「意外と優秀な人材だぁ〜。俺の奴隷にならない?」
金髪の男は笑いながらそんなことをのたまい、タナトスの手榴弾が爆発する。
辺りに響く轟音。近くにいたタナトスは両手を前にして顔を庇っていたが、手榴弾の威力に気絶していた。夢は手榴弾であがった粉塵を羽で吹き飛ばす。そこには倒れたタナトス以外誰もいなかった。
「危ない危ない。女の子がそんな危険な物持ってちゃダメでしょ」
「………うっせぇ」
いつの間に移動したのか民家の屋根に座っている金髪の男に悪態をつきながら睨む夢。
「女の子がそんな乱暴な言葉遣いはだめだって。俺が教えてあげようか?」
「キモい死ね成金カス野郎」
「本当に乱暴だね〜」
夢の暴言に笑いながら返す金髪の男。夢は現状を把握する。時雨は民家に突っ込んだままで気絶したかわからない。タナトスは戦闘不能。ハデスは離脱に成功してる。ならハデスが魔夜達を呼んでくるまでが勝負。そこまで考えた夢は時間稼ぎのため金髪の男に話しかける。
「お前誰?」
「お、聞いてくれるんだ〜。女の子から聞かれて答えないのは男が廃るし、ここは親切に教えてあげるよ〜」
金髪の男は話しかけられて喜びながら名前を教える。
「テトって呼ばれてるよ〜。これを機によろしくね〜」
バチンッとウィンクをしながら名前を名乗る金髪の男、テト。夢は結界を身体に纏うように形状変化させて不測の事態に備えながらなおも話し続ける。
「目的は何?」
夢はテトの目的を聞き出そうとする。
「君だよー」
しかしテトはあっさりと情報を教えた。おそらく教えたところで何もできないと考えているのだろう。事実、夢だけではこの男に敵わない。
「なんで私が……?」
夢は自身が目的と言われたことで気になり話しを続けようとするが
「これ以上は教えられないなぁ〜」
テトは話は終わりとばかりに打ち切る。再び脅威が動く。
「ところでさぁ〜、覚悟を決めましたって顔してるとこ悪いんだけど」
テトが一瞬で夢に接近し、拳を叩き込もうとする。夢は全身に形状変化させた結界を纏っているため、拳を受け止めた後反撃を
「その結界、無意味だからね」
夢の結界は無いとでも言うようにあっさりと夢の腹部に拳が入る。メリメリッと嫌な音を立てながら決まった拳をテトは振り抜き夢は砲弾さながらの速度で時雨が飛ばされた民家とは逆の民家に突っ込む。
「カハッ…」
夢は腹部の焼けるような痛みで息がまともにできず蹲る。
すぐに治癒しようとするが
「だ〜めだって」
ボキッ
「ッッッ⁉︎」
両腕が折られ動かせない。身体は満身創痍、両腕は折られまともに戦えない。夢は詰んでしまった。
「あれ、生きてたんだ」
テトはそんな夢から眼を離して最初に蹴り飛ばした時雨を見ていた。
時雨は口から血を流し、足もフラフラとしているが、立っていた。
「……『水竜』」
時雨の生み出した水の竜はテトに襲いかかる。テトは水竜を見ながら余裕の表情で拳を振る。
水竜と拳が衝突する。
水竜は辺り一面に吹き飛び、その姿を崩す。
「健気な姿がいいねぇ〜。ただ、現実は甘くないのが事実だから。落ち込まないでね」
テトは慰めとも嘲笑とも取れない言葉を吐きながら時雨に言葉をかける。
時雨はその言葉を無視し、ブツブツと何かを呟きながら魔力を高めていく。
「だからさ、諦めて俺の奴隷にならない?今なら三食首輪付きで飼いならしてあげるからさ」
それに気づかないほど喋っていたテトはようやく時雨の魔力が無視できないほど高まっていることに気づく。
「あれぇ〜、なんで瀕死の君がそんなに力を増しているのかなぁ〜?」
テトは笑顔だがどこか観察するような目つきで時雨を見る。
「……ま、えが」
「え、何?聞こえないよ?」
時雨の呟きが聞こえなかったテトは聞き返す。時雨はテトに視線を合わせ、呪詛を吐きながら絶叫する。
「お前が魔夜お姉様を汚した男かぁぁっっ‼︎」
時雨はテトを見た時、その喋り方や態度を見てある予想をしていた。最初は疑心暗鬼だったのだが、それは確信に変わった。
夢の結界を抵抗どころか何も無いかのように攻撃を加えたことが決定的だった。
夢の『天魔』による結界は絶大な防御力を誇る。そして以前聞いていた白夜達の親のスキルでの攻撃が消えた事象について。
このことから白夜達の親を殺し、復讐の道に入らせた男の1人なのだと。
ゆえに時雨はこの男を呪う。苦しめて後悔させて絶望させて殺したいほど呪う。
時雨はスキル『呪怨』を使い、自身の血液に呪いをかける。時雨は流れ出ていた血液を『水操作』が進化したスキル、『液体操作』で操り刀を作る。
「呪刀・怨念!」
血液で作られた刀は凶々しいオーラを放ちながら時雨の手の中に収まる。
「女の子を泣かせたくないんだけど」
時雨は一瞬で詰め寄り刀を振り下ろす。
「この場合は不可抗力だよね」
テトは振り下ろされた刀を僅かな動作で躱し、時雨に蹴りを放つ。
「……へぇ〜、やるねぇ」
テトの蹴りは時雨に届かず、血の壁に防がれていた。時雨は躱された『呪刀・怨念』を『液体操作』で操り即座に壁を作ったのだ。
「死ねぇぇ!!」
時雨は血の壁を無数の槍に変化させテトに突き刺す。テトは超人的な身体能力で躱すが、全ては捌ききれず何本か受けてしまう。
テトは攻撃を受けながらも時雨に拳で反撃を入れ吹き飛ばす。
「痛いなぁ〜。お仕置きが必要だね」
テトは時雨の攻撃を受けてなお余裕の表情で立つ。時雨の攻撃は決定打にかけ、擦り傷程度しかダメージを与えることができなかったのだ。
「それじゃあ、反撃、開、始……?」
突如歯切れが悪くなるテト。その身体はフラつき、今にも倒れそうだ。まるで体力を使い切ったかのような。
「フ、フフフ…。1回でも、攻撃が通れば、こっちのもんよ……」
満身創痍の時雨が勝ち誇った笑みを浮かべながらテトを睨みつける。
時雨の『呪刀・怨念』は傷を入れた相手の体力を根こそぎ失くす能力だ。一見無敵の力に見えるが、代償として自身も体力がなくなる諸刃の剣だ。
「夢……あと、は……」
「任せて」
夢の言葉を聞き、ドサリと倒れる時雨。
夢はテトと相対する。
「な、なんで…?」
テトは両腕を折られ瀕死になっていた夢が立って相対していることに驚愕の表情で夢を見つめる。
「時雨が私の手を血で固定してくれたのよ」
時雨はテトと戦っている最中に夢から流れ出ていた血液を操り、夢の腕を固定してスキルを使えるようにしたのだ。これにより夢は両腕を癒し、体力を回復していたのだ。
「これで終わりね」
勝利が確定したと確信する夢。
しかし、現状においてそれは油断だった。
「確かに終わりだねぇ〜」
テトの拳が夢の腹部に突き刺さる。
「ゲホッ」
内臓が潰れたのだろう。夢は口から血反吐を吐きながらその場に倒れる。
「残念、惜しかったねぇ!」
テトは心底楽しそうに夢を見下しながら褒め称える。
「ありえ、ない…」
夢は今起きたことが信じられず、つい零してしまう。
「ありえちゃうんだよね〜。俺の『消去』ならさ」
テトは得意げに話を続ける。
「俺の『消去』はね、魔法とスキルを消すとこができるんだよ。状態異常はもちろん、ケガさえも消せちゃう便利なオリジンスキルだよ!」
テトは満足そうに話す。テトの言う通りならチートのようなスキルだ。身体能力はチート級で魔法もスキルも効かない。オマケにケガを消せるスキル。無敵と言っても過言ではない。
「さて、そろそろ時間もやばいし。君にはついてきてもらうよ〜」
ヤバイ。夢は状況を打破する案を死ぬ気で考える。しかし何も思いつかず、テトの手が迫って
「あ、その前にこの女の子は殺さなきゃなぁ〜」
「なん、で…!」
テトの突然の発言に狼狽する夢。
「だってこの子の力は脅威だし、放置したら後々厄介だからねぇ〜」
テトの言葉はその通りだが、夢からしたら堪ったものではない。夢はテトを止めようと限界を超えて結界を張り閉じ込める。
「ゲホッゲホッ……させない……!」
夢の決死の覚悟で作った結界は
「あはははは。だから無駄だって。『消去』」
無残にも消される。夢はそれでも結界を張り続ける。テトはそれを消す。張って、消して、張って、消してを繰り返していくうちに夢の頬を涙が流れる。そして
「………結界……」
夢は力尽き、結界を出すことができない。
「ゲームセットだね〜。最後に送る言葉はあるかい?」
テトがふざけた言葉を夢にかけながら、時雨の頭を鷲掴みにして夢の近くまで来て向ける。
「………お前は、必ず、殺す!」
夢はそんな時雨を見ながらテトを睨みつけ怒声をあげる。
テトはそんな夢を見て笑いながら答える。
「殺すって。昔にも言われたなぁ〜、そんなこと」
「だろうな」
「っ⁉︎」
突如聞こえた第三者の声にテトは振り向こうとするが、腕を神経を切られて時雨を落とし瞬時に反撃をしようとが身体が麻痺し動かない。
「俺はよぉ〜く覚えてるぜ。ロリコン野郎‼︎」
頭を蹴り飛ばされたテトはそのまま先程時雨を蹴り飛ばした民家に突っ込む。
「……おっそいけど、たす、かった……」
夢はそれだけ言うと意識を落とした。限界を超えて結界を出し続けた反動で魔力切れを起こし、疲労が蓄積されたのだろう。
テトを蹴り飛ばした男はハデスに手当を頼む。
「アタシが『影疾走』で運ぶから、その間お願い」
ハデスは時間稼ぎを男に頼むが、男から帰ってきた返事は異なっていた。
「正気を保っている内に、急いで逃げろ……」
男の言葉に困惑するハデス。男はそんなハデスを見て怒鳴る。
「早く行け‼︎」
ハデスは怒声にビビりながらも時雨と夢を掴んで影に入れ、『影疾走』で場を離れる。
「面倒くさいことさせないでよぉ〜。追っかけるの疲れるんだけどー」
テトは不満気な顔をしながらぶつくさ文句を言う。その言葉は男を倒して追っかけると、男は取るに足らない相手と語っていた。
「ああ、それでいい。それでこそ復讐の意味がある。」
狂気の笑みを浮かべている男、白夜は濃密な殺気を放ちながら叫ぶ。
「見つけたぞ!!このクソ野郎がぁぁぁぁっっ!!!!」
時雨と夢、タナトスにハデスと大活躍ψ(`∇´)ψ
最近はPVなども上がってきたので更新速度を上げたい所存です。




