昔話2
投稿が遅くなりました。すみません!
「それでは始めるとしようか」
『師匠』の言葉に白夜達は構える。『師匠』はそれを見て頷くと片手を頭上にあげ
「始め!」
振り下ろす。同時に白夜達も武器を抜いて駆ける。
白夜は極夜に双剣で斬りかかるが防がれる。
白夜は追撃をしようとするが、即座に飛び退き魔夜の魔杖を回避する。極夜は飛び込んで来た魔夜を横薙ぎに払う。魔夜はそれを魔杖で受け止めきれず後ろに飛ばされる。
そこに白夜がまわり込もうとするが魔夜は着地と同時に魔杖で地面を抉り砂埃を起こす。そのせいで一瞬の間見逃した白夜。
その間に魔夜は態勢を整え魔杖を構える。
3人は再び向かい合う。
ーーーー殺セ。破壊シロ。
頭に声が響く。実は白夜が双剣を鞘から抜いた時から頭にこの声が響いていた。
白夜は無視しようとするが、できなかった。
この声にスキル:殺意が反応しているのだ。
白夜は歯を食い縛り、耐えようとしていた。そこに
「ボケっとするな!」
極夜の剣が上段から振り下ろされていた。
白夜はそれを双剣で受け止め、魔夜がガラ空きの右腹部を狙う。白夜は極夜の剣を右に流して阻止するが極夜は横薙ぎに剣を放つ。
白夜は横薙ぎに放たれた剣に双剣を叩きつけて跳躍し、極夜と魔夜から距離をとる。
しかし
「ッ‼︎」
魔夜は読んでいたのか、白夜の着地点に魔杖を投げていた。この時、白夜は頭の声も無視して全力で上に回避する。
「終流・一閃【嵐】」
極夜は跳躍して身動き取れない白夜に接近し、型を放つ。白夜は無数の切傷を作るが致命傷はない。危険な斬撃だけ対処し他はワザと受けたのだ。
ーーーー殺セ、殺レ
「うるっせぇなぁ!」
白夜は叫びながら魔夜達に突っ込む。
そうしてしばらくの間三つ巴の戦闘を繰り広げる。誰も魔法とスキルは使わずに行われる戦闘はしばらくの間続いた。しかし……
「遅ぇ!」
「ヤバッ⁉︎」
極夜が白夜の隙をついて双剣を上に弾く。一瞬だが白夜の腹部はガラ空きになり、白夜は後ろに飛んで逃げようとするが
ドスッ
「クッソが……」
魔夜が周り込み魔杖の先端を腹部に突き刺す。ブシュッと音を立てて腹部から引き抜かれ倒れる白夜。
魔夜と極夜は白夜は戦闘は最早無理だと判断し、互いに向かい合う。
ーーーー殺ラレタ、敵、殺セ
「うるせぇ…」と頭に鳴り響く声に反発する白夜。しかし、傷が深く意識も朦朧としてきているので頭に鳴り響く声を抑えきれない。
魔夜と極夜は戦闘を再開し、白夜の様子に気づかない。『師匠』も地面に顔を伏せている白夜に気づかない。
そして、事は起こった。
「………ハハ…」
強烈な殺気が場を支配する。魔夜と極夜は戦闘を中断して殺気の出処である白夜を見る。
貫かれていた腹部は血を固めて止血されている。さらに白夜のスキル:殺意が発動されており、身体を黒い靄のような物で纏い魔夜達を見ていた。
白夜の口が三日月状に開き笑う。
その眼は正気ではなかった。
「ッ⁉︎」
キィンッと音を立てて白夜の剣を止める極夜。白夜がスキル:加速を使って攻撃したのを間一髪で防いだのだ。魔夜が極夜の加勢に入るが、白夜の剣速は先程とは段違いに速く魔夜達を切り刻む。
「こんの、クソガァァッ!」
極夜の咆哮と共に放たれた上段からの剣を白夜は双剣で受け流す。魔夜は一歩踏み込み白夜に魔杖を突き刺そうとするが
パンッ
いつの間に作ったのか魔銃を剣と一緒に器用に持っていた。魔夜が前のめりに倒れるが、白夜が追い打ちとばかりに蹴り飛ばす。宙を舞った魔夜は地面に激突し意識を失う。
白夜が攻撃してから5秒しか経っていない。
「終流・二刀破斬【爆炎】!」
剣を胸の前で交差し、焔を纏わせて斬りかかる。それに対し白夜も応戦する。
「終流・【陽炎】」
2人が交差し、場所が入れ替わる。
ブシャァァッ……ドサッ
倒れたのは極夜だった。
白夜は無傷のままだ。白夜が使った終流・【陽炎】は白夜の得意型の1つで相手の目線に合わせて横薙ぎに振るう。それに合わせて身体は逆の方へ飛び、もう片方の剣で斬る。
これにはある程度の速さと瞬発力が必要で『加速』と『空力脚』を持つ白夜はこれを得意としている。元々剣速と瞬発力が良いのも理由だが。
「全く、その双剣が原因か…。一応チェックはしたのだがな…」
「殺ス……」
『師匠』は倒れていた魔夜に治療をしながら白夜がこうなった理由を看破する。
治療が終わり立つ『師匠』に構える白夜。
『師匠』はそんな白夜を見て、不敵に笑う。
「君では勝てんよ。今の君ではな」
白夜は疾走し、『師匠』に斬りかかるーー
「…………それで白夜は『師匠』に止められた。これが白夜が本気、つまり双剣を使わない理由」
話が終わり時雨が質問する。
「なら他の双剣を使えばよかったんじゃないですか?」
「そうなのだけれど、何故か『師匠』は「双剣はこれ以外使用するな」と言っていたのよ」
魔夜もわからないと首を振る。
「それにしても白夜が魔夜お姉様と極夜を相手に勝つなんて、信じられませんね…」
「魔法とスキルは何で使わなかったの?」
夢が魔夜に質問する。すると魔夜は苦笑を浮かべながら答える。
「至近距離の魔法も使えるは使えるのだけれど、意識を少しでも魔法に割けばその分反応が遅れるのよ。だから私は使えなかったのよ」
魔夜の言葉に時雨と夢はなるほどと頷く。
時雨は他にも聞こうとしたが白夜の「時間だ」の合図に全員が席を立ち、宿を出て行った。
ーーーー白夜達が宿を出る1時間前、ボブロ・グス・リーズは自身の結婚式の為、準備をしていた。場所はアルノ教会でボブロはここで挙式を挙げる。アルノ教会はかなり大きな教会で、このような異例の結婚式の時にも使われる場所だ。一般人も入れるように今回の結婚式はしているのでかなりの人間が来るだろう。そして花嫁である相手は獣人でまだ幼いが気丈で芯があり、肉つきも良く容姿に至っては別格だった。ボブロはその美貌を見て手に入れようと村を襲わせたのだ。
噂を広めたので人も大勢集まるだろう。
「オイ、あの娘の準備は?」
ボブロは近くにいた男に聞く。
男は報告する。
「暴れておりましたので少し眠らせました。後ほど目が覚めるかと」
「フム、なら良い。ちゃんと服従させておけ」
「ハッ」
男は頭を下げると部屋から出て行った。
ボブロはそれを確認すると誰かに連絡を取り始めた。
「もしもし………」
2時間後、結婚式が始まった。
白夜の本気スタイルは双剣です!二刀使いが多い?仕方ありません!二刀使いが好きなので‼︎
次回の更新は明日の午後6時にしますのでよろしくです!