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復讐の夜  作者: 榊原灰人@vtuber
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昔話

少し遅めの投稿になりました!すみませんm(._.)m

「………収まったか?」


「ひぐっ…う゛ん……」


ハデスは嗚咽が少し残るがようやく泣き止んだ。


「まぁ気を落とすなとは言えないけどな、何か方法があるかもしれねーし諦めんな」


白夜はハデスを慰める。白夜自身、このことに腸が煮え繰り返っている。ハデスのしでかしたことは白夜達人間からしたら確かに許せはしない。だが、同じ神の一員であるハデスを助けることもせずに責任のすべてを押し付けて自分達は関係ないと、ハデスが元凶なのだと、切り捨て断罪する他の神はとても許せるものじゃない。ハデスは白夜達の主神であり仲間だ。少なくとも白夜はそう考えている。その仲間を泣かす屑共は敵だ。ならどうする?

白夜はハデスの髪を撫でながらこれからの方針にある項目を加えた。それは


「神に復讐する。これしかないな」


白夜は自分達の復讐が終わったらハデスの復讐をすることを自身に誓う。必ず神にハデスが味わった以上の苦しみと悲しみ、絶望を与えると。

白夜が1人そんな決意をしている中、ハデスは髪を撫でられる感触が心地よく堪能していた。

ちなみに白夜とハデスはベッドの端で並んで座っている。ハデスは下着の上に軽くローブを着ていて、白夜は寝間着のジャージだ。

ハデスは白夜と抱き合うような形で髪を撫でられている。つまり、他の人が見るとどう思う?


「眠い〜……?」


「終わったわ、よ……?」


「あわわわ……」


「やるわね白夜」


夢、時雨、神無、魔夜が戻ってきた。夢と時雨はキョトンとした表情で、神無は顔を赤面させて、魔夜は一瞬で白夜が慰めるためにしていると看破したが悪ノリして、それぞれの反応をする。そのまま少しばかり静寂が訪れ


「皆さん戻ってきたのですね。無事でよかったです。ハデス様、皆さんが……?」


夢達の声を聞いて部屋まで来たタナトスは魔夜達がハデスの部屋の前にいたのでハデスに呼びかけるもフリーズした。そしてーー


「「「なにをやってるの(ですか)⁉︎」」」


夢、時雨、タナトスの叫びが宿全体に響く。白夜は説明するのがめんどいなーと憂鬱そうな表情を浮かべ、ハデスは顔を林檎のように真っ赤に染めて慌てている。

その後、宿の店主が来て白夜達は1時間ほど説教を受けた。………魔夜1人だけは瞬間移動で逃げていた。白夜は怒られる最中、いつか仕返しをしようと心に決めたのだった。



「………ということだから、決して何かあったわけではない!」


「そ、そうよ!何もしてないわよ!」


「「「へぇ〜」」」


翌日の早朝7時。

白夜は昨日の出来事を話し、自分達は何もしていないと弁明するも夢達の視線は冷たい。

魔夜と極夜は興味がないようで武器の手入れをしていた。


「だから、ホントに」


「そんなことはどうでもいい」


白夜が弁明をしようと口を開くが極夜が遮る。


「白夜、今回は死ぬ気で殺れ」


「…………本気ではやる。死ぬ気ではやらねーよ」


極夜の冗談を感じさせない言葉に白夜も雰囲気を変えて答える。しかし、極夜は白夜の返答が気に入らないようで少し苛ついた表情で白夜に話しかける。


「今回、相手の実力がわからない。ならば死ぬ気の覚悟でやるのが当然だろうが。それもわからぬほど貴様の頭は駄目なのか?」


挑発混じりの極夜の言葉に白夜は怒りもせず、冷静に返す。


「俺より弱いお前がほざくな」


冷静に返すが、その眼は仲間に、家族に向けるような生温い眼ではなかった。まるで仇でも見るような、ドス黒く、殺意がこもった眼だった。2人の間に剣呑な雰囲気が漂う。


「そこまで」


それを止めたのは魔夜だった。魔夜は2人を一瞥し、白夜に話しかける。


「白夜は極夜の言う通り、死ぬ気で殺りなさい。あの時みたいにはならないわ」


「…………チッ、極夜、俺の寄越せ」


極夜は白夜に二本の短剣を投げる。短剣だが少し長く、1メートル程の長さの短剣だ。

片方は鞘が白く、もう一方は黒い。

白夜は苦い表情でそれを左右の腰に装備する。


「魔夜お姉様、なんで白夜はあそこまで嫌がるのですか?」


時雨が魔夜に小声で話しかける。白夜と極夜を除いた面子も魔夜に視線を向け話すのを待っている。魔夜は少し考えて、話した。


「四年くらい前の話になるわ……」


当時、魔導学園に通い始めた頃の魔夜、極夜、白夜は『師匠』に鍛錬をしてもらっていた。『師匠』は年に何回か孤児院に顔を出す程度の人だが、明るくて活発な人だった。それに実力は未知数で何回か手合わせをしたが魔夜達は一度も勝てなかった。

そこで白夜達は『師匠』に頼み込んで弟子にしてもらい、戦い方を教わった。

そんなある日のことだ。白夜達が学園に通い始めて数ヶ月が経ち、唐突に帰ってきた『師匠』は珍しい武器を沢山持ってきていた。

その中の1つ、白い鞘と黒い鞘に納められている通常のより長い短剣があった。


「師匠、なんですかこれ?」


白夜は2振りの剣を眺めながら『師匠』に聞く。


「ん?ああ、それか。その双剣は人を選ぶ魔剣だ」


「へぇ〜」


「いや、へぇ〜じゃないだろう。そこは感心して驚くところだぞ」


『師匠』は白夜の態度に文句を言うが


「今更魔剣とか、師匠と極夜ので見飽きてるのと俺は魔銃を作れる。人を選ぶって、師匠と極夜のもそうだろ?」


「そうだが……」


師匠は白夜の言葉に反論ができない。


「それに言ってるそばから、その人を選ぶ魔剣、いや魔杖に選ばれてる魔夜はどうなんだよ」


「なにぃぃっ⁉︎」


見ると魔夜が紫と黒で色付けされ、先端に槍のような切っ先と背筋が寒くなるようなグロテスクなデザインをしている円形の目玉が嵌め込まれた魔杖を手にしていた。


「使い勝手が良さそうね。師匠、貰ってもいいかしら?」


魔夜が『師匠』にお願いする。小首を傾げ、下から目線であざとさ全開のおねだりだ。

それに対して師匠は


「構わんよ。元々お前達の為に持ってきたようなものだしな。ただ、それは呪われているぞ?」


「呪い程度問題ありません」


「まぁ、魔夜なら大丈夫だろうな。君達は優秀で育て甲斐がある」


その言葉を聞いた白夜達は途端に苦虫を潰したような表情になる。この『師匠』の訓練は過酷すぎて白夜達がうんざりするほどなのだ。


「そんな嫌そうな顔をするな。次の修行が厳しくなるぞ?」


「師匠、俺はこの双剣貰う」


「即逃げるあたり流石としか言いようがないな。いいぞ、好きに持って行きたまえ」


白夜は『師匠』からの許しを貰い、白と黒の双剣を腰に括り付ける。


「武器の慣らしも兼ねて模擬戦でもするか。では行くぞ〜」


『師匠』の言葉に白夜達も頷きついていく。


ーーーー殺セ


「っ!」


白夜は突如頭に鳴り響いた声に足を止める。

しかし何も聞こえない。白夜は「幻聴か?」と疑いながらも「早く来たまえ!」との『師匠』の言葉で頭から振り払い『師匠』達のところに向かうのだった…………。

次で白夜の昔話は終わり、本編に戻ります。

バトルシーンが増えるので楽しみにしてください!

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