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復讐の夜  作者: 榊原灰人@vtuber
39/83

情報報告

更新遅くなりました。

そして報告です!なんと10000PV突破しました‼︎

読者の皆様方のお陰です!ありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします‼︎

「ううぅ……」

「大丈夫、タナトス?」


ハデスは未だに気分が悪そうなタナトスに心配して声をかける。


「神なら大丈夫と思ったけど、そうでもないのか」

「今のアタシ達は人間の身体と同じだから!神の力は使えないから!」

「は?」


ハデスの言葉に驚く白夜。


「いや、その「え?」みたいな顔は何よ。もしかして知らなかったの?授業で習ったはずでしょ」


白夜はその言葉を聞いて確信した。


「授業はほとんど聞き流したから知らん!」

「ドヤ顔で言えることじゃないわね……」


呆れ顔のハデスはジト目で白夜を見る。


「オイ、情報をもらおうか」

「あ、逃げた」


白夜は戦略的撤退をとって、情報収集を始める。男達から得た情報はかなりの収穫があった。

この白夜達のいた日本から切り離されているガイコク(字で書くと外国)は白夜達の国の存在を同じく知らない。彼等もこの外国から出たことがないらしい。このオルシアス王国は商業に発展していて魔法道具などが豊富。その道具を使い周囲に結界を張って『化け物』の侵入を防いでいるらしい。他の国は皆高い城塞で侵入を防いでいるとのこと。

このオルシアス王国はグラン・エルド・オルシアス国王が治めているが、国民はこの国王をあまり好いてはいない。このグラン国王は権力至上主義で貴族にしか風当たりが良くない。高い税、低い賃金、更に戦争や『化け物』の進行が始まれば強制的に参加させられる。貴族共はこれを免除されているにもかかわらずにだ。

奴隷制度もあり、税を払えなかったものはここに入れられる。奴隷として生活する者には人権などない。死んでも文句は言えず、何をされても従うしかないのだ。


「中々のクズだな、国王」


白夜の言葉に男達も頷く。その眼には怒りがあったが同時に希望もある。


「それでも王子様は良い方だ。困った国民や孤児にお金を寄付し、少しでも被害を減らせるよう自ら争い事に参加してくださる。おかげで死傷者は僅かだ」


男の言葉に他の仲間達も賛同するように頷く。このことからも本当のことなのだろう。


「そんな王子様はなぜお前達を救ってくれなかった?言えば助けるような人の気がするぞ。その言い様じゃ」

「……王子様は今『化け物』と戦っておられる。我等に時間を割かせるなど、できるわけがない」


たとえ死のうともだ。そう付け加える男達の顔には確かに覚悟を決めている意思が感じられた。それほどまでに良い王子ならばなぜ王にならないのか疑問だが、白夜はここに来た目的を果たす。


「ところで、獣人の婚姻の話とか知らないか?俺が来た理由がそれなんだが」

「知っていたら教えてくれないかしら」


それまで黙っていたハデスも加わりお願いする。男達は顔を見合わせ、苦虫を潰したような顔をしながら白夜達に答える。


「知ってはいるが、何をするつもりだ?」


男の言葉に白夜は端的に返す。


「取り返し、関係者全員を殺す」

「……そうか、だがやめておけ。教えはするが諦めた方がいい」

「そうですよ。相手は冒険者Aランクのガルボなんですから」

「知らないし、どの道殺す」


男達の止める声を聞かない白夜。その態度を見て諦めたのか男は話し出す。


「獣人を奴隷にしているのはこの国では1人しかいない。貴族のボブロ・グス・リーズ。この男だろうな。奴にはお抱えの傭兵がいて、ガルボもその1人だ。」


「そんなにガルボって奴は強いのか?」


「実力は確かだ。しかし、性根が腐っていることでも有名だ」


男はガルボのことを思い出したのか胸糞悪いといった顔をしている。その態度から白夜は本当のことだろうと認識した。


「わかった。後は自分で探す。このことは誰にも話すなよ〜」


白夜は聞きたい情報は貰えたので男達を解放する。


「ああ、だが本当にいいのか?俺達はお前達を殺そうと」


男達は先程白夜達を襲った後ろめたさから何かできることはないかと提案する。しかし


「なら死ぬか?」


白夜の纏う空気が一瞬で変わる。リーダー格の男を殺す時の雰囲気など遊びに感じる程の殺意の奔流が男達に降りかかる。男達はガクガクと口を合わせるだけで何も言えない。喋れば殺される、その考えだけが男達の頭を支配していた。


「メンドイことさせるな」


白夜がフッ、と殺意を抑え男達は崩れ落ちる。大量の汗をかいている男達の眼には恐怖しかない。白夜はそれを確認するとハデスとタナトスに声をかけ、魔夜達と合流するために移動した。


「……あそこまですることはなかったんじゃないの?」


ハデスが歩きながら白夜の先程の行為を咎める。


「あるっつの。何を勘違いしたかわからないけど、俺は情報を貰ったから生かした。それ以上はいらない。必要ない」

「それなら口で言えば」

「俺達が何をするかわかって言ってんのか?彼奴らも巻き込みたいのか?」


白夜の言葉にハデスとタナトスも納得する。白夜達は貴族から獣人を奪い返す。それに関わったと知れたらどうなるか、目に見えている。


「それこそ言葉で言えば良かったじゃない」

「喋るの怠い。あと緊張する」

「怠いって……、緊張も別にしてなかったでしょ」


白夜にジト目を向けながら突っ込むハデス。

白夜は心外だと言わんばかりの顔で反論する。


「俺みたいなぼっちはああいう人種に慣れているだけであって、人と話すのは緊張するんだよ」

「意気揚々と殺してましたけどね…」


タナトスは言いながら思い出したのか顔を青褪める。


「それよりもタナトスがアレで嘔吐するとは思わなかったんだけど、苦手だったの?死を司る神なのに?」


白夜の指摘にハデスが「コイツわかってないなぁ〜」といった顔で白夜に説明する。


「死んだ人と接することが多いだけであんな殺人を見せられたら吐くわよ!」

「むしろハデスが吐くかと思ったのに」

「アタシは死んだ時の姿でくるからスプラッタには慣れてるのよ。タナトスは魂の管理者だから仕方ないわよ。今は人間の身体と同じようなものだし」


ハデスの言葉に納得し、さっきから疑問に思っていたことを口にする。


「人間の身体と同じようなものってどういう意味だ?」


白夜の質問にハデスは答える。


「言葉通り、アタシ達は人間の身体と同じ。殺すこともできるのよ」

「神なのに?」

「神なのに」


だとしたら何故?と聞こうとする白夜の考えを見越したは説明を続ける。


「殺せたとしても滅びはしないわ。上に戻るだけだから。ただ、現界するには同じ肉体を持つしか方法がなかった。肉体年齢は止まるから不死身と言えば不死身だけどね」


ハデスの言葉に白夜は納得する。他にも気になることがあったが、その前に合流場所にちる魔夜達を発見した。


「色々気にはなるけど、今は打ち切りだな。ハァァ、戦うのメンドクセェ〜」

「やると言った張本人がそんなことを言うのは失礼じゃないかしら…」

「知らん。とにかく話をまとめるか」


愚痴を吐きながら白夜達は魔夜達のところに足早に向かうのだった。



「それじゃ俺から報告するぞ〜」


白夜は先程手に入れた情報を全員に話す。

一番欲しかった獣人の居場所の情報は手に入れたのでこれ以上ない報告だ。

白夜の報告が終わり、次に極夜達が報告をする。


「余の番か。簡潔に言おう」


極夜は一息をついて言った。


「指名手配になった」


「「「何で⁉︎」」」


白夜、魔夜、ハデス、時雨、タナトスが同時にツッコミを入れるが


「「さぁ?」」


極夜と夢はなぜだろう?と心底不思議そうな顔をしている。問題を起こすかもしれないと危惧していた白夜の勘は見事に当たった。大当たりだ。


「そうだな、簡単に言うと酒場で酒を飲んでいた。余達も混ざった。絡まれた。潰した。指名手配という順番だな」


「潰すなぁぁぁ‼︎」


極夜がさらっと言った「潰した」発言に盛大にツッコム白夜。夢は口笛を吹いて自分は関係ないという態度を取っている。


「もう少し詳しく教えろ……」


白夜は疲れ果てながらも状況説明を求める。

極夜は流石に悪いと思っているのか、説明を始めた。


「最初はちょっとした雑談をしていた…」


極夜達は酒場で酒を飲まず語らわないのは失礼だと思い、一緒になって飲んでいたらしい。昼間だというのに人は多く、賑やかだった。そこでしばらく飲みあかし、情報を少しづつ雑談をする様な雰囲気で聞き出していたのだが唐突に邪魔が入った。


「入るぞ!」


現れたのは冒険者のガルボとその連れだった。酒場の人達はガルボと認識すると酒場が急に静寂に包まれる。ガルボはそれを見てニマニマと笑みを浮かべ、どっかりと腰を下ろす。


「オイ酒持ってこい!」


ガルボの怒声に大急ぎで酒を持っていく従業員。それを見て笑うガルボと連れ。極夜はそれを見て不思議に思い、一緒に飲んでいた男に理由を聞いた。その男は極夜の質問になぜ知らない?と驚いていたが、親切に教えてくれた。何でもガルボは貴族ボブロ・グス・リーズのお抱えの傭兵で、手を出せば潰されるからだ。貴族に睨まれるだけで生活苦になり、やがて破綻し死ぬか奴隷にされる悲惨な人生が待っているらしい。

極夜と夢はその話を聞いている最中にガルボが問題を起こした。


「オイねぇーちゃん、こっち来て話そうぜ」


「も、申し訳ございません、今は仕事ですので」


ガルボは従業員の女性に席に着けと言うが、従業員の女性は仕事中ですのでと断る。

その表情は仕事であろうとなかろうと嫌ですと言った表情だが。


「チッ、責任者呼んでこい!」


その態度に苛ついたのか、ガルボは店の責任者を呼びつける。少しして店の責任者の男はガルボの前に現れ、話を始める。ガルボは責任者の男にある提案を持ちかける。


「なぁ、俺が誰かわかるよな?」


「え、ええ、それはもちろん……」


責任者の男は額に冷や汗をかきながら答える。ガルボはその表情に満足しながら続ける。


「なら、俺の望みはわかるよなぁ?」


ガルボはいやらしい眼つきで先程の従業員の女性を見る。責任者の男はあたふたと慌てるばかりで何も言えず、女性の従業員は顔を青褪めさせている。


「な、何をすれば……」


責任者の男はガルボに何をすればいいか聞いた。ガルボはテーブルの上にドサッと金を置いた。


「こ、これは⁉︎」


「100万だ。今夜、俺の部屋に連れてこい。いいな?」


ガルボはそれだけ言うと酒場を後にした。

女性の従業員はガルボがいなくなると同時に責任者の男に詰め寄る。


「わ、私を行かせたりしませんよね?私は行く必要ありま」


「……許してくれ」


ドスッ


女性の従業員の声は途中で遮られた。

ーー極夜が責任者の男を鳩尾を殴り気絶させたのだ。


「余の前で見苦しいものを見せるな、下種が」


極夜は軽蔑の視線を責任者の男に向けながら吐き棄てる。夢は女性の従業員に話しかけ、提案をする。


「このままじゃあれだし、一緒に来る?」


夢の言葉によく自体が飲み込めていない女性の従業員はとりあえず頷く。夢はそれを見て満足すると極夜に呼びかける。


「そんじゃ1発かましてとんずらで」


「余が鉄槌を下そう。お仲間諸共な」


極夜は覇気溢れる笑みを浮かべながら酒場を出て行き、夢は楽しそうに、女性の従業員は訳も分からず酒場を出て行った……。


「……そして『爆炎弾』で奇襲をかけ、見事に鉄槌を下し指名手配された。以上だ」


「よし、歯ぁ食い縛れ」


「白夜、落ち着きなさい」


極夜が澄まし顔で事の顛末を話し終え、白夜が殴ろうとするも魔夜に止められる。


「ハァ、仕方ないわね。それでその女性はどこに?」


魔夜が女性の居場所を聞く、と同時に夢が遠くから誰かを連れてこちらに向かっていた。……いつの間にか離れていたようだ。


「ほい、連れてきた」


「ど、どうも…」


女性の従業員は髪を後ろで纏め、年は魔夜に近い感じの女性で綺麗というより可愛いといった印象の美人だった。


「名前は?」


魔夜が名前を聞く。


「か、神無です…、性はありません…」


「神無さんね、性がないのは何故?」


「それは、少し訳ありで…」


魔夜の質問に言葉を濁す神無。その表情からも理由があると察した魔夜は話題を変える。


「まぁいいかしら。それで、皆はどうしたいのか聞いても?」


魔夜は白夜達の顔を見て質問する。先に口を開いたのは白夜だ。


「いやその前に魔夜達の情報は?」


「「「…………」」」


空気読めよ…、と全員の視線が白夜に突き刺さる。白夜は「え、おかしくないだろ?………さーせん……」と言い訳をしようとしたが無言の視線に耐え切れず謝罪する。先程の空気はどこへやらとなってしまった。


「ハァァァ、そうね、先に話すと特に何もない。ほとんどは白夜と同じよ。それでどうしたいか、改めて聞くわね」


魔夜が場をなんとか整え、再度質問する。

そこにはさっきのようなふざけた雰囲気はなく、神無は所在なさげに眼をうろうろさせている。


「獣人を助けるだけでいいかしら?」


「「「断る」」」


全員の言葉が重なる。


「なら、覚悟を決めましょうか」


全員の賛成の意思を見て、魔夜は口角を吊り上げて楽しそうに笑う。

これで貴族と事を構えることが決定したのだった…。

少し長めになってしまいました。極夜と夢のコンビは絶対やらかす( ;´Д`)


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