情報収集
少し早めですが投稿しました。
あと報告ですが、カクヨムにも投稿しましたので、よろしくお願いしますm(._.)m
「そう怒んなよ。とりあえず村まで案内してもらおうか」
白夜は極夜の睨みを軽く流し、グロスに案内を頼む。
「……わかった。ただし、くれぐれも手は出さないでくれ。頼む」
グロスは一瞬考え、村人達への手出しをしなければ案内すると提案する。白夜達としてもそんなことをする気は一切ないので大人しく頷き、他の獣人達と一緒にグロスを抱えながら獣人達の村へ行くのだった。
「………凄いな…」
獣人達の村について出た言葉はこれだった。人間達に負けないレベルの和の建築物。豊作が期待できる畑。村を行き交う獣人達の顔を見るだけで幸せということがわかるほどの生活の良さ。これだけでも住んでみたいと思うに値する村だ。ちなみに、他の獣人達は着くなりどこかに行ってしまった。
「差別とかなさそうでいいわね」
「お前がそれを言うのかよ…」
時雨の言葉に突っ込む白夜。思い切り差別してただろーが
「それは、その! ……学園の時は悪かったわよ……」
時雨も思い出し、顔を複雑そうにしながら謝る。
白夜はそんな時雨から目を放すと、村で最も綺麗で壮大な樹に目を向ける。その大樹はどれだけの長さがあるかわからないほど天高くそびえ、神々しさすら感じる。
「あれは昔、この地に来た先祖様が植えたと言われる大樹だ。大樹の名は『星屑の樹』と呼ばれている」
グロスは全員が『星屑の樹』に注目しているのを見て説明を始める。
「名前の由来は先祖様の1人が瀕死の重傷を負われ、死が間近になった時『星を見ながら死にたい』と言われ外に出たそうだ」
グロスの話に全員が耳を傾ける。
「外に出ると雲が空を覆い、星どころか夜の空さえも見えなかった」
グロスは続ける。
「先祖様は嘆いた。最後なのだから、星を見せてあげてくださいと。すると1つの流星が空を割り落ちてきた。その行く先は死に行く先祖様だった」
「それで?」
白夜が続きを促す。
「瀕死の先祖様はそれを笑いながら見ており、そして直撃し身体は霧散した」
「最悪な話じゃねーか⁉︎」
星何してんの⁉︎追打ちにもほどがあるわ!
「待て待て、これには続きがある。霧散したと言っても爆散などではなく、こう、触れた瞬間空に溶け込む様に霧散したのだ」
グロスは早とちりしていた白夜達に説明する。
「その霧散した場所には1つの種があった。先祖様達はそれを村に埋め、埋葬していたのだが、その種は成長し、あの様に今では『星屑の樹』と呼ばれている」
「なるほど、霧散したから『星屑』、なのね。納得が言ったわ」
魔夜の言葉通り、霧散して空に昇っていく光の粒子から『星屑』が連想されたのだ。
「と、説明はありがてーんだけど、どこに向かえばいいんだ?」
グロスを担いでいる白夜が聞く。
「うむ、あの大樹に向かって歩いてくれ。あの大樹を中心に村は形成されているのでな」
「あいよ」
そして白夜達は『星屑の樹』に向かって歩き出した。
村に近くなるにつれて、白夜達は異変に気付く。
「……コソコソ見てるな」
「攻撃する気はなさそうね」
白夜と魔夜の言葉どおり、獣人達はそれぞれの家から白夜達を見ている。その眼はとても友好的には見えない。しかし、抱えられているグロスのおかげか攻撃する気配はない。
「まあ仕方ないよな。過去の人間がやったことがことだし」
「わいはどうでもいいからお腹減った」
白夜の嘆息に全く無関係の希望を言い出す夢。喋らないと思ったらお腹が空いてただけらしい。
「あとで食料を分けよう。命を取らなかったせめてもの礼だ」
「忘れてたら延々と悪夢を見せるからね」
「?」
夢の悪夢を見せるという言葉にイマイチ理解できていないグロス。スキルを知っている白夜達からすれば同情するしかないが……
「あそこだ」
グロスが指差す方向は簡素な木材の家で、見た目からして豪華ではない。
「とにかく行くか」
白夜達はグロスの家の中に入っていった。
「食料はそこにある。おもてなしをしたいのも山々だが、この状態では」
「いいっていいって、料理できるし心配すんな」
白夜はそう言うと食材を取り料理を始めるが、後ろを振り向き全員に話しかける。
「あ〜、今回はなしで頼む」
白夜の言葉に全員が頷く。流石に人の家でやることではないと思ったのだろう。それを確認した白夜は料理を再開した。
「何の話だ?」
ただ1人、グロスは訳が分からないといった顔をしていたが。
「「「いただきます」」」
全員手を合わせ、食事を始める
食卓の上に並べられているのは炒飯だ。
「それにしても、何で私より上手なのよ……」
「女子力がお前より高いからだろ」
時雨の呟きに皮肉を返す白夜。
「ハァァ⁉︎ アンタなんかに負けるわけないでしょ!」
「魔夜、どう思う?俺と時雨の女子力」
白夜は魔夜に判定を任せる。時雨は魔夜の方を向き、返答を緊張した顔で待つ。
魔夜は少し眼を閉じて考え
「時雨、まだ時間はあるわ」
「グフッ」
時雨は止めを刺された。
「白夜は昔から家事を一番こなしていたから仕方ないわ。だから、時雨も数をこなせば勝てる日が来るわよ」
魔夜は気の毒に思ったのか時雨を慰める。
「お、お姉様……、お姉様ぁぁ!」
ガシッと魔夜に抱きつく時雨。それをよしよしと頭を撫でながら慰める姿は姉妹に見えた。
「ウマウマ」
……………夢は一切興味を示さず炒飯を食べている。ホントなんで『天使』のスキルが顕現してんだろ?と疑問に思い、食べ終わるまでずっとそんなことを考えていた白夜だった。
「さて、腹もふくれたし色々聞きたいことがある」
白夜達は皿を下げ終えると切り出した。
「………何を聞きたい?」
グロスは聞かれると思っていたのか冷静に返す。
「そんなもん決まってんだろ」
白夜は怠そうな眼をしながら言った。
「とりあえずこの世界について、お前らの現状について教えろ。場合によっちゃ、お前らを襲った人間共を殺す」
獣人編突入です!
やっと出せたよ獣人*\(^o^)/*




