表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐の夜  作者: 榊原灰人@vtuber
35/83

決着

「オイ!」


「怒鳴らなくてもやってんだろ。夢が」


白夜は極夜の言わんとしていることを理解し、事前に夢に頼んでいたのだ。


「それにしても、無傷ってなんだよ。お前少しは傷ついて倒れてろよ」


白夜は極夜が無傷で勝利したことに不満をこぼす。本気で倒されればいいと思っていたのだ。


「余が倒されるわけなかろうが。少しは頭を使え」


「あ゛あ゛っ!」


「全く、なぜ貴様はそう簡単に怒る…。憤怒は貴様の方が合っているだろうに」


「知らねーよ。で、どうすんだこの後?」


白夜は他の獣人達を見渡しながら極夜に問う。この戦いは極夜が獣人族を侮辱したからであり、白夜達は関与しない。極夜は獣人達の方に足を運ぶ。獣人達は少し離れたところで戦闘を観戦していた。


「貴様らの長は倒した!それでも刃向かうものはいるか!」


「「「……………」」」


極夜の声に応えるものはいない。しかし、その眼は鋭く極夜を見据える。今にも飛びかからんと、極夜を殺そうと考えている眼だ。

極夜はその眼を見返し、不敵に笑うと


「よかろう。貴様等の意志とグロスの奮闘を称え、殺さないでいてやろう。ただし忘れるなよ。貴様等は復讐することもできない弱者だ」


極夜の言葉に俯いて歯軋りする獣人達。その言葉通り、人間と『化け物』の両方に滅ぼされかけている獣人達には言い返す言葉がない。なぜなら事実だからだ。


「だが、これだけは言っておこう」


極夜は獣人達の前に立ち、周りを見渡しながら喋る。俯いて歯軋りしていた獣人達も極夜は見る。


「グロスの強さは本物だった。貴様等も同じ種族ならば人間に勝てる。『化け物』にも勝てる」


極夜の言葉には嘘偽りはない。事実としてグロスの強さは本物であり、修行すればもっと強くなる。


「強くなれ。今より強く、誰よりも強く!他者から奪われ蹂躙されるだけの存在になるな‼︎」


極夜は声を荒げながら語りかける。


「力を手に入れ全てに復讐しろ!理不尽な攻撃をした人間に、『化け物』共に!お前達の復讐の炎をぶつけるために‼︎」


極夜の叫びに獣人達は聞き入る。その言葉は獣人達の心を打った。

ーーなぜ獣人というだけで殺される。元々は人間の手で作られただけの亜種だというのに、なぜ?

そんな心が獣人達の心に暗い炎を灯す。この現在に、過去に、未来に。何の意味もなく滅ぶかもしれない獣人族。その末路を辿るわけにはいかない、いや辿っていいわけがない‼︎

生み出されたとはいえ、種として確立した獣人族の生存を否定されて黙っている。冗談ではない。ならば貴様等人間が、『化け物』が滅びろーー


「決まったようだな」


極夜は獣人達の眼を再度見る。その眼は憤怒にしたいされていた。


「では各々何をするべきか考えよ」


極夜はそう言い残して踵を返した。


「………何やってんだアイツ?」


「さてね」


その姿を白夜と魔夜は見ていた。同時にため息をついていたが、極夜の考えを理解している2人には止める選択肢などない。


「行くわよ。とりあえずグロスから情報をもらいましょ」


「あいよ」


白夜と魔夜は夢に治療されているであろうグロスのところに向かった。



「どうだ?もう喋れるか?」


「ん〜、あとちょい……よし、終わった」


夢はグロスの治療を終え、フーッと息を吐く。グロスは擦り傷などはあるものの致命傷はなさそうだ。


「とりあえずヤバイのは治した。それにしてもヤバかったよ。身体ほぼ全焼で骨も何箇所か折れてるし。ちょい疲れたから、あとよろ」


夢はそれだけ言うと地面に横になり


「……グゥゥ…」


寝た。それほどまでにグロスのダメージは大きかったのだろう。話を聞いていた白夜は夢にお疲れさんと心の中で言いながらグロスを起こす。


「起きろー」


「…………」


起きないグロス。いや、よく見ると眼に力が入っている。狸寝入りか?そう考えた白夜は手に威力を弱めた『宿雷』を纏い再び起こしにかかる。


「起きろー」


トンッ


「アババババババッ」


するとあら不思議、見事にグロスは目覚めました。


「何しやがる⁉︎」


「起こしたんだよ。狸寝入りしやがって」


グロスの批難の声に対して白夜はジト目を向けながら反発する。


「いや、痛みでうなされてただけじゃ…」


横から聞こえた時雨の声に白夜が反応する。


「治療したんだろ?夢のスキルで」


時雨は白夜の返しに一瞬、何かを考える素振りをするが隣にいた魔夜と目が合い、ニコッと魔夜が笑ったことであっさりと吐いた。


「メンドイから手抜きで傷だけ治して痛みは残る治療をしたそうです」


「なるほど」


トンッ


「アババババババッ」


聞いた瞬間白夜は夢をグロスと同じ目に合わせる。


「くだらんことはやめろ。目的を果たせ」


見ると極夜が鋭い目つきで白夜を睨む。


次の更新は明日です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ