激突
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「『焔の剣』」
極夜は焔の剣を生み出し突進する。それに対してグロスはそのまま突っ込む。極夜はグロスが射程距離に入ると焔の剣を横薙ぎする。
「洒落臭い!」
グロスはその剣を腕の一振りで薙ぎ払う。ゴォッと音を響かせながら一振りで消したグロスは極夜に牙を剥く。
「『焔槍』」
焔の剣を消されて即座に新しい焔槍を生み出し迎え撃つ。グロスはそれを意に介さず噛み付こうとするが
「避けねば決まるぞ?」
極夜の笑い顔を見て即座に飛び退く。『焔槍』はグロスに当たらず、後ろの木々に当たり、ゴォォンッと触れた瞬間大爆発を起こした。
「勘は鋭いようだな。ではこれでどうだ?」
極夜は手を上にかざし、特大の火の玉を作り出す。
「避ければ仲間が死に、受ければ貴様が死ぬ。どちらかを選べ、半端者‼︎」
極夜の言葉にグロスの顔が驚愕に変わる。
「貴様、一騎討ちではなかったのか⁉︎ 仲間に手を出すな!」
「それを決めるのは余だ。そして、それを阻止できるのは貴様のみ。余に喧嘩を売ったのだ。当然仲間も殺す」
極夜は冷酷な顔で告げる。その眼には本気の意思が宿っている。
「………魔夜」
「大丈夫よ。極夜の好きにさせなさい」
白夜は魔夜に判断を仰ぐが、魔夜は待機を下す。白夜は不満そうな顔をしながらもその判断に従う。ハデス達もその姿を見て静観する。
「失ってたまるか……これ以上、好きにさせてたまるかぁぁぁっ‼︎」
グロスは雄叫びをあげると、その姿を変えていく。身体が軋みを上げながら大きく変形していく。変形が終わるとそこには一頭の巨大な虎がいた。
『グルアアァァァァッッ』
極夜は虎に変化したグロスを見ても何の反応もせず、無言で火の玉を他の獣人達にぶつける。虎、もといグロスは火の玉に向かって跳躍し、激突する。
「……………ほう」
極夜が感嘆の声を漏らす。なぜなら、グロスは無傷のまま極夜に飛びかかってきたからだ。
「面白い!」
『ガァァッ』
極夜は笑いながらグロスの鉤爪を後ろに避けると同時に白夜に怒鳴る。
「武器を、よこせ‼︎」
「へいへいっと」
白夜はわかっていたのかタイムラグなしで武器を、二刀を極夜に放り投げる。極夜はグロスの攻撃を避けながら受け取ると即座に抜刀する。
「余も少し本気を出してやろう!」
極夜は二刀を構えながら受け身の態勢に入る。グロスは御構い無しに突っ込むが
「あ〜あ、バカだ」
白夜は思わず口に出す。
グロスは鉤爪ではなく、牙で噛み付きにかかる。
「終流・流水」
極夜は自身に襲いかかる牙を剣で撫でるように剣を放ち、牙から避ける。
『 っ⁉︎』
この技にグロスも驚く。極夜が使った終流・流水は相手の攻撃を文字通り受け流す技であり、本人の技量にもよるが剣が触れさえすればどんな攻撃も流せるらしい。ちなみに、白夜達の『師匠』は音速を超える銃弾さえも受け流せる……。
「終流・二刀破斬」
極夜は受け流しつつ横に移動しており、剣を胸の前で交差しグロスの左足を関節部分からバッサリと斬る。
『ガァァァァッ⁉︎』
グロスは痛みに吠えるが、極夜はそこに追い討ちをかけるようにグロスの身体を切り刻んでいく。斬りつけられているグロスは反撃をしようとするが、極夜は白夜のスキル・空力脚を使い縦横無尽に走りながら斬っているので手が出せない。次第にグロスはよろめき、そしてズゥゥゥンと音を立てながら倒れ伏し、姿を元の獣人に戻してしまう。
「どうした、この程度か?」
極夜はグロスの前に降り立つと、見下しながら話しかける。
「まだ、まだやれる……!」
「ほう、その死に体で何ができる?」
「ここにいる時点で貴様の負けだ!『風爆獄』!」
急激に風が極夜とグロスをまとめて覆うように流れ始める。風の勢いはどんどん増していき、触れた木々は細かく切り刻まれては消えていく。
「これで俺の」
「負けだな」
グロスが勝ちを確信して勝利の宣言をしようとしたのに被せるように極夜は言う。その顔には絶対な自信の顔があった。
極夜は二刀を構える。
「そんな剣で何ができる!」
「ほざけ半端者。それを決めるのは余だ」
極夜は構えた二刀にボッと焔を纏わせ、一気に振り抜く。
「終流・焔『一閃』」
グロスが作り出した『超風爆発』に斬りつける。一度だけでなく何度も斬りつけ、10回超えたあたりでやめた。『超風爆発』は極夜の終流・焔『一閃』により火の竜巻と化していた。
「な、何をっ、これでは森に火が」
「そこは大丈夫だ」
極夜は指を指しながら言う。グロスがそちらを向くと時雨が周りを水の結界で覆っていた。獣人達にも被害が及ばぬよう同じく結界で守っている。その間にも火の竜巻は圧縮されていく。
「ま、魔夜お姉様…、後で、褒美は」
「頑張った人に対価を払うのは当然よ。頑張って、時雨」
「フ、フフフ…フハハハハ‼︎」
時雨は少しおかしなテンションになりながらも結界を張り続ける。時雨は白夜達ほど規格外の力を有しているわけではないので、正直言って限界が近いのだろうが魔夜の応援?によってなんとか持っているのだ。
「それと、言うことがあったが」
極夜の方に顔を向けると、そこには楽しくてしょうがないといった顔の極夜が笑いながらグロスに勝負を決定づける一言を放った。
「余に炎は効かん。ゆえにこの魔法は無意味となる。意味はわかるな?」
「……して、やられたか…」
そして圧縮された火の竜巻は大爆発を起こし、極夜とグロスを飲み込む。
「そこまで!」
それまでビビりながらも戦いのど真ん中で見守っていたハデスは勝負を終わらせる。無論、極夜の勝ちだ。
次回はこれまでの話の説明話にしようと思います。極夜の二刀流が書けてよかった……‼︎
土曜日までには更新しますのでよろしくです!