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復讐の夜  作者: 榊原灰人@vtuber
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逃亡2

すみません、遅れました!

「まったく、急に学校に行ったと思ったら今度は何じゃ?どれだけ問題を起こせば気が済む?」


「ああ?お前の頭が禿げるまでだろ?」


「禿げておらんわ!ファッションじゃ!」


「あーハイハイ、わかったから。禿げてる禿げてるー」


「わかっておらんではないか⁉︎」


「え、禿げてることを認識しようとしないことがわかってるけど?」


会って早々言い合いを始めだした白夜と頭部が禿げているおじさんに白けた目を向けながら時雨は魔夜に話しかける。


「………この人は?」


「柏木 真斗さん。私達の孤児院の院長よ」


「この人が……」


時雨、空音 夢、ハデス、タナトスの4人は感心した表情になる。どんな人であれ、あの凄惨な過去を持つ白夜達を立ち直らせた張本人だ。自然、柏木への評価が高くなる。


「ところで、何でここにいるんですか?」


時雨は臨戦態勢に入りながらも質問する。


「大丈夫よ。この人なら私達3人でギリギリ勝てるから」


魔夜が時雨を止めるが、それ以上に衝撃的な発言に時雨は驚く。


「3人でギリギリって……、それ本当ですか⁉︎」


「本当よ。勝てたのは1年くらい前にやっとだけれど」


魔夜が自嘲気味に笑いながら口にする言葉は驚愕以外の反応のしようがない。学生だったとはいえ、白夜達3人がかりで初めて勝てる相手など化け物としか言いようがない。


「余を上回る身体能力に魔夜より多き魔力、これだけでも厄介だがスキルも多くてな」


「あれは1人でも欠けていたら勝てないわ」


魔夜と極夜は言い合いを続けている白夜と柏木を見ながら呟く。


「私達が普通に戦ったらの話よ。特に白夜の『殺意』と私の『憎悪』は使ったら、一生その感情を相手に持つ代物なのだから」


魔夜の言葉に時雨は疑問を抱く。なぜなら、そのスキルを白夜と極夜に使っていたからだ。もし、言葉通りならーー


「それで、なんでここにいるんだよ?」


「まったく、やっと話せるわい」


白夜と柏木の言い合いが終わったようで、柏木は全員の顔を見ながら話し始める。


「まず、言うことがある。ハデス様を連れて行くのは自殺行為じゃ」


「え、急に私⁉︎」


「どういうことだ?」


ハデスは自分が話の中心になったことに驚くが、それを全員スルーして続ける。


「大前提としてい、ここ以外にも街や国がある。まぁ、亜種もいたりするがな……」


「そんなことは知ってる。国の機密情報を勝手に呼んだからな」


白夜は間髪入れずに嘘を吐く。

知らなかった、マジでいたのか…。


「国の機密情報を読むなぞ朝飯前だからのぅ。と、脱線したな。理由じゃが、外の世界はハデス様に対して酷く閉鎖的、最悪殺そうとしてくるじゃろうな」


「ああ〜、あれか?ハデスというより、神に敵対とかか?」


ハデスは世界を狂わせた張本人。なら、それを憎むのは当然で仕方ない。ハデスは顔を俯かせ、改めて自分の行いと慢心を後悔する。そんなハデスにタナトスは言葉をかけることができず、唇を噛み締める。


「別にどうでもいいわ。ハデスは私達が所属するギルドの神様。ハデスを殺るというのなら、全員殺すわ」


魔夜の冷たく、凍えるような眼差しと声音にハデス達は震える。その眼には一切の光がなく、本気ということが嫌でもわかる。


「話は終わり?なら、私達は船を奪って行くけれど」


「まぁ待て。まだ話は終わっとらん。それに、儂の話は有益になるとわかっておるじゃろ」


「……………」


魔夜は沈黙し、それを肯定と受け取ったのか柏木は話を続ける。


「魔夜、白夜、極夜、お前達に言っておくことがある」


柏木の纏う雰囲気が変わり、黙って話を聞く白夜達。


「お前達のご両親の話じゃ」


途端、空気が変わる。

漏れ出る憎悪・怒り・殺意。

そして、後悔と悲しみ、絶望が3人の心中を蝕む。

柏木はそんな3人を哀れに、悲しみの眼で見ながら続ける。


「お前達のご両親が殺された時の記憶じゃが、それは半分真実であり、半分は虚構じゃ」


「「「………………」」」


「ちょ、ちょっと待って!それはどういう」


「それと、もう1つ。ゼウスのギルドに入っていた。話はここまでじゃ。それと、ほれ」


ハデスが詳しい話を聞こうとするが、柏木は話を強引に打ち切った後、どこから取り出したのか細長い何かが入った袋と羅針盤を白夜に渡す。


「強くなれ。そうすれば記憶を元に戻すと約束しよう」


「…………、やっぱり弄ってたか。極夜には幻覚とか聞かないはずなんだが?」


白夜は鋭い目つきで睨む。


「内緒じゃ。ホレ、早く行ってこい」


白夜の睨みをシカトする柏木。

話ができないと悟った魔夜は白夜を促し、白夜達は振り返らず、そのまま夜に紛れて消える。


「フゥゥ〜……、行ったか…」


柏木は白夜達が行った方向を見ながら1人呟く。


「それで、何用ですかな?」


「ふん、気付いておったか」


暗がりから出てきたのはゼウスだった。


「ゼウス様、魔夜達は大丈夫でしょうか?」


「さぁな、我は頼まれたことをするのみだ。まったく、人間の頼みごとを聞くなどするものではないな」


「あんな道化を演じられれば、皆そう感じますよ」


「まったくだ」


ゼウスと柏木は苦笑しながら、白夜達の行く末を心配する。これから歩む道は地獄だが、魔夜、白夜、極夜は躊躇なく進む。何を犠牲にしても、何人の人間を殺そうと、自身の命がなくなると知っていても、なお、進むだろう。

ゼウスは白夜達から頭を切り替え、柏木に忠告する。


「この頃、『化け物』が活発に活動している。海を渡ってきているのだろうが、手段が見当もつかぬ。お前も気をつけろ」


「肝に銘じておきます」


「さらばだ」


ゼウスは別れの言葉を言うと、歩いて自身のギルドハウスに戻っていく。


「………、無事でいてくれ」


柏木の独り言は、夜に消えていった。

書いてるうちに予定と変わるのはなぜだろう?

遅れてすみませんでした。

それと報告ですが、夏休みは週2投稿をしていこうと考えています。

次週の投稿も土曜日午後6時です!

白夜の本気はいつでるのか……?

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