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復讐の夜  作者: 榊原灰人@vtuber
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逃亡

最近夏バテがすごいです!

「………よし、こっちはオーケーだ」


深夜2時、暗闇を盗賊のように駆け抜けるのはハデス一行だ。


「魔夜様、なんでこそこそしなくちゃいけないんですか?普通に出ても大丈夫だと思うんですけど……」


「それは私達にあるわ」


「魔夜様が?」


「ええ」


実は魔夜達がまだ魔導学園に入る前、孤児院に入って間もない頃の話だ。その時は全てに絶望しており、復讐心だけが魔夜達を生かしていた。そんな時、外を見て気持ちを少しでも軽くしようと院長が魔夜達を連れ出した。


「そこまでは良かったのよ」


「では、その後に何かが?」


「あれは白夜のせいね」


魔夜が白夜を呆れた目で見る。


「いやいや、極夜だろ⁉︎」


突然、自分のせいにされた白夜は小声で叫びながら即座に否定して極夜になすりつける。


「余ではない、魔夜のせいだ」


3人共、お前だ、お前のせいでと罪のなすり付け合いを始める。


「続きを聞いて判断するので話してください」


埒があかないと思った時雨は先を促し、魔夜は続ける。


海に連れてこられた魔夜達は、海をただ無言で見つめていた。見つめていたのは1分くらいですぐにベンチに座り、俯いていた。

院長はそんな3人に遊ぼうと声をかけるが反応せず、院長は次第に諦めてどこかに行った。


「院長はどこへ?」


「飲み物を買いに行っていたらしいわ」


院長が飲み物を買いに行っている途中、白夜の前にボールが転がってきた。小さな子供がごめんなさいと謝りながら来たので、それを微笑を浮かべながら返す白夜。その子供はお礼を言うと戻っていった。


「うーん、子供が何かしたわけじゃないんですよね?」


「むしろ純粋な子供を見て癒されたわ」


院長が飲み物を持って戻ってくると白夜がトイレに行く。しかし、トイレに行ってから一向に戻ってこない白夜が心配になり魔夜が迎えに行くと言い出し、極夜もトイレ目的で行くが戻ってこない。さすがに心配になってきた院長がトイレに迎えに行くと、見るからに裏稼業の男達15人くらいと子供とその母親を庇いながら対峙している白夜達がいた。


「いきなり飛びすぎじゃないですか⁉︎」


小声でツッコム時雨にうんうんと頷くハデスとタナトスに空音 夢。


「いや、ちゃんと理由はあるぞ」


白夜が話を引き継ぐ。


まず、白夜がトイレに向かう途中でさっきの子供を見かける。見かけただけならそのまま素通りするのだが、その子は親とはぐれたらしく涙目になっていた。いくら復讐心で一杯とはいえ、まだ9才の子供。それに親を亡くしたばかり。見捨てれるはずがない。


「………、大丈夫?」


声をかける白夜に涙目になりながらも助けを求める。


「おか、お母さんと、はぐれたぁぁぁぁっ!

ひぐっ、ひっく、うわぁぁぁぁぁん」


白夜に話しながら泣き出す男の子。そんな男の子の頭を撫でながらゆっくりと優しい口調で白夜は話す。


「心配ないよ。お母さんを見つけてあげる」


「グスッ…ホントに…?」


「うん。一緒に探そう」


白夜が手を出すと、男の子は笑顔になりながら手を握る。それに微笑を浮かべながら立ち上がり、白夜と男の子はお母さんを探しに向かう。


ーーその少し前、魔夜と極夜はチンピラ共に絡まれていた。


「ああん?ガキのくせに大人に歯向かってんじゃねーぞゴラッ!」


「捻り潰してやろうか?」


「こんのクソガキッ、舐めてんのか⁉︎」


チンピラの罵声に挑発で答える極夜。普通なら、このチンピラ共は極夜を殴って黙らせるだろう。しかし、それは普通ならの話だ。

極夜の背後には魔夜と先程、ボールを転がしてきた男の子のお母さんがいる。

魔夜と極夜がトイレにいる白夜の所に行く途中、チンピラに絡まれている男の子のお母さんを見て声をかけたら「ガキは引っ込んでろ!」と言われたので思い切り介入したのだ。

だが、魔夜と極夜はまだ立ち直れていない。必然的に2人の眼は死んだままだ。死んだ眼なのだが、その眼には怒りと憎しみが宿っており、それがチンピラ達の行動を防いでいた。


「その女に話があんだよ。いいから引っ込めっつってんだろ!」


リーダー格らしき茶髪の男が極夜に凄んで脅す。


「そんな顔でナンパ?やめとけ無理だ吐かれるのがオチだぞ」


極夜は幼いが、将来は美男子間違いなしの顔だ。そんなガキに嘲笑と共に一蹴されては我慢できなかったのか、極夜の腹部を蹴り飛ばす。


「……っ!」


突然のことに防御できず、極夜は魔夜達の所に飛ぶが、魔夜が魔法で風のクッションを作りそこにぶつかる。


「へへへへ、調子に乗りすぎだ。今から地獄を見せてやるよ」


下卑た笑みを浮かべながら茶髪の男と取り巻き14人が近づく。


「…………、勇ましいねぇ〜。そんなに死にたいのか?」


魔夜と極夜は男の子のお母さんの前に仁王立ちし、チンピラ共を睨みつける。


「そうだなぁ〜、男は奴隷にして女は売り飛ばすか。高く売れそうだな〜」


茶髪の男の言葉に微塵も反応を示さず睨み返す魔夜と極夜。


「チッ…、もういいや。殺れ」


「「「おう!」」」


茶髪の男の合図で飛びかかる手下共。最初に3人の男が飛び出し、その手が魔夜達に伸びるーーーー


「………死ね…」


ーーーー前に3人の男は頭を撃ち抜かれていた。


「な…、何が起きた⁉︎」


茶髪の男が手下を撃ち抜いた元凶を見つけ、驚愕していた。それも幼い子供、しかも目の前のガキと同じ眼をしていたからだ。


「魔夜、極夜、何してんの?」


「……遅かったから、迎えに…」


「そ………、極夜は?」


「トイレ」


「あー…」


白夜は魔夜と極夜に軽い質問をすると眼をチンピラ共に向けながら、魔夜達の後ろの男の子のお母さんに話しかける。


「あなたがこの子の母親ですよね?」


「お母さん!!」


「歩!」


男の子ーー歩は白夜の質問の途中で飛び出して母親に抱きつく。母親は息子の無事に安堵し、涙を流す。それを満足な顔で見つめる白夜達。少し見た後には目線をチンピラ共に戻して、それぞれの負の感情を眼に宿しながら睨みつける。


「……殺るか…………」


白夜の言葉を皮切りに戦闘が始まったーーー



「お、到着だな」


話をしながら着いてしまった。もちろんバレないよう見つからないようにしていたのだが、こんなにもあっさりこれるとは思わなかった。


「いやいや、話の続きは⁉︎」


「ん?あ〜、また今度な」


時雨が続きを促すがそれどころではなくなった。


「魔夜、転移の準備」


「させると思うか?」


「うるせぇーよ、クソ野郎」


あー、ついてないなぁ…。

あと、少しでつくというのに、目の前には孤児院の院長、柏木 真斗がいた。

ちょっと中身が薄くなっているような…。

頑張ります!

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