表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐の夜  作者: 榊原灰人@vtuber
23/83

殲滅7

この度、モーニングスター大賞に参加いたしました!

フッフッフッフ、知名度を上げてやる!と意気込みながら頑張りますのでよろしくお願いしますm(._.)m

「魔夜お姉様、どこにいたんですか?」


時雨が魔夜になぜいなくなったのか聞く。


「瞬間移動で避けただけよ。その後は時雨が戦っているのを上から見ていたわ」


「上?」


魔夜の答えに首を傾ける時雨。魔夜はハデスに視線を向けると、ビクッ、となりつつもハデスが続きを話す。


「魔夜は宙に浮いていて、椅子に座りながら観戦していたわ。見つけたときは驚いたわよ」


ハデスは呆れながらも話す。余談だが、魔夜を見つけたハデスは時雨に教えようとしたのだが、魔夜のとびきりの笑顔を見て口を閉じていたのだ。


「あとは合流するだけですね。他の人達は逃げたみたいですし」


時雨の言葉通り五神のギルドに所属していた構成員は全て逃げ出していた。


「それでは行きましょうか」


魔夜が歩き出し、時雨とハデスもついていく。



一方その頃、五神 慎士のところから空音 夢を抱えて逃げ出した白夜は屋敷の中で迷子になっていた。


「この屋敷広すぎんだろ!どこだよ出口⁉︎」


白夜は極夜と五神 慎士の戦闘が終わったのに気付いたが、合流しようにも場所がわからず延々と彷徨っている。


「あ゛あ゛っ!メンドくせ〜…」


白夜は溜息を吐く。


「う、ん…」


「お、目が覚めたか?」


空音 夢が意識を取り戻したことに気づき、床に下ろす。


「なあ、今がどういう状況かわかるか?」


「今……状況…………」


「ああ、お前はーー」


ズブッ


「……あ゛あ゛?」


白夜の腹部に空音 夢の手が突き刺さっている。その手を思い切り引き抜くとブシャァァァァッと夥しい程の鮮血が溢れる。


「カハッ…やっぱ、こうなんのかよ」


白夜は動揺せずに傷口を確認する。幸いにも見た目がひどいだけで致命傷ではない。痛みはかなりのものだが。


「はは…ははは、あはははははっ、あはははははははははは!!!!」


狂ったように笑い出す空音 夢。その目は虚ろで怨嗟が浮かんでいた。村を襲い、家族を奪われたのだ。正気を保てという方が難しい。


「あ゛あ゛っ」


「あぶねっ⁉︎」


顔すれすれで足が通り過ぎる。


「わっ、ちょ、待てって!」


次々と攻撃をしてくる空音 夢から必死に避け続ける白夜。しかし、腹部の傷は深く血も溢れ続けている。


「しゃーなしだな…、後で文句つけんなよ!『加速』」


『加速』を使い、空音 夢の背後に回り込み『宿雷』で電撃を流す。


「これでおとなしく…」


「アハハッ」


「なっ⁉︎」


背後に回り込んでいた白夜に後ろ蹴りを放つ。かろうじて防御するが、後ろ蹴りの感触がなかった。


「は?……ガハッ⁉︎⁉︎」


突如訪れる頭部への打撃。膝をつかせてなるものかとくの字に曲がる白夜に追い打ちをかける空音 夢。それも倒れないよう計算された攻撃だ。倒れることができず、防御しても感触がなくいつの間にか背後にいる。


「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」


ぶつぶつと怨みを込めた呟きが聴こえる。その声は前の俺達と一緒だ。理不尽に晒されてただ泣くことしか、ただ絶望するしかなかった俺達と。力がなく、守ることができず、無情にも奪われることしかできなかった俺達と、一緒だ…。だから、だからこそ


「なに…ぶっ壊れてんだよ……、なに諦めてんだ、空音 夢!!!!」


心の中で魔夜と極夜を呼ぶ。こいつを俺1人で片付けてはダメだ。村も住んでいた所も家族も奪われたこいつの気持ちはわかる。全部わかるなんてことは言えないが、それでもわかる。その嘆きが、悲しみが、無力感が、絶望が……。


「なんとなくだけれど、今の状況はわかったわ」


「全員で当たるほどのことではないがな」


魔夜と極夜が突如として現れる。魔夜のスキルできたのだろう。今はそんなことより


「やることわかってんだろ。全員で潰す」


「白夜は極夜のサポート、極夜は近接担当で私は後方支援をするわ」


「承った」


「極夜、その口調は何?」


魔夜の指示に頷く白夜と極夜。空音 夢はそれを狂った笑みを浮かべながら傍観していた。


「そういえば、何で白夜の声が聞こえたの?」


「余にも聞こえた。どういうことだ?」


「あの????のスキルだろーな。何となくスキル名も予想できるけど」


「まあ、何でもいいわ。彼女も我慢の限界みたいのようだから」


「魔夜の言葉通りこちらに突撃してくる空音 夢。極夜が振り抜かれる拳を防ごうと防御を


「おいっ⁉︎」


ーー防御を何故か真反対の方にする。背中を無防備に空音 夢に晒し、空音 夢の拳が振り抜かれーーずにそのまま姿が霧散する。

ガスッ、と音がする方を向くと踵落としを防いだ極夜の姿があった。


「幻覚を使えたのか…?『天使』のスキルに幻覚能力なんかがあんのかよ…」


ならば『天使』とは名ばかりだ。それは悪魔の領分だと思うが。


「調子に乗るなっ!」


足を掴み宙にぶん投げる。手に焔を生み出し斬りかかる極夜。しかし、それは避けられさっきは防げた踵落としも頭部にくらう。

地面に叩き落とされた極夜はさほどダメージをくらっていないのかすぐに起き上がる。


「天使っつーか、堕天使?」


「これは極夜じゃ無理ね。飛べないのだし」


空音 夢は背中から純白の翼と漆黒の翼を片翼ずつで一対の翼をだし、飛んでいる。


「白夜が前衛、極夜が後衛に変更。いいわね?」


「ざけんなぁぁぁぁっ!!」


極夜は怒りの咆哮を上げながら空を走る。

空音 夢は極夜を迎撃しようとするが極夜は既に『憤怒』を使っている。膂力でかなうわけもなく、防御した腕が粉砕する。


「……、何で極夜が走れてるのかしら?」


「あの????のスキルだろーよ。俺があることを自覚してから多分発現したんだろ。あとで鑑定すればわかる」


「そう、ならいいわ」


何がいいのかわからないが魔夜は納得し、空音 夢と極夜に視線を戻す。極夜は怒りに任せ攻撃を仕掛け続ける。空音 夢はそれを必死にかわすが既に満身創痍だ。粉砕された腕を回復しても即座に壊され、幻覚を使っても極夜には効かず追撃される。空音 夢の攻撃は全て決定打にかけており、反撃が意味を成さない。


「落ちろ、羽虫!!」


極夜の拳を避けきれず、地面に振動が起きるくらいの速度で殴り落とされた空音 夢。血反吐を吐きながら立ち上がろうとするも、身体に力が入らず這いつくばっている。極夜が地面に降り立ち、空音 夢の近くに行くと


「眠れ」


トドメに腹部を全力で踏み潰し、空音 夢を気絶させた。


「私達、何もしてないわね」


「天敵すぎたんだろ〜な。あの幻覚はかなり強力だったけど、極夜には効かねーし」


「オイ」


「何だ極夜…ってオイ⁉︎」


俺と魔夜が愚痴を言っていると極夜が空音 夢をこちらにぶん投げて、それを慌ててキャッチする白夜。


「あぶね〜…、急に投げんなよ」


「その前に白夜、その傷は大丈夫なの?どう見ても深手よ」


「言われてみれば…」


傷口を見ると夥しい血が溢れ、止血もせずにそのまま放置していた。指摘されてから気づいたが、寒い。


「あ、ヤバい」


自覚すると急に痛みが訴えてくる。それにスキル『宿雷』を使ったせいで自分の身体にもダメージが入っている。


パタン


白夜は気絶した。



「荷物が増えたわね」


「使えん奴だな」


怪我人に対して慈悲の言葉もない兄弟2人は溜息をつくのだった。

今回も読んでいただいた読者様方、ありがとうございますm(._.)m

さて、今回の話は空音 夢を中心に……、中心にしたかったのですが、あまり中心にならなかったような…?うん……、予定通りにいかないものですね…。

次の話から新しい展開を迎えます!

次週の投稿は土曜日午後6時になります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ