プロローグ
ザザァァァァァァッッ
大雨が降り注ぎ、辺りは雨が地面にぶつかる音しか響かない。どんなに叫ぼうと、どんなに助けを求めようと、誰も気づかない。
「や、めて」
姉が母と父を殺そうとする男の足に縋りつき嘆願する。
男はそんな姉の姿に満足したのか、その顔に笑みを浮かべながら
ザシュッ
無残にも母と父の首を切り裂く。
椅子に縛り付けられた兄と弟は、目の前にいた姉は
「い、が、あ、ああ、あああああああぁぁぁぁぁっっっっっ‼︎‼︎‼︎⁇⁇⁇」
「ぐぅぅぅぁぁぁあぁあああっっ‼︎‼︎」
「ガァァァァぁぁ⁉︎⁉︎⁉︎」
絶叫を上げる。悲しみを、無力感を、喪失感を、絶望を感じながら絶叫する。
そんな兄弟の姿に3人の人殺しは楽しそうに笑う。
愉快に、楽しく嘲笑いながら……。
子供達は次第に黙り始め……
「ふざけんなふざけんなふざけんな……、潰す千切る嬲り殺す痛めつけて絶望させてこの怒りを…………」
ある者はその身を焦がす怒りを
「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎……」
ある者はすべてを飲み込む暗闇を
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺……」
そして、ある者は人の心を捨て、外道にその身を堕とそうとも
そんな、3人の兄弟達の思考回路には復讐しかない。どんな手を使ってでも、誰を巻き込もうとも、何を犠牲にしようとも‼︎……そんな考えしかない……。
男達がそんな子供達の様子を訝しみ声をかけようとするが
「大丈夫か‼︎」
警備隊員達が突入する。
「チッ、逃げんぞ」
しかし、男達の逃げ足の方が早かった。あらかじめ逃走ルートを決めていたのだろう。
「クソッ、逃げられたか…。生還者は⁉︎」
警備隊員の男は子供達を見つける。いくつもの傷と汚された身体をした子供達を。丈夫な縄を引きちぎっていた子供達を。
しかし、警備隊員の男が息を飲んだ理由はそんなものではない。それは子供達の目が狂気を孕んでいたから。警備隊員が今まで出会ってきたどの犯罪者よりも色濃く、確実に堕ちている外道の眼に、警備隊員は驚愕した。
その子供達にはあるスキルが発現していた。
魔夜 スキル:【憎悪】
白夜 スキル:【殺意】
極夜 スキル:【憤怒】
この物語は、絶望に落ちた3人の復讐の物語ーー