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#4〜嫌な予感〜

アリスが放った魔法により数が半分ほどになった魔物達は、しばしの間魔法によりできたクレーターを見て立ち尽くしていた。


なにが起きたか今の魔物達は理解することができなかった。


突然小さなボールの様な物が飛んできたと思った瞬間、それは目の前で大爆発を起こし、そこにいた味方を跡形もなく吹き飛ばしたのだ。


爆発が起きる前、魔物達が攻めている街の正門にいる人間の中から2人の男女の声が聞こえた。


なんと言ったかは分からなかったがその2人の内の女のほうが小さな球を投げ、この爆発を起こし、味方を葬った、なんとか魔物達はそれだけ理解した。


理解すると同時に魔物達には怒りが芽生えた。


この魔物達は闇の軍勢のお偉いさんに命令されこの街にやってきた言わば傭兵。


今まで少なからず街や村を襲ってきたが、そこには攻撃してくる人間などはおらず、ただ破壊するだけ破壊して還る。そこに感情はなかった。


だから初めてだった、味方を失うことが。

そして怒りとゆう感情を持つことが。


ウォォォ!と空間を震わせるほどの声をあげた。


今魔物達の思考は1つだけだった。


あの爆発を起こして仲間を消し炭にした女を、あの街にいる人間共を殺す!


魔物達はその意思だけを持ち街に突撃を開始した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


魔物達が雄叫びをあげ近づいてくる姿をみて、メグミは小さな悲鳴をあげた。


アリスの魔法であれだけ倒したのだから引いてくれないか、とゆうメグミの淡い期待は速攻で打ち破られた。


メグミは半泣きになりながらアリスを揺さぶって。


「アリスちゃん早く今のをもう1回撃って!魔物達が超怖い顔でこっちに走ってきてるから!」


後半は半泣きではなくもう泣きながら頼んでくるメグミをみてアリスは申し訳ない顔をして


「今撃った魔法、爆裂球は魔力の消費量が凄まじくて…もう1回撃つには魔力を最大まで回復しないと流石に撃てません」


その言葉を聞いていよいよ号泣しそうなメグミにユウトは


「もう数は半分くらいになったんだ。心配すんなよ。こっからは俺に任しとけ」


そう言って短剣を抜き魔物達が走ってくる方向え行こうとするユウトにアリスが不満の声をあげる。


「爆裂球が撃てないだけで戦えないとは言ってないわ。私も行くわよ」


そう言ってアリスはユウトの後に続く。

その2人の後ろ姿を見ていたメグミは一瞬迷った様な顔をしたが決心したように2人の後に続いた。


「いいのか?まだここにいた方が寿命が延びるかもしれないぞ?」


そんな事を言ってメグミをからかう様に笑っているユウトに覚悟はできている、そんな顔をしてメグミは頷いた。


「そうか。じゃあとりあえずその鎧と盾は置いていきな。攻撃をもらったらそこの騎士達みたいに地面で寝ることになる。だったらいつでも避けれるようにしておいた方がいいだろ?」


メグミは防御を捨てることを少し躊躇していたが、騎士達を見て鎧が意味をなしていない事を再確認して鎧と盾をその場に置き剣1本だけを持った。

メグミが鎧を置くのをみてユウトはアリスとメグミに言った。


「アリスとメグミは左側に行ってくれ。右側には俺が行く。アリスはメグミが怪我しないように守ってやってくれ」


アリスがほ〜い、と返事をして左側にいくのをメグミが追う。

今、魔物達は集団の中心で爆発が起きたため今クレーターを挟んで左右に分断されていた。

左側に行こうとしていたメグミにユウトは最後に1つだけ、と言って自分がしていたブレスレットを放った。

「お守りみたいなもんだ。鎧の代わりだとでも思ってくれ」


そう言ってユウトは右側の魔物達に向かって行った。

メグミは腕にはめたブレスレットを見た。


「なんだろうこの宝石。何か書いてあるみたいだけど」


ブレスレットには黒色の宝石が6つ付いていてそれぞれに何か文字が書いてあった。

しかしその文字はかすれていてよく読めなかった。

でも何か力がある様な気がした。

そのブレスレットを見て隣を走っていたアリスが思い出した様に言った。


「確かそのブレスレット私も借りた事があるのよね

何か力は感じるんだけど…その何かは分からなかったけど」


メグミも気になったが目の前に迫ってくる魔物達を見てブレスレットの事はとりあえず忘れる事にした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


魔物達が近づいてくるにつれてメグミは少なからずもっていた希望がどんどん薄れていくのを感じた。


いくらアリスの魔法で数が半分になり、そして今から相手にするのはさらにその半分だからといっても数は約25体、その中には馬鹿でかいオークやゴブリンなどといった凶悪な種類が多数いた。

それに対してこちらは人間が2人だけ。

アリスは別世界から来た能力持ちだがメグミはただの人間。

なんの能力も持たないただ幾らか剣を扱えるだけの一般ピーポーなのだ。

そんな私が死なずに帰るのは無理じゃないのか、という気がしてならなかった。

そのメグミの気持ちが顔にでていたようでアリスが心配そうに尋ねた。


「メグミさん、大丈夫ですか?数が数ですし…なんなら私1人で行くのでメグミさんは戻っても…」


「だっ大丈夫!大丈夫だから…」


そう言ってメグミはユウトから借りたブレスレットを握りしめ、敵の方を見る。

このブレスレットを握っていると不思議と勇気が湧いてくる様な気がした。

怖くない。戦える。

メグミはよしっと言って鞘から剣を抜いた。

メグミに活力が戻った様で安心したアリスは、


「ちょっと私の前にしゃがんでくれますか?」


とメグミに言った。

メグミは不思議な顔をしたが言うとうりにしゃがんだ。

次の瞬間、アリスはメグミの首に手を回し、唇を重ねた。


「ん!?んーー!?」


メグミは突然の事に今から戦うとゆうのに素っ頓狂な声をあげた。

そのキスはたっぷり3秒程続きアリスは唇を離した。

メグミは目を白黒させながら


「なっなにを!?まさかアリスちゃんそういう趣味なの!?」


「ちっ違いますよ!私にそんな趣味はないです。今のは私の魔法の1つですよ。ちょっと体を動かしてみて下さい。」


今のが魔法?と思ったがアリスの言うとうりに少しその場でジャンプしてみた。


「え!?何これ、体が軽い!」


メグミは驚愕の声をあげた。

体が羽の様に軽いのだ。

幾ら鎧を脱いだからといってもこんなに軽くなるはずがない。

メグミは試しに剣を振ってみた。

剣はメグミの身長程もある長剣だったがそれも羽の様に軽かった。

驚きを隠せないメグミにアリスが


「今の魔法はキスした相手に自分の魔力を流して一時的に身体能力を高められる魔法なんです。剣が軽く感じるのはメグミさんの力が上がっているからですよ」


本当はユウトにしてあげたかったんですが…と言うアリスの話を聞きながらメグミはこれが魔法…と感動していた。

しかし、もう目の前に迫ってきている魔物達をみて我に返った。

アリスも同じだったようで、時間がないですね。と言って緊張感のなかった顔を真剣なものにして話始めた。


「メグミさんよく聞いて下さい。私の魔力はほとんどメグミさんにあげちゃったのであまり残ってません。

でも今のメグミさんなら魔物が何体いても楽勝だと思います。いけますか?」


そう言われてメグミは一瞬うっと息を詰まらせたが、今の自分は魔法で強くなっているんだから大丈夫、という考えがメグミに自信を持たせた。

考えが生まれてしまえばもう怖さなど感じなくなったメグミは自信有り気に頷く。

メグミが頷くのをみてアリスは話を続ける。


「あとこれが1番大事なんですけど、その魔法には制限時間があります。私が流した魔力の分…多分5分くらいだと思います。効果が切れ始めたら体が徐々に重くなっていくと思います。そしたらすぐに引いて下さい。効果が無い状態で普通の人間のメグミさんがあの数と戦うことは無理です。引くときは私が残りの魔力を使って全力で援護します。だから約束して下さい」


そう言ってアリスは右手の小指をだした

メグミはそのアリスを見て、子供っぽくて可愛いな、と真剣な顔をして真面目に話すアリスとはかけ離れたことを思いながら、自分の小指をアリスの小指に絡ませて指切りをした。


「分かったわ。魔法にかかってない状態で魔物と戦うなんてこっちから願い下げだからね」


そう言ってメグミは小指を離し魔物達の方を向いて。


「じゃあ怖いけど。やるだけやってみるよ」


そう言って駆け出したメグミの顔は自信に満ち溢れていた。

少し魔法をかけてもらっただけなのに何故こんなにも自信と勇気がでてくるんだろうか、とメグミは思ったが


「それだけこの魔法が強力ってわけよね!」


と言ってその事について考える事をやめた。


敵の方に走って行くメグミの背中を見てアリスは少し不安がよぎった。

この作戦のなかでアリスには1つだけ不安があったが


「大丈夫…私の勘はよく外れるから」


ぽつりと独り言を言ってアリスは反対側、ユウトが行った右側を見つめる。

そして手を組んでお祈りをする様に


「お願いユウト…早く片付けてこっちに来て。何か嫌な予感がするの…」


アリスが願った瞬間メグミの方でカキンッと剣が交わる音が聞こえた。

戦いが始まった。





















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