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親がいない  作者: PPD
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第六章

翔は帰り際、いつもの友達の場所へ行った。そこはいつも翔の情報源になっている場所だ。その場所から話し声が聞こえた。

「でさぁ、翔がよぉ、話しに来たから、嘘ついてやったらよ、あいつ、マジで信じやがんの」

「あぁ、分かる。俺は聞かれてねぇけど、あいつ、俺らに馴れ馴れしいからな」

「まだまだ、中学生のお子さまが、俺らとつるむなんて、百年早いんだっつうの!」

容赦ない悪口が聞こえた。薄々感じていた。時々、自分が何か、邪魔者扱いされているような気もしていた。しかし、あえて感じないようにしていた。だが、もう限界だ。

「なんだってんだよ!」

翔はメモを叩きつけ、彼らを睨みつけた。

「あぁん?」

彼らは一斉に翔を見た。噛んでいたガムや、口に加えた煙草を捨てた彼らは、金属バットを持ち、翔に近づいた。

「おいおい。俺たちの談笑を邪魔すんじゃねぇよ」

一人が翔の肩に手をおき、小さい子をなだめるように言った。翔は睨みつけた。

「おー怖い怖い!」

手をおいた人は、そう言って手を離した。

「なんだよ。文句あんのか?」

一発、翔の顔に拳を打ち付けた。その後、

「やっちまえ!」

一人の声で、数人の高校生から大人が、翔に暴行を加え始めた。翔は反抗するわけでもなく、ただこう言い続けた。

「騙しやがって!騙しやがって!騙しやがってぇぇぇぇ!」

翔はそう言い放ったが、一人に襟を捕まれた。

「はぁ?騙しやがっただと?なに寝ぼけたことぬかしてんだ?俺はお前を信用しちゃいねぇ。事実を言って、どこに流れていくか分かったもんじゃねえのに、わざわざ墓穴を掘るようなこと、するかってんだよ!」

あっさりと言われ、翔は力が抜けた。ずっと騙されていたのだ。最後の一発を放たれて、翔は地面に倒れた。その、朦朧とした意識の中で、彼らが言った。

「そうだ。焼き肉でも行こうぜ」

「いいな。真の仲間結成に!」

「でもどうやってそんな金が手に入ったよ?」

「あぁ。知り合いが暴力団に関連しててよ。十日ばかり前に、ある家族から膨大な金を取れたから、金があまりまくってんだって」

その辺りで、頭がぼやっとして、視界が暗くなった。数時間ほど倒れていたのか、

「君、君!大丈夫かい?」

一人の大人が、翔を目覚めさせた。翔はふらふらしながらも、和弘たちがいる家へと向かった。

和弘はすでに家へ帰っていた。

「翔のやつ。遅いなぁ」

「大丈夫よ。すぐに帰ってくるわ」

由希は和弘を落ち着かせるように言った。だが、和弘は翔を待ちくたびれた。

「もう、我慢の限界だ!探してくる!」

「へぇっ?ちょ、ちょっとぉ、和弘!待ちなって!」

由希が止めるのを聞かず、そのまま飛び出してしまった。

翔はクラクラとしながら、歩道を歩いていた。彼らの暴行で視界が聞かず、焦点が未だにあっていない。ふと翔の目の前に見覚えのある顔が現れた。こんな視界でも分かる。その名は、

「た、つ…あ、き…」

そう言って、視界が途切れた。次に目を覚まして見たのは、「飯田達明」という、少し深い訳のある同級生だ。彼は引きこもりのため、本来はこんな日にあんな所にいる訳はない。

「ど、どうしてだ?」

翔は聞いた。

「うん。何か、胸騒ぎというか、何か外でふらふらの人がいたから、どうしたのかと思って行ったら、君だったんだ」

達明は髪を掻きながら照れ臭そうに言った。しかし、翔は大事なようがある。達明に礼を言い、すぐに家へと走った。

和弘と出くわしたのは、それから、わずか五分後。家に帰って事情を話した。

「だから、情報の中で、若干、違うのも含まれているんだ」

「じゃあ、何が合っている?」

どうやら、間違いなさそうなものは、和弘の父や母が封筒を持って中に入ったことのみだった。

「だがな。僕も頑張って調べたらね。親戚の中で借金をした人が逃亡したっていうのも、本当らしいよ。でも、いまだに連絡を取っているんだっていう人もいるし、もう無理だっていう人もいるんだって」

やはり、和弘の情報も宛にならない。だが、これで分かったのは、今野家にあるトラブルは、暴力団の関連だろう。すぐにそこを調べた。ここは翔の専売特許。なかなかの量の情報が手に入ったらしい。

「そいつらの名前は、部羅都苦反怒ブラックハンドっていう、結構有名な暴力団で、サラ金関係もやってるらしい。あまり、評判がよくなくて、あまり関わらない方が、身のためらしい」

今回の情報は間違いなさそうだ。色々なところで情報を取っているため、間違った情報は低い確率でありえない。そして、その情報を合わせた結果、このようになったのだ。さぁ、ここから、和弘の推理がスタートする


ようやく、推理小説らしく、推理が始まります。

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