第一章
なんとかセカンドデビュー!前回と同じような、話にはしないよう心がけます。
「おはよー。お母さん」
眠気眼で起きた、今野和弘。中学二年の彼は、顔を洗って、リビングに入った。
「シィィィィン」
暗い。いつもなら、母親が朝食の準備をしている時間だというのに、リビングには誰一人としていなかった。和弘は電気をつけた。すると、いつも食事をしていた、テーブルに書き置きが残されていた。
和弘、香織へ
突然でごめん。本当にごめん。私たちは親失格だわ。
和弘、妹をよろしく。
香織、お兄ちゃんの言うことをちゃんと聞きなさい。
お母さんとお父さんを、探さないで。
父、母より
「………?」
和弘には理解が出来なかった。
(探さないで?どっかに逃げたのか?え?嘘だ。何で?)
父と母が、この家から逃げた。ただその事実が、和弘の、わずか十四歳の心に深く突き刺さった。
「あれれぇ?おにーちゃん、ママは?」
香織が目を覚ました。和弘は適当に誤魔化した。パパとママは用事でしばらく家に帰らないと。この家は、共働きだった。そのため、帰りが遅く、和弘が食事を作ることも、珍しくはなかった。そのため、朝食も簡単に作り、香織を幼稚園に送り出した。
中学校は家からは近い場所にある。そのため、すぐに学校についた。
「和弘〜。おはよーっす」
仲の良い友達の翔。
「和弘。おはよ」
幼馴染みの由希。どこにでもいる、普通の友達関係。
「ねぇ、見た見た?昨日のテレビ、面白かったね」
「だよなぁ。俺さずっと寝るまで思いだし笑いしてたよ」
二人が談笑しているなかで、和弘はかなりテンションが低かった。
「どうした?和弘?」
翔は尋ねた。しかし、和弘は答えなかった。
「ねぇねぇ、どうしたの?何かあった?」
「分かった!香織ちゃんに何か言われたんだろ!」
「そんなんじゃねーよ!」
大声で叫んだ。
「??」
二人ともなぜ怒られたか分からない。
「ねぇ、和弘。本当に、何かあったの?私たち、相談に乗るわよ?」
由希は優しくそう言った。和弘は、それが女神に見えた。
「あぁ、放課後にでもな。まだ俺だって、よく分からねぇんだ」