表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に迷い込んだ愚か者は、元の世界へ戻ることなど考えもしない。  作者: ikenaki
新たな始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/8

圧倒的な力の差!!!徹はどこですか?

申し訳ありませんが、この章はとても短いです。


これは、グループとハイブリッド ドラゴンとの戦いの続きを描いた短い章です。

魔女の頭上、天空より巨大な火の玉が膨れ上がる。

それは凄まじい速度で回転していた。


魔女はその繊細な手で業火を操り、両手を動かして球体を圧縮していく。その威力は凝縮され、あらゆるものを断ち切る鋭利な刃へと変貌した。

まるで巨大な手裏剣のような、回転する炎の円盤だ。


一方その頃、マルコの猛攻を受けていたはずの竜人ドラゴンニュートは、傷一つ負っていない様子でそこに立っていた。


「それで終わりか?」


竜人は傲慢に言い放つ。


「いや、まだまだ――」


マルコが言葉を終えることはなかった。

瞬きする間もなく、竜人はマルコの頭蓋を鷲掴みにし、猛烈なタックルで民家へと突っ込んだのだ。


ドガガガガガッ!


およそ八軒もの家屋を突き破り、竜人は瀕死のマルコの頭をまだ掴んだまま立ち止まった。

彼はマルコを持ち上げ、わざとらしく耳元に顔を寄せる。


「なんだ? 何か言ったか?」


マルコは辛うじて生きていたが、その体は惨憺たる有様だった。両脚、背中、肩……全身が砕かれている。


「調子に乗るなよ……このクソトカゲが」


マルコは言葉を発するたびに血を吐き出した。


「まだその減らず口が利けるのか?」


竜人はマルコの頭を離すと、落下する体に狙いを定め、もう一方の腕で強烈な一撃を溜めた。


ズドンッ!!


衝撃音と共に、マルコは屋根を突き破り、遥か上空へと弾き飛ばされた。


「マルコーーーッ!!」


サトシが叫ぶ。

彼は近隣の屋根から飛び出し、全速力で駆けつけていたのだ。空中でマルコをキャッチすると、とある家の屋根に着地し、傷を癒やすために魔女の方へと走った。


「どこへ行くつもりだ?」


背後には竜人がいた。冷酷な瞳、明らかな殺意。

サトシは怯えた猫のように、反射的にその怪物から距離を取った。


「な、なんでこんなに速いんだよ……クソッ!」


サトシは恐怖に顔を歪めながら魔女の元へ走る。竜人は彼らを弄ぶかのように追走した。


「ハハッ……それがお前の最高速度か? それじゃあ、その傲慢な友人は救えないぞ」


竜人は屋根の瓦礫をサトシとマルコに向けて投げつけた。

サトシは俊敏に攻撃を躱すが、破片の一つが脚を掠めた。バランスを崩し転倒しかけるが、片手で身体を支え、家々の間を飛び移りながら走り続けた。


魔女の姿が見えた。彼女は向かいの屋根にいる。だが、竜人はすぐ背後に迫っていた。

サトシは魔女に向かって跳躍し、叫んだ。


「今だッ!!」


魔女は屋根に向けて両手を掲げ、裂帛の気合いと共に叫んだ。

回転する炎の円盤が、彼女の指し示す先へと放たれる。


竜人にとって不運だったのは、サトシを追って飛び移ったその瞬間、死が待ち受けていたことだ。

初めて、竜人は恐怖を感じた。

(死ぬ――!?)

彼はコンマ一秒の反応速度で身を捻り、急所への直撃だけは回避した。それでも、頭部の半分と片腕が切断された。

だが、心臓にある「コア」には届かず、彼は死を免れた。


「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」


常軌を逸した狂気的な笑い声が街中に響き渡り、再び人々を恐怖に陥れる。

狂喜乱舞する竜人を他所に、魔女は急いでマルコとサトシの治療を始めた。


「クソッ……どうすりゃいいんだよ」


サトシが苦渋の声を漏らす。リーダーは瀕死、援軍は未だ来ない。

魔女は震える手で治癒魔法をかけながら、視線を落としていた。


「私が生きている限り、力は尽きさせない。私が治すから、死ぬまで戦いなさい」


恐怖と怒りで声を震わせながら、彼女は言った。


「もう……終わらせたい……」


沈黙が流れた。不快な静寂。

魔女とサトシは竜人を見つめた。笑い止んだ竜人は、真顔に戻っていた。


「……次はどう来るの?」


魔女が最悪の事態を予期して呟く。

竜人は既に再生を終えていた。彼は中天に昇った月を見上げている。


「ツイてたな、お前たち。だが、手ぶらで帰るわけにはいかない。街の一つも壊さず、住人も殺さずに帰る悪役なんていないだろう?」


竜人は両腕を振りかぶり、左右の虚空へ爪を振るった。

圧縮された衝撃波が高速で放たれ、射線上の家屋と逃げ遅れた人々を無差別に切り裂き、破壊した。


「行儀が悪くてすまないが、急用を思い出したんでね。幸運を祈るよ」


そして、吐き気を催すような邪悪な笑みを浮かべて言った。


「またすぐに会おう」


その笑顔を忘れることなどできないだろう。おぞましいという言葉では足りなかった。

マルコは部分的に回復したが、鎧は粉々で、完治には程遠い状態だった。


「どうなった……?」

「あいつ、全部ぶっ壊して逃げやがった」

「あのクソ野郎……絶対に借りは返してやる」

「やめなさい、マルコ。私たちじゃ誰も彼には敵わなかった」


エリカ(魔女)が諭すように言った。


「すまん、お前の言う通りだ……だが、腹の虫が治まらねえ」

「今は街の人たちを助けるべきよ。被害が大きすぎる。エリカ、君は怪我人の治療を頼む。俺とマルコであの少年を探す」

「ん……わかった」


エリカは一礼すると、負傷者の救護へと向かった。


「マジでヤバかったな……死ぬかと思った」

「お前に八つ当たりしてたからな、あいつ」


サトシが笑いながら言う。


「二度と御免だぜ」

「あの怪物が言ってたのは誰のことだと思う?」

「わからん。だが、体のどこかに『印』があるとか言ってたな。他の奴らとは違う雰囲気の少年を探すべきだ」

「異国の人間ってことか。それなら絞り込めそうだな」


二人は頷き合った。

その後、彼らはエリカや市民と合流し、事態の収束を伝えて回った。瓦礫を撤去し、迷子になった子供たちを家族の元へ送り届けた。

ちょうどその頃、遅すぎた援軍である弓使いが、連れてきた兵士たちと共に現れ、復興作業に加わり始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ