圧倒的な力の差!!!徹はどこですか?
申し訳ありませんが、この章はとても短いです。
これは、グループとハイブリッド ドラゴンとの戦いの続きを描いた短い章です。
魔女の頭上、天空より巨大な火の玉が膨れ上がる。
それは凄まじい速度で回転していた。
魔女はその繊細な手で業火を操り、両手を動かして球体を圧縮していく。その威力は凝縮され、あらゆるものを断ち切る鋭利な刃へと変貌した。
まるで巨大な手裏剣のような、回転する炎の円盤だ。
一方その頃、マルコの猛攻を受けていたはずの竜人は、傷一つ負っていない様子でそこに立っていた。
「それで終わりか?」
竜人は傲慢に言い放つ。
「いや、まだまだ――」
マルコが言葉を終えることはなかった。
瞬きする間もなく、竜人はマルコの頭蓋を鷲掴みにし、猛烈なタックルで民家へと突っ込んだのだ。
ドガガガガガッ!
およそ八軒もの家屋を突き破り、竜人は瀕死のマルコの頭をまだ掴んだまま立ち止まった。
彼はマルコを持ち上げ、わざとらしく耳元に顔を寄せる。
「なんだ? 何か言ったか?」
マルコは辛うじて生きていたが、その体は惨憺たる有様だった。両脚、背中、肩……全身が砕かれている。
「調子に乗るなよ……このクソトカゲが」
マルコは言葉を発するたびに血を吐き出した。
「まだその減らず口が利けるのか?」
竜人はマルコの頭を離すと、落下する体に狙いを定め、もう一方の腕で強烈な一撃を溜めた。
ズドンッ!!
衝撃音と共に、マルコは屋根を突き破り、遥か上空へと弾き飛ばされた。
「マルコーーーッ!!」
サトシが叫ぶ。
彼は近隣の屋根から飛び出し、全速力で駆けつけていたのだ。空中でマルコをキャッチすると、とある家の屋根に着地し、傷を癒やすために魔女の方へと走った。
「どこへ行くつもりだ?」
背後には竜人がいた。冷酷な瞳、明らかな殺意。
サトシは怯えた猫のように、反射的にその怪物から距離を取った。
「な、なんでこんなに速いんだよ……クソッ!」
サトシは恐怖に顔を歪めながら魔女の元へ走る。竜人は彼らを弄ぶかのように追走した。
「ハハッ……それがお前の最高速度か? それじゃあ、その傲慢な友人は救えないぞ」
竜人は屋根の瓦礫をサトシとマルコに向けて投げつけた。
サトシは俊敏に攻撃を躱すが、破片の一つが脚を掠めた。バランスを崩し転倒しかけるが、片手で身体を支え、家々の間を飛び移りながら走り続けた。
魔女の姿が見えた。彼女は向かいの屋根にいる。だが、竜人はすぐ背後に迫っていた。
サトシは魔女に向かって跳躍し、叫んだ。
「今だッ!!」
魔女は屋根に向けて両手を掲げ、裂帛の気合いと共に叫んだ。
回転する炎の円盤が、彼女の指し示す先へと放たれる。
竜人にとって不運だったのは、サトシを追って飛び移ったその瞬間、死が待ち受けていたことだ。
初めて、竜人は恐怖を感じた。
(死ぬ――!?)
彼はコンマ一秒の反応速度で身を捻り、急所への直撃だけは回避した。それでも、頭部の半分と片腕が切断された。
だが、心臓にある「核」には届かず、彼は死を免れた。
「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
常軌を逸した狂気的な笑い声が街中に響き渡り、再び人々を恐怖に陥れる。
狂喜乱舞する竜人を他所に、魔女は急いでマルコとサトシの治療を始めた。
「クソッ……どうすりゃいいんだよ」
サトシが苦渋の声を漏らす。リーダーは瀕死、援軍は未だ来ない。
魔女は震える手で治癒魔法をかけながら、視線を落としていた。
「私が生きている限り、力は尽きさせない。私が治すから、死ぬまで戦いなさい」
恐怖と怒りで声を震わせながら、彼女は言った。
「もう……終わらせたい……」
沈黙が流れた。不快な静寂。
魔女とサトシは竜人を見つめた。笑い止んだ竜人は、真顔に戻っていた。
「……次はどう来るの?」
魔女が最悪の事態を予期して呟く。
竜人は既に再生を終えていた。彼は中天に昇った月を見上げている。
「ツイてたな、お前たち。だが、手ぶらで帰るわけにはいかない。街の一つも壊さず、住人も殺さずに帰る悪役なんていないだろう?」
竜人は両腕を振りかぶり、左右の虚空へ爪を振るった。
圧縮された衝撃波が高速で放たれ、射線上の家屋と逃げ遅れた人々を無差別に切り裂き、破壊した。
「行儀が悪くてすまないが、急用を思い出したんでね。幸運を祈るよ」
そして、吐き気を催すような邪悪な笑みを浮かべて言った。
「またすぐに会おう」
その笑顔を忘れることなどできないだろう。おぞましいという言葉では足りなかった。
マルコは部分的に回復したが、鎧は粉々で、完治には程遠い状態だった。
「どうなった……?」
「あいつ、全部ぶっ壊して逃げやがった」
「あのクソ野郎……絶対に借りは返してやる」
「やめなさい、マルコ。私たちじゃ誰も彼には敵わなかった」
エリカ(魔女)が諭すように言った。
「すまん、お前の言う通りだ……だが、腹の虫が治まらねえ」
「今は街の人たちを助けるべきよ。被害が大きすぎる。エリカ、君は怪我人の治療を頼む。俺とマルコであの少年を探す」
「ん……わかった」
エリカは一礼すると、負傷者の救護へと向かった。
「マジでヤバかったな……死ぬかと思った」
「お前に八つ当たりしてたからな、あいつ」
サトシが笑いながら言う。
「二度と御免だぜ」
「あの怪物が言ってたのは誰のことだと思う?」
「わからん。だが、体のどこかに『印』があるとか言ってたな。他の奴らとは違う雰囲気の少年を探すべきだ」
「異国の人間ってことか。それなら絞り込めそうだな」
二人は頷き合った。
その後、彼らはエリカや市民と合流し、事態の収束を伝えて回った。瓦礫を撤去し、迷子になった子供たちを家族の元へ送り届けた。
ちょうどその頃、遅すぎた援軍である弓使いが、連れてきた兵士たちと共に現れ、復興作業に加わり始めた。




