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魔法少女ナズナ、特訓の旅へ──昼食と神々と光の始まり

昼の光が柔らかく部屋に差し込む中、ナズナはアウリサと小さなローテーブルを囲んでいた。献立はナズナ特製カレーライスだった


しかしそれは突然起きた


ナズナ 「何!!!....」


いきなり部屋の空間が裂ける


その中から、金の光と共に二人の人物が現れた。


ひとりは、純白と黄金の光を纏う神々しい女王──その姿だけで部屋の明度が一段上がったように感じられた。


もうひとりは、黒き外套に長い髪、悠然とした佇まいを見せるナズナと顔がそっくりな女戦士──その目には、幾多の世界を超えてきた者だけが持つ“覚悟の静けさ”が宿っていた。


ルミエール:「ようやく……会えましたね、ナズナ。はじめまして」


ラスナ:「妾も来たぞ。久しぶりじゃな、妹姫。元気でおったか?」


ナズナ:「…えっ……えええ!?ちょっと待って......」


ナズナ:「琥珀の英雄!?....じゃあ隣の人誰?え、神様!?いや違うか……ん.....何この現象?なんで今?ご飯中に......祝福???」


ラスナ:「フハハハ! 祝福とはのう!我が妹姫は面白いのぅ、人間味が増したか???」


ラスナ:「改めて名乗っておこうか。妾の名はラスナ。“最果ての人”、かつて魔王を倒し、数多の世界を越えた者。──そして、隣のこの方は数多の世界の光を統べるキュートな女王、ルミエール陛下。とんでもなく偉い存在じゃ、妹姫よ。ちゃんとひれ伏すのじゃぞ?でなきゃ足を踏んずけられるぞ」


ルミエール:「もぅ!!!ラスナったら変な事刷り込まないで!!!ナズナが緊張しちゃうじゃない!キュートはいいけど」


みんなの心の声:(いいんかい)


ナズナ:「えっ、えっ、は、初めまして……えーと、ルミエールさん? 神じゃなくて女王? なんか凄まじいオーラ.......見た目が“天界から下りてきた感”すごい......部屋の壁とか大丈夫かな?なんかオーラでボロボロに剝がれそうなんですけど。あっテレビ......壊れてる」


一旦、部屋の空気が静まり返る


ルミエールは気まずい空気を切り裂くように微笑んだ。だがその笑みに、全知と慈愛の気配がにじむ。


ルミエール:「大丈夫。いきなり現れて驚かせたわね。でも、あなたのことは……ずっと見ていたから」


ナズナ:「……え、なんか前にも同じような事あったような、私見られまくってる?……プライバシー大丈夫かな.....お風呂とかトイレとか......」


ルミエール:「そ、そんなのは見てません!」


ルミエールは顔を真っ赤にし大げさに身の潔白を証明する、逆に怪しいので皆が少し疑いの目で見る


そのとき──アウリサが立ち上がり、胸元の宝珠をそっと撫でた。


アウリサ:「……ふふ、やっときたわね、私が一番にナズナちゃんに目をつけたんだからね!ふふふ」


ラスナ:「ん......これは!!!よく見たらアウリサじゃないか!!!こんな所で何しておる!?」


ルミエール:「私は知っていたわよ、見ていたからね。でも久しぶりねアウリサ。クルサルに悪戯してトンズラしたぶりじゃない?あの時本当に大変だったなー。私がうまく丸めたから収まったものの......わ・た・し・が!!!お礼まだ聞いてなかったなー」


そう言って、ルミエールとラスナは先程の神格のオーラはそっちのけで親戚の子とじゃれる様にアウリサを捕まえて二人で羽交い絞めにする


アウリサ:「痛い痛い!!ギブギブ。ルミィ、ラスナいつまでも過去にこだわってるとおばさんって言われるわよ???」


アウリサは苦悶の声をあげながらも、自慢の毒舌で反撃する


ルミエール:「おばさんですって!!??この子全く反省してないわラスナ。やってしまっていいわよ。光の加護で許すから」


ラスナ:「心得た!!!ほれほれ、こしょこしょの系じゃ。ふひひ」


アウリサ:「ちょっと!あぁ、ふふふ、やめて、ふふふ、卑怯よ!!!ふふ、きゃーどこ触ってんの!ナズナちゃーーん助けて―!!!!


ナズナ:「なにこれ........」


ルミエール:「まったく……ホントに。これであの数多ある中の最高位に位置する世界の女王なんだから、信じられない」


ラスナ:「ふむ、昔から変わらぬ、小賢しい小動物のようにしか見えんがな。しかし真の女王であるのは間違いない。どの世界より巨大であり平和な世界の女王はルミエールとアウリサくらいじゃからの」


アウリサ:「褒めても何もでないわよ、おばさん達にはね♡」


その言葉を最後にアウリサは最強の伝説二人組の猛攻に合い撃沈した......


三人が口々に言い合うその様は、神々に等しい集まりとは思えないほどに賑やかで、どこか楽しげだった。


不意に空間が静まり返る。その後、場の空気がふっと和らいで──


次の瞬間、空気が灼熱へと変わる。


ナズナ:「あ、これ、知ってる………」


赤い光が天井から漏れ、部屋が一瞬、真夏の太陽に包まれたような温度に包まれる。


イグニス:「ふむ、騒がしいのう。覗きに来てやったぞ」


ナズナ:「え.......今日って神々のお祭りかなんか?......」


ただ立っているだけで、空気が灼け、壁紙が波打つ。


室温が一気に上昇。テーブルの上の水がかすかに揺れた。


イグニス:「ふむ……なかなかに整った面子だな」


ルミエール:「……火炎の王 イグニス。あなたが何故、今ここに???」


ラスナ:「ここまで揃うのは数百年ぶりか。お主の気配は、やはり群を抜いておるな」


アウリサ:「ちょ、ちょっと……床、焦げてない!?管理人さんに怒られるよ?ナズナちゃん?、ちょっと……え?火炎の王と知り合いだったっけ??いつのまに......私の方が仲良しよね???ね???」


ナズナは表情をほとんど変えず、静かに答える。


ナズナ:「まあ……昔、依頼で戦って焼かれかけて、なんとか生き残ったよ。死ぬかと思ったけど」


ルミエール:「……それ、本当に人間のセリフ?」


ラスナ:「妾でも危ういぞ、それ」


イグニス:「過去の件は、お相子じゃ。あの卑怯な奴から助けてやったであろう?それに、最初はお主から挑んできたんじゃ。あの時──お主の中に“焔”は見えた。悪くはなかったぞ。相当、生意気ではあったが」


ナズナ:「……依頼だから仕方なかったじゃん......」


アウリサ:「女の子に攻撃するなんてひどいーー!!ナズナちゃん大丈夫???私は一番味方だからね?てか、暑い!!!」


ルミエール:「ナズナ……あなたって……」


イグニスはわずかに口元を緩めた。だが、その熱は微動だにしない。


イグニス:「……お主の炎は実に愉快じゃ、観るに値する」


ラスナ:「ふむ……火炎の王までナズナに干渉しているという事は、やはり状況は一線を越えてるのだな」


ルミエール:「ええ。すでに“兆し”は幾つも確認されている。誰がどう見ても、流れは始まってるわ」


アウリサ:「全部繋がってるってわけね……本気で面倒くさい局面になっちゃってる感じかな。あぁーーーもっとナズナちゃんとゆるふわな生活してたいのにー」


ナズナ:「面倒くさい状況???」


ルミエールは、そっと一歩、ナズナに近づいた。


その瞳には、揺らぎのない光。多くを見届け、決意した者だけが持つ深い色が宿っていた。


そして、彼女は静かに唇を開いた。


その声は優しく、けれど確かな重みをもって、空間を包み始める。


語るべきは“真実”──それを彼女は、まっすぐにナズナへと向けて話し出した。


誰も言葉を挟まない。


ラスナは腕を組み、じっと目を閉じたまま耳を傾けていた。


アウリサは小さく息を呑み、表情の奥に、一つの世界の女王の真剣さを滲ませていた。


イグニスでさえ、その場を焼かず、静かに佇んでいる。


ナズナは、一言も発さない。ただ、彼女の言葉の全てを受け止めるように、その瞳だけを動かしていた。


昼の光はいつしか翳り、部屋に落ちる影が、現実の輪郭を深く際立たせていく。


それは、運命が動き出す音なき合図だった。


ルミエールは語り終えた。


そして、最後に静かに──だがはっきりと、言い切った。


ルミエール:「だから……ナズナ。あなたには、“戦う力”が必要なの」


ナズナは沈黙したまま、ルミエールを見つめる。


ルミエール:「このままじゃ、あなたは敵わない。あなたがこれから向き合うものは、“世界”を飲み込むほどの闇よ」


ルミエール:「だから、あなたは世界より強くないといけない。他人事でごめんね、でもあなたが選ばれし者だから、他の私たちは補助と言う立ち位置にしかなれない。だから私たちは、あなたを特訓しに来たの」


真剣な空気の中、気まずさを払うようにアウリサが言う


アウリサ:「私は大賛成!!ナズナちゃんにはもっと可愛さと力がいるわ。強くなったナズナちゃんと、真っ白な世界で楽しく暮らしたい!」


ラスナ:「ふむ……妾も手を貸そう。魔導の技、鍛え直してやる」


イグニス:「……お主の“炎”まだ足りぬな。もっと凄まじい焔を我に見せよ。己を越えて輝く意思を。それまで、暇潰しでもしてやろう」


ナズナ:「……わたしが...世界を.....」


ルミエール:「ええ。あなたがこの世界の鍵よ。だから……行きましょう。」


ナズナが顔を伏せ考え込む


沈黙


振り切ったような感じで、ルミエールを真っすぐ見つめ言う


ナズナ:「わかった......もう、前から覚悟はできてたしね......」


ルミエール:「よかった......ありがとう、ナズナ。じゃあ、この世界では訓練にならないわ。転移するわよ、準備は良い?」


ルミエールが杖を構えると、空間が淡く揺れた。


ナズナ:「ちょっと待って……今から!?」


アウリサ:「そうよ!いきなりすぎる!準備が必要なんだから」


アウリサ:「じゃっ!強化ねっ♪ ……いっけー、魔法少女ナズナ☆」


ナズナ:「え──ッ!?そういう事じゃない!!! 待って、やめ──っ!」


ぱあっと眩しい光が弾け、ナズナの姿が変化していく。


フリルのスカート、リボン、光を帯びた宝石。少し幼く見える姿。


ナズナ:「ちょっと!……っ、アウリサ!!あーまたやられた......これ、恥ずかしいからやめて!……」


アウリサ:「うんうん、似合ってる! やっぱ可愛いってば!!」


ラスナ:「なかなか華があるではないか。実に、妹姫らしい」


ルミエール:「魔力伝達効率も上がってるわ。戦闘支援に最適なフォームよ。後、可愛い。」


ナズナ:「理屈じゃなくて、見た目的にきついの……」


イグニス:「ふははっお主は、真に笑かしてくれる」


イグニス:「まて.....ふむ....その珍妙な服は.....ならば、あれも用いるがよい。かつて我から盗んだ天火のあまほのほこを出せ、古の巫女」


ナズナ:「盗んだんじゃない......のに.....たぶん」


ラスナ:「火炎の王から盗みを働くとは宇宙一の泥棒じゃ。やはりナズナそなたは傑作じゃ ふはは」


ナズナは天火のあまほのほこをクローゼットから取り出す。ガラクタの様に衣類の下敷きにされていた神炎を宿した霊槍を


ルミエール:「こんな扱いの神具初めて.....」


イグニス:「ん......まあ、よい。今こそ、この無類の秘宝の使い時じゃ、盗人巫女」


ナズナ:「.........そんな言い方.....」


ラスナ:「ぷぷぷ、これ以上笑かすでない。腹がよじれる。フハハハハハ」


アウリサもナズナを見ながらにやにや笑い、ルミエールも後ろに背を向けながら肩が震えている


そして、ナズナは思い出す。ヴァルゼ・グリムをベランダの椅子の下に置いていたこと。きっとあれも役に立つだろうと取りに行く


皆、ナズナが何をしに行ったのか、目を丸めて待つ


ナズナはその宝玉で出来たような大剣を、皆の前にあらわにする


ナズナ以外、全員が顔を見合わせ、神妙な顔つきで考え込む


ルミエール:「これは、ちょっと判断しかねるわね。どっちにも転んでしまうわ。一旦、置いときましょう」


イグニス:「よく、それを持っとれるな。不思議な奴じゃ」


ラスナ:「なんとも計りがたい、禍々しい様な、聖剣のような。これが魔王自身と言われても驚かんね」


アウリサ:「こわーーー、ナズナちゃんいつの間にそんな物、隠してたのよ。通りでたまに変な気分だったわ」


ナズナはふーん、と言うような顔で、元の場所に無造作に突っ込む


ルミエール:「特訓が終わったら、整理整頓も教えるべきね」


みんなが揃って頷く


ルミエールは切り替えたように言い出す


ルミエール:「では、準備が整ったわね。転移するわ」


ルミエールが杖を掲げ、空間が揺れる──が。


アウリサ:「え、カレーどうするの!? 」


……沈黙。


ラスナ:「……それは重要じゃ」


イグニス:「食は、火の源じゃ。怠れば炎も衰える」


ルミエール:「ああ、もうっ……じゃあ、出発は明日にしましょう。今日はカレーを食べて、各々体をここで休めましょう」


ナズナ:「.....ここで....」


こうして、特訓前夜、世界の運命を背負う者たちは──


みんなでテーブルを囲んで、静かにカレーをよそった。



その夜。


床には即席の寝具が敷き詰められ、部屋の空気はゆるく、どこか温かかった。


ナズナは布団の隅で、ぽつりと呟いた。


ナズナ:「……狭い……」


隣で寝息を立てるアウリサ。


反対側では、ラスナが漫画を読みながら目を輝かせている。


イグニスは床に直寝で目を閉じ、周囲をほんのり温める“炎の炬燵”になっていた。


ルミエールはベランダに立ったまま、夜空を見上げていた。


無数の世界の代表が同じ部屋に集う夜


まるで家族の様に日常的で奇跡のような平穏が流れていた。

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