また、
今日はちょっと早めに投稿します!
サンドロ(兄)視点―
俺は転移魔法でファルメールの前に現れた。
ファルメールは弱い。
こっちの世界にある道具を使って俺を倒そうとしていたようだが、結局のところ戦いというのは魔法ですべてが決まる。
ファルメールが俺に勝てるはずもないのだ。
ファルメールは昔の俺のことしか知らないのだろう。
昔の俺は転移するためにわざわざ魔法陣をかかなくてはならなかった。
だが、いろいろと研究を重ねて魔法陣なしの移動に成功したのだ。
ファルメールはそんなことも知らなかったのだろう。
そうだ、俺はファルメールが転生してこっちで過ごしていた間も、母に大事に育てられていた間もずっと努力していた。
それなのに、ファルメールのせいでいつも俺の努力は認められなかった。
母だって、あいつに構っているばかりで俺のことは大切にしてもらえなかった。
それが、ずっと憎かった。
だから、あいつを殺してやろうと思った。
俺はファルメールを掴んで空中に転移する。
この状態で魔法を解けば、ファルメールは地上に真っ逆さまに落ちる。
もう俺はこの憎い弟の顔を見ることもなくなるのだ。
俺はファルメールの首に手を当て、少しずつ力を籠める。
ファルメールが苦しそうな声を出した。
「どうだ? 気分は」
俺はファルメールに問いかける。
また、誰かの助けを呼ぶのだろう。
あいつは誰かに助けてもらわなければ生きていくこともできないような人間だ。
泣いて、喚いて、許しを請うのだ。
昔のように。
だが、あいつは叫ぶことも、泣くこともなかった。
ただ、笑っていた。
その目が俺の見えないものを見ているように見えて、ただ不快だった。
俺はさらに手に力を籠める。
ファルメールは反応すらしない。ただ静かに何かを見ていた。
「どうした? 喚け。泣け。許しを請え。お前はそれしかできないだろう?」
するとあいつは、俺に興味をなくしたかのように目を閉じた。
俺の感情が限界に達した。
手を放す。
ファルメールはゆっくりと下に、落ちて行った。
俺はファルメールに向けて、雷魔法を放つ。
その瞬間だった。
『ファル!!!!!!』
二つの声が、響いた。
そして、誰かが雷魔法をはじき返す。
雷が俺に向かって飛んできた。
俺は結界を張って防御する。
だが、衝撃で魔法陣が消え、俺は真っ逆さまに地面に落ちる。
俺は地面に音を立てて着地した。
足にひびが入ったのか、嫌な音を立てた。
俺はファルメールを見る。
すると、あいつを守るように誰かが立っていた。
後ろにいるあいつは地面に落ちる瞬間に受け止められていた。
「まただ……」
守られているファルメールの姿と、母に守られていたファルの姿が重なる。
「また……なんで、なんでお前ばかり……」
俺の魔力が今までにないほど膨れ上がるのが分かった。
「ゆる、せない」
俺の魔力の光は空を黒く染めた。
光がどんどん広がる。
俺は、今まで溜めた魔力のすべてを解き放った。




