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クリスマス関連作品

クリスマスに初めて教会に行ってみました

作者: 地野千塩

 クリスマスイブ。その上、今年は日曜日。私はとても不機嫌だった。同じ大学に通う彼氏に振られたし。


「クリスマスイブイブに振るってどういう事? おかしくない?」


 ぶつぶつと文句を言いながら街を歩く。クリスマスのツリー、讃美歌などが響く街は、空気を吸ってるだけでもイライラしたが。


「何ここ、教会?」


 ふと、顔を上げたら、教会があった。商業地区から少し逸れたところにある教会で、周りは住宅が多い。


 教会だと気づいたのは、屋根に十字架の飾りがあったのと、門の前にクリスマスツリーがあったからだ。他の雰囲気は周辺の住宅と変わりなく、アットホーム感すらある。住宅街に埋もれている?


「ふ、そう言えばクリスマスって西洋の宗教のお祭りだっけ?」


 雑な知識しかないが、ちょっと教会に行くのも悪くないか。元々のクリスマスの起源を考えれば、彼氏とイチャイチャする日ではなさそうだし……。


 受付で名前などを書くと、ものすごい勢いで歓迎されてしまう。


「普段は宗教とか嫌いな人が多いからね。本当に嬉しいよ!」


 教会は老婆ばっかり。私が入っただけで何とも言えない「孫感」がでる……。


 ちなみにシスターとか神父みたいな派手な宗教の人はいないらしい。そんなイメージで行ったらびっくり。礼拝堂もキリスト像やマリア像もなく、ステンドグラスもない。前方に教壇と教卓があるせいで、学校の教室のような雰囲気。規模は大学のゼミ室以上、中教室レベルといったところか。


 そしてクリスマスという事で席はだいぶ埋まっていた。


 イエス・キリストが生まれた経緯の紙芝居や讃美歌演奏などが始まる。これは私がイメージしいた「ザ・クリスマスマス」といった雰囲気だ。紙芝居ではイエス・キリストは中東のベツレヘムで生まれたと知った。西洋の宗教とは私の思い込みだったらしい。


 ただ、その後の牧師の説教が眠すぎた。たぶん有難いお話をしているんだろうが、私のまぶたは重い。夕方からはキャンドルサービスなどもあるというが、さすがにこれは辞退する事にした。


 こうして初めて教会のクリスマス礼拝に出てみたが、思ったより全然普通。これといった宗教感、神聖感、パワースポット感もなく、案外教会は学校みたいな身近さも感じた。目から鱗だった。


 クリスマスに彼氏or彼女がいない人、クリぼっちは行ってみても良いかもしれない?


 帰りがけにチョコピザパン、クッキーなども貰えたし。


「ハッピークリスマス! 来年も是非!」


 老婆のクリスチャンに見送られた。来年行くのは未定だが、教会を出る頃には、もう振られた事にイライラしていなかった。むしろ「これが正当なクリスマスの過ごし方!」と世界にドヤ顔したい気分だった。

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