96話
視点はルイへ
これに書けば…いやダメだ。怪しすぎる、カナが人の願いを叶えるとは思えない。そもそもゲームが終わる保証なんて…そうだ、ポイントの上限は一億なだけで上限までいったら終わるわけではない。やり方が汚い。
そう考え、ルイのお父さんに話しに行く。
「お父様!」
「ノックをしてから入りなさい」
平常運転だった。
「そんな事言っている場合ではありません。このゲームは、終わりがありません。と言うより終わり方がありません」
「ルイ、お前は疲れているんだよ。早く寝たほうがいいぞ。今日は部屋で寝ておきなさい」
「お父様、よく聞いて下さい。いくらポイントを貯めても終われないんですよ。相手は神ですよ?永遠を生きる神は」
「ルイ!それ以上は言うな。神はそんな事をする筈がない」
その発言をした瞬間、近くで爆発が起きた。
ゲームの参加者同士が殺り合っているようだ。止めに入るものは居ない。誰もが必死に生きようとしているのだから止めることなんてする理由がないのだ。
「ルイ、止めに行きなさい。私は仕事があるのでね」
不自然。普通なら、部下に命じるはずだが。ルイは殺しを求めていない。ポイントも無くて良いと考えている。故に、止めない。
「無理です」
「まあ良い。部屋に戻っていなさい」
お父様の喋り方が変わっていた。あれは偽物と考えよう。誰も信じられないね、カナもお父様も。自身の手で何とかしなければいけない。カナに手を借りることは無い。
思考する。それを終わらせ、カナリアから渡された紙をぐしゃぐしゃにして捨てた。人に頼らず自身の手でこのゲームを終わらせる決意をした。
(ははっ、プレイヤーが完成したね。さ〜て、ゲームが楽しくなる地盤が整った。この死と狂気のゲームは勇敢と慈悲によって終わる。まるで勇者だね、物語の主人公がなるタイプの)
「楽しみになってきたね、倶利伽羅」
倶利伽羅が首を縦に振る。
「死からは逃げられない、ならその死を超えるのは誰か、その光景を観させてもらうさ。僕の首に手をかけられるようになるのは誰だろうね」
享楽。
それしか言い表せない。
「楽しそうだね。私も混ぜてよ」
「魔王も参戦するつもりかい?」
「それにしても、遠回りをするね。あの子の親を操って決心させるなんて」
「疑いは決心に変わるんだよ。誰も信じれないなら自分だけの力で。それを利用しただけ
さ。とある体験談だよ、ある世界、仲間を殺し一人だけにしたら、強くなった奴が居たんだよ。信用とは懸け離れてるけどね」
懐かしそうに上を見る。過去は笑い話にしかならない、語っているときは楽しそうだった。
「じゃあ、私は行くよ。私は私なりに楽しませてもらうさ」
1人歩いて行く。その背中を見て不機嫌そうになるカナリア。何が不満なのか誰も分からなかった。




