94話
1人、上空を歩いていた。下は恐怖、狂気、殺人、などが繰り広げられていた。ゲームは終わることを知らず、手に入れたポイントは自身の強化へと使う、足りなくなる、殺す、使うが繰り広げられる。尊厳は踏み躙りられ、慈悲をかけるものなど存在しなかった。
「楽しそうだね」
殺しを行っていた奴が後ろを振り返る。後ろには、異様な笑みを浮かべた仮面をつけている奴が居た。口が裂けているような見た目であった。それを見た瞬間、死を知覚する。見ただけで正気を失いそうになる。
体現し難い覇気を放っており、触れることは許されない。
「な、な、何だよお前は。オレに何を」
次は喋れない。顔に触れられると、血が沸騰するのを感じる。叫び声をあげることは無い。人間の形をやめていたからだ。声帯などなく、あるのは本能のみ。幸か不幸か、ポイントには困ら無くなったのだった。
「さあ、楽しんでおいで。ゴミみたいなゲームを」
『なかなか酷い事するね。それでも神様?』
『ふふっ、馬鹿なこと言わないでよ。人間の価値はそれぐらいしか無いんだから。開催したゲームを楽しむためにはNPCぐらい必要でしょ?』
『何言ってるのか分からないね。作者としては好ましい展開だから続けてね〜』
ここで作者との会話は終わる。少しボケーっとしていると大量の人間が来る。手には武器を持っており、殺意が籠もった目をしている。いや、殺意以外もあった。憎悪、憤怒、激情、嫌悪、怨み、負の感情が煮詰まり、殺しを躊躇うことが無くなっていたのだ。人間はここまでストーリーを作れるんだ。と考えながら観察するカナリア。
「こいつだ…こいつがこのクソみたいなゲームを!!殺せ!こいつがげん」
土手っ腹に穴が空く。カナリアの手か?違う。腰まで伸びていた髪の毛が触手になっていた。カナリアの影が伸び無数の蛇がウジャウジャと湧いてくる。異形か?そうではない、ただ超常的な存在。
「ゲームは終わらない。何故かって?君たちは僕を殺せない。ここで消える運命だったんだ」
触手と蛇が人間への攻撃を開始する。貫かれ影に呑み込まれ沈み悲鳴を上げる。泥なのか、影なのか、区別がつかないほどになっていた。
「さて、質問しよう。君たち人間は死を自覚できると思う?」
触手に拘束されている人間に問う。だが、返ってくるのは沈黙だった。
「答え無い…か。まあ良いでしょう。別に求めていなかったし。お前らの回答に価値はないわけだしね」
首を絞められ悲鳴を上げる。悲鳴を上げながら影に呑み込まれ沈んでいく。カナリアは愉悦を感じながらその様を愉しむ。そこに残ったのは1つの笑い声であった。




