92話
「この手に人の命を握るっていうのは面白いね。生かすも殺すも僕次第、こんな事を人間が知ったらどうなるんだろうね」
手にはスイッチが握られていた。どこかで作っていた『宇宙破壊爆弾』に信号を送るスイッチだった。そばには倶利伽羅、ソファに寝転がっているカナリア、いつの間にか居た魔王。
「えっ?なんで居るの?ここ亜空間だよ?僕と倶利伽羅しか入れないようにしていたんだけど、、、作者か」
「それよりもさ、このゲームを早くやめてよ。魔族が減るわ人間と戦争になりかけるわで大変なの」
「そうやって自分の事情を僕に押し付けないで。さ、話は終わり。帰った帰った」
そう言ったはずなのに魔王は余ったソファに腰をかける。カナリアは興味が無いのかそれには触れずにスイッチを投げて遊んでいた。
それに飽きたのか、[虚数空間]の中からトランプを取り出す。
「やるかい?」
質問する。
「もちろん」
答える。
2人はポーカーを始めた。が、いきなり
「崖に行こうよ。飛んだら腕が折れるぐらいの高さの所に」
急なドM発言。魔王は少し引いていた。
「え、、何でそんな事言うの。頭でも打った?」
「平常だよ。ほら、死の概念を無くしてるじゃん?肉体を脆くして死んだらその肉体はどうなるか気になるじゃん」
「死が無いのに肉体は死ぬの?」
「不思議?普通、死んだら意識が無くなるでしょ?無くならなくても伝える術が無いから一緒。で、その意思の消滅が死であって、その死を無くしてるのが僕と最高神ってこと」
「急にスケールが大きくなるね。つまりだ、神は意思の消滅が無く、肉体が無くなっても意思があったら平気ってことでしょ?」
「その通り。肉体的な死か意思の消滅か。魔王はどっちが死だと思う?」
「肉体的な死。肉体が無かったら何も出来ないからね」
「どっちも正解だけどね。という事で、崖に着きました」
転移を発動していたカナリア。倶利伽羅はお留守番らしい。
「ここで何するの?」
「え?突き落とすけど?」
「誰を?」
「魔王を、別に死んでも蘇生はしてあげるよ。ゲームのレアキャラが死ぬのは面白くないから」
「そんな風に思われていたんだ。悲しいな」
「じゃあ、3を数えたら落とすからね。1、2」
「え?良いとは言って」
ここでカナリアに押される。魔王は驚きと疑問を感じながら落ちる。
「いい顔してたな〜」
元いた亜空間に戻る。魔王は・・・・無事だと良いね。ははっ
「ただいま」
「おかえり」
般若の様な顔をした魔王がそこに居た。カナリアは少しばかり困惑していた。
「す〜、場所を間違えたようだね。失礼しました〜」
「ちょっと、お、は、な、しをしようか」
その後、凄い怒られたカナリア、腹いせに村を破壊したのはまた、別のお話。




