89話
「さて、本来の目的を達しましょうか」
場所はどこかの国の近くの森。ライの死体を取り出し
「あ〜あ、可哀想なライ。肉体に囚われ、僕の手によって殺された。手と言っても脚だけどね」
冗談を交えながら、カナリアのエネルギーをライの死体に入れる。
「良いかい?君の名前は〘倶利伽羅〙。龍の王として、僕の役に立ってね」
ライの死体が動き出す。体色が黒になり、咆哮が辺り一面に響く。
「これ実質寝取られじゃん。カワイソ〜♡」
何やってんだこいつ。1人で、不思議だね。
(は?お前がやらせてるんでしょ。何でこっちを卑下しようとしてんの?)
「倶利伽羅、君は肉体に囚われない様になったよ。エネルギー体になったんだ、これで死ぬ事なんてない、あの・・・いや、過去の話はやめようか」
「グルル」
倶利伽羅はライとしての記憶は無くなり、あるのはカナリアに対しての忠誠。命令を忠実にこなす武器になったのだ。見た目は翼竜だが、秘めたエネルギー量はカナリアに次ぐ。
カナリアの特性も入っており、確定会心なんて当たり前になったのだ。
「ははっ、そう。それで良いんだよ、僕の命令をしっかりこなしてよね」
「ここから聞こえたぞ。なんだコイツ!」
運が悪いのか神の気まぐれか、近くに居た冒険者に見つかった。カナリアは嫌な顔して言う。
「ゴミがなんでここに居るの?これは見世物じゃないんだけど?」
「ご、ゴミとは何だ!オレ等が」
次の言葉は出なかった。倶利伽羅に睨まれ喋ることが出来なかったのだ。鋭い眼光とカナリアから発せられてるオーラ。そこに居るのが出来ないのに身体が動かない。
「さて、見られちゃったからには消えてもらおうか。倶利伽羅、やっちゃって良いよ」
命じられ動き出す。口元にエネルギーを溜めブレスを放つ。冒険者側に運よく、魔法使いがおりブレスを防ぐために結界を張る。
が、抵抗など無意味で呆気なく結界が割れ、死ぬ。
「結界張るぐらいなら諦めて死ねばいいのにね。結果が変わらないなら諦める、当たり前なのにね」
倶利伽羅も頷く。思考の仕方を似ており、言葉も理解できてるらしい。
「ねぇ、思考できるの?僕そんな風に設定してないんだけど」
倶利伽羅が顔を背ける。主であるカナリアの意に反する行動として理解していた。
「まあ、いっか。良いかい?命令違反は許さないけど、それ以外は好きにして良いよ。君は僕の大切な駒だからね」
龍の王はこの世界に2匹存在し始めた。あり得ない事だが、そんな事関係無いのがカナリア。ゲームのレアキャラが増えた事に喜びを感じながらゲームの準備を始めるのであった。




