86話
「どんどん増えてくる」
2時間経っているのに終わりが見えない。なんなら抑えきれずに被害が増えていく。これが続くと全滅待ったナシ。そんな事自分には関係無い顔して逃げる人間共。他者に全部任せ自分は生き残る。こんな汚い生き物を守る神がよく分からないカナリアは
「自分で動けない奴は死ぬ運命にあるんだよ。ほら、奇跡は望むものにしか来ないってね」
「さ、さっきから何のことを」
逃げていたヒトカスを殺しに出向いていた。
「いや、お前等ゴミ以下の人間で遊んでもらえてるんだから泣いて喜べよ。嬉しいでしょ?神である僕に殺される。こんな名誉な死は無いよ」
傲慢な発言。だが、貴族として産まれた人間は
「お前みたいな。ゴフッ」
「お前の意見など求めていない。僕はね、少し苛立ってるんだよ。お前ら人間に価値なんて無いのに自分たちが1番など身の程をわきまえない発言。イライラしちゃうね、それこそ、「憤怒」の権能を獲得できるぐらいにはね」
立場が分からずいつまでも自分が偉いと勘違いする貴族。カナリアが求めているのは恐怖と死にたくないと願っている時の顔と叫び。なのに、眼の前にいる奴らはくだらない事をペチャクチャと喋るから苛立っていたのだ。
「わ、分かった。何でも」
その次は喋れず殺される。
「と、言う事だから、さ。死んでね」
カナリアの影が伸びヒトカスが影に沈んでいく。沈んでいく時の顔は恐怖に染まって涙と鼻水でグチャグチャの顔し叫びながら沈んでいった。
満足していたカナリアだったが、その現場をルイに見られていた。
「な、何しているの?」
「見られたんだ。まあ良いか。見ての通りだよ、ゴミ掃除さ。人って言うゴミをね」
ヘラヘラと語る。「慈悲」を持っているルイには受け入れ難い現実だった。ルイの考えは、人なら救うだが、カナリアは、人でも何でも自分の遊び道具。これが原因で分かり合えなかったのだ。
「ライ。カナを殺すよ」
目の前で起きた悲劇を繰り返さない為にルイはカナリアを殺す決意をする。1回負けているのを視野に入れず、確実に殺す為に場面を整えようとする。
「ふふっ・・・・・あは・・・・・あははっ!そう、それで良いんだよ。目の前にいる悪魔を殺す。その意志を求めていた。僕という最悪な神を殺して人類に平和を齎すか、僕に敗北しこの先にある最悪なゲームが齎されるか。両者本気でやり合おう」
お互いからオーラが溢れ出る。ルイは人間の為、カナリアは自分の愉悦の為、世界平和の為に戦う勇者と自身の道楽と野望の為に戦う魔王、ファンタジーである展開が起こったのだった。




