8話
「誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
(ルイ君が9歳になった。こんなに大きくなってお父さん嬉しいよ。さて、あの誘拐未遂から何事も無く僕は退屈で仕方ない。権能は徐々に取り戻しつつあるけど不便なのは変わらない。どうするべきか、魔物の身体を奪ってレベルをあげているけど効率が悪いのは変わらない)
カナは祝ってくれないの?
〈祝うほどなの?歳をとるだけで何かめでたい?〉
成長を祝っているんだよ。カナは分からないんだね
〈分からないよ。歳なんてとればとるほど肉体が動きにくくなるじゃん。それにメリットがある?〉
まだ若いんだし平気でしょ。カナは何か嫌なことでもあったの?
〈何もないよ。昔の僕は不老不死だから歳なんてよくわからなかったんだよ〉
ズルいね。死なないんでしょ?
〈そうだよ。でも、そんなの面白くなかったから身体は死ぬようにしてたんだよ〉
(いや〜懐かしいな〜自分の思い通りに動かせる肉体なんて今は無いから)
「何か欲しいものはあるか?」
「何でもいいのよ」
「じゃあ、剣が欲しいです」
「剣か…いいだろう」
やった!
(そういえばこの国に王子は生まれないんだっけ?不思議だね〜もしかしたら…いや、そんなことないか)
〈嬉しそうだね〉
そうだよ。僕は強くならないといけないんだから。カナは嬉しくないの?僕が強くなるんだよ?
〈どっちでもいいかな〜ルイ君は今強くても弱くてもいずれ強くなるんだし〉
どういうこと?
〈気にしなくていいよ〉
そっか。早く訓練しないと
(訓練ね〜ルイ君の歳なら普通は剣なんて持てないんだけど、訓練用の剣も持てないから。ほら、両親が驚いてるじゃん。あれ?ルイ君って今何歳だっけ?ヤバい歳かも。病院の予約しないと)
「お、お前剣を持てるのか?」
「あら!凄いわね」
〈ルイ君、君ぐらいの歳の子は訓練用の剣は持てないんだよ。いや、違うかも?もう理由が分からなくなってきた〉
そうなの?だって今持ててるし
〈ま、いっか。それより、年相応の動きをしていなよ、僕がバレちゃうかもしれないよ?〉
それは駄目だけど僕にそんなことはできないよ
(求めてはいなかったんだけどそうなるよね〜。ルイ君は強くなって見返すという目標もあるしな〜生き急いでるかも)
「かっこいいぞ!流石俺の息子!」
「あら?娘ではないのかしら?」
「最初は迷ったが男だぞ。息子だ」
「変なことで言い争わないでください!あと、僕は男の子です!」
〈じゃあなんで女物が似合うのかな?僕に教えてほしいな〜〉
カナも誂わないでよ!でも、なんで似合うんだろうね
(なんでだろうね?僕にも分からないや。もしかしたら僕の要素が入ってるかもね)
「剣は後日渡すからな」
「楽しみにしてます」
(平和だね〜何か起こらないかな〜そしたら愉しめそうなんだけどな〜)
年齢 変わり続けるもの、数える必要なんて無い。形あるものはいずれ死に、肉体は朽ち果てるのが運命である。
死 知覚する事は不可能、知覚しても伝える事は出来ない。肉体がある限り死からは逃れられない。絶対的な概念の1つ
虚無 始まりでもあり終わりでもある。破壊と創世、生と死、全ては1つから始まり、1つに終わる。全てはここに行き着く。
絶対的な概念の1つ
終焉 終わり。終わる過程の名称であり虚無と密接である。時間も終焉である。行き着くのは虚無だが変数があるなら変わることも・・・・
絶対的な概念の1つ。
神格 神ならば持っているもの。形があれば無いものもある。だが、形があると破壊される。
神は絶対であるべきなのだ。決して、欠陥がある事は許されない。